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ラオス中国鉄道

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ラオス中国鉄道
ボーテン・ヴィエンチャン線
概要
所在地 ラオスの旗 ラオス
運営
開業 2021年12月3日
所有者 Laos-China Railway Co., Ltd.
運営者 Laos-China Railway
中国鉄路昆明局[1]
路線諸元
路線総延長 422.4 km (262.5 mi)
軌間 1,435 mm (4 ft 8+12 in)
電化 交流 50Hz, 25,000V 架線集電
運行速度 160 km/h (旅客)
120 km/h (貨物)
路線図
地図
地図
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ラオス中国鉄道ラオスちゅうごくてつどうラーオ語: ທາງລົດໄຟລາວ-ຈີນ中国語: 老中铁路有限公司英語: Laos-China Railway Co., Ltd. (LCR)[2])は、ラオス鉄道事業者である。中国ラオス鉄道中国語: 中老铁路[3][4])ともいう[5][6]

中国の雲南省昆明市からラオスヴィエンチャンを結ぶ鉄道路線である昆玉線玉磨線、ボーテン・ヴィエンチャン線(後述)をあわせて、「中国ラオス鉄道」または「ラオス中国鉄道」と呼ぶこともある。

中国が提唱する「一帯一路」構想、昆明・シンガポール鉄道の事業の一つである。

路線概要

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ラオス中国鉄道
ボーテン・ヴィエンチャン線
km
CONTg
タイ国鉄 東北本線
BHF
ノーンカーイ
TZOLLWo
ラオスタイ国境
ENDEa HST
ターナレーン
STR
ターナレーン・ドライポート
ABZg+l STRr STR
DST STR
12.9 ヴィエンチャン南
STR KBHFe
ヴィエンチャン (カムサワート)
BHF
0.0 ヴィエンチャン
HST
63.7 ポンホン
BHF
123.1 ヴァンヴィエン中国語版
HST
168.2 カシ
BHF
238.0 ルアンパバーン
HST
292.5 ムアンガ
BHF
338.7 ムアンサイ中国語版
HST
377.3 ナモール
BHF
392.8 ナトゥイ中国語版
BHF
405.2 ボーテン
tSTRa
xtZOLL
408.2 ラオス中国国境(友誼隧道)
tSTRe
BHF
磨憨
LSTR
中国国鉄 玉磨線
BHF
玉渓
LSTR
中国国鉄 昆玉線
KBHFe
1,022 昆明南

ボーテン・ヴィエンチャン線中国語: 中老铁路老挝段/中老铁路磨万段[7]英語: Boten–Vientiane railway)は2021年12月2日に完成し[8]、翌3日に開通、4日から一般開放される[8]。総距離422.4 km。最高速度160 km/h(旅客列車)、120 km/h(貨物列車)で運行されている。昆明南駅に至る国際旅客列車を運行しているほか、ヴィエンチャンと中国各地を結ぶ貨物列車も運行されている。

  • 建設総額:374.3億元[9]
  • 工期:2016-2021年(5年間60ヶ月)
  • 設計時速:時速120 km/h(貨物)、160 km/h(旅客)、平地では200 km/h
  • 駅:33駅(うち信号場21駅、旅客駅11駅、貨物駅1)、うち5大駅(ナトゥイ、ウドムサイ、ルアンパバン、ヴァンヴィエン、ヴィエンチャン)。21駅を当初は開通させる計画。
  • 橋梁・トンネル:橋167箇所 61.8 km(16.36%)、 トンネル 75箇所 197.83 km(47.74%)(カシー郡で12,625 mのトンネルが最長)[10]
  • 可能性調査は中鉄ニ院が実施したとされるが公表されていない[11]

建設

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建設までの歩み

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2010年10月に全長530 kmにおよぶ標準軌路線の計画に着手。雲南省シーサンパンナ・タイ族自治州から南はタイバンコクまでの計画で、[12]2011年着工、2014年完成の予定[13][14]であったが、中華人民共和国鉄道部の汚職事件が原因で2011年4月に計画を無期限延期とする事になった[15]。2012年10月になってラオス中国両国政府がヴィエンチャンから中国国境までの鉄道路線建設計画に合意、建設費は70億米ドルで北京当局の企業が建設するもので、起工式が同年11月に挙行され2017年の竣工を予定していた[16]。2012年12月にラオス政府が銀行からの融資完了を発表、2013年着工、2018年完成とした[17]。また南方への延伸計画もバンコクからさらにミャンマーダウェイまでとなった[18]

歴史

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  • 2016年
  • 2017年
    • 3月28日 - 駐ルアンパバーン総領事黎宝光が中国水電建設集団国際工程公司が、建設中の第4区間を訪問した。同社の報告では2016年12月から建設が開始されているが、建設場所が分散し、アクセス条件が悪く、またトンネルなど高度な建設が多いと説明。宿舎、接続道路、電気、鉄筋加工工場など関連工事を進めているという。プーヤー村1号トンネルとダーロン1号トンネル4月から建設を開始すると説明した[20]
    • 5月11日 - 在ラオス中国大使館経済商務参事官王其輝は新華社のインタビューに答え374.3億人民元で建設中の中国ラオス鉄道ではトンネルは30箇所、道路66箇所を建設中と説明した[9]
    • 5月24日 - ラタマニー・クンニヴォング公共事業運輸省副大臣は中国ラオス鉄道はラオスの社会経済開発と一帯一路開始に重要とする論文をこの日のパテートラオ紙に発表した。ここでは、建設相距離を414.332 km、橋梁は167ヶ所で61.81 km(16.36%)、ルアンパバンのメコン橋梁は2ヶ所。トンネルは75ヶ所で197.83 km(47.74%)。最長のトンネルは12,625 m。現在トンネルは51ヶ所で建設を開始と言及した[10]
    • 7月19日 - ラオス中国鉄道建設プロジェクト指導委員会会議が開催され、ブンチャン公共事業運輸省大臣・委員長、4県の副知事と都副知事らが出席した。ラタマニー公共事業運輸省副大臣・プロジェクト管理委員長は、これまでに作業場は建設請負会社が88ヶ所、コンサルタント会社が12ヶ所を設置。接続道路は657.9 km、橋2,342 mを建設したと説明。その他にも送電線360.2 km、変圧器172個、トンネル49ヶ所を建設し2017年の計画比で31.35%の進捗と報告。住民補償については補償費算出ユニットによる価格調査を実施している。市場価格での保証を行うために現場での調査を実施。242品目の価格リストを作成したと説明している[21]
  • 2020年
  • 2021年
    • 5月15日 - 中国ラオス鉄道の通信用鉄塔67基全ての建設が完了[23]
    • 7月23日 - フォンホン駅完成、全線で10駅ある旅客駅のうち最も早い完成だった。残りの駅舎工事も最終段階に入っている[24]
    • 10月12日 - 昆明-ヴィエンチャン南駅間全線のレール敷設が完了した[25]
    • 10月16日 - 中国中車で製作された中国高速鉄道CR200J型電車1編成(列車名ランサン号)がヴィエンチャン駅まで牽引回送され納入された[26]
    • 12月2日 - 完成。ラオスの首都ヴィエンチャンでは記念式典が開かれた[8]
    • 12月3日 - 開業(1日2往復)
  • 2022年
  • 2023年
  • 2024年

駅一覧

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駅名 接続路線・備考 所在地
日本語 ラーオ語 簡体字中国語 英語
ボーテン駅 ສະຖານີ ບໍ່ເຕັນ 磨丁站 Bo Ten 旅客駅
中国国鉄 玉磨線
ルアンナムター県
ナトゥイ駅 ສະຖານີ ນາເຕີຍ 纳堆站 Na Teuy 主要旅客駅
ナモール駅 ສະຖານີ ນາໝໍ້ 纳磨站 Na Moh 旅客駅 ウドムサイ県
ナトン駅 ສະຖານີ ນາທອງ 纳通站 Na Thong 貨物駅
ムアンサイ駅 ສະຖານີ ເມືອງໄຊ 孟赛站 Muang Xai 主要旅客駅
ナコック駅 ສະຖານີ ນາກອກ 纳科站 Na Khok 貨物駅
ムアンガ駅 ສະຖານີ ເມືອງງາ 孟阿站 Muang Nga 旅客駅
フアイハン駅 ສະຖານີ ຫ້ວຍຫານ 慧汉站 Huoay Han 貨物駅
ルアンパバーン駅 ສະຖານີ ຫຼວງພະບາງ 琅勃拉邦站 Luang Parbang 主要旅客駅 ルアンパバーン県
シェングン駅 ສະຖານີ ຊຽງເງີນ 香恩站 Xiang Ngeun 貨物駅
ポウクン駅 ສະຖານີ ພູຄູນ 普昆站 Phou Koun 貨物駅
カシ駅 ສະຖານີ ກາສີ 嘎西站 Kasi 旅客駅 ヴィエンチャン県
パデーン駅 ສະຖານີ ພາຕັ້ງ 帕当站 Pha Daeng 貨物駅
ヴァンヴィエン駅 ສະຖານີ ວັງວຽງ 万荣站 Vang Vieng 主要旅客駅
バンキ駅 ສະຖານີ ວັງຂີ 万基站 Vang Khi 貨物駅
ポンホン駅 ສະຖານີ ໂພນໂຮງ 蓬洪站 Phon Hong 旅客駅
ポンソン駅 ສະຖານີ ໂພນສຸງ 蓬宋站 Phon Soung 貨物駅
ヴィエンチャン北駅 ສະຖານີ ວຽງຈັນເໜືອ 万象北站 Vientiane North 貨物駅 ヴィエンチャン都
ヴィエンチャン駅 ສະຖານີນະຄອນຫຼວງວຽງຈັນ 万象站 Vientiane 主要旅客駅
ヴィエンチャン南駅 ສະຖານີ ວຽງຈັນໃຕ້ 万象南站 Vientiane South 貨物駅
タイ国鉄東北本線
ターナレーン駅に近接

運行

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旅客列車

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2023年4月現在[33]

車両

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問題点

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ラオス国内の区間の整備は、およそ59億ドルの建設費用のうちラオスが3割を負担した[36]。また、ラオスの対中債務はGDPの64.8%まで膨れ上がっており、返済能力が疑問視されている[37]

脚注

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注釈
  1. ^ ラーンサーン王朝に由来し、「百万頭の象」を意味する。
出典
  1. ^ 中老铁路12月3日全线开通运营 昆明至万象约10小时可达. 荊楚网. (2021年12月2日). http://news.cnhubei.com/content/2021-12/02/content_14292812.html. "中老铁路开通初期,老挝段由老中铁路公司委托中国铁路昆明局集团公司运营维护" 
  2. ^ Private Participation in Infrastructure (PPI) - World Bank Group - 世界銀行
  3. ^ 中老铁路 - 中国中铁
  4. ^ 中老铁路全线开通运营 - 中国一带一路网
  5. ^ 開通1年の「中国ラオス鉄道」に乗ってみたら…ハードもソフトも「中国流」だった”. 東京新聞 (2023年2月20日). 2024年12月3日閲覧。
  6. ^ 三塚聖平 (2023年10月13日). “中国「一帯一路」10年 「中国式」鉄道開通のラオス、過大な債務負担に直面”. 産経新聞. 2024年12月3日閲覧。
  7. ^ 雲南日報中国語版 (2023年4月18日). “探访中老铁路磨万段:守护通畅出行 带动沿线发展” (中国語). 人民網. 2024年1月8日閲覧。
  8. ^ a b c “中国ラオス鉄道完成”. 読売新聞. (2021年12月3日) 
  9. ^ a b “一带一路”为中老经贸合作提供动力”. 中华人民共和国驻老挝人民民主共和国大使馆经济商务参赞处. 2017年7月20日閲覧。
  10. ^ a b “中国ラオス鉄道はラオスの社会経済開発と一帯一路開始に重要”. パテートラオ紙. (2017年5月24日) 
  11. ^ 中老铁路老挝段下月动工 预计2020年前后通车. 老撾_新浪新聞. (2015年11月29日). http://news.sina.com.cn/o/2015-11-29/doc-ifxmazpa0427582.shtml 2017年7月20日閲覧。 
  12. ^ Railway Gazette: Cross-border construction soon”. 2011年2月27日閲覧。
  13. ^ LAOS LINK WITH CHINA”. Railways Africa (2010年12月12日). 2010年12月12日閲覧。
  14. ^ Railway Gazette: China's horizons extend southwards” (2011年1月6日). 2011年1月6日閲覧。
  15. ^ High Speed Railway Delay”. Radio Free Asia. 2011年6月30日閲覧。
  16. ^ “Laos Says China to Finance Rail Link” (英語). The Wall Street Journal. (2012年10月24日). http://online.wsj.com/article/SB10001424052970203897404578076193521305574.html 
  17. ^ “Laos-China railways ready to roll” (英語). (2012年11月16日). http://www.bangkokpost.com/breakingnews/321609/laos-china-railways-ready-to-roll 
  18. ^ “China-Laos railway to commence” (英語). Investvine.com. (2013年1月9日). http://investvine.com/china-southeast-asia-railway-to-commence/ 2013年1月10日閲覧。 
  19. ^ Everything You Need to Know about the Laos-China Railway”. 2021年12月4日閲覧。
  20. ^ 驻琅勃拉邦总领事黎宝光走访中电建中老铁路第四标段第一分部” (中国語). 中華人民共和国外交部. 2017年7月20日閲覧。
  21. ^ MPWT - ກອງປະຊຸມຄະນະຊີ້ນຳໂຄງການກໍ່ສ້າງທາງລົດໄຟແຕ່ຊາຍແດນລາວ-ຈີນ ຫາ ນະຄອນຫຼວງວຽງຈັນ”. 2017年7月20日閲覧。
  22. ^ “中国ラオス鉄道最大の駅、ビエンチャン駅の本体工事が完了”. 新華網. (2020年11月24日). http://jp.xinhuanet.com/2020-11/24/c_139539672.htm 
  23. ^ “中老铁路所有通信铁塔组立完成” (中国語). 新華網. (2021年5月16日). http://www.xinhuanet.com/world/2021-05/16/c_1127452245.htm 
  24. ^ “中国ラオス鉄道、フォンホン駅完成 全線の駅舎工事が最終段階に”. 新華網. (2021年7月25日). http://jp.xinhuanet.com/2021-07/25/c_1310084341.htm 
  25. ^ “中国ラオス鉄道全線でレール敷設が完了”. 人民網. (2021年10月13日). http://j.people.com.cn/n3/2021/1013/c94638-9906741.html 
  26. ^ “高速列車「瀾滄号」がラオス首都に到着 動態チェックに投入”. 人民網. (2021年10月16日). http://j.people.com.cn/n3/2021/1016/c94475-9907991.html 
  27. ^ “Laos-China Railway opens new ticket office at Vientiane Center”. Lao News Agency. (2022年2月15日). https://kpl.gov.la/EN/detail.aspx?id=65345 
  28. ^ Laos-China Railway Opens Luang Prabang Ticket Office - The Laotian Times, March 16, 2022
  29. ^ “Laos-China Railway unveils a regular train”. Lao News Agency. (2022年4月11日). https://kpl.gov.la/EN/detail.aspx?id=66128 
  30. ^ “ラオス・中国鉄道がウドムサイ省に新駅を開設”. ラオスタイムズ. (2022年6月1日). https://laotiantimes.com/2022/06/01/lao-china-railway-opens-new-station-in-oudomxay-province/ 2022年6月25日閲覧。 
  31. ^ “Laos - China Railway begins selling tickets online”. Lao News Agency. (2023年3月15日). https://kpl.gov.la/EN/detail.aspx?id=71983 
  32. ^ 中国ラオス鉄道の国際旅客列車、13日運行開始 - AFPBB 2023年4月13日
  33. ^ Laos - China Railway - Facebook
  34. ^ コロナ禍の一帯一路 ラオスと中国を結ぶ「老中鉄路」はどうなる”. GLOBE+ (2020年5月16日). 2021年8月31日閲覧。
  35. ^ 中车出口老挝首批电力机车发运. (2021年9月22日). https://3g.163.com/dy/article/GKGKBO3K0534910P.html 
  36. ^ “中国とラオス結ぶ鉄道開通 中国の巨大経済圏構想「一帯一路」”. NHK. (2021年12月3日) 
  37. ^ “中国ラオス鉄道開通”. 読売新聞. (2021年12月4日) 

関連項目

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外部リンク

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