ヴァイローチャナ
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ヴァイローチャナ(Vairocana, 梵: वैरोचन)は、インドを起源とするアスラ神族の王(阿修羅王)の名で、日本名を毘盧遮那仏(ビルシャナ)、あるいは略してルシャナ仏とも言う。 華厳教の教主であり、いわゆる奈良の大仏様は、当仏の像である。現存しないが、方広寺大仏(京の大仏)も毘盧遮那仏であった。
また密教の五部族の仏陀(五禅定仏)における主尊である大日如来も表し、特にマハー・ヴァイローチャナ(摩訶毘盧遮那仏:Mahāvairocana)と「マハー(偉大な、真の)」が付いた場合は、この意味に限定される。
ヴィローチャナといった場合は、『チャーンドーギア・ウパニシャッド』第8章に登場する阿修羅王で阿修羅王ヴァイローチャナの父となる。
阿修羅王とヴァイローチャナ
[編集]渡辺照宏は、
漢訳の鞞盧闍那子はVirocana[2]の子すなわちVairocana[3]というpatronymic[4]である。例えばMahābhārata 1によるとAsura VirocanaはPrahlada[5]の長子で弟にKunbha[6]とNikumbha[7]とがいて,そのVirocanaの子がVairocanaでその名をBaliと呼ばれこのBaliはHinduismの民間信仰にもよく知られている(J. Gonda :Die Religionen Indines Ⅱ 237f; P. Thomas: Epics, Myths and Legends of India 13; 27; 57; 78)。上記の雑阿,別訳雑阿において婆稚,抜利(跋利)と記されているのはこのBaliであり,婆稚(法華経巻 1; 大方等大集経巻48),跋持(大方等大集経巻47)は他の経典にも阿修羅王の名として記されているからVairocana=Bali[8]と見て良い。 — 渡辺照宏、 「VirocanaとVairocana -研究序説―」 『渡辺照宏仏教学論集』筑摩書房1982年、pp.408-409
と述べている。
AsuraとしてのVirocana及びAsuraの子のvairocanaはスレ―シャ(Suresa)すなわち神々の王たるインドラ(Indra帝釈天)の敵対者として『マハーバーラタ』には7回登場する。 — 宮坂宥勝、 「アスラからビルシャナ仏へ」 『密教文化』1960(47)、1960年、p.15。
と述べている。
脚注
[編集]- ^ ベアトリス・M・ボダルト=ベイリー『ケンペルと徳川綱吉 ドイツ人医師と将軍との交流』中央公論社 1994年 p.95
- ^ ヴィローチャナ
- ^ ヴァイローチャナ
- ^ 襲名という意味
- ^ プラフラーダの事
- ^ クンバの事
- ^ ニクンバの事
- ^ Baliとはマハーバリのことである
参考文献
[編集]- 渡辺照宏「VirocanaとVairocana -研究序説―」『渡辺照宏仏教学論集』筑摩書房1982年
- 宮坂宥勝「アスラからビルシャナ仏へ」 『密教文化』1960(47)、1960年