コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

ワット・プララーム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ワット・プララーム
วัดพระราม
Wat Phra Ram
中央塔堂
基本情報
座標 北緯14度21分15秒 東経100度33分42秒 / 北緯14.35417度 東経100.56167度 / 14.35417; 100.56167座標: 北緯14度21分15秒 東経100度33分42秒 / 北緯14.35417度 東経100.56167度 / 14.35417; 100.56167
宗教 仏教
地区 プラナコーンシーアユッタヤー郡
アユタヤ県
タイ王国の旗 タイ
現況 遺跡
建設
形式 クメール英語版
様式 アユタヤ様式
着工 1369年
完成 1434年
正面
テンプレートを表示
中央の塔堂部

ワット・プララーム (Wat Phra Ram、タイ語: วัดพระราม) はタイアユタヤに位置するアユタヤ歴史公園にある仏教寺院(ワットwat)である。

位置

[編集]

ワット・プララームは、川に囲まれた旧都アユタヤの中心部にあり、ワット・プラシーサンペットの東側、かつての王宮ドイツ語版の南東に位置する。

歴史

[編集]

この複合寺院は、ラーメースワン(在位1369-1370年〈後・1388-1395年〉)により創建され、その後、ボーロマトライローカナート(在位1431-1488年)によって1434年に再構築されたものと考えられる。また、アユタヤの王室の史記によれば、1369年、ラーメースワンにより父ラーマーティボーディー1世(在位1351-1369年)の火葬の場に建立されたことがうかがえる[1][2]

1650年にオランダの美術家により描かれた首都アユタヤの油彩画 Iudeaアムステルダム国立美術館所蔵)およびヨハネス・フィングボーンス英語版(1616/17-1670年[3])の地図(1665年)には[4]、その場所に1基の塔堂(プラーン、prang)といくつかの仏塔(チェーディー、chedi)および1基の礼拝堂(ウィハーン、wihan)が認められる。1687年の不詳のフランス人に製作された地図は、この場所を Grande Pagode (「大仏塔」)と記している[2][4]

1685年のギー・タシャール英語版(1651–1712年)の詳細な報告により[2][5]、王ナーラーイ王(在位1656-1688年)統治時代であった1665年から1685年のうちに寺院は大幅に拡張されたと考えられる。この時代に、中央の塔堂には小形の塔堂が4方向すべてに追加され、それにより十字形を構成するようになった。同時に中央基壇を囲む回廊 (Phra Rabieng) が構築された。

1741年(-1742年)には、王ボーロマコート(在位1733-1758年)のもとでさらに大きな改修がなされた[2]。「プララームも等しく荒廃していたため王はそれを思いやり、完全に再建ことを宣言した。これは完成するまでに1年以上かかった。その後、王は3か所の主要寺院すべてにおいて落成の式典をそれぞれ開き、大勢の僧侶に十分な供物を捧げて、各寺院で3日間におよぶ祝宴を催した」。王ボーロマコートの拡張は、中央塔堂の周りの第2基壇、東西にある大礼拝堂、北側と南側の一連の仏塔であったと考えられる。

寺院の前にノーンソーン (Nong Son、タイ語: หนอง โสน) と呼ばれる池が、おそらく都が創設される以前よりあった。王宮、ワット・マハータートワット・ラーチャブーラナ、それにワット・プララームを構築するため、その池沼の土により地盤を整えた[6]。その後、現在のハスの花の美しい池であるブン・プララーム (Bueng Phra Ram 「タイ語: บึงพระราม」) がここに配置された[7]

構成

[編集]
ワット・プララームと池(ブン・プララーム)

ワット・プララームは、アユタヤの主要な寺院と同じく東を向いている[8]。大きな塔堂は正方形の基壇に立つ[1]。急な階段がその入口に向かってあり全高の約3分の1にまで達する。塔堂の内陣 (Cella) への東側の扉口以外には、3方向に偽扉がある。東側だけではなく西側にも方形の前面部 (vestibule) があり、おそらく当初はそこに小型塔堂を掲げていた。

中央塔堂は、トウモロコシにも似た形をしており、いくつかの層はアンテフィクサガルーダ[7]で装飾されている。中央基壇は南北におよんでおり、ここにはかつて2基の小さな塔堂があったが、今日では基壇壁のみが残存する。中央基壇の四隅には4基の大きな仏塔があり、基壇の端には約40基の小さな仏塔の遺構が並ぶ。4基の角の仏塔にはさまざまな姿の仏像で装飾されたレリーフが部分的に保存されている。

この複合建造物は、小さな中庭と方形の内回廊に囲まれるが、今日では基礎壁ばかりでなく、いくつかの仏像の断片が見られる。東西にある2基の礼拝堂の後壁はそれぞれ回廊とつながる。また、寺院の敷地内にはいくつかの小さな礼拝堂および1基の小さな本堂(ウボーソット、ubosot)、それに数多くの仏塔の遺構がある。

寺院に囲む池の周辺は、プララーム公園 (Phra-Ram Park) となり、小さな橋も設置されている。

脚注

[編集]
  1. ^ a b Wat Phra Ram, Ayutthaya, Thailand”. Asian Historical Architecture. orientalarchitecture.com. 2017年9月21日閲覧。
  2. ^ a b c d Wat Phra Ram (วัดพระราม)”. Histry of Ayutthaya. Ayutthaya Historical Research (2015年3月). 2017年9月21日閲覧。
  3. ^ 蜷川順子「ヨーロッパ人と近代:フェルメールの《デルフトの眺望》を手がかりに (特集 [関西大学東西学術研究所シンポジウム 近代との出会い:風景からのアプローチ)]」『関西大学東西学術研究所紀要』第41号、関西大学東西学術研究所、2008年4月1日、3-22頁、ISSN 02878151NAID 110007145116 
  4. ^ a b Mapping Iudea: A Cartographic Exercise”. Histry of Ayutthaya. Ayutthaya Historical Research. 2017年9月21日閲覧。
  5. ^ Wat Phra Ram by Tachard”. Histry of Ayutthaya. Ayutthaya Historical Research (2011年1月). 2017年9月21日閲覧。
  6. ^ Wat Phra Ram”. amazing Thailand. Tourism Authority of Thailand. 2017年9月21日閲覧。
  7. ^ a b Wat Phra Ram, Ayutthaya”. Ayutthaya2020.com. 2017年9月21日閲覧。
  8. ^ Wat Phra Ram”. Asia for Visitors. 2017年9月21日閲覧。

参考文献

[編集]
  • Elizabeth Moore et al.: Ancient Capitals of Thailand. River Books/Thames And Hudson, Bangkok 1996, ISBN 0-500-97429-2
  • Chaiwat Worachetwarawat: Interesting Temples and Ruins in Ayutthaya. Rajabhat Institute Phra Nakhon Si Ayutthaya, Ayutthaya 2001 (oh. ISBN)
  • Piriya Krairiksh: A Revised Dating of Ayudhya Architecture (II). Journal of the Siam Society, Bd. 80, Heft 2. Bangkok 1992. ISSN 0857-7099. Online [1] (PDF, letzter Zugriff am 1. November 2012; 1,4 MB).
  • Richard D. Cushman (David K. Wyatt Ed.): The Royal Chronicles Of Ayutthaya. The Siam Society, Bangkok 2000, ISBN 974-8298-48-5 (wörtliche Übersetzung und direkter Vergleich von 7 heute verfügbaren Chroniken, von der Gründung bis König Taksin)
  • คู่มือท่องเที่ยว เรียนรู้ อยุธยา, Museum Press, Bangkok 2546 (2003), ISBN 974-92888-5-8
  • Clarence Aasen: Architecture of Siam: A Cultural History and Interpretation. Oxford University Press, Oxford 1998, ISBN 983-56-0027-9.
  • Guy Tachard: A relation of the voyage to Siam. Performed by six Jesuits, sent by the French King, to the Indies and China, in the year, 1685. J.Robinson and A.Churchil, London 1688. Nachdruck Orchid Press, Bangkok 1991, ISBN 974-8304-30-2 (enthält die detaillierte Beschreibung eines Besuchs im Wat Phra Ram).

関連項目

[編集]

外部リンク

[編集]