ローマ軍団一覧
表示
以下に記載されるローマ軍団は、共和政ないし帝政期を通じて編成された軍団である。軍団の名前をローマ数字で表し、それに通称(コグノーメン、「家族名」と同じラテン語)と、動物や伝説上の半神などによる紋章が附随するのが通常であった。
レギオーに帰属を求める習慣が確立されたのはガイウス・マリウスの軍制改革を経た共和政後期からであり、それ以前の王政時代や共和制初期・中期にはあまり見られなかった。よって共和政期の軍団の多くはマリウスの甥であるガイウス・ユリウス・カエサルやその配下によるものが占めている。
共和政末期の軍団
[編集]- 第1軍団ゲルマニカ: カエサルによる編成
- 第2軍団サビナ→第2軍団アウグスタと改称
- 第3軍団キュレナイカ: マルクス・アントニウスによる編成
- 第3軍団ガッリカ: カエサルによる編成
- 第4軍団マケドニカ: カエサルによる編成→ウェスパシアヌスにより解散
- 第4軍団スキュティカ: マルクス・アントニウスによる編成
- 第5軍団アラウダエ:カエサルによる編成
- 第6軍団フェッラタ:カエサルによる編成
- 第7軍団: アウグストゥスにより第7軍団パテルナとして再編→クラウディウスの治世に第7軍団クラウディア・ピア・フィデリスと改称
- 第8軍団: カエサルによる編成→アウグストゥスにより第8軍団アウグスタとして再編
- 第9軍団トリウムパリス: カエサルによる編成→アウグストゥスにより第9軍団ヒスパナとして再編
- 第10軍団エクェストリス(第10軍団ウェネリア): カエサルによる編成→アウグストゥスにより第10軍団ゲミナとして再編
- 第11軍団: カエサルによる編成→アウグストゥスにより第6軍団クラウディアとして再編
- 第12軍団ウィクトリクス: カエサルによる編成
- 第13軍団→アウグストゥスにより第13軍団ゲミナとして再編
- 第18軍団リビカ: マルクス・アントニウスによる編成→後に解散
- 第30軍団クラッシカ: カエサルによる編成
帝政前期・中期の軍団
[編集]第1軍団(Legio I)
[編集]- 第1軍団ゲルマニカ(紀元前48年 - 70年)
- 第1軍団アディウトリクス(68年 - 444年)
- 第1軍団イタリカ(66年9月22日 - 5世紀)
- 第1軍団マクリアナ・リベラトリクス(68年 - 69年)
- 第1軍団ミネルウァ(82年 - 4世紀)
- 第1軍団パルティカ(197年 - 6世紀初頭)
第2軍団(Legio II)
[編集]- 第2軍団アディウトリクス(70年 - 3世紀)
- 第2軍団アウグスタ(9年 - 3世紀) - 別名「第2軍団ガッリカ」
- 第2軍団イタリカ(165年 - 5世紀初頭)
- 第2軍団パルティカ(197年 - 4世紀前半)
- 第2軍団トライアナ・フォルティス(105年 - 5世紀) - 別名「第2軍団ゲルマニカ」
第3軍団(Legio III)
[編集]- 第3軍団アウグスタ(紀元前43年 - 4世紀)
- 第3軍団キュレナイカ(紀元前36年頃 - 5世紀)
- 第3軍団ガッリカ(紀元前49年 - 4世紀)
- 第3軍団イタリカ(165年 - 4世紀)
- 第3軍団パルティカ(197年頃 - 5世紀)
第4軍団(Legio IV)
[編集]- →第4軍団フラウィア・フェリクス(70年 - 400年以前)として再編
- 第4軍団スキュティカ(紀元前42年 - 5世紀)
第5軍団(Legio V)
[編集]第6軍団(Legio VI)
[編集]ディオクレティアヌスの改革以降の軍団
[編集]変革内容
[編集]ディオクレティアヌスはローマ帝国を4分割にして、大幅な軍制改革を行った。それまで一体であった兵力を国境警備軍と精鋭中央軍とに分けた。このため防衛の戦術は、国境警備が敵を一時食い止め、その間にローマ皇帝ないし高級将校(マギステル・ミリトゥムなど)が指揮する精鋭部隊が現地に急行、敵を邀撃する形に変わった。各軍団は以下の4種類に区分される。
- スコラエ(scholae)
- ローマ皇帝の新鋭部隊。従来の親衛隊を解散して新たに創設した皇帝の護衛部隊。
- パラティナエ(palatinae)
- 詳細は不明。皇宮の警護部隊かと思われる。「パラティネ・コミタテンセス」など、「パラティネ・~」と続く名称も確認されるため、精鋭部隊とも見る説もある。
- コミタテンケス(comitatences)
- 野戦部隊。新しく創設された軍団もあったが、多くは従来の軍団がそのまま継承した。
- プセウドコミタテンケス(pseudocomitatences)
- 準野戦部隊。従来の軍団から存続しているものもあった。
軍団
[編集]- 第1軍団(Legio I)
- 第1軍団アルメニカ
- 第1軍団フラウィア・コンスタンティア
- 第1軍団フラウィア・ガッリカナ・コンスタンティア
- 第1軍団フラウィア・マルティス
- 第1軍団フラウィア・パキス
- 第1軍団フラウィア・テオドシカナ
- 第1軍団イリュコルム
- 第1軍団ロウィア
- 第1軍団イサウラ・サギタリア
- 第1軍団ユリア・アルピナ
- 第1軍団マルティア
- 第1軍団マクシミアナ・タエバノルム
- 第1軍団ノリコルム
- 第1軍団ポンティカ
- 第2軍団(Legio II)
- 第2軍団アルメニアカ - プセイドコミタテンケス
- 第2軍団ブリタンニカ - コミタテンケス
- 第2軍団フラウィア・コンスタンティア - コミタテンケス
- 第2軍団フラウィア・ウィルトゥティス - コミタテンケス
- 第2軍団ヘルクリア - ディオクレティアヌスによる創設。小スキシアに駐屯
- 第2軍団イセウリア
- 第2軍団ユリア・アルピナ - プセウドコミタテンケス
- 第2軍団フェリクス・ウァレンティス - コミタテンケス
- 第3軍団(Legio III)
- 第4軍団(Legio IV)
- 第5軍団(Legio V)
- 第6軍団(Legio VI)
- 第12軍団(Legio XII)
参考文献
[編集]- マイケル・シムキンズ『ローマ軍 カエサルからトラヤヌスまで 』桑原透訳、新紀元社、2000年、ISBN 9784883178339
- ニック・セカンダ『共和制ローマの軍隊200BC‐104BC―地中海の覇者』鈴木渓訳、新紀元社、2001年、ISBN 9784775300282