ロルフ・フーズゲン
Rolf Huisgen ロルフ・フーズゲン | |
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2004年のフーズゲン | |
生誕 |
1920年6月13日 ドイツ国ラインラント=プファルツ州ゲロルシュタイン |
死没 |
2020年3月26日 (99歳没) ドイツバイエルン州ミュンヘン |
国籍 | ドイツ |
研究分野 | 化学者 |
研究機関 | ミュンヘン大学 |
出身校 | ミュンヘン大学 |
博士課程 指導教員 | ハインリッヒ・ヴィーラント |
主な業績 | 1,3-双極子環化付加反応 |
主な受賞歴 | オットー・ハーン物理・化学賞(1979) |
プロジェクト:人物伝 |
ロルフ・フーズゲン(Rolf Huisgen、ドイツ語: ['huːzgɛn]、1920年6月13日 – 2020年3月26日)は、ドイツの化学者である。フーズゲンが指導した数多くの化学者が教授となったため、戦後のドイツおよびオーストリアの化学界、特に有機合成化学分野において絶大な影響力を拡大した。主な業績として、「フーズゲン環化付加」とも呼ばれる1,3-双極子環化付加反応の開発がある。
生涯
[編集]フーズゲンはラインラント=プファルツ州、ゲロルシュタインで生まれ、 ハインリッヒ・オットー・ヴィーラントの指導の下、ミュンヘンで学んだ。1943年にアルカロイド、ストリキニーネに関する研究でPhDを取得した[1][2]。1947年に教授資格を得て、1949年にテュービンゲン大学の教授に着任した。1952年にミュンヘン大学に戻り、ヴィーラントの後を継いだ[2]。1988年に名誉教授の地位を得た後も長年にわたり研究に打ち込み続けた[1][3]。
フーズゲンの主な業績の1つが、フーズゲン環化付加またフーズゲン反応とも呼ばれる1,3-双極子環化付加反応の開発である[4][5]。フーズゲン反応はビタミン類やアルカロイド、抗生物質といった複素環化合物の合成において極めて重要である[1]。
フーズゲンは1960年にアメリカ芸術科学アカデミーの会員となった[6]。また、ドイツ国立科学アカデミー・レオポルディーナの会員、王立化学会の名誉フェロー、ドイツ化学会と日本化学会の名誉会員でもあった。1960年にセンテナリー賞、1961年にリービッヒ・メダル、1965年にラヴォアジエ・メダル(フランス化学会)、1987年にAdolfo Quilicoメダル(イタリア化学会)を授与された他、多くの賞を受賞した[7]。1989年に米国科学アカデミー会員に選出された[8]。2017年にはクラリベイト・アナリティクス引用栄誉賞を受賞した。2020年3月26日に99歳で死去した[7]。
ドイツだけでもラインハルト・ブリュックナー、ヨハン・ガスタイガー[9]、ベルント・ギーゼ、ヘルベルト・マイヤー、ヨハン・マルツァー[10]、ハンス=ウルリッヒ・ライシヒ、ユルゲン・ザウアー、イヴァール・カール・ウギ[11]など16人の弟子が教授となった[1]。
娘は数学者のビルゲ・フーズゲン=ツィンマーマンである。
著作
[編集]- Rolf Huisgen, Rudolf Grashey, Jürgen Sauer: Cycloaddition reactions of alkenes (in German). In: Saul Patai (ed.): The chemistry of alkenes, vol. 1, Wiley, London and New York 1964, pp. 739–953, doi:10.1002/9780470771044.ch11.
- 1.3-Dipolare Cycloadditionen Rückschau und Ausblick. In: Angewandte Chemie (in German), vol. 75, 1963, pp. 604–637, doi:10.1002/ange.19630751304.
- The Adventure Playground of Mechanisms and Novel Reactions ((autobiography)) American Chemical Society, Washington 1994.
出典
[編集]- ^ a b c d “Ehrendoktorwürde für Chemiker Rolf Huisgen” (ドイツ語). FU Berlin (3 February 2010). 27 March 2010閲覧。
- ^ a b Sustmann, Reiner (1995). “Rolf Huisgen's contribution to organic chemistry, emphasizing l.3-dipolar cycloadditions”. heterocycles 40 (1) .
- ^ Seeman, Jeffrey I. (2005). “Rolf Huisgen: A Gentleman Scholar with Energy and Passion”. Helvetica Chimica Acta 88 (6): 1145–1153. doi:10.1002/hlca.200590097.
- ^ Huisgen, Rolf (1963). “Kinetics and Mechanism of 1,3-Dipolar Cycloadditions”. Angewandte Chemie International Edition 2 (11): 633–645. doi:10.1002/anie.196306331.
- ^ Huisgen, Rolf (October 1963). “1,3-Dipolar Cycloadditions. Past and Future”. Angewandte Chemie International Edition 2 (10): 565–598. doi:10.1002/anie.196305651 .[リンク切れ]
- ^ Dr. Rolf Huisgen American Academy of Arts and Sciences
- ^ a b “Rolf Huisgen (1920–2020)”. chemistryviews.org (26 March 2020). 27 March 2010閲覧。
- ^ Rolf Huisgen National Academy of Sciences
- ^ Johann Gasteiger-Germany’s Pioneer in Chemoinformatics pubs.acs.org
- ^ Prof. Dr. Johann Mulzer scheringstiftung.de 21 November 2017
- ^ Chemistry Tree Rolf Huisgen Academictree chemistry, retrieved 12 February 2018
参考文献
[編集]- Rüchardt, Christoph; Sauer, Jürgen; Sustmann, Reiner (2005). “Rolf Huisgen: Some Highlights of His Contributions to Organic Chemistry”. Helvetica Chimica Acta 88 (6): 1154. doi:10.1002/hlca.200590098.
- Houk, Kendall N. (2010). “Rolf Huisgen's Profound Adventures in Chemistry”. Helvetica Chimica Acta 93 (7): 1241–1260. doi:10.1002/hlca.201000209.
外部リンク
[編集]- ロルフ・フーズゲンの著作およびロルフ・フーズゲンを主題とする文献 - ドイツ国立図書館の蔵書目録(ドイツ語)より。
- Rolf Huisgen: The Chemical Adventurer scripps.edu
- Prof. Dr. Rolf Huisgen, em. Faculty of Chemistry and Pharmacy, LMU Munich