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イワベンケイ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ロディオラから転送)
イワベンケイ
イワベンケイ
雄株、右にミヤマオダマキ
2007年8月・北岳山頂付近
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
: ユキノシタ目 Saxifragales
: ベンケイソウ科 Crassulaceae
: イワベンケイ属 Rhodiola
: イワベンケイ R. rosea
学名
Rhodiola rosea L.[1]
和名
イワベンケイ

イワベンケイ(岩弁慶、学名:R. rosea L.[1])は、ベンケイソウ科イワベンケイ属分類される多年生草本の1[2][3]。別名が、ナガバノイワベンケイ[2]、イワキリンソウ[3]

特徴

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高さは4-35 cm[2][3]。多様な形の多肉質の葉を持ち、6-8月の花期に黄緑色の花をつける。雌雄異株であり、雄株の花は黄色みが強く、雌株の花弁は小さく子房が目立ち[2]、秋に鮮やかな紅色の果実を作る。根茎は太くて長く、ハーブとして用いられることがある。乾燥するとバラのような芳香があるため「ローズルート」の名がある。

分布と生育環境

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飛騨山脈蝶ヶ岳高山帯に生育するイワベンケイ、遠景は槍ヶ岳

北海道を含む亜寒帯地方のほか、北半球の高山に散らばって分布する。ヨーロッパのアルプス山脈、北アメリカ東部、日本では本州中部地方の山々である。高山のイワベンケイソウは、最終氷期に南下したものが遺存したと考えられている[4]

日本では、非火山性の山に生え、火山に生える近縁のホソバイワベンケイと混生することは稀である[5]ただし、富士山立山にはない。

岩場などの厳しい環境で生育する。ベンケイソウの一種でありCAM型光合成を行うため乾燥に強く、栄養に乏しく風当たりの強い、岩礫・砂礫地に生育することができる。

ハーブとしての薬理作用

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イワベンケイは気分を向上させたり、を軽減したりする効果があるといわれているが、2019年時点では、イワベンケイの生理作用を評価するために実施されたヒトを対象とした研究は、イワベンケイが疲労やその他の症状に影響を与える性質を有するかどうかを決定するのに十分な質を有していなかった[6][7][8]

米国食品医薬品局(FDA)は、イワベンケイを用いた健康食品の製造業者に対して、レイノー症候群、高山病、うつ病または癌の緩和という宣伝された条件に対する安全性や有効性の証明がないとして、新薬として未承認であり、粗悪品や不当表示の可能性があるとして、連邦法違反の警告書を発行している[9][10][11]

欧州医薬品庁による2012年の報告書では、イワベンケイの乾燥エキスに関する文献について、「発表された臨床試験は、その質においてかなりの欠陥が見られる。したがって、『確立された使用』は認められない」と述べている[12]

関連画像

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脚注

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  1. ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “ボソバイワウメ”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2018年12月5日閲覧。
  2. ^ a b c d 豊国 (1988)、409頁
  3. ^ a b c 清水 (2014)、164頁
  4. ^ 大場秀章「イワベンケイ」、『週刊朝日百科植物の世界』56、5の236頁。
  5. ^ 大場秀章「イワベンケイ」、『週刊朝日百科植物の世界』56、5の238頁。
  6. ^ Rhodiola rosea”. Drugs.com (2019年). 9 October 2018閲覧。
  7. ^ Rhodiola”. National Center for Complementary and Integrative Health, US National Institutes of Health (September 2016). 28 February 2017閲覧。
  8. ^ Ishaque, Sana; Shamseer, Larissa; Bukutu, Cecilia; Vohra, Sunita (December 2012). “Rhodiola rosea for physical and mental fatigue: a systematic review”. BMC Complementary and Alternative Medicine 12 (1): 1208. doi:10.1186/1472-6882-12-70. PMC 3541197. PMID 22643043. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3541197/. 
  9. ^ William A Correll Jr. (5 February 2019). “(Example, one of several) Warning letter: Peak Nootropics LLC (aka Advanced Nootropics)”. Inspections, Compliance, Enforcement, and Criminal Investigations, Center for Food Safety and Applied Nutrition, US Food and Drug Administration. 14 March 2019閲覧。
  10. ^ Mitchell, LaTonya M (2 December 2015). “(Example, one of several) Warning letter: Nature's Health, LLC”. Inspections, Compliance, Enforcement, and Criminal Investigations, US Food and Drug Administration. 28 February 2017閲覧。
  11. ^ Emma R. Singleton (18 June 2013). “Warning letter: Herbs of Light, Inc.”. Inspections, Compliance, Enforcement, and Criminal Investigations, US Food and Drug Administration. 28 February 2017閲覧。
  12. ^ Assessment report on Rhodiola rosea L., rhizoma et radix”. European Medicines Agency (27 March 2012). 30 May 2017閲覧。

参考文献

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  • 大場秀章「イワベンケイ」、『週刊朝日百科植物の世界』56、朝日新聞社、1995年5月14日発行。
  • 清水建美、門田裕一、木原浩『高山に咲く花』(増補改訂新版)山と溪谷社〈山溪ハンディ図鑑8〉、2014年3月22日。ISBN 978-4635070300 
  • 豊国秀夫『日本の高山植物』山と溪谷社〈山溪カラー名鑑〉、1988年9月。ISBN 4-635-09019-1 

関連項目

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