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包装米飯

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
レトルト米飯から転送)

包装米飯(ほうそうべいはん)、通称パックごはんとは米飯を気密な容器にパックし、保存が効くようにしたもの。

概要

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製法によって「レトルト米飯」と「無菌化包装米飯」の二種類に大別される。包装後に加圧・加熱(炊飯殺菌)を行う(すなわちレトルトパウチする)のがレトルト米飯であり、初めから無菌室内で炊飯・包装を行ったものが無菌化包装米飯である。

電子レンジまたは湯煎にかけて加熱して食べる。ともに180~200グラム程度(概ね小ぶりの茶碗1杯分)の個食用パックが多く見られるが、「大盛」・「特盛」と謳った250~300グラム程度の製品や、無菌化米飯には大袋入り[1]の製品も存在する。

レトルト米飯が初めに市販されたのは1973年[2]である。最初の製品は赤飯であり、しばらくは赤飯の製品が多くを占めていたが後に白飯混ぜご飯なども製品化された。蒸気による予備加熱と加水、そしてパウチ後の加圧・加熱という製造工程は白飯の炊飯過程として理想的ではなく[2]、レトルト米飯はむしろ赤飯(もち米を含む)や粥(水分を多く含む)に適している。

対する無菌化包装米飯はやや遅れ、1987年頃[1]に登場し、サトウ食品「サトウのごはん」のヒットで定着した。加圧処理を行わないため通常の炊飯により近い食感を保つことができ、風味などの点でレトルト米飯に勝っている[3]。そのためもあってか、無菌化包装米飯は登場して以来、徐々にレトルト米飯に取って変わりつつある[2]常温で保存可能な期間は数ヶ月である[1]

かつて任天堂の多角化経営策の一環として設立された三近食品は、1959年に「インスタントライス」を開発した。これは前述の包装米飯2種とは異なり、熱湯を注いで3分間待った後に湯を切って食するという、現在のカップ焼きそばに類似した調理法を用いたものだった。とある大学の研究室に依頼して試作品を製造したものの、調理後の米はどろどろののようになる上に味もよくなく、当時の山内溥社長が試食した際にはあまりの不出来ぶりに落胆したという。それでも販売に踏み切ったもののほとんど売れず、結局失敗に終わっている。

日本国内における1997年 - 2019年の年間生産量は以下のようになっている。[4][5]

生産量(単位はトン
- 1997年 1998年 1999年 2000年 2001年 2002年 2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年
レトルト 2.1万 1.5万 16,563 22,892 22,834 21,840 19,378 18,354 17,587 21,744 21,884 18,701 19,910 18,739 26,800 25,356 30,601 33,270 30,685 27,856 27,807 28,163 27,474
無菌包装 2.7万 3.5万 53,970 55,615 58,246 66,316 79,165 87,995 88,607 93,691 97,288 98,399 97,982 99,409 110,139 116,999 127,749 136,092 136,886 145,326 161,068 170,218 182,797

主な包装米飯メーカー

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出典

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  1. ^ a b c 『米の事典』p.199
  2. ^ a b c 『米の事典』p.196
  3. ^ 『米の科学』p.160
  4. ^ 1997年、98年については参考 動向編参考統計表(PDF)[リンク切れ](農林水産省)より
  5. ^ 1999年 - 2019年は食品製造業統計表(PDF)(農林水産省)より

関連項目

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参考文献

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  • 石谷孝佑(編)『米の事典 - 稲作からゲノムまで』幸書房、2002年、ISBN 4-7821-0207-0
  • 竹生新治郎(監修)、石谷孝佑・大坪研一(編)『米の科学 - シリーズ〈食品の科学〉』朝倉書店、1995年、ISBN 4-254-43039-6

外部リンク

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