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レディ・ガンナー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
レディガンナーから転送)

レディ・ガンナー(Lady Gunner)』は、角川スニーカー文庫および角川文庫から発行されている茅田砂胡作の長編アドベンチャー小説シリーズ。イラストは草河遊也

世界観

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架空世界の大陸の1852年 (おおよそ西部開拓時代に相当) が舞台。作品の要部を握るのが、任意で動物への形態変化が可能な「異種人類」 (後述参照)。変身能力を持たない人類は「無形種」、侮蔑的にはステロタイプと呼ばれる。

異種人類 (アナザーレイス)

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普段は人間 (無形種) と同じ姿をしているが、自分の意思で特定の動物に形態変化(トランスフォーム)し、その能力を持つ人間型種族。無形種側の学者の推測によれば、進化の過程で無形種と分岐した人類とされている。

それぞれ、家系ごとに特定の動物への変身能力をもち、それに準じた特殊能力を持つ。その種類は最新刊までに確認された限り、鳥類哺乳類爬虫類(鳥類では白鳥ペンギン。哺乳類は獅子コヨーテジャッカル山羊鹿水牛。爬虫類では蜥蜴が確認できる)。通常はいずれか一種に変身できる。種族ごとに特定の臭いがあり、アナザーレイス内ではかぎ分けることが可能。

鳥類のみ特殊な形態変化「半形態変化(ハーフ・トランスフォーム)」が可能で、その状態では人の体に鳥の翼を生やすことが多い。なお、≪はやぶさ≫や≪南天極楽鳥≫は、完全な鳥の姿への変化は出来ず、上半身に羽毛と翼を生やすのみ。

なお、≪水牛≫や≪獅子≫は他人に形態変化を見られても平気だが、≪鳥≫は総じて形態変化を見られることを嫌がる傾向にある。

純血種と混血種

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通常アナザーレイスは同種間でのみ交配可能とされるが、無形種(人間) はどの種との間にも子孫を儲けることが出来、その子供は純血種に対して混血種(インシード)と呼ばれる。純血種が変身能力を保持するのに対し、混血種はアナザーレイスの血を引くというだけで、変身や特殊能力はなく、無形種となんら変わりない。種族ごとの臭いはあるが、それをかぎ分けられるのは純血種のみ。 また同種間でないと子供が生まれないアナザーレイスだが、稀な例外として『猫』と『豹』など近縁の種同士で子供が生まれることもあり、「ブリジアン」と呼ばれる。親以上の能力と複数の種族の能力を持つが、繁殖能力を欠く一代雑種となる。

ただし、これはあくまで「そうであろう」という一般常識であり、実際には複数の種族の能力を併せ持つインシードや、部分的にとはいえ形態変化できるインシード、繁殖可能なブリジアンが作中に登場する。

無形種との関係

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無形種と異種人類はある種の緊張状態にあり、国家レベルでは友好を掲げているが、個人レベルでは互いに好意的な者も強い隔意を持つ者もある。無形種側は(時には一国の上層部内部にも)異種人類への軽侮や憎悪を抱く者も一部あり、組織的な境界侵犯や人体実験じみた行為が行われることもある。一方異種人類側は、基本的には自分たちの生活を脅かされなければそれ以上の攻撃的な意思はなく、積極的に無形種社会で活動して社会的成功を収めたり、結婚して子孫 (インシード) を残す者もあり、社会全体においてインシードも無視できない程になっている。ただ中には犯罪に従事する異種人類もあり、身体能力の高さや無形種では識別手段がないことが問題になっている。無形種が異種人類に対して使う差別用語として、「人獣(マンビースト)」や「けだもの風情」などがあり、逆に人間に対しては「ステロタイプ(時代遅れ)」、「薄め液(無形種の血を混ぜて純血性を失うことへの皮肉)」があるが、これらを人前で発言するのは社会的な礼儀を欠いた行為であるとされている。

各種族の正式表現

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正式には異種人類は「アナザーレイス」(純血種と同意語)、「混血種インシード)」、人間は「無形種ノンフォーマー)」と互いに呼ぶ。また、異種人類は苗字を持たないが(名前の前に≪猫≫の…や≪蛇≫の…など種族名をつける)、無形種社会で暮らす場合は無形種の習慣に合わせて姓を付属している。

特殊事例

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通常、無形種の血が入ると異種人類としての変身能力は失われる。片親の血筋として容姿に特徴 (●●のような目、××のような雰囲気など抽象的なもの) が出たり、種族特有の臭いがする程度。

今作の主要人物である異種人類のうち3名はインシードで、本来ならば変身などの特殊能力は持たないはずのだが、『なぜか』純血種と同様か、それ以上の能力をもっている。現行巻の時点では説明がなされていないため詳細は不明だが、作中では「最初に形成された常識の方が間違いだったのではないか」と述べられている。

言語

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無形種社会での言語はすべて共通であるが、異種人類社会では種族固有の言語がある模様。ただし各種族の族長や高位にあるものは、無形種の言語を心得ている。また稀に、複数の種族の言語を学ぶ者もいる。

通貨

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無形種国家にのみ、貨幣が使用されている。国ごとにデザインが違い、それぞれ、「バナディス金貨」や「ゲルスタン銀貨」などと呼称される。バナディスでの通貨単位は金貨が「パウンド」、銀貨が「シルリン」であるが、ゲルスタン含め他国の通貨単位は未だ不明。高額硬貨などが登場している点から硬貨のみ使用され、紙幣は存在していない模様。

登場人物

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2009年時点で、各5シリーズ毎に登場する者と、各巻に登場する無形種・異人種を登場順に表記。

主要登場人物

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キャサリン・ウィンスロウ(無形種)
今作の主人公。バナディスの外務補佐官の令嬢。14歳。道理の曲がったことや、不正に対しては激しい嫌悪を示す。その大胆な性格故に旅行先や移動先では、必ずといっていいほど何らかの事件に巻き込まれる(事件が起こることを予想した上で、旅行に出たこともある)。幼い頃に母親を亡くしており、父親と数人の召使いと共に暮らしている。勘が鋭く[1]大抵の物事の推察ができる。
いつでも侍女のニーナと行動しており、キャサリン曰く「メイドであり親友」。また射撃術に長けており、作中では44口径リボルバーを難なく扱う[2]。第1巻でケイティに声をかけられ、彼らを雇う事になる。
ニーナ(無形種)
長年キャサリンの身の回りの世話をする、古典的な普通の女性。キャサリンのパートナー的存在であり、その献身ぶりからは彼女との仲をうかがわせる。アナザーレイスは少し苦手で蛇嫌い。得意技は、物凄い大音量の悲鳴。
≫のケイティ(インシード)
4人組用心棒の紅一点。祖父の一人が人間である≪猫≫の混血。そばかすの散った、かわいらしい顔立ちの少女だが、金茶色の猫の瞳を持っている。頭部のみ変化できる他は形態変化しないが、身体能力は≪猫≫そのもの。金にうるさく、4人組の金庫番でもある。小振りのナイフを愛用しており、靴底の中やチョッキの裏側などに隠して持ち歩き、戦闘になると超人的な速さで敵に刺す。≪猫≫故に非常にのんびりしており、匪賊なども軽く倒してしまう。
≪ごちゃまぜ≫のダムー(インシード)
本名は≪万能≫のシャールダムーン。4人組用心棒の1人。≪ごちゃまぜ≫のネーミングの由来は、父方母方ひっくるめて≪獅子≫や≪≫などの数種の混血であり、自分でも詳しくわからないからと述べている。癖のあるこげ茶色の長い髪を、無造作に高い位置で結う。また、上半身は裸に袖のない上着を着て、帯でそれを締めており、足元は、裸足に編み上げサンダルのような奇妙な履物を履く。近距離戦においては用心棒一の実力者で、腕力、脚力に優れ、耳や鼻も利き、泳ぎも得意な万能選手。形態変化後は白い≪獅子≫のような姿になり、また、状況に応じて、その背に翼を生やすこともある。変化時は服のほとんどを脱ぎ捨てるが、黒いパンツだけは身に付けたまま変化する。ワイルド系美少年といった容姿だが大食漢で、ひとたび目の前に食糧が出されれば、どれだけの量が在ろうとあっという間にたいらげる(形態変化後は特に顕著)。弱点は蛇、蜥蜴、鰐などの爬虫類で、野生、アナザーレイス問わず近付くことが出来ない(これは幼い頃の出来事に起因するトラウマ)。父親は≪虎≫のインシード(通称≪虎縞≫)のロヴ、母親は≪狼≫のインシード(通称≪人狼≫)のティニ。両親共に北大陸の血を引いていて、混血でありながら完全な形態変化が出来る。
蜥蜴≫のベラフォード(インシード)
4人組用心棒の美青年。豊かなテノールの声を持つが、女言葉を熱心に使う上、女性に対しては友人として以上の感情を持てない。その為に、ダムーから「おかま」と呼ばれている他、ケイティからも「飛びカマ蜥蜴」などと評される。≪鳥≫と≪蜥蜴≫の混血で、形態変化時は上半身のみにカラフルな羽毛と翼を生やす。≪蜥蜴≫の混血故に腕などを切断されたとしても、断面を接着すれば瞬く間に再生する(ただし、体力回復のためその後は冬眠状態になる)。また、≪鳥≫の視力も持ち合わせる。黒蛇鞭とよばれる鞭を武器として使用する。変化時の姿が人の目を引くものであったために、奇抜倶楽部や人獣撲滅を目指す会などに追われる羽目になる。父親は≪蜥蜴≫のインシードのスタンリー、母親は≪南天極楽鳥≫純血種のヴァーサ。彼の形態変化は母方のものだが、母の種族を知らず、≪蜥蜴≫の長老に育てられたため、メンタリティは≪蜥蜴≫である。
≫のヴィンセント(純血種)
通称「役立たずのヴィンス」。4人組用心棒の最年少。まっすぐな金髪に青い瞳を持ち、礼儀正しいがどこかマイペース。また、身の危機がある時のみ念動力という一種の超能力を使える。しかし、それとは裏腹に役立たず。北大陸の生まれであり、≪竜≫の純血種だが、北大陸にいたころ危険と判断され、同族によって形態変化を抑止するチョーカーをつけられ、西大陸に捨てられた。用心棒の中では北大陸の血を引くダムーだけがチョーカーをはずせる。恐ろしく頑丈な身体の持ち主で、飛行中にチョーカーを再装着し、形態変化を封じられて地面に落下しても落下場所に人型の穴を拵えるだけ。本人も気絶しているか「痛い」で済むレベル。
第一巻においては「変人」という設定が存在した。
エリオット・ウィンスロウ(無形種)
36歳。バナディスの外務補佐官であり、キャサリンの父親。温厚な性格で、怒ることなど滅多にない。童顔であるため、ひげを生やすことで威厳を見せようとしている。バナディスの首都・グレンフィールドの一等地に住居を構えている。異種人類には好意的で、屋敷の使用人の中にもインシードがいる。

第1巻 レディ・ガンナーの冒険

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≫のヘンリー(純血種)
人間名「ヘンリー・アンダーソン」。蛇の青年。ベラフォードの遠い親戚で、変化時には全長25メートルの網目錦模様の大蛇となる。人型の時は誰もが見惚れる美青年だが、形態変化すると大抵のノンフォーマーは見ただけで卒倒しそうになる。人型でいる時と変化時における外見の余りのギャップに、ニーナは「詐欺です」という言葉を繰り返した。仲間達からは「哲学者」などと呼ばれている。
『外伝』において、家族ぐるみで付き合いのあったミュリエルに求婚する。
アンジェラ・ルビンスタイン(インシード)
ヴィルドナ社交界で、最も注目を浴びている美女。マクシミリアン公にフランツを紹介され、婚約させられそうになる。「冒険」の際はキャサリンと対峙し、ライバルとなった。また、礼儀の成っていない輩などに対しては徹底的に攻撃する。混血の割合は曽祖父の代に≪豹≫が1人[3]
フランツ・ヨーゼフ(無形種)
キャサリンの幼馴染で17歳。マクシミリアン公の次男で、≪虎≫のインシードの女性と交際して結婚することを決めていたが、父親の自己中心的な行為からアンジェラと婚約を予定させられる。しかし、キャサリンの活躍によりその事態は回避された。
マクシミリアン公爵(無形種)
フランツの父親。ヴィルドナで500年の歴史を持つ名門家であり、議会にて絶大な発言力を持つ。アナザーレイスを「マンビースト」と蔑称で呼ぶタイプの人間。近年資金繰りが難航しており、息子の結婚の際も相手をアンジェラ(ルビンスタイン家は名門の為)に決め、資金の調達を図ろうとしていた。しかし、アンジェラがごくわずかとはいえ「マンビースト」の血を引くことを知ったため、急遽予定を変更、キャサリンを婚約者として紹介しようとするが、婚約披露宴当日にキャサリンの告発により公の場で失脚する。
≪虎≫のランスーリン
フランツの友人。≪虎≫の部族の若頭の一人で、腹違いの妹であるメリッサ(インシード)がフランツと交際し、結婚の約束をした筈がいきなり連絡が取れなくなったことを訝しんでいた。キャサリンたちと接触し、軟禁されていたフランツを救出した。
≪熊≫のブイトー
ランスーリンの友人。不器用で大雑把な性格で形態変化した姿でルワナ・ホテルに現れ、キャサリンを追い返そうとした。ルビンスタイン男爵の経営する採掘場で働いた事があり、彼の人格を弁護したりもした。

第2・3巻 レディ・ガンナーの大追跡

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ヴィルヘルム・フォン・ブラウン男爵(インシード)
ゲルスタンのリヒターハウスに住まう冷酷な森林貴族でボッシュ村の領主。アナザーレイス差別主義者で領内の村人に対しても、アナザーレイスの入出の禁止を徹底している。10歳の息子がおり、その家庭教師がインシードだったことに激怒。彼女の身ぐるみを剥がし自分の狩猟場の森に放置して、猟犬に狩らせた後、遺体を砕いてその犬に与えるという蛮行を行った。それがきっかけで、殺害した家庭教師の親族によって森に放置され失踪(描写からは死亡が確実)。その後、ゲルスタン政府の情報操作により、「病死」と公表された。
曾祖母が≪白鳥≫のアナザーレイスであった事を知らず、自らがインシードであった事を知らなかった。
ロベルト・フォン・ブラウン大佐/アロイシャス・モラン(インシード)
ヴィルヘルム・フォン・ブラウンの弟で、ゲルスタンの陸軍大佐。ベラフォードの情報収集の為、「アロイシャス・モラン」という偽名を使って、ウィンスロウ邸を訪れていた。普段は陸軍省のあるエレンバーデンに住んでいる。
フリードリヒ将軍(インシード)
ゲルスタン陸軍の将官であり、ロベルト・フォン・ブラウンの上官。また、「人獣撲滅を目指す会」のゲルスタン代表。無抵抗の相手に容赦なく制裁を加える傲慢な人物。変化するインシードを捜索する際には、ボッシュ村とリヒターハウスに独断で部隊を投入し制圧したが、その後のリヒターハウス崩落時には脱出する事ができなかった。アナザーレイスを極端に嫌っており、「下賤な生き物」呼ばわりしていたが、ダムーにより混血(母親が≪≫の純血種)である事が発覚した。
エルリッヒ伯爵(インシード)
ツヴァイゲン州のドゥーゼン城に住まう貴族。「奇抜倶楽部」のひとり。母親がブラウン家と同じ≪白鳥≫のアナザーレイスを祖先に持つ家の出。
≫のミュリエル(純血種)
人間名はミュリエル・スウェン。物静かで鈴を鳴らしたような可憐な声と容姿を持つ小柄な美少女。幼馴染の従姉(正確には又従姉)を探すためにボッシュ村に来ていたが、人獣狩りの対象となり、リヒターハウスに投獄されていた。変化時には、全長6メートルの≪鰐≫になる。幼い頃の口約束がきっかけでダムーに思いを寄せるが、ダムーはトラウマが原因で彼女に近づけず、何故拒絶されるのか分かっていない[4]
マルティナ・バロア(インシード)
ミュリエルの又従姉(シャイラックの従兄の娘)。大学の恩師から紹介されてフォン・ブラウン男爵の息子であるコンラートの家庭教師をしていた。しかし、男爵に自分が混血だと知られ、殺害される。また、その遺体はバラバラにされ、犬の餌にされるという残虐な方法で処理された。
コンラート・フォン・ブラウン(インシード)
フォン・ブラウン男爵の10歳の息子。マルティナに好意を抱いていたが、父親にマルティナを中傷しろと指示されやむなく従ってしまう。マルティナ死亡後は、彼女の遺髪を使って墓を造ろうとしていた。リヒターハウス襲撃時はダムーに父親とともに死ぬか、ひとりで生きるか問われ、ひとりで生きる道を選ぶ。
≪あいのこ≫のパトリック(ブリジアン)
≪猫≫と≪≫のブリジアンの青年。普段は無愛想だが、内面は多感で熱情的。ブリジアンという特殊な立場であるために同胞が一人もいないという孤独感に苛まれている。奇抜倶楽部のメンバーに変化するインシードの存在を問われ、用心棒らの事を話してしまい、解剖目的でドゥーゼン城に招かれる(無論、本人は知らなかった)。また、前述したブリジアン繁殖不能を絶対的に信じていた為、妻からの妊娠の報告に際して失言を連発、自身の妻に殺されかける。
≪豹≫のブレンダ(純血種)
パトリックの妻。長い間絶望視していた「パトリック(ブリジアン)との子供」を身籠り、矢も盾もたまらず報告に来たが夫の失言に激昂、殺害を決意して実行しかける。
ステュアート・スウェン/≪鰐≫のシャイラック(純血種)
ミュリエル・スウェンの父親。ロームでも屈指の実業家であり、資産家である。
≪狐≫のコーネリアス(純血種)
人間名は、コーネリアス・グレイ。

第4巻 レディ・ガンナーと宝石泥棒

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エレオノーラ・パスティレリ(無形種)
ローム人。ミュリエルの友人であり、学校では同期生であった。母を幼い頃に亡くしており、度々墓参りしている。音楽の勉強の為にヴィルドナに二年間留学していた。父親の秘書であるジェネロと恋をし、駆け落ちをしようと画策していた。
ルチアーノ・パスティレリ(無形種)
エレオノーラの父親。大柄で若い頃は声楽を学んでいた。ロームで「パスティレリ商会」を経営する宝石商である。ローム皇太后の即位十年記念で献上する宝冠をフィダンツァ公爵から委託され制作していたが、ジュリアーノによって盗まれる。
ジェネロ(無形種)
ルチアーノ・パスティレリの秘書。ヴィレンの貧民街で孤児であったが、ルチアーノが保護した。エレオノーラにとっては兄のような存在だったが、いつしか惹かれあっていた。
ジュリアーノ・サンティ(純血種)
東大陸時代まで遡れるサンティ家の末裔を名乗っていた美青年。エレオノーラが襲われかけたところを助けたのが縁で婚約した。ダムーにより純血の≪≫と見破られ、名前も家名も偽りで、すべて宝冠を盗むための演技だったことが判明。

第5・6・7巻 レディ・ガンナーと二人の皇子

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イサベル・マラカム(無形種)
エルディアのバナディス大使第二秘書。妃八家の一つマラカム家の出身だが、皇太子候補の生まれる時期を外れて生まれたため、一般人として育つ。そのため、妃八家制度に疑念や違和感を抱いており、姉である当代の「マラカムのマリア」が生んだ皇太子候補がその選から漏れたことによる母子の将来や、次代の「マラカムのマリア」である妹のことを心配している。
フェルナンド・ミゲル・コルテス/フェリーシア(無形種)
妃八家の一つ、コルテス家の皇太子候補。一度は皇太子に内定したが、実は女子で、この秘事を明かさぬ為コルテス家により殺害されそうになる。
コルテス家が秘匿していた「もう一人のフェルナンド」救出以降、同じ名前では紛らわしい為キャサリンから「フェリーシア」と命名される。後に王女となり、エルディア初の女性大臣を目指す。
ルシウス・アンネウス二世(無形種)
エルディア皇太子、のち国王。妃八家制度に疑問を持ち、廃止を考える。年齢は20代後半で、皇太子になる前はフェリーシアや他の皇太子候補の子供たちのようにわがままで傲慢な子供だったが、良い教師や友人に恵まれ、現在は温和で冷静な人物。キャサリンの父とは親しい。
ガルベス(無形種)
コルテス家の執事。フェリーシアが当初暮らしていた別宅「楡の木屋敷」の執事を務める。
アーネスト・ギデオン伯爵/≪獅子≫のシルヴァ(純血種)
クレストの伯爵であり、≪獅子≫の長。息子はクリストファー。
マリア・カタリナ・アントゥーニャ・スパーダ(無形種)
当代「スパーダのマリア」。皇太子候補を生むことができなかった為、ミロ郊外のデル・サピオに住む。妃八家のしがらみから抜け出たことで、幼い頃に教えられてきた世界が歪みに満ちた小さなものであることを知った。
ルシウス・アンネウス一世(無形種)
先代エルディア国王。ローム皇太后の甥に当たる。48歳で病死。
アロンソ(無形種)
コルテス家の召使い。コルテス公爵の命により、フェリーシアの暗殺を企む。
マリア・アナベラ・コンスタシア・マラカム(無形種)
先代「マラカムのマリア」。イサベルの叔母であり、アンネウス一世、二世の相談役。私怨により、フェリーシア暗殺を画策する。
パブロ(無形種)
アンネウス二世の執務官。密かにコルテスのマリアと相思になり、後に結婚する。
マリア・アンヘラ・ショーナ・コルテス(無形種)
妃八家「コルテスのマリア」。フェリーシアの母親。しきたりにより一度は皇太子妃となるが、アンネウス二世による「妃八家制度廃止」により、最後はパブロの妻になる。
≪鷲≫のドーザ(純血種)
≪白頭鷲≫の長。≪獅子≫のシルヴァと同い年であり、互いに尊敬しあう仲。母親は先代の≪白頭鷲≫の長、チェリーザ。息子はガルーシャ。複数の種族の言葉を操る。
フェルナンド・ミゲル・コルテス(無形種)
フェリーシアの又従兄弟(血縁上は従兄弟)。身代わりの為にチンジョンの犬鷲城に幽閉されていたが、ケイティたちの助けを借りて脱出し、のちに母方の祖父母の元で暮らす。父親はアンネウス二世の異母兄(氏名不詳)。母親はイーヴァ・カレラス。
レオノーラ(無形種)
ルシウス・アンネウス一世の王妃、のちエルディア皇太后。先代「エトヴァのマリア」。アンネウス二世の実母。

第8巻 レディ・ガンナーと虹色の羽

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蜥蜴≫のモーガン(純血種)
ベラフォードとヴィンセントの育ての親に当たる老人。100歳を越えており、博識であるため、「賢者」の異名を持つ。
若い頃は人間の姿で暮らしていたが、ある時期から中途半端に形態変化した状態である、服を着て直立歩行する蜥蜴の姿で暮らしている。体色は緑がかった灰色。
≪南天極楽鳥≫のレドヴィーン(純血種)、≪南天極楽鳥≫のライガス(純血種)
ともにベラフォードの母方の同族。紫雲(しうん)の里の住人。ベラフォードの母であるヴァーサを、20年に一度の里の大祭に連れて行くためにモーガンの家を訪れるが、ヴァーサが亡くなっていることを知り、ベラフォードをヴィンセントともに連れて行くことに。
レドヴィーンは上半身が淡いクリーム色、腕が栗色で翼がチョコレート色をしており、ライガスは胸元と腕の羽毛が真っ白で、翼が付け根から途中までが白く、そこからは濃い黄色の羽が帯のように広がり、風切り羽が黒い。またライガスは、ヴァーサと、先代の神代となったヴァーサの兄・コクランの友人でもあった。
≪南天極楽鳥≫のイザーク(純血種)
ベラフォードとヴィンセントを連れて旅立ったレドヴィーンらの前に現れた同族のリーダー格。形態変化するようベラフォードを武器で脅し、拒絶されたため網を使って強引に里まで連れてきた。紫雲の里の警備隊長でもある。
≪南天極楽鳥≫のミリアム(純血種)
ベラフォードの世話役の1人である女性。パステルカラーの6色の羽を持つ。キャサリンらの策の結果、紫雲の里の花嫁に選ばれたが…。
≪南天極楽鳥≫のティタニア(純血種)
ベラフォードの世話役の1人である女性で、リーダー格。羽の美しさもあり、花嫁候補の本命と目されていた。プライドが高く、居丈高な物言いをする。
≪南天極楽鳥≫のヨランダ(純血種)
紫雲の里の長老。ベラフォードが「虹の羽」を持つと知るや、大祭の中でも重要な役である神代の候補に就いてくれないかと持ちかける。
≪南天極楽鳥≫の種族的な特徴として、「美しい物」を愛でる。そのため手先が器用で、近くで取れる宝石の加工や織物、刺繍などが得意。ただし、独自の美意識があるため、≪山羊≫の村の花嫁衣裳をこれでもかと色糸や飾り玉で飾り立てたりした事がある。
また、里の中では形態変化した時の羽の色の濃さや色数によって身分の上下があり、1色あるいは色の薄い2色は「無色」と侮蔑的に呼ばれ、労働者として最下位に置かれる。なお、「雪雲」は白い部分が多い者に付けられる蔑称で、里を離れて付近の集落で暮らさなければならない[5]。最高位は10色だが、現在は多くても7色までしかいないらしい。また、羽の黒い「黒羽衆」は、形態変化でそれが判明した時から神に仕える巫(かんなぎ)として神殿の表御殿に住み、独身を通すというしきたりがある。

外伝 そして四人は東へ向かう

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ステュアート・スウェン(純血種)
シャイラックの長男。父の事業を手伝う。ニックネームはステュー。
フレデリック・スウェン(純血種)
シャイラックの次男。独立し別の事業を立ち上げている。家族にはフレドと呼ばれる。
セオドア・スウェン(純血種)
シャイラックの三男。ニックネームはテディ。ルノーブル大学の学生。≪鳥≫の女性に片思い中。
ドゥエンナ・スウェン(純血種)
シャイラックの妻。シャイラックに出会う前は複数の人から求婚されたらしい。
≪鰐≫のジョブ(純血種)
≪鰐≫の長老。形態変化するとアルビノであるため、≪白鰐≫のジョブとも呼ばれる。白鰐翁の別名も。
ヘンリエッタ・アンダーソン(純血種)
≪蛇≫のヘンリーの祖母。形態変化するとアルビノで白蛇刀自の別名も持つ。同じアルビノ同士のジョブとは親交がある。
ジュリエット・ダヴンハイム(純血種)
≪蛇≫の女性。黒い蛇に形態変化する。その美しさから黒蛇嬢・黒のジュリエットと呼ばれている。ヘンリーを慕う。
≪虎縞≫のロヴ(インシード)
ダムーの父親。シャイラックとドゥエンナの友人。≪虎≫以上に≪虎≫らしい混血と評される。クリームソーダが好物。服を着るのが面倒という理由で形態変化したままであることが多いが、その毛並みは美しい。
≪獅子≫のアイオス(純血種)
温暖な地帯にある獅子の村・ドプレスの村長。シルヴァの父。
≪獅子≫のブルゲ(純血種)
ドプレスとは中立地帯である山脈を挟んだ反対側にあるソイエンの村長。チェリーザにやり込められたことがある。
≪獅子≫のラド(純血種)
ソイエンの村の住人。仲間とともに弟・バルト殺害犯を探すが…。
≪獅子≫のミルコ(純血種)
ソイエンの村の住人。姉が南部の≪獅子≫の村・キルツェンに嫁いでいる。よくそこへ出かけるが、近くの≪水牛≫の村・リザで度々盗みを働いており、それに気づいたバルトに説得されるが、逆上して殺害した。兄・カーゲルともども村を追放される。
≪鷲≫のチェリーザ(純血種)
少女のような外見の≪白頭鷲≫の首長。槍の名手で、複数の種族の言葉を話せる。
≪水牛≫のモーム(純血種)
リザの村の住人。25歳。趣味で螺鈿細工を作っているが、玄人はだしの腕前。大切にしていた真珠のブローチをミルコに盗まれたため、「必ず説得して返させる」というバルトの言葉を信じて待っていた。
同じ≪水牛≫の村であるペッロの村長の姪・マァサに無自覚な恋をしているが、最後は無事に結ばれる。
≪水牛≫のマァサ(純血種)
≪水牛≫には珍しい、白い肌と金髪が特徴の女性。≪水牛≫の闘技大会の女性部門「ナチェッラ」の強豪の1人。同じ≪水牛≫のラルスに求婚されていた。
セヴラン・ティエリ(インシード)
クレスト出身の、祖父が純血の≪馬≫だったという青年。装飾品のデザイナーで、独立に向けて新たなモチーフを探すべく、異種人類の住む地域を旅している。ロレーヌという女性に求婚するためにも、独立して1年以内にある程度以上稼がなければならなかった。
独立後、パトロンだった伯爵が亡くなり、その息子が跡を継ぐが、それがきっかけで災難に遭う。
形態変化したモームの姿に見惚れ、デッサンしたものをベースに真珠を使ったブローチを作った人物。

登場地域

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大陸名

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北大陸
存在は確認されているが、謎の多い大陸。民間伝承や噂などによれば西大陸よりも先進した文明があるとされている。
東大陸
かつて無形種が支配していた大陸。約500年前に突然の自然災害により水没した。
西大陸
作品の舞台となる大陸。物語開始の約500年前(1300年代)、「東大陸」全域が水没するという天変地異が発生。それを逃れて船で西大陸にたどり着いた難民たちが無形種の祖先であり、異種人類 はこの大陸の原住民である。異種人類たちは無形種を好意的に迎え、大陸の東部を彼らの居住地として割譲した。
物語の120年前(1732年頃)に異種人類と無形種の全面戦争が勃発した。無形種側が一方的に異種人類の領域に侵攻したが、特殊能力を生かした異種人類の撹乱に対処できず、最終的に敗戦を喫している。戦後の協議で、無形種国家と異種人類領域の境界が正式に定められ、大陸を分断するグエン山脈以東の沿岸全域が無形種国家、山脈以西は異種人類の領域となっている。但し、異種人類側が地形図および、地図の作成を拒んでいるため、地形は不明である。
無形種の国家は、「バナディス」「ヴィルドナ」「エルディア」「ゲルスタン」「ローム」「クレスト」の六ヶ国があるが、異種人類の領域には国家が存在せず、種族単位の群れで暮らしている。各国代表会議などには、各種族の代表が出席する。

無形種国家

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各国の文化は東大陸水没以前の文化を継承・発展したものである。無形種の歴史は移住直後から数えられ、国によっては家系の歴史が500年に近いほど敬われるという傾向がある。バナディス以外は大陸東部沿岸に位置するため、「沿岸国家」と呼称されている。

バナディス共和国
無形種国家で唯一グエン山脈の西側にある国にして、本作品主人公の出身国。各巻の大半はここからスタートする。女王を国主とする[6]。首都は港町ボランと直結する経済・学問・物流の重要拠点であるグレンフィールド、同名の名門大学もここにある。西部の郊外にあるチェスタムコートなる田舎町では、極秘の国際代表会議がおこなわれる。英語読みの地名や英語圏の人名、女王が国家元首である点、通貨単位がパウンド(ポンド)であることなど精通する点でイギリスに似ている。
デューター半島
バナディスとヴィルドナの間にまたがる半島。広大な荒野が広がり、両国をおよそ500キロで結びグエン山脈経由よりも近いが、様々な事情で鉄道はおろか道路すらまともに通っておらず、旅行者を襲撃し生計を立てる人間の匪賊が横行している危険地帯。環境は厳しいが、半島各地には異種人類の町が点在する。
ヴィルドナ
バナディスに最も近い国家。君主制を敷いており首都はヴィレン。港からは「セントヘレナ号」という定期船も往復している。最西端には大規模都市ルワナがある。
キーロウ
ヴィルドナにある土地。マクシミリアン公の住居がある。
ゲルスタン共和国
国土の多くが森林に覆われ、ビルテ河が流れる。「ライエ」や「ツヴァイゲン」などの州がある。歴史ある建造物が多く、名門大学のひとつシューティヒェン大学がある。またドイツ語発音の地名や人名などが多数登場しておりドイツに酷似している。
シェーファー
ゲルスタンのライエ州に属するフォン・ブラウン男爵が統治する森林地帯で、ボッシュ村という村が存在する。異種人類に対して排斥的な風潮があり、中央政府の法律が適用されない異端の地とされている。
エルディア王国
気候は温暖であり猛獣や闘士を戦わせる闘技場が有名。王政国家だが王家内の性差別が激しく[7]妃八家による皇太子選出が代々行われている。地名・人名などでスペインに似ている。
ローム王国
ゲルスタン国境と隣接し、「花の都」と呼称されるフロレンティアなど景観の美しい都市が多い国家。フェルテ川が流れている。名門ルノーブル大学もこの国にある。フランス語読みの地名や人名などでフランスに似ている。
クレスト共和国
沿岸国家のひとつで王政を廃止して共和制をとった国家。現段階では登場していないため詳細は不明。金鉱が存在する模様。上流階級の中に、異種人類や混血が多い。

組織

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人獣撲滅を目指す会
非公式に各国の下級判事や警察署長、軍の将校などの人間至上主義者で構成され、異種人類の絶滅を掲げている。また、異種人類のメカニズム解明なども行っている。しかし、その内の数名が本人に自覚はないがインシードである。
奇抜倶楽部
森林貴族のフォン・ブラウン男爵、鉄道王のシュタイナー、石炭王のハインケル、銀行家のフォーゲル、貿易商のヴェンダース、果樹園主のバーンホーフ、エルリッヒ伯爵の各国の富豪7人で構成される倶楽部。名称の「奇抜」とは珍しいもの、他より優れたものという意味である。それぞれが決められた題目のものを陳列するのが主な活動であるが、最近では「アンティーク」などに代わり、「珍しい動物」や「変化するインシード」などに変わってきている。
国際代表会議
文字通り各国、各種族の代表が総勢6人ずつ出席する会談。それぞれ議論を交わすのが主である。
妃八家
エルディア国法により、代々の王妃を選出することが許されたエルディア国内の八つの大貴族。開国から数代目の王家内にて跡取り騒動が起きた為、約200年前の国王によって定められた。
この時制定された次期皇太子選出方法にしたがい、皇太子と年齢のつりあう娘を誕生させ、皇太子が15歳になる年にその後宮へ入れる。なお、実際の皇太子選出に王妃の家は含まれない為、実際には七家で行われる。八家の娘それぞれが1年間平等に皇太子と関係を持ち、次期皇太子候補となる男の子が生まれれば、その母親は皇太子妃候補となり、子供たちとともに実家へ帰って暮らす。その後12年の間、各家で育てられている子供達の成長を見た上で次期皇太子にふさわしい者を選ぶ。なお、皇太子宣下があるのは、皇太子である父が母である「皇太子候補の母」と結婚し、即位式を挙げてからである。
かつては政情とそれに伴う「国王の平均寿命の短さ[8]」からなるべく多くの次期皇太子候補が求められたため、各家々から娘達が何人も送り込まれていたが、現在は幾分緩和され、「皇太子と年齢のつりあう娘を各家から一名ずつ選び、男子が五人誕生した時点で皇太子候補とする」と改められている。
基準に見合う娘達には代々「マリア」と名前をつける。男の子を産み、かつ皇太子として選ばれた時のみ王妃として迎え入れられる(かつては1人でも女子を産めば追放されていたが現在は緩和)。子供に恵まれなかったり、女の子が3人続いたマリアは実家に帰されるが、実家でも「役立たず」の烙印を押されてしまうので、自由と引き換えに家族とのつながりは弱まる。
また、皇太子候補として生まれながら皇太子になれなかった子供たち4人は、母の実家の保護下で屋敷を与えられて暮らすことになるが、表立って社会で活動したり、子孫を残すことが許されていない。元々皇太子候補として傲慢でわがまま放題な性格に育てられていたが、皇太子になれなかった時点で(皇太子妃になれなかったマリア同様)実家にとっては厄介者でしかなく、性格の矯正もされずに唯々諾々と従うだけの召使いの管理下で暮らしている。屋敷周辺の住民からは「馬鹿様」と呼ばれている。

歴史

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最新刊の段階で判明している歴史。
  • 1350年代 - 東大陸が天変地異により消滅。東大陸の生存者が異種人類の住む西大陸を発見。異種人類の配慮により大陸東部を割譲。
  • 1360年代? - 大陸東部に無形種の沿岸六カ国建国。
  • 1602年 - 生物学者フライシュマンが、アナザーレイスと無形種の交配可能論を証明。
  • 1730年代 - 沿岸国家側が大陸西部に無差別侵攻し、異種人類側に宣戦布告。全面戦争勃発。沿岸国家敗戦。両陣営不可侵条約締結。
  • 1838年 - (キャサリン・ウィンスロウ誕生)
  • 1850年代 - 無形種の大陸西部への領土侵犯、アナザーレイスによる無形種社会への犯罪多発、国際問題化。両関係悪化。物語開始。

注釈

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  1. ^ 感応力テストではC+評価だったが、第2・3巻中で更に高いレベルである可能性が示唆されている。
  2. ^ この為、作名であるレディ・ガンナーは彼女を示している。
  3. ^ 8分の1の割合で混血している。
  4. ^ ダムーは爬虫類の外見だけではなく「臭い」にも拒否反応を示すほど、作中の新説発覚以前の常識ならダムーが他種族の純血なら単純に無理と言う話だったが、インシードである彼が≪鰐≫だからと言う理由で自分を拒絶する事が理解できない。ダムー自身も爬虫類がダメと言うだけで相手の人格まで否定している訳でない。
  5. ^ そのため、家族と引き離されることもある
  6. ^ 共和制を敷いているが、王室が存在することから制限君主制と思われる。
  7. ^ 庶民から通常の貴族までは違う。
  8. ^ アンネウス二世も指摘しているが、この制度を有効に活用するには「国王が早死にする」のが重要な条件のひとつ。

既刊一覧

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角川スニーカー文庫
  1. レディ・ガンナーの冒険 2000年4月7日初版発行 ISBN 404423101X
  2. レディ・ガンナーの大追跡(上) 2002年1月1日初版発行 ISBN 4044231028
  3. レディ・ガンナーの大追跡(下) 2002年2月1日初版発行 ISBN 4044231036
  4. レディ・ガンナーと宝石泥棒 2003年3月1日初版発行 ISBN 4044231044
  5. レディ・ガンナーと二人の皇子(上) 2004年3月1日初版発行 ISBN 4044231052
  6. レディ・ガンナーと二人の皇子(中) 2005年1月28日初版発行 ISBN 4044231060
  7. レディ・ガンナーと二人の皇子(下) 2006年3月31日初版発行 ISBN 4044231079
  8. レディ・ガンナーと虹色の羽 2009年6月1日初版発行 ISBN 4044231087
  9. レディ・ガンナー外伝 そして四人は東へ向かう 2011年2月1日初版発行 ISBN 4044231095
 
角川文庫(スニーカー文庫版を改稿しており、一部文章が追加されるなどの差異が存在する)
  1. レディ・ガンナーの冒険 2014年1月25日初版発行 ISBN 978-4-04-101128-7
  2. レディ・ガンナーの大追跡 2014年10月25日初版発行 ISBN 978-4-04-101365-6(スニーカー文庫「レディ・ガンナーの大追跡」上下巻を合本)
  3. レディ・ガンナーと宝石泥棒 2016年2月25日初版発行 ISBN 978-4-04-101364-9(書き下ろし短編「チェリーザの求婚」を収録)
 
その他
  • 茅田砂胡 全仕事1993-2013 中央公論新社 2013年11月25日初版発行 ISBN 978-4-12-501272-8 に「レディ・ガンナー外伝 けむけむ大作戦」が収録されている。

関連項目

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