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ルビジウムの同位体

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ルビジウムRb)の同位体は24種類が知られる。天然に存在するルビジウムは天然存在比が72.2%の安定同位体85Rbと27.8%の放射性同位体87Rbの2種類である。放射能の強さは、30日から60日で写真フィルムを感光できるほどである。標準原子量は85.4678(3) uである。

87Rbの半減期は4.88×1010年であり、鉱物中のカリウムの代わりになるため、環境中に広く存在する。ルビジウムは年代測定に盛んに用いられてきた。87Rbは安定な87Srにベータ崩壊する。分画結晶が行われると、ストロンチウム斜長石の画分に高濃度で現れ、ルビジウムは溶液中に残る。何度も繰り返されるうちにマグマの中のRb/Sr比が高くなり、Rb/Sr比の高い岩石が形成される。Rb/Sr比が10以上と最も高い岩石はペグマタイトである。もし最初のストロンチウム濃度を推定することができれば、Rb/Sr比と87Sr/86Sr比を測定することで岩石の年代を決定することができる。

半減期が1.273分の82Rbは、心臓ポジトロン断層法に用いられる。この同位体は天然には存在しないが、82Srの崩壊により作ることができる。

72Rbは2017年に理化学研究所の研究グループによって発見された。72Rbは中性子数35の陽子過剰核であり、核図表において、陽子を加えられる限界とされる陽子ドリップライン74Rb)から2つ離れた場所に、他の陽子ドリップライン内の原子とともに73Rbを囲むように位置している。このような天橋立状の構造が発見されたのは初めてである。一般的に原子核は陽子または中性子が偶数であるときに安定であるが、この実験においては中性子数が奇数の72Rbが観測された一方、中性子数が偶数の73Rbは全く観測されなかったため例外的であり、未知の核構造効果が寄与している可能性がある。[1]

一覧

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同位体核種 Z(p) N(n) 同位体質量 (u) 半減期 核スピン数 天然存在比 天然存在比
(範囲)
励起エネルギー
71Rb 37 34 70.96532(54)# 5/2-#
72Rb 37 35 71.95908(54)# <1.5 µs 3+#
72mRb 100(100)# keV 1# µs 1-#
73Rb 37 36 72.95056(16)# <30 ns 3/2-#
74Rb 37 37 73.944265(4) 64.76(3) ms (0+)
75Rb 37 38 74.938570(8) 19.0(12) s (3/2-)
76Rb 37 39 75.9350722(20) 36.5(6) s 1(-)
76mRb 316.93(8) keV 3.050(7) µs (4+)
77Rb 37 40 76.930408(8) 3.77(4) min 3/2-
78Rb 37 41 77.928141(8) 17.66(8) min 0(+)
78mRb 111.20(10) keV 5.74(5) min 4(-)
79Rb 37 42 78.923989(6) 22.9(5) min 5/2+
80Rb 37 43 79.922519(7) 33.4(7) s 1+
80mRb 494.4(5) keV 1.6(2) µs 6+
81Rb 37 44 80.918996(6) 4.570(4) h 3/2-
81mRb 86.31(7) keV 30.5(3) min 9/2+
82Rb 37 45 81.9182086(30) 1.273(2) min 1+
82mRb 69.0(15) keV 6.472(5) h 5-
83Rb 37 46 82.915110(6) 86.2(1) d 5/2-
83mRb 42.11(4) keV 7.8(7) ms 9/2+
84Rb 37 47 83.914385(3) 33.1(1) d 2-
84mRb 463.62(9) keV 20.26(4) min 6-
85Rb 37 48 84.911789738(12) STABLE 5/2- 0.7217(2)
86Rb 37 49 85.91116742(21) 18.642(18) d 2-
86mRb 556.05(18) keV 1.017(3) min 6-
87Rb 37 50 86.909180527(13) 4.923(22)E+10 a 3/2- 0.2783(2)
88Rb 37 51 87.91131559(17) 17.773(11) min 2-
89Rb 37 52 88.912278(6) 15.15(12) min 3/2-
90Rb 37 53 89.914802(7) 158(5) s 0-
90mRb 106.90(3) keV 258(4) s 3-
91Rb 37 54 90.916537(9) 58.4(4) s 3/2(-)
92Rb 37 55 91.919729(7) 4.492(20) s 0-
93Rb 37 56 92.922042(8) 5.84(2) s 5/2-
93mRb 253.38(3) keV 57(15) µs (3/2-,5/2-)
94Rb 37 57 93.926405(9) 2.702(5) s 3(-)
95Rb 37 58 94.929303(23) 377.5(8) ms 5/2-
96Rb 37 59 95.93427(3) 202.8(33) ms 2+
96mRb 0(200)# keV 200# ms [>1 ms] 1(-#)
97Rb 37 60 96.93735(3) 169.9(7) ms 3/2+
98Rb 37 61 97.94179(5) 114(5) ms (0,1)(-#)
98mRb 290(130) keV 96(3) ms (3,4)(+#)
99Rb 37 62 98.94538(13) 50.3(7) ms (5/2+)
100Rb 37 63 99.94987(32)# 51(8) ms (3+)
101Rb 37 64 100.95320(18) 32(5) ms (3/2+)#
102Rb 37 65 101.95887(54)# 37(5) ms

脚注

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  1. ^ Suzuki, H.; Sinclair, L.; Söderström, P.-A.; Lorusso, G.; Davies, P.; Ferreira, L. S.; Maglione, E.; Wadsworth, R. et al. (2017-11-06). “Discovery of Rb 72 : A Nuclear Sandbank Beyond the Proton Drip Line” (英語). Physical Review Letters 119 (19): 192503. doi:10.1103/PhysRevLett.119.192503. ISSN 0031-9007. https://link.aps.org/doi/10.1103/PhysRevLett.119.192503. 

参考文献

[編集]