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リチウムジフェニルホスフィド

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
リチウムジフェニルホスフィド
識別情報
CAS登録番号 4541-02-0
PubChem 3478053
ChemSpider 2719164
特性
化学式 C12H10LiP
モル質量 192.12 g mol−1
外観 淡黄色固体
危険性
GHSピクトグラム 腐食性物質急性毒性(低毒性)水生環境への有害性
GHSシグナルワード 危険(DANGER)
Hフレーズ H302, H312, H314, H332, H400, H410
Pフレーズ P260, P261, P264, P270, P271, P273, P280, P301+312, P301+330+331, P302+352, P303+361+353, P304+312, P304+340, P305+351+338
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

リチウムジフェニルホスフィド (Lithium diphenylphosphide) は、リチウム有機リンアニオンを含み、化学式 (C6H5)2PLi で表される。ジフェニルホスフィン誘導体の調製に用いられる、空気に敏感な白色の固体である。エーテル錯体は暗赤色である。

エーテル錯体 LiPPh2(Et2O) のポリマーの構造の一部[1]

合成と反応

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リチウム、ナトリウム、カリウムの塩は、クロロジフェニルホスフィン[2]トリフェニルホスフィン[3][4]、またはテトラフェニルジホスフィン英語版をアルカリ金属 (M) で還元することにより調製される。

(C6H5)2PCl + 2 M → (C6H5)2PM + MCl
(C6H5)3P + 2 M → (C6H5)2PM + MC6H5
(C6H5)4P2 + 2 M → 2 (C6H5)2PM

ジフェニルホスフィンの脱プロトン化によっても得られる。

塩 (リチウム ジフェニルホスフィド) は、水によって加水分解を受けてジフェニルホスフィンを与える[4]

(C6H5)2PLi + H2O → (C6H5)2PH + LiOH

塩は、ハロゲン化アルキルと反応して三級ホスフィンを与える[5]

(C6H5)2PM + RX → (C6H5)2PR + MX

金属ハロゲン化物で処理すると、リチウムジフェニルホスフィドは遷移金属ホスフィド錯体英語版を生成する。

構造

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アルカリジフェニルホスフィドは塩として扱われるが、溶液中では高度に凝集していて、固体では高分子構造を取る。

関連化合物

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脚注

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  1. ^ Ruth A. Bartlett, Marilyn M. Olmstead, Philip P. Power (1986). “Structural Characterization of the Solvate Complexes of the Lithium Diorganophosphides [{Li(Et2O)PPh2}], [{Li(THF)2PPh2}], and [{Li(THF)P(C6H11)2}]”. Inorg. Chem. 25: 1243–1247. doi:10.1021/ic00228a034. 
  2. ^ R. Goldsberry Kim Cohn (1972). “Diphenyl(trimethylsilyl)phosphine and Dimethyl(trimethylsilyl)‐phosphine”. Inorganic Syntheses 13: 26-32. doi:10.1002/9780470132449.ch7. 
  3. ^ George W. Luther, III, Gordon Beyerle (1977). “Lithium Diphenylphosphide and Diphenyl(Trimethylsilyl)Phosphine”. Inorganic Syntheses 17: 186-188. doi:10.1002/9780470132487.ch51. 
  4. ^ a b V. D. Bianco, S. Doronzo (1976). “Diphenylphosphine”. Inorganic Syntheses 16: 161-188. doi:10.1002/9780470132470.ch43. 
  5. ^ W. Levason, C. A. Mcauliffe (1976). “Cis‐2‐Diphenylarsinovinyldiphenylphosphine and 2‐Diphenylarsinoethyldiphenylphosphine”. Inorganic Syntheses 16: 188-192. doi:10.1002/9780470132470.ch50.