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ラ・メルポメーヌ級水雷艇

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ラ・メルポメーヌ級水雷艇
基本情報
艦種 水雷艇
運用者  フランス海軍
 イギリス海軍
 自由フランス海軍
ヴィシー・フランス海軍
 イタリア王立海軍(Regia Marina)
 ナチス・ドイツ海軍(Kriegsmarine)
同型艦 12隻
次級 ルフィエ級 (未成)
要目
排水量 基準:610t
満載:895t
全長 80.70m
最大幅 7.96m
吃水 3.07m
機関方式 蒸気ボイラー×2基
ギヤードタービン×2基
出力 22,000馬力、2軸推進
速力 34ノット
航続距離 1,000海里 / 20ノット
650海里 / 25ノット
乗員 105名
兵装 100mm単装砲×2基
2連装13.2mm対空機関銃×2基
2連装550mm魚雷発射管×1基
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ラ・メルポメーヌ級水雷艇フランス語: Torpilleur classe La Melpomène)とは、第二次世界大戦中にフランス海軍が運用した水雷艇である。

概要

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フランスは1930年にアメリカ・イギリス・日本・イタリアと共にロンドン軍縮会議に出席したが、フランスとイタリアは条件に不満を持っていたため、米英日と違い部分参加にとどまった。

そしてロンドン海軍軍縮条約においては、基準排水量600トン以下の艦艇は規制対象外であることに着目したフランス海軍は、日本海軍の千鳥型水雷艇イタリア海軍スピカ級水雷艇と同様に基準排水量600トン以下にまとめた船体に魚雷をはじめとする武装を施した小型艇を建造することで戦力の強化を図ることにした。

主兵装は船体の大きさによる安定性を考慮してか、魚雷発射管は2連装550mm魚雷発射管が1基のみであり、主砲も100mmの単装砲2基だけである。これはほぼ同一の基準排水量を持つ千鳥型(2連装533mm魚雷発射管×2基、127mm砲×3門)やスピカ級(単装450mm魚雷発射管×4基、100mm砲×3門)よりも軽武装である[1]。ただし、海が荒れる嵐天下での航行には危険が伴っていたようで、1940年12月にはイギリス沖で荒天下航行を行っていた「ブランルバ」が沈没事故を起こしている。

戦歴

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ラ・メルポメーヌ級水雷艇は1933年から起工が開始され、1936年から1938年にかけて12隻が就役した。

1940年のドイツ軍侵攻においては、地上戦主体であったため他のフランス海軍艦艇同様戦局には何ら寄与できず、イギリスへ亡命(一時拿捕され、一部はイギリス海軍に接収されるが多くは後に自由フランス海軍に参加)するか、ヴィシー政府の指揮下に留まるかの二者択一を迫られた。

1942年11月27日、ドイツがヴィシー・フランス海軍の艦艇を接収を試みたため、ヴィシー・フランス海軍に所属していた6隻のうちトゥーロンに停泊中の3隻は自沈した。うち2隻はイタリアの手に渡り、イタリア降伏後はドイツが接収したが就役には至らなかった[2]。また、チュニジアビゼルトでは3隻がドイツ軍に捕獲され、いったんはイタリアへ引き渡されたものの1943年4月にドイツに供出され、ドイツ海軍で就役して3隻とも失われた[3]

イギリス海軍は同級を運用するに当たり、対空戦闘能力を上げるため後部100mm砲を撤去し2ポンド砲を増備した。対するドイツ海軍も似た発想で、魚雷発射管を撤去し、37mm単装機銃二基と20mm四連装機銃一基、さらに20mm単装機銃を20門近く搭載した[要出典]

第二次世界大戦を無事に生き延びフランス海軍に再編入された5隻も、そのあまりに小ぶりな船体では近代化改修の余地がほとんど無いこともあり、1950年には全て退役し解体された。

同型艇

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艦名 起工 進水 就役 その後
ラ・メルポメーヌ
La Melpoméne
1933年12月13日
ナントブルターニュ造船所
1935年1月24日 1936年11月20日 1940年7月3日、ポーツマスにてイギリス海軍に拿捕後、同海軍に編入。
同年8月31日、自由フランス海軍に編入。
1950年5月15日、退役。
ラ・フロール
La Flore
1934年3月26日
ナント、ブルターニュ造船所
1935年3月5日 1936年11月25日 1940年7月3日、ポーツマスにてイギリス海軍に拿捕後、同海軍に編入。
同年、自由フランス海軍に編入。
1950年8月31日、退役。
ラ・ポモーヌ
La Pomone
1933年11月22日
サン=ナゼールロワール造船所
1935年1月25日 1936年12月1日 1942年12月8日、ビゼルトにてイタリア海軍に鹵獲。FR42と改名されイタリア海軍に再就役。
1943年4月6日、ドイツ海軍に接収。TA10と改名されドイツ海軍に再就役。
1943年9月23日、イギリス駆逐艦と交戦し大破。同月27日にロドス島に座礁の後自沈。
リフィジェニ
L'Iphigénie
1933年12月14日
サン=ナゼール、ロワール造船所
1935年4月18日 1936年11月1日 1942年12月8日、ビゼルトにてイタリア海軍に鹵獲。FR43と改名されイタリア海軍に再就役。
1943年4月6日、ドイツ海軍に接収。TA11と改名されドイツ海軍に再就役。
1943年9月10日、ピオンビーノ港にてイタリア軍の魚雷艇(MAS)戦車による攻撃を受け、撃沈。
ラ・バヨネーズ
La Bayonnaise
1934年10月18日
ボルドー、シュド=エスト造船所
1936年1月28日 1938年4月1日 1942年11月27日、ドイツ海軍による接収を避けるためトゥーロンにて自沈。
1943年4月28日、イタリア海軍によって浮揚され、修理を受けFR44と改名される。
同年にドイツ海軍に接収。TA13と改名される。
1944年8月25日、トゥーロンにて再度自沈。
ラ・コルドリエール
La Cordeliere
1934年8月16日
ル・アーヴルオーギュスタン・ノルマン造船所
1936年9月9日 1937年12月1日 1940年7月3日、ポーツマスにてイギリス海軍に拿捕後、同海軍に編入。
同年、自由フランス海軍に編入。
1950年2月17日、退役。
ランコンプリーズ
L'Incomprise
1934年10月20日
Le Traitラ・セーヌ=マリタイム造船所
1936年4月14日 1938年3月16日 1940年7月3日、ポーツマスにてイギリス海軍に拿捕後、同海軍に編入。
、自由フランス海軍に編入。1950年8月31日、退役。
ラ・プールシュイヴァント
La Poursuivante
1934年8月13日
ダンケルクフランス=ダンケルク造船所
1936年8月4日 1937年11月5日 1942年11月27日、ドイツ海軍による接収を避けるためにトゥーロンにて自沈。
1943年7月、イタリア海軍によって浮揚されるが、修理されずそのまま廃棄。
ボンバルド
Bombarde
1935年2月18日
サン=ナゼール、ロワール造船所
1936年3月23日 1937年8月16日 1942年12月8日、ビゼルトにてイタリア海軍に鹵獲。FR41と改名されイタリア海軍に再就役。
1943年4月6日、ドイツ海軍に接収。TA9と改名されドイツ海軍に再就役。
1944年8月23日、トゥーロンにて連合軍の爆撃を受け撃沈。
ブランルバ
Branlebas
1934年8月27日
ル・アーヴル、オーギュスタン・ノルマン造船所
1937年4月12日 1938年3月16日 1940年7月3日、ポーツマスにてイギリス海軍に拿捕後、同海軍に編入。
1940年12月14日、エディストーン岩礁沖にて、南南西25ノットの強風下を航行中に沈没。
ブークリエ
Bouclier
1934年10月18日
Le Trait、ラ・セーヌ=マリタイム造船所
1937年8月9日 1938年8月6日 1940年7月3日、ポーツマスにてイギリス海軍に拿捕後、同海軍に編入。
1940年8月31日、オランダ海軍に供与。
1941年1月11日、オランダ海軍からイギリス海軍に返還され、即日自由フランス海軍に編入。
1950年8月31日、退役。
バリスト
Baliste
1934年9月20日
ダンケルク、フランス=ダンケルク造船所
1937年3月17日 1938年5月24日 1942年11月27日、ドイツ海軍による接収を避けるためトゥーロンにて自沈。
1943年5月13日、イタリア海軍によって浮揚され、修理を受けFR45と改名され再就役。
同年9月9日にドイツ海軍に接収。TA12と改名され再就役。
同年11月24日、トゥーロンにてアメリカ軍の爆撃により撃沈。

脚注

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  1. ^ 千鳥型は船体の大きさに比して過剰なまでの重装備が災いして演習中に転覆事故を起こしており、後の改修で兵装削減を強いられた経緯がある。スピカ級については、元々イタリア海軍が波風穏やかな地中海を主要作戦行動海域としていたこともあり、このような転覆・沈没事故は起こっていない。
  2. ^ 第二次大戦駆逐艦総覧、54、77-78ページ
  3. ^ 第二次大戦駆逐艦総覧、54、77ページ

参考文献

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  • M.J.ホイットレー、岩重多四郎(訳)『第二次大戦駆逐艦総覧』大日本絵画、2000年、ISBN 4-499-22710-0

関連項目

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第二次世界大戦中に運用された水雷艇

大日本帝国海軍

イタリア王国海軍(Regia Marina)

ドイツ海軍(Kreigsmarine)

外部リンク

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