コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

ラン・フォー・カヴァー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
『ラン・フォー・カヴァー』
ゲイリー・ムーアスタジオ・アルバム
リリース
ジャンル ハードロック
レーベル 10レコード
プロデュース ゲイリー・ムーア、アンディ・ジョンズ、ピーター・コリンズ、ボー・ヒル、マイク・ストーン
専門評論家によるレビュー
チャート最高順位
  • 6位(スウェーデン[1]
  • 7位(ノルウェー[2]
  • 12位(イギリス[3]
  • 20位(日本[4]
  • 23位(ニュージーランド[5]
  • 27位(ドイツ[6]
  • 47位(オランダ[7]
  • 146位(アメリカ[8]
  • ゲイリー・ムーア アルバム 年表
    ウィ・ウォント・ムーア!
    (1984年)
    ラン・フォー・カヴァー
    (1985年)
    ワイルド・フロンティア
    (1987年)
    テンプレートを表示

    ラン・フォー・カヴァー』(Run for Cover)は、北アイルランドギタリストゲイリー・ムーア1985年に発表した7作目のスタジオ・アルバム[9]ヴァージン・レコード傘下の10レコードからリリースされた[10]。多数のミュージシャンがレコーディングに参加し、リード・ボーカルはムーア自身、元トラピーズディープ・パープルグレン・ヒューズ、それにシン・リジィ時代の盟友であるフィル・ライノットの3人が担当した。

    背景

    [編集]

    グレン・ヒューズは本作収録曲のうち4曲でリード・ボーカルを担当するが、過度の飲酒や不摂生な生活が原因でムーアのバンドを解雇される[11]。なお、ムーアとヒューズの人間関係は1999年に修復するが、レコーディングにおける共演は本作限りとなった[11]

    「ミリタリー・マン」はフィル・ライノットがグランド・スラム時代に作った曲で、グランド・スラムによるスタジオ録音も残されているが、2002年まで未発表となっていた[12]。また、「アウト・イン・ザ・フィールズ」ではライノットとムーアがリード・ボーカルを担当した。ライノットは本作リリースに伴うイギリス・ツアーで一部の公演にゲスト参加しており、10月の日本公演に帯同する予定もあったが、ライノットの体調不良により実現しなかった[13]

    「エンプティ・ルーム」は、前スタジオ・アルバム『ヴィクティムズ・オブ・ザ・フューチャー』(1984年)からのシングル・ヒット曲を再録音したもので、7分半のロング・ヴァージョンを収録した12インチ・シングルもリリースされている[14]

    リリース

    [編集]

    LPは9曲入りでリリースされたが[10]、同時期に発売されたCDは「アウト・オブ・マイ・システム」が追加されて10曲入りとなった[15]。また、2002年のリマスターCDではボーナス・トラックが3曲追加された[16]

    反響・評価

    [編集]

    本作のリリースに先行して、ゲイリー・ムーア&フィル・ライノット名義のシングルアウト・イン・ザ・フィールズ」が全英シングルチャートで5位という大ヒットを記録し、続く「エンプティ・ルーム」は全英23位に達した[17]。そして9月に本作が発表されると、全英アルバムチャートでは8週チャート圏内に入り、最高12位を記録して、自身2度目のトップ20入りを果たした[3]

    スウェーデンのアルバム・チャートでは2週連続で6位を記録し、同チャートで自身初のトップ10入りを果たした[1]。また、ノルウェーでは自身初のアルバム・チャート入りを果たし、4週連続でトップ10入りしている[2]。日本のオリコンLPチャートでは20位に達し、自身3度目のトップ20入りを果たす[4]

    Eduardo Rivadaviaはオールミュージックにおいて5点満点中4点を付け「『ラン・フォー・カヴァー』はゲイリー・ムーアの前2作のヘヴィメタル的な要素を保持し、そこに洗練されたポップ色を少々持ち込んだ。有難いことに、それによってアルバム全体のヘヴィネスが損なわれることはなく、ムーアは更に、名バラード"Empty Rooms"の良質なリメイクまで残している」と評した[18]

    収録曲

    [編集]

    特記なき楽曲はゲイリー・ムーア作。

    LP

    [編集]

    Side A

    [編集]
    1. ラン・フォー・カヴァー - "Run for Cover"
    2. リーチ・フォー・ザ・スカイ - "Reach for the Sky"
    3. ミリタリー・マン - "Military Man" (Phil Lynott)
    4. エンプティ・ルーム - "Empty Rooms" (Gary Moore, Neil Carter)

    Side B

    [編集]
    1. アウト・イン・ザ・フィールズ - "Out in the Fields"
    2. ナッシング・トゥ・ルーズ - "Nothing to Lose"
    3. ワンス・イン・ア・ライフタイム - "Once in a Lifetime"
    4. オール・メスド・アップ - "All Messed Up" (G. Moore, N. Carter)
    5. リッスン・トゥ・ユア・ハートビート - "Listen to Your Heartbeat"

    CD

    [編集]
    1. ラン・フォー・カヴァー - "Run for Cover" - 4:13
    2. リーチ・フォー・ザ・スカイ - "Reach for the Sky" - 4:43
    3. ミリタリー・マン - "Military Man" (P. Lynott) - 5:39
    4. エンプティ・ルーム - "Empty Rooms" (G. Moore, N. Carter) - 4:17
    5. アウト・オブ・マイ・システム - "Out of My System" - 4:06
    6. アウト・イン・ザ・フィールズ - "Out in the Fields" - 4:17
    7. ナッシング・トゥ・ルーズ - "Nothing to Lose" - 4:41
    8. ワンス・イン・ア・ライフタイム - "Once in a Lifetime" - 4:18
    9. オール・メスド・アップ - "All Messed Up" (G. Moore, N. Carter) - 4:52
    10. リッスン・トゥ・ユア・ハートビート - "Listen to Your Heartbeat" - 4:32

    リマスターCDボーナス・トラック

    [編集]
    1. スティル・イン・ラヴ・ウィズ・ユー - "Still in Love with You" (P. Lynott) - 5:57
    2. ストップ・メッシン・アラウンド(ライヴ) - "Stop Messin' Around (Live)" (Peter Green, Adams) - 4:07
    3. マーダー・イン・ザ・スカイズ(ライヴ) - "Murder in the Skies (Live)" (G. Moore, N. Carter) - 5:23

    参加ミュージシャン

    [編集]

    トラック・ナンバーは上記「CD」に対応。

    • ゲイリー・ムーア - ギター(all)、リード・ボーカル(on #1, #4, #6, #8, #10)、バッキング・ボーカル(on #2, #3, #5, #7, #9)
    • グレン・ヒューズ - リード・ボーカル(on #2, #5, #7, #9)、ベース(on #1, #2, #5, #7, #9)
    • フィル・ライノット - リード・ボーカル(on #3, #6)、バッキング・ボーカル(on #7)、ベース(on #3, #6)
    • アンディ・リチャーズ - キーボード(on #1, #2, #3, #4, #5, #6, #8, #10)
    • ドン・エイリー - キーボード(on #3, #6)
    • ニール・カーター - キーボード(on #5, #7, #8, #10)、バッキング・ボーカル(on #1, #4, #7, #8, #10)
    • ボブ・デイズリー - ベース(on #8)
    • ゲイリー・ファーガソン - ドラムス(on #1, #8, #9, #10)
    • チャーリー・モーガン - ドラムス(on #3, #6)、シモンズ・ドラムス(on #2, #3)
    • ジェイムス・"ジンボ"・バートン - サンプル・ドラムス(on #4)
    • ポール・トンプソン - ドラムス(on #5, #7)

    脚注

    [編集]
    1. ^ a b swedishcharts.com - Gary Moore - Run For Cover
    2. ^ a b norwegiancharts.com - Gary Moore - Run For Cover
    3. ^ a b GARY MOORE | Artist | Official Charts - 「Albums」をクリックすれば表示される - 2015年2月22日閲覧
    4. ^ a b 『オリコンチャート・ブックLP編(昭和45年‐平成1年)』(オリジナルコンフィデンス/1990年/ISBN 4-87131-025-6)p.136
    5. ^ charts.org.nz - Gary Moore - Run For Cover
    6. ^ charts.de - Discographie - Gary Moore - 2014年6月22日閲覧
    7. ^ dutchcharts.nl - Gary Moore - Run For Cover
    8. ^ Gary Moore | Awards | AllMusic
    9. ^ ゲイリー・ムーア・バンド名義の『グラインディング・ストーン』とG-FORCE名義の『G-FORCE』を含む
    10. ^ a b Gary Moore - Run For Cover (Vinyl, LP, Album) at Discogs
    11. ^ a b 【インタビュー】グレン・ヒューズ、ジョン・ロード/ゲイリー・ムーア/ロニー・ジェイムズ・ディオとの出会い【後編】 | Glenn Hughes | BARKS音楽ニュース - 2014年5月31日閲覧
    12. ^ Studio Sessions - Grand Slam, Phil Lynott | AllMusic - Review by Greg Prato
    13. ^ 日本盤リマスターCD(TOCP-54219)ライナーノーツ(伊藤政則、2002年9月6日)
    14. ^ Gary Moore - Empty Rooms (Vinyl) at Discogs - 1985年の12インチ・シングルの情報
    15. ^ Gary Moore - Run For Cover (CD, Album) at Discogs
    16. ^ Gary Moore - Run For Cover (CD, Album) at Discogs - 2002年リマスターCDの情報
    17. ^ GARY MOORE | Artist | Official Charts - 2015年2月22日閲覧
    18. ^ Run for Cover - Gary Moore | AllMusic - Review by Eduardo Rivadavia