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モデルス・ベータ (新造車両)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
モデルス・ベータ(新造車両)
MF 02 AC
ポズナン市電
2011年撮影)
基本情報
製造所 モダトランス
製造年 2011年 -
運用開始 2011年(ポズナン市電)
投入先 ポズナン市電シュチェチン市電シレジア・インターアーバンヴロツワフ市電ポーランド語版エルブロンク市電グルジョンツ市電
主要諸元
編成 3車体連接車ボギー車
軌間 1,000 mm1,435 mm
電気方式 直流600 V
架空電車線方式
設計最高速度 70 km/h
車両定員 3車体連接車
着席30人
折り畳み座席9人分
立席177人
車両重量 3車体連接車 40.65 t
全長 3車体連接車 28,250 mm
全幅 3車体連接車 2,354 mm
全高 3車体連接車 3,350 mm
床面高さ 3車体連接車
925 mm(高床部分)
350 mm(低床部分)
300 mm(低床部分・乗降扉付近)
(低床率25 %)
主電動機 誘導電動機
備考 主要数値は[1][2]に基づく。
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モデルス・ベータ(Moderus Beta)は、ポーランドの鉄道車両メーカーであるモダトランスが展開する路面電車車両。バリアフリーに適した低床構造を有した車両で、ポーランド各地の路面電車への導入が行われている。そのうち、この項目ではモダトランスが新造した車両について解説する[1][2]

概要

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モダトランスは、ポズナン市電の運営事業者であるポズナン市交通会社ポーランド語版バス修理工場を母体に2005年に設立された車両製造メーカーである。翌2006年から路面電車の製造を実施しており、その中で2009年にポズナン市交通会社から、車体の一部に低床構造を含む連接式電車の発注を受けた。これを受け、2011年から生産が開始されたのが「モデルス・ベータ」である。当初は既存のボギー車コンスタル105Na)を改造する計画であったが、最終的にこれを基にしながらも全ての部品を新造する形となった[1][2][3][4][5]

前述の通りモデルス・ベータは車内の一部の床上高さを下げた低床構造になっているのが特徴で、バリアフリーへの対応が図られている。主電動機には誘導電動機が用いられており、全ての車種の運転台には冷暖房双方に対応した空調装置が完備されている。それ以外の構造については顧客の需要に応じた変更が可能であり、運転台の数(片運転台、両運転台)、編成(連接車ボギー車)、客室の空調設備など、形式による差異が存在する[1][2][3]

車種・運用

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2011年にポズナン市電向けの車両である「MF 02 AC」が営業運転を開始して以降、モデルス・ベータのうちモダトランスで製造された車両は以下のポーランドの各都市に導入されている。前述の通り、各都市の需要に対応するため、編成や空調、運転台の数が異なる様々な車種の展開が実施されている[1][2][3][6][7][8]

モデルス・ベータ(新造車両) 導入都市・形式一覧
都市 形式 編成 運転台 両数 備考・参考
ポズナン
(ポズナン市電)
MF 02 AC 3車体連接車 片運転台 24両 1両は教習用車両[6]
MF 20 AC 3車体連接車 片運転台 20両 [6]
MF 22 AC BD 3車体連接車 両運転台 10両 [6]
シュチェチン
(シュチェチン市電)
MF 15 AC 3車体連接車 片運転台 2両 [7]
MF 25 AC 3車体連接車 片運転台 2両 車内に空調を完備[7]
MF 29 AC BD 3車体連接車 両運転台 2両 車内に空調を完備[7]
アッパーシレジア
(シレジア・インターアーバン)
MF 16 AC BD 3車体連接車 両運転台 12両 愛称は「スカルベック(Skarbek)」[8]
MF 10 AC ボギー車 片運転台 13両 車内に空調を完備
愛称は「カシア(Kasia)」[8]
MF 11 AC BD ボギー車 両運転台 2両 車内に空調を完備
愛称は「カシア(Kasia)」[8]
ヴロツワフ
(ヴロツワフ市電ポーランド語版)
MF 19 AC 3車体連接車 片運転台 22両 車内に空調を完備[9][10]
MF 24 AC 3車体連接車 片運転台 40両 車内に空調を完備[9][10]
エルブロンク
(エルブロンク市電)
MF 09 AC ボギー車 片運転台 5両 車内に空調を完備[11][12][13]
グルジョンツ
(グルジョンツ市電)
MF 28 AC 3車体連接車 片運転台 4両 車内に空調を完備
グルジョンツ市電初の超低床電車[3][14]

ギャラリー

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脚注

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注釈

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出典

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  1. ^ a b c d e 服部重敬「欧州のLRV 最新事情」『路面電車EX』第13巻、イカロス出版、2019年6月20日、90-91頁、ISBN 9784802206778 
  2. ^ a b c d e Moderus Beta”. MODERTRANS POZNAŃ Sp. z o.o.. 2023年4月22日閲覧。
  3. ^ a b c d Historia”. MODERTRANS POZNAŃ Sp. z o.o.. 2023年4月22日閲覧。
  4. ^ Marek Graff (2015/7-8). “Nowy tabor tramwajowy w Polsce” (PDF). TTS Technika Transportu Szynowego (Instytut Naukowo-Wydawniczy „SPATIUM” sp. z o.o): 62. https://yadda.icm.edu.pl/baztech/element/bwmeta1.element.baztech-b6a4adc0-b1a1-43b7-8650-28c3efcbc459/c/Graff_Nowy.pdf 2023年4月22日閲覧。. 
  5. ^ Arkadiusz Lubka; Marcin Stiasny (2010). Atlas tramwajów. kolpress. pp. 85. ISBN 978-83-920784-6-3 
  6. ^ a b c d Tramwaje liniowe”. Miejskie Przedsiębiorstwo Komunikacyjne w Poznaniu Spółka z o.o.. 2023年4月22日閲覧。
  7. ^ a b c d Wagony liniowe”. Tramwaje Szczecińskie. 2023年4月22日閲覧。
  8. ^ a b c d Wagony liniowe”. Tramwaje Śląskie S.A.. 2023年4月22日閲覧。
  9. ^ a b Nasze pojazdy”. Miejskie Przedsiębiorstwo Komunikacyjne Sp. z o.o.. 2023年4月22日閲覧。
  10. ^ a b Libor Hinčica (2017年7月25日). “Modertrans dodá další tramvaje do Wrocławi”. Československý Dopravák. 2023年4月22日閲覧。
  11. ^ Witold Urbanowicz. “Elbląg z umową na piąty tramwaj Modertransu. Przyjedzie w 2021 r.”. Transport Publiczny. 2023年4月22日閲覧。
  12. ^ Witold Urbanowicz. “Elbląg z umową na piąty tramwaj Modertransu. Przyjedzie w 2021 r.”. Transport Publiczny. 2023年4月22日閲覧。
  13. ^ Witold Urbanowicz. “The demonstration of the Moderus Beta MF 09 AC”. Enika. 2023年4月22日閲覧。
  14. ^ Libor Hinčica (2022年6月6日). “První nízkopodlažní tramvaj pro polský Grudziądz”. Československý Dopravák. 2023年4月22日閲覧。