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メアリー・ハロック=グリーンウォルト

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
メアリー・ハロック=グリーンウォルト

Mary Hallock-Greenewalt
メアリー・ハロック=グリーンウォルトの肖像画(トマス・エイキンズ作、1903年、ウィチタ美術館 the Roland P. Murdock Collection)
生誕 1871年9月8日
オスマン帝国の旗 オスマン帝国ベイルート
死没 (1950-11-27) 1950年11月27日(79歳没)
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国ペンシルベニア州フィラデルフィア
職業 発明家ピアニスト
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メアリー・エリザベス・ハロック=グリーンウォルト(Mary Elizabeth Hallock-Greenewalt、1871年9月8日 - 1950年11月27日[1]は、ベイルート生まれの発明家ピアニストフィラデルフィアピッツバーグの交響楽団でソリストとして活躍)。「ヌールアサール」と自ら命名した一種のヴィジュアル・ミュージック[2][3]の発明家として知られる。

生涯

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1871年オスマン帝国ベイルートに生まれ。父はサミュエル・ハロック、母はサラ・タベト。11歳の時、母親に精神疾患の症状が現れ、兄弟とともに、親戚や友人を頼ってアメリカ合衆国に渡り[4] 、フラデルフィアで育つ。フィラデルフィア芸術大学でピアノを学び、さらにウィーンテオドル・レシェティツキに師事。フラデルフィアに戻ると、医師のフランク・L・グリーンウォルトと結婚。息子のクロフォード・グリーンウォルトは後に化学技術者となり、デュポン社の社長を務めた[5]

後半生はデラウェア州ウィルミントンで過ごした。

1950年、フィラデルフィアで死去。79歳だった[1]

ピアニストとして

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1920年3月、コロムビア・レコードからショパン作曲『24の前奏曲第20番、第7番、第4番』『夜想曲第12番』をリリースした。なお、この音源は2018年に日本で発売された『レシェティツキの弟子たち 第1集』(サクラフォン)に収録されている。

発明家として

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メアリー・ハロック=グリーンウォルトと自作のカラーオルガン"サラベト"

カラーオルガン

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アラビア語nour(光)とathar(〜のエッセンス)から「ヌールアサール」名付けられた。画家アレクサンダー・ ウォレス・リミントンの発明したカラー・ミュージックとは異なり、特定の色と特定の音とを厳密に対応させず、演奏者の気分と能力に合わせて変えられるようにした[6]

最初、メアリーは色のついた光をレコードと同期させる自動機械を作ろうとした。しかし満足な結果が得られず、結果として、実際にコンサートで演奏可能な機械を製作した。

このカラーオルガンは彼女の母の名前にちなんで「サラベト」と名付けられた。それに伴いさらに多くの発明をし、米国特許商標庁から9件の特許が認められた。しかし可変抵抗器のいくつかについてはゼネラル・エレクトリックら数社が特許権を侵害。メアリーは訴え、1934年に勝訴した[7]。サラベトはさらに1916年から1934年にかけて改良を重ねた[7]1946年には『Nourathar: The Fine Art of Light-Color Playing』という本を出版[8]

手描きフィルム

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彼女は最初期のダイレクトアニメーションの作家であったとマイケル・ベタンコート[9]は指摘している。もっともそれは通常の映画ではなく、サラベトの初期ヴァージョン(トーマス・エジソンキネトスコープのように1人の観客が機械を覗き見る構造)で鑑賞するために制作されたものと思われる。型板とエアゾールで幾何学模様を手描したこれらの作品は、レン・ライ英語版の抽象アニメに似たもので、現代のオーディオプレイヤーのビジュアライザーにも似ているかもしれない。

脚注

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  1. ^ a b Ancestry.com. Pennsylvania, Death Certificates, 1906-1963 [database on-line]. Provo, UT, USA: Ancestry.com Operations, Inc., 2014. Original data: Pennsylvania (State). Death certificates, 1906–1963. Series 11.90 (1,905 cartons). Records of the Pennsylvania Department of Health, Record Group 11. Pennsylvania Historical and Museum Commission, Harrisburg, Pennsylvania.
  2. ^ 土居伸彰. “ヴィジュアル・ミュージック/モーション・グラフィックス”. artscape. 2020年1月30日閲覧。
  3. ^ 韓松鈴 (2015年7月13日). “ImageForumFestival2015レポート番外〜ヨースト・レクフェルト多摩美講演〜”. 多摩美術大学. 2020年1月30日閲覧。
  4. ^ "'New York, Passenger Lists, 1820-1891,' index and images". FamilySearch. 468 - 9 Jul 1883-7 Aug 1883 > image 528 of 972; citing NARA microfilm publication M237 (Washington D.C.: National Archives and Records Administration, n.d.). Retrieved 17 March 2015.}
  5. ^ Collection 867: Mary Elizabeth Hallock Greenewalt Papers”. Historical Society of Pennsylvania. 17 March 2015閲覧。
  6. ^ (english) Harmony and Dissent: Film and Avant-garde Art Movements in the Early Twentieth Century. Wilfrid Laurier University Press. (2010). p. 77. ISBN 978-1554582266 
  7. ^ a b Industrial Light and Magic” (英語). Topic. 2019年6月16日閲覧。
  8. ^ Greenewalt, Mary Elizabeth Hallock- (1946). Nourathar, the fine art of light color playing. Philadelphia, Pa.: Westbrook publishing company. https://catalog.hathitrust.org/Record/001459726 
  9. ^ マイケル・ベタンコート”. 三元社. 2020年1月30日閲覧。

参考文献

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外部リンク

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