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トル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ミリトルから転送)
トル
torr
記号 Torr
メートル法
圧力
SI133.322 Pa
定義 101325 / 760 Pa[1]
由来 標準大気圧の760分の1の圧力
語源 エヴァンジェリスタ・トリチェリ
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トル(torr、記号: Torr)は、圧力単位である。メートル法に基づく単位であるが、SI単位ではない。

トルは日本の計量法体系においては、特殊な計量である「生体内の圧力の計量」[2] [3]に限って使用することができる。正確に101325/760 Paと定義されている。[1]。これは標準大気圧1760という意味である。約133.322 Paである。

現在では、日本においては、1トルは水銀柱ミリメートルと完全に同一の定義である[4]

分量単位

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計量法では、トルの分量単位である次のものを「生体内の圧力の計量」に限って使用することができる[5]

  • ミリトル(mTorr) = 10−3 Torr
  • マイクロトル(μTorr) = 10−6 Torr

単位記号

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トル、ミリトル、マイクロトルの単位記号は、それぞれ「Torr」、「mTorr」、「μTorr」である[6]。Torrの「T」の文字が大文字であることに注意。これはトルが人名(エヴァンジェリスタ・トリチェリ Evangelista Torricelli)に由来するからである。

トルは時々、誤って記号"T"で表されることがあるが、これはSI単位テスラ(T)の記号であり、混乱を招くので使用すべきではない。"Tor"と書かれることもあるが、これも誤りである。

なお、単位の名称は英語で"torr"と書かれる。この場合は、「Torr」とはしない。

水銀柱ミリメートルとの関係

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現今では、日本の計量法は、トルも水銀柱ミリメートルも、定義は全く同じ「101 325/760 パスカル」としている[7]。したがってその数値に違いはない。 しかし、その使い方には違いがあり、トルは血圧の計量には使用することができない。詳細は水銀柱ミリメートル#日本における使い分けを参照のこと。

歴史

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この単位の名は、1644年気圧計の原理を発見したイタリアの科学者、エヴァンジェリスタ・トリチェリに因む[8]

トリチェリが初の水銀気圧計を公表したとき、かなりの注目を集めた。彼は、気圧について初の現代的な説明をした。科学者は、気圧計の液面の高さの小さな変動をよく知っていた。これらの変動は気圧の変化の徴候として説明され、気象学が生まれた。

時間とともに、0における高さ760ミリメートルの水銀柱が与える圧力は、標準的大気圧に等しいと考えられるようになった。0℃における高さ1ミリメートルの水銀柱が与える圧力を圧力の単位とし、トリチェリを記念して「トル」と命名された。しかし、重力加速度が高度と緯度によって変わるため、水銀柱の重さが変わり、トルの値が場所によって異なることになる。

1954年の第10回国際度量衡総会で、気圧の定義が改められ、1気圧は正確に101325 Paに等しいと定められた[9]。また、トルは1気圧の1760として再定義された。これは、水銀の密度重力加速度の測定値から独立した、明確で正確な定義である。

関連項目

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圧力の単位
パスカルSI単位) バール 工学気圧 気圧 トル psi
1 Pa N/m2 = 10−5 bar 10.2×10−6 at 9.87×10−6 atm 7.5×10−3 Torr 145×10−6 psi
1 bar = 100000 Pa ≡ 106 dyn/cm2 ≈ 1.02 at ≈ 0.987 atm ≈ 750 Torr ≈ 14.504 psi
1 at = 98066.5 Pa = 0.980665 bar kgf/cm2 ≈ 0.968 atm ≈ 736 Torr ≈ 14.223 psi
1 atm = 101325 Pa = 1.01325 bar ≈ 1.033 at p0 = 760 Torr ≈ 14.696 psi
1 Torr ≈ 133.322 Pa ≈ 1.333×10−3 bar ≈ 1.360×10−3 at ≈ 1.316×10−3 atm ≡ 1 mmHg ≈ 19.337×10−3 psi
1 psi 6894.757 Pa 68.948×10−3 bar ≈ 70.307×10−3 at ≈ 68.046×10−3 atm 51.7149 Torr ≡ 1 lbf/in2

出典

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  1. ^ a b 計量単位令 別表第6 項番11、生体内の圧力の計量、トル、パスカル又はニュートン毎平方メートルの七百六十分の十万千三百二十五
  2. ^ 「生体内の圧力」とは、例えば、頭蓋内圧力、眼圧気道内圧、膀胱内圧力のことであり、血圧」はここでいう「生体内の圧力」ではないことに注意。
  3. ^ [1] 生体内圧力の計量単位について(周知) 2011年12月 経済産業省 計量行政室
  4. ^ 計量単位令 別表第6 項番11 生体内の圧力の計量 トルの欄及び項番12 血圧の計量の欄 水銀柱ミリメートルの欄
  5. ^ 計量単位令 別表第6 項番11、生体内の圧力の計量、ミリトル、マイクロトル
  6. ^ 計量単位規則 別表第4 生体内の圧力の計量、トル、ミリトル、マイクロトル
  7. ^ 計量単位令 別表第6 項番11、項番12 
  8. ^ 水銀ではなく水を使った、最新の気圧計に類似した装置は、1640年代前半に何人かの科学者によって研究されていた(History of the Barometerを参照)。トリチェリによる気圧計の原理の説明は、1644年6月11日の日付のあるミケランジェロ・リッチあての手紙で初めて示されている。
  9. ^ BIPM – Resolution 4 of the 10th CGPM