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ミヤコアザミ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ミヤコアザミ
長野県諏訪地域 2022年8月上旬
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : キク上類 Superasterids
階級なし : キク類 Asterids
階級なし : キキョウ類 Campanulids
: キク目 Asterales
: キク科 Asteraceae
亜科 : アザミ亜科 Carduoideae
: トウヒレン属 Saussurea
: ミヤコアザミ
S. maximowiczii
学名
Saussurea maximowiczii Herder (1869)[1]
和名
ミヤコアザミ(都薊)[2]

ミヤコアザミ(都薊、学名:Saussurea maximowiczii)は、キク科トウヒレン属多年草。アザミとつくが、キク科アザミ属の植物ではない[2][3][4]

特徴

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は直立し、高さは50 - 150cmになる。茎に翼は無く、短毛がまばらに生え、腺点があり、上部でまばらに分枝する。根出葉は花時にも生存する。根出葉の葉身は草質で、長楕円形になり、大型で長さ11 - 30cm、縁は羽状に深裂し、裂片は4 - 6対になって卵形から卵状披針形になり、縁に不整の鋸歯があるか、または波状縁になる。両面に短毛が生え、裏面にまばらに腺点があり、葉柄は5 - 22cmになる。茎の中部以上につくは互生し、葉身は披針形になり、縁に鋸歯があり、上部にいくにしたがって小さくなり、全縁となる[2][3][4]

花期は9 - 10月。頭状花序は多数が散房状に密集してつき、頭花の径は10mmになり、花柄は長さ5 - 20cmになる。総苞は長さ10 - 14mm、径6mmになる筒形で、ふつうくも毛があるがときに無い。総苞片は7 - 8列あり、縁は紫褐色になり、総苞外片は卵形で円頭、総苞内片の5分の1の長さ以下になる。頭花は筒状花のみからなり、花冠の長さは11 - 13mm、色は紫紅色になる。果実は長さ5mmになる痩果になる。冠毛は2輪生で、落ちやすい外輪は長さ0.1 - 3mm、花後にも残る内輪は長さ9mmになる。染色体数2n=26[2][3][4]

分布と生育環境

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日本では、岩手県以南の本州、四国、九州に分布し[3]、山地の湿った草原[4]夏緑林の林縁に生育する[3]。世界では、朝鮮半島中国大陸(東北部・内蒙古)、ロシア沿海地方に分布する[3]

名前の由来

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和名ミヤコアザミは、「都薊」の意で、アザミ属に似ているが、アザミ属とは異なるトウヒレン属の種であり、上品でやさしい姿を都の人にたとえたもの[4]。古くからある名前であり、1856年(安政3年)に出版された飯沼慾斎の『草木図説』前編20巻中第15巻に「ミヤコアザミ」が記載されているが、その名前の由来についてはふれられていない[5]

種小名(種形容語)maximowiczii は、ロシア人の東亜植物研究者、カール・ヨハン・マキシモヴィッチへの献名である[6]

種の保全状況評価

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国(環境省)のレッドデータブックレッドリストでの選定はない。都道府県のレッドデータ、レッドリストの選定状況は次の通り[7]。岩手県-Bランク、宮城県-絶滅危惧I類(CR+EN)、福島県-絶滅危惧IA類(CR)、茨城県-絶滅危惧II類、埼玉県-絶滅危惧IA類(CR)、千葉県-最重要保護生物(A)、東京都-絶滅(EX)、神奈川県-絶滅危惧II類(VU)、富山県-絶滅危惧I類、長野県-準絶滅危惧(NT)、愛知県-絶滅危惧II類(VU)、三重県-絶滅危惧IB類(EN)、滋賀県-絶滅危惧種、京都府-絶滅寸前種、大阪府-絶滅、兵庫県-Cランク、奈良県-絶滅寸前種、和歌山県-絶滅危惧IB類(EN)、鳥取県-準絶滅危惧(NT)、島根県-情報不足(DD)、山口県-絶滅危惧IB類(EN)、徳島県-絶滅危惧I類(CR)、香川県-絶滅危惧I類(CR+EN)、高知県-絶滅危惧IA類(CR)、福岡県-絶滅危惧IA類(CR)、佐賀県-絶滅種、熊本県-絶滅危惧II類(VU)、大分県-準絶滅危惧(準)、宮崎県-絶滅危惧IB類(EN-r,g)、鹿児島県-絶滅危惧I類。

ギャラリー

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下位分類

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マルバミヤコアザミ

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マルバミヤコアザミ(学名:Saussurea maximowiczii Herder f. serrata (Nakai) Kitam. (1937)[8]シノニムSaussurea maximowiczii Herder var. platyphylla Makino (1927)[9])- 葉が羽状に分裂しないものを品種として区分することがある[8][4]門田裕一 (2017) は、『改訂新版 日本の野生植物 5』「キク科トウヒレン属」において、マルバミヤコアザミは品種扱いとはせず、ミヤコアザミの別名とし、f. serrata (Nakai) Kitam. はシノニムの扱いとし、葉が羽状に分裂しないものを内の「マルバミヤコアザミ型」としている[3]

保全状況評価

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国(環境省)のレッドデータブック、レッドリストでの選定はない。都道府県のレッドデータ、レッドリストの選定状況は次の通り[10]。長野県-絶滅危惧IB類(EN)。

ギャラリー

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分類

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トウヒレン属内のキクアザミ Saussurea ussuriensis に似る。葉が羽状に深裂し、頭花が散房状につく点ではミヤコアザミはキクアザミに似るが、本種はキクアザミと比べると頭花がややまばらにつく[4]。また、本種の総苞片は7-8列で、先は円頭であるが、キクアザミの総苞片5-7(-8)列で、先は鋭頭になる[11]

脚注

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  1. ^ ミヤコアザミ 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  2. ^ a b c d 『山溪ハンディ図鑑2 山に咲く花(増補改訂新版)』p.563
  3. ^ a b c d e f g 門田裕一 (2017)『改訂新版 日本の野生植物 5』「キク科トウヒレン属」p.259
  4. ^ a b c d e f g 『新分類 牧野日本植物図鑑』p.1133
  5. ^ 飯沼慾斎 草木図説前編20巻(15)、ミヤコアザミ、コマ番号54/74、国立国会図書館デジタルコレクション-2022年10月15日閲覧
  6. ^ 『新分類 牧野日本植物図鑑』p.1502
  7. ^ ミヤコアザミ、日本のレッドデータ検索システム、2022年10月15日閲覧
  8. ^ a b マルバミヤコアザミ 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  9. ^ マルバミヤコアザミ(シノニム) 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  10. ^ マルバミヤコアザミ、日本のレッドデータ検索システム、2022年10月15日閲覧
  11. ^ 門田裕一 (2017)『改訂新版 日本の野生植物 5』「キク科トウヒレン属」pp.255-256

参考文献

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