マーク・T・ヴァンデハイ
マーク・T・ヴァンデハイ | |
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NASA 宇宙飛行士 | |
国籍 | アメリカ合衆国 |
現況 | 現役 |
生誕 |
1966年11月10日(58歳) アメリカ合衆国バージニア州フォールズチャーチ |
他の職業 | ISS運用管制官 |
階級 | アメリカ陸軍大佐(退役) |
宇宙滞在期間 | 523日8時間59分 |
選抜試験 | 2009年 NASAグループ20 |
宇宙遊泳回数 | 4[1] |
宇宙遊泳時間 | 26 hours 42 minutes |
ミッション | ソユーズMS-06(第53/54次長期滞在)、ソユーズMS-18/ソユーズMS-19(第64/65/66次長期滞在) |
記章 |
マーク・トーマス・ヴァンデハイ[注釈 1](Mark Thomas Vande Hei、1966年11月10日-)はアメリカ陸軍の退役将校にして現在はNASAの宇宙飛行士であり[2]、国際宇宙ステーションでの第53次、54次、64次、65次および第66次長期滞在ではフライトエンジニアを務めた[3][4]。
生い立ちと教育
[編集]バンデハイは1966年11月10日にアメリカ合衆国バージニア州フォールズチャーチで生まれた。
1985年にミネソタ州セント・ルイス・パークにあるベニルド=セント・マーガレット高校を卒業した。1989年にセント・ジョーンズ大学から物理学を主専攻として理学士号を授与され、1999年にはスタンフォード大学から応用物理学の修士号(理学)を授与された[5]。
軍歴
[編集]ヴァンデハイは1989年に予備役将校訓練課程と通じてアメリカ陸軍に任官され、工兵としてイラクでプロバイド・コンフォート作戦に派遣された[5]。1999年に修士号を得てからは、ウェストポイントの陸軍士官学校で物理学のアシスタント・プロフェッサーとなった。2003年、ピーターソン空軍基地の陸軍第一宇宙大隊の一員となった。ヴァンデハイはイラク戦争で再びイラクに派遣された[5]。2016年10月に大佐の階級で退役した[6]。
NASAでのキャリア
[編集]ヴァンデハイは2006年からジョンソン宇宙センターに配備された陸軍部隊の一部として勤務を開始した。国際宇宙ステーションへの宇宙空間にいる宇宙飛行士とのコミュニケーションに責任を持つ運用管制官である連絡士官として勤務した。2009年6月、NASA宇宙飛行士グループ20のメンバーに選別され、2011年6月に宇宙飛行士候補者の訓練を完了した。
2014年6月10日、NASAはヴァンデハイが宇宙飛行士として、2014年7月21日から9日間にわたる第18回NASA極限環境ミッション運用NEEMO18のあいだ海底研究室アクエリアスに参加すると発表した[7][8]。
2015年5月、ソユーズMS-04に搭乗して2017年3月に打ち上げが予定されていた第51次/52次長期滞在に割り当てられたことが発表された。ヴァンデハイは2016年11月に2017年にソユーズMS-06で打ち上げられるISS第53/54次長期滞在に割り当てが変更された[9]。
第53/54次長期滞在
[編集]ヴァンデハイは第53/54次長期滞在の一員として、2017年9月12日にソユーズMS-06で宇宙へと打ち上げられた。打ち上げ後、乗組員は迅速ランデブーを行い、約6時間後にISSに自動的にドッキングした[10]。
2017年10月5日、ヴァンデハイは自身初めての宇宙遊泳をランドルフ・ブレスニクとともに行った。この宇宙遊泳ではカナダアーム2のラッチングエンドエフェクターA(LEE-A)が交換された。船外活動時間は6時間55分だった[11]。2017年10月10日、両名は2回目の船外活動を行った。6時間26分かけて新しく設置されたエフェクターの潤滑とカメラの交換が行われた。
この長期滞在は2018年2月27日午後9:31(EST)に終了し、ヴァンデハイ、ブレスニクおよび3人目の乗組員であるジョセフ・アカバは無事に地球に帰還した[3]。
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ISSに搭載されたデスティニー実験室のヴァンデハイ
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2017年に船外活動中のヴァンデハイ
第64/65/66次長期滞在
[編集]2021年3月にヴァンデハイがフライトエンジニアとしてソユーズMS-18に搭乗して2回目の宇宙飛行を行い、ISS第64/65次長期滞在の一員となることが確認された[12][13]。2021年4月9日、ヴァンデハイはロスコスモスの宇宙飛行士オレッグ・ノヴィツキーおよびピョートル・ドゥブロフとともにソユーズMS-18に搭乗し、米国東部標準時午前3:42に成功裡に打ち上げられた[14]。
2021年9月14日、ヴァンデハイおよびピョートル・ドゥブロフの両名の6ヶ月のステーション滞在がさらに6ヶ月延長されることが発表された[15]。これはヴァンデハイが353日間という記録でアメリカ人宇宙飛行士による最長宇宙飛行記録を破ることを意味した。2022年1月6日、ヴァンデハイとドゥブロフはISSで273日を過ごし、272日間搭乗したアンドリュー・R・モーガンの記録を凌駕した[16]。地球への期間の直前にヴァンデハイは宇宙で340日を過ごし、スコット・ケリーの記録を破りアメリカ人による最長宇宙飛行記録保持者となった[17]。
ヴァンデハイは宇宙空間で355日を過ごし、人間の長期間の宇宙飛行の影響を観察する任務を果たした後に2022年3月30日にソユーズMS-19で地球に帰還した [18][19]。
2022年のロシアの撤退による脅威
[編集]2022年3月10日、ドミトリー・ロゴージンはロシアのウクライナ侵攻後にロシアに課せられたハイテク製品の輸入に関してのアメリカの制裁に対する報復として、ISSのヴァンデハイを放棄すると脅迫する動画をソーシャルメディアに投稿した[20][21]。ヴァンデハイは3月30日に予定通りに着陸した[18]。
私生活
[編集]ヴァンデハイはヴァージニア州で生まれ、ニュージャージー州とミネソタ州で育った。ジュリー・ヴァンデハイと結婚し、2人の子供をもうけた[5]。
映画出演
[編集]2021年5月14日、省庁間委員会は2021年から2023年にかけてのISSのメインおよび代替乗組員の人選を了承した[22]。アントン・シュカプレロフ(船長)および映画 The Challenge((ロシア語: Вызов, tr. Vyzov) の2人のクルー(女優のユリア・ペレシルドおよび映画監督のクリム・シペンコ)がソユーズMS-19に搭乗してISSに向かった。この映画はロスコスモス、チャンネル1およびイエロー、ブラック・アンド・ホワイトスタジオの合弁事業である[23][24] 。
映画監督と女優は2021年10月17日にオレッグ・ノヴィツキー船長とともにソユーズMS-18で地球に帰還した。ピョートル・ドゥブロフおよびマーク・ヴァンデハイ両飛行士は2022年3月30日に、ソユーズMS-18でISSに到着したシュカプレロフトと主にソユーズMS-19で地球に帰還した[25][26]。
ISSでの映画撮影
[編集]クリム・シペンコは監督、オペレーター、美術監督およびメイクアップアーティストとしてISSで35分から40分の映画撮影を行った。オレッグ・ノヴィツキーおよびピョートル・ドゥブロフも映画に登場する予定であり[27]、ドゥブロフおよびヴァンデハイも制作を援助した[28]。
脚注
[編集]この記事にはパブリックドメインである、アメリカ合衆国連邦政府のウェブサイトもしくは文書本文を含む。
注釈
[編集]- ^ 日本語では「ヴァンデ・ハイ」「ヴァンデ・ヘイ」との記述もあるが、ここではJAXAのWebサイトに従う
出典
[編集]- ^ “EVA information for Mark Vande Hei”. October 8, 2017閲覧。
- ^ NASA HQ (June 29, 2009). “NASA Selects New Astronauts for Future Space Exploration”. NASA. June 29, 2009閲覧。
- ^ a b NASA Television Coverage Set for Next International Space Station Crew Launch
- ^ “Touchdown! Three Expedition 54 Crewmates Back on Earth – Space Station” (英語). blogs.nasa.gov. February 28, 2018閲覧。
- ^ a b c d “Astronaut Bio: Mark T. Vande Hei”. NASA (April 2021). July 20, 2021閲覧。
- ^ “Army astronaut retires after 27 years of service”. U.S. Army (October 7, 2016). February 17, 2019閲覧。
- ^ “NASA Announces Two Upcoming Undersea Missions”. NASA (June 10, 2014). June 26, 2014閲覧。
- ^ Bergin, Chris (June 11, 2014). “NEEMO returns with two new underwater missions”. NASASpaceflight. June 24, 2014閲覧。
- ^ “NASA Updates 2017 International Space Station Crew Assignments”. NASA (November 15, 2016). November 22, 2016閲覧。
- ^ Deland, Dave (September 13, 2017). “Vande Hei '89 reaches orbit as first Johnnie astronaut”. College of St. Benedict / St. John's University September 27, 2017閲覧。
- ^ Harwood, William. “Aging robot arm gets spacewalk surgery”. cbsnews. October 5, 2017閲覧。
- ^ “NASA Assigns Astronaut Mark Vande Hei to International Space Station Crew”. NASA (March 9, 2021). April 9, 2021閲覧。
- ^ Garcia, Mike (April 8, 2021). “NASA TV Broadcasts Friday Launch to Station on Soyuz Crew Ship”. NASA. April 9, 2021閲覧。
- ^ Garcia, Mike (April 9, 2021). “Station Crew Blasts Off on Short Ride to Station”. NASA. April 9, 2021閲覧。
- ^ “NASA astronaut to stay on ISS for nearly a year” (2021年9月14日). 2021年9月26日閲覧。
- ^ NASA (2022年1月6日). “Biology and Agriculture Research on Space Station As Astronaut Begins Record-Breaking Spree” (英語). SciTechDaily. 2022年1月7日閲覧。
- ^ “Mark Vande Hei's Contributions to Human Research Studies” (14 March 2022). 2022年6月12日閲覧。
- ^ a b Davenport, Christian (March 30, 2022). “NASA astronaut Mark Vande Hei, Russian cosmonauts return safely to Earth” (英語). Washington Post. ISSN 0190-8286 March 30, 2022閲覧。
- ^ “NASA Astronaut to Discuss American Space Record in News Conference”. NASA.gov. 2022年6月12日閲覧。
- ^ “Russia threatens to abandon American astronaut in space as sanctions threaten peace aboard ISS” (10 March 2022). 2022年6月12日閲覧。
- ^ “Twin Cities astronaut facing threats from Russian Space Agency” (英語). KARE (TV) (March 11, 2022). March 11, 2022時点のオリジナルよりアーカイブ。March 30, 2022閲覧。
- ^ “Космонавты готовятся к очередной экспедиции на МКС” (ロシア語). Новости. Yuri Gagarin Cosmonaut Training Center (25 May 2021). 30 March 2022時点のオリジナルよりアーカイブ。25 May 2021閲覧。
- ^ “Актриса и режиссер фильма «Вызов» полетят к МКС 5 октября”. ТАСС (2021年4月29日). 2021年4月30日閲覧。
- ^ “Экспедиция МКС-65/66. План полёта”. Русский космос. p. 17 (April 2021). Template:Cite webの呼び出しエラー:引数 accessdate は必須です。
- ^ “Срок полета двух членов экипажа «Союза МС-18» увеличат”. ТАСС (2021年3月14日). 2021年4月23日閲覧。
- ^ “На МКС 10 человек”. Роскосмос (2021年4月9日). 2021年4月30日閲覧。
- ^ “Создатели научно-просветительского проекта «Вызов» раскрыли некоторые секреты фильма” (ロシア語) (2021年7月31日). 2021年8月7日閲覧。
- ^ “Russia to switch to year-long expeditions to orbital outpost, says Roscosmos chief” (2021年6月16日). 2021年7月12日閲覧。