マヒシャ
マヒシャとは、ヒンドゥー教の神話に登場するダーナヴァ族に属するアスラ神族の1人。ラムバーと水牛の間の子として生まれた。
概要
[編集]アスラ王マヒシャの活躍は、経典デーヴィー・マーハートミャに見ることが出来る。マヒシャが水牛から人型で描写されるようになるのは8世紀以降である[1]。
マヒシャはアスラ神族であるにもかかわらず、デーヴァ神族であるブラフマー(梵天)に対する瞑想を行うなど信心深く、結果としてブラフマーから「如何なる男や神にも敗北しない能力」を授かった。
その後、マヒシャは天であるスヴァルガや地であるプリティヴィーに対する攻撃を行い、デーヴァ神族の王であるインドラ(帝釈天)を打ち破ってデーヴァ神族を追放し天界を征服した。
「男と神には負けない」マヒシャを打ち破るため、デーヴァ神族は力を合わせて若く美しい女性の姿をしたドゥルガー女神を造りだした。あらゆるデーヴァ神族の力を兼ね備えて生まれたドゥルガーはマヒシャの王国を攻撃し、アスラ神族との9日間の戦闘の後、10日目の半月の夜にマヒシャを討ち取った。このことからドゥルガーは、マヒシャースラマルディニー(Mahiṣāsuramardinī, 「マヒシャースラ(マヒシャ)を殺すもの」の意)と呼ばれる。ベンガル地方やオリッサ州で行われるドゥルガー・プージャー(プージャーは「礼拝」、「供養」の意)や、その他の地域で行われるナヴラトリでは、マヒシャを討ち取ったドゥルガーが祀られる。
マイソール
[編集]インド南部カルナータカ州の都市マイソールの名前はマヒシャに由来する。元の名はMahiṣūru(マヒシュール)であり、マイソールは英語名である[2]。マヒシャの王国はマイソール付近にあったとされる[2]。マイソール市のチャームンディ丘にはマヒシャ像が置かれており、市のシンボル的存在になっている。
脚注
[編集]- ^ 宮坂宥峻「降三世品の思想背景について」67(0)、『智山学報』2018年、p.6より
- ^ a b “Land of milk and honey”. 2015年1月21日閲覧。
参考文献
[編集]- 宮坂宥峻「降三世品の思想背景について」67(0)、『智山学報』2018年