マイスモールランド
マイスモールランド | |
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監督 | 川和田恵真 |
脚本 | 川和田恵真 |
製作 |
森重宏美 伴瀬萌 |
製作総指揮 | 濱田健二 |
出演者 |
嵐莉菜 奥平大兼 平泉成 藤井隆 池脇千鶴 韓英恵 |
音楽 | ROTH BART BARON |
主題歌 | ROTH BART BARON「New Morning」 |
撮影 | 四宮秀俊 |
編集 | 普嶋信一 |
制作会社 | AOI Pro. |
製作会社 | 「マイスモールランド」製作委員会 |
配給 | バンダイナムコアーツ |
公開 | 2022年5月6日 |
上映時間 | 114分 |
製作国 |
日本 フランス |
言語 |
日本語 クルド語 トルコ語 |
『マイスモールランド』は、2022年の日本・フランスのドラマ映画。監督はこれが初監督作となる川和田恵真[1]。在日クルド人問題を描いている[2]。映画初出演にして初主演となる嵐莉菜は、本作の演技を高く評価され、様々な賞を受賞した[3]。作中に登場する主人公サーリャの父・妹・弟は、演者である嵐莉菜の実の家族が演じた。
ストーリー
[編集]サーリャは17歳の高校生。生まれた地を逃れて家族と共に来日し、幼い頃から日本で育ったクルド人である。母は数年前に亡くなり、今は父・マズルム、妹のアーリン、弟のロビンの四人暮らし。家庭ではクルド文化が強く、クルド人のコミュニティの中で生活していた。
そんなサーリャだったが、学校では普通の高校生として日本人の親友にも恵まれ、「日本人らしい」生活を送っていた。日本の小学校の先生になりたいという夢もある。
大学進学の資金を貯めるため、父に内緒でコンビニでバイトを始めるサーリャ。そこで同じ高校生の聡太と出会い,仲を深めていく二人。
しかしある日、サーリャの一家の難民申請が不認定となり、在留資格を失ってしまう。就労さえ禁じられたが、生きる為に働いた父は逮捕されて入管に収容された。アパートに子供だけで取り残されるサーリャたち。
不法就労でバイトをクビになり、聡太の親族から交際も止められるサーリャ。ビザが無いゆえに志望大学の推薦入学も断られ、家賃滞納でアパートからも退去通告を受けた。切羽詰まってデートのみのパパ活を試みるも、キスを迫られて逃げ出すサーリャ。
夜分にサーリャのアパートを訪ね、優しく励ます聡太。泣き崩れそうになるサーリャだが、幼い弟のロビンが帰宅していないことに気づき、探し回る一同。ロビンは寂しさでボンヤリしただけだったが、ロビンのために日帰り旅行を決行するサーリャ。
入管から出られず、どこにも居場所を失って帰国を決意する父マズルム。反政府デモへの参加で逮捕歴のある彼は、帰国すれば逮捕される身だった。しかし、親が日本を出れば、残るサーリャたち子供にはビザが下りる可能性があったのだ。
朝…絶望の中に光を見出そうとするサーリャの強い眼差しで物語は終わった。
エピソード
[編集]本作のメインキャストにはクルド人の出演はない[4]。わずかにサブキャストに、結婚などにより在留許可を保有している在日クルド人が登場するのみである[4]。 ヒロインを演じた嵐莉菜は、オーディションで選出された[4]。嵐はクルド人ではないためクルド語も話せず、この映画をきっかけとして初めて、クルドを知り、クルドの文化に触れている[5]。嵐の母は日本人とドイツ人のハーフであり、父はイラクやロシアにルーツを持つ元イラン人(日本国籍取得済)である[4]。
ヒロインの家族(父、妹、弟)を演じたアラシ・カーフィザデー、リリ・カーフィザデー、リオン・カーフィザデーらは皆、嵐の家族が家族役を演じたものであり、嵐と同じくクルド人ではない[4]。
キャスト
[編集]- チョーラク・サーリャ:嵐莉菜
- 崎山聡太:奥平大兼
- チョーラク・マズルム:アラシ・カーフィザデー
- チョーラク・アーリン:リリ・カーフィザデー
- チョーラク・ロビン:リオン・カーフィザデー
- 小向悠子:韓英恵
- 太田武:藤井隆
- 崎山のり子:池脇千鶴
- 山中誠:平泉成
- ロナヒ:サヘル・ローズ
- 原英夫:板橋駿谷
- 西森まなみ:新谷ゆづみ
- 野原詩織:さくら
- 吉田ウーロン太
- 池田良
- 田村健太郎
- 小倉一郎
- 岩井計子
- 石川雷蔵
- 瀧澤翼
- 是近敦之
- 遠藤かおる
- 原田くるみ
- 佐藤優捺羽
- ケマル・タクマズ
- アリ・チョーラク
- イベック・サグラム
- マムト・サグラム
- ベーカス
スタッフ
[編集]- 監督・脚本:川和田恵真
- 製作:河野聡、小林栄太朗、澤田一、是枝裕和、依田巽、松本智
- エグゼクティブ・プロデューサー:濱田健二
- プロデューサー:森重宏美、伴瀬萌
- 企画プロデューサー:北原栄治
- 共同プロデューサー:藤並英樹、渋谷悠、アントワーヌ・モラン
- アソシエイト・プロデューサー:西川朝子、加倉井誠人、大古場栄一
- 音楽:ROTH BART BARON
- 撮影:四宮秀俊
- 照明:秋山恵二郎
- 音響:弥栄裕樹
- 美術:徐賢先
- 装飾:福岡淳太郎
- 衣装:馬場恭子、中村祐実
- ヘアメイク:那須野詞
- キャスティング:森万由美
- 助監督:森本晶一
- 編集:普嶋信一
- 制作担当:藤原恵美子
- カラリスト:アレクサンドラ・ポケ
- ダビング:グザヴィエ・トゥラン
- 主題歌:「New Morning」ROTH BART BARON
- 企画:分福
- 共同制作:NHK、FILM-IN-EVOLUTION
- 制作プロダクション:AOI Pro.
- 配給:バンダイナムコアーツ
- 製作:「マイスモールランド」製作委員会(バンダイナムコアーツ、ランカネット、AOI Pro.、分福、ギャガ、講談社)
製作
[編集]監督の川和田恵真が本作の企画を考え始めたのは2015年頃。ISISに立ち向かう若いクルド人女性兵士を見てクルド人に興味を持ち、在日クルド人問題を知る。
2017年から映画の企画を立ち上げ、在日クルド人への取材を開始。取材は2年に及んだ[1]。
本作は是枝裕和が率い、西川美和らが所属する映像制作者集団「分福」の企画会議から始まっており、是枝裕和の応援もあって実現した[6]。
はじめは在日クルド人に実際に出演してもらうことを考えたが、彼らの立場を危うくするため、断念。劇中の料理は協力を望んだ彼らの作ったものである[7]。
主人公・サーリャの家族(父・妹・弟)は実際の嵐莉菜の家族であり、家族四人で映画初出演となった[7]。
テレビドラマ版
[編集]本作は公開に先駆け、2022年3月24日、NHK BS1にて国際共同制作ドラマ「マイスモールランド」として放送された。前編・後編に分割されている。前編:夜20時~20時50分、後編21時~21時49分放送。
- 制作統括:藤並英樹
- 共同制作プロデューサー:澁谷悠
- プロデューサー:倉崎憲・伴瀬萌
- 作・演出:川和田恵真
- 国際共同制作:FILM-IN-EVOLUTION
小説版
[編集]監督の川和田恵真自身が小説化。
- 『マイスモールランド』講談社、2022年04月 ISBN 978-4-06-527617-4
受賞歴
[編集]- 第72回ベルリン国際映画祭ジェネレーション部門に正式招待
- アムネスティ国際映画賞特別表彰(スペシャルメンション)
- 第27回釜山国際映画祭Special Program in Focus部門に選出[8]
- 2022年度新藤兼人賞
- 銀賞(川和田恵真)
- 第45回山路ふみ子映画賞
- 新人女優賞(嵐莉菜)
- 第47回報知映画賞
- 新人賞(嵐莉菜)
- 第77回毎日映画コンクール
- スポニチグランプリ新人賞(嵐莉菜)
- 第36回高崎映画祭
- 最優秀新人俳優賞(嵐莉菜)
- 第96回キネマ旬報ベスト・テン
- 新人女優賞(嵐莉菜)
- 読者選出日本映画ベスト・テン第10位
- おおさかシネマフェスティバル2023[9]
- 新人女優賞(嵐莉菜)
- 新人監督賞(川和田恵真)
- 第32回日本映画プロフェッショナル大賞
- 新人監督賞(川和田恵真)[10]
出典
[編集]- ^ a b “映画『マイスモールランド』オフィシャルサイト”. 映画『マイスモールランド』オフィシャルサイト. 2023年2月19日閲覧。
- ^ “〔東京〕8月21日(日) 難民問題描く映画「マイスモールランド」上映会 出演のサヘル・ローズさんトークライブも”. プレスリリース・ニュースリリース配信シェアNo.1|PR TIMES. 2023年2月19日閲覧。
- ^ “【動画】嵐莉菜、映画『マイスモールランド』での多数の受賞で思いを語る! - モデルプレス”. モデルプレス - ライフスタイル・ファッションエンタメニュース. 2023年2月19日閲覧。
- ^ a b c d e "新鋭・嵐莉菜を突き動かした原動力、俳優として芽生えた欲". 映画.com. カカクコム. 2022年4月30日. 2024年9月14日閲覧。
- ^ “嵐莉菜、クルド文化と人々に触れた経験は「忘れられません」『マイスモールランド』”. シネマカフェ (2022年5月1日). 2024年9月14日閲覧。
- ^ “是枝裕和監督、国内外の映画賞席巻『マイスモールランド』主演&監督にエール「1作1作、前へ進んで」”. cinemacafe.net. 2023年2月19日閲覧。
- ^ a b 『「マイスモールランド」パンフレット』バンダイナムコフィルムワークス、2022年5月6日。
- ^ “釜山映画祭プロモーション | J-LOD”. 2023年2月20日閲覧。
- ^ “おおさかシネマフェスティバル”. おおさかシネマフェスティバル. 2023年2月20日閲覧。
- ^ “のん、影山祐子が主演女優賞、主演男優賞は足立智充 日本映画プロフェッショナル大賞”. nikkansports.com. 日刊スポーツNEWS (2023年5月12日). 2023年5月12日閲覧。
外部リンク
[編集]- 公式ウェブサイト
- 国際共同制作ドラマ「マイスモールランド」 - NHK
- 映画「マイスモールランド」公式 (@mysmallland) - X(旧Twitter)
- マイスモールランド - allcinema
- マイスモールランド - KINENOTE
- My Small Land - IMDb