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マイクロ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

マイクロ: micro、記号: 立体の μ )は国際単位系 (SI) における接頭語の一つで、基礎となる単位の 10−6倍(= 百万分の一、0.000001倍)の量であることを示す。したがって、マイクロはミリの0.001倍、ナノの1000倍である。

概要

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マイクロは、ギリシャ語で「小さい」という意味の μικρός (mikros) に由来する。1874年英国科学振興協会 (BA) がCGS単位系の電磁気の単位の標準化を行う際に、その一部としてメガとともに新たに導入された。CGS単位系で電磁気の単位を組み立てると、その示す値が非常に大きくまたは小さくなるため、それまであった接頭辞だけでは足りず、新たな接頭辞を導入する必要があった。1960年の第11回国際度量衡総会 (CGPM) でSIが制定される際、正式に承認された。

表記

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国際単位系 (SI) の規定では、"Aアンペア)"や"gグラム)"のような単位記号と同様に、"kキロ)"や"pピコ)"のようなSI接頭語立体ローマン体)で表記することが必須 (mandatory) であると定められている[1][2][3][4]。したがって、しばしば、μ を斜体として「μ」(例えば、μm)と書かれることがあるが誤りである[5]

μ μ
立体(正しい)   斜体(誤り)


以下はマイクロメートルの表記の例である。

μm μm
立体(正しい)   斜体(誤り)

マイクロを表す記号には次の2つがある。

  1. ユニコードの通常のギリシャ文字領域に存在するミュー「μ」(U+03BC GREEK LETTER SMALL MU)
  2. Latin-1領域にあるマイクロ記号「µ」(U+00B5 MICRO SIGN) (互換性のため)

ユニコードコンソーシアムは前者1.のギリシャ文字を推奨しているが、実装はマイクロ記号を認識できる必要があるとしている[6]

前者1.のギリシャ文字「μ」(U+03BC GREEK LETTER SMALL MU) を用いると、環境によっては斜体で表示されることがある[7]ので、後者2.の「µ」(U+00B5 MICRO SIGN)を用いる方がよい。

上記の2つの記号が共に使用することができない場合は、ラテン文字の"u"(小文字のユー)で代用されることもあるが、国際単位系国際文書の規定からは逸脱する。

単位以外

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接頭語とは関係なく、大きさが(非常に)小さいものについて「マイクロ」を冠する言葉がいくつかある。この場合は「ミクロ」と発音することがある。

脚注

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出典

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  1. ^ 国際単位系(SI)第9版(2019)日本語版 産業技術総合研究所、計量標準総合センター、p.112、2020年4月。「接頭語記号は、その前後の文章の様式にかかわらず、単位記号と同様に立体で表記され、接頭語記号と単位記号の間に空白を空けずに記載する。」
  2. ^ 国際単位系(SI)第9版(2019)日本語版 産業技術総合研究所、計量標準総合センター、5.2、p.116、2020年4月。「単位記号は、その前後の文章で使われている活字書体にかかわらず、直立体で表記される。」
  3. ^ 国際単位系(SI)第9版(2019)日本語版 産業技術総合研究所、計量標準総合センター、2.3.1、p.98 欄外、2020年4月。「単位記号は、直立体(ローマン体)フォントで表記することになっており、これは必須である。」
  4. ^ The International System of Units (SI) 9th ed. Text in English 2.3.1 Base units p.130 欄外注
  5. ^ 物理量・数値・単位と分率の表記についての提言 「日本の出版・印刷業界には自社規格に強いこだわりがあるらしい。日本語ワープロソフトもその影響を受け,2バイト文字のギリシャ文字は斜字体(イタリック)になっているように見える。10-6を示す分量接頭記号 μ は,実社会に流通している印字のほとんどで μ となっている。円周率の π でも同じ現象が見られる。大学入試センター試験の試験問題でも,数年前まではマイクロリットルの単位記号を「μ」と表記していた科目があった。学界だけでなく,初等中等教育を含めた一般社会でも,自然科学における記号では,立字体と斜字体ではその文字が意味する内容が異なることの認識が必要であろう。」、岩本振武、ぶんせき、2017年8月号、5・1 ギリシャ文字の字体、pp.343-344
  6. ^ Unicode Technical Report #25 Unicode Support for Mathematics
  7. ^ 物理量・数値・単位と分率の表記についての提言 岩本振武、ぶんせき、2017年8月号、5・1 ギリシャ文字の字体、pp.343-344

外部リンク

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関連項目

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SI接頭語
接頭語 記号 10n 十進数表記 漢数字表記 short scale メートル法への導入年 国際単位系における制定年
クエタ (quetta) Q 1030 1000000000000000000000000000000 nonillion 2022年
ロナ (ronna) R 1027 1000000000000000000000000000 𥝱 octillion
ヨタ (yotta) Y 1024 1000000000000000000000000 𥝱 septillion 1991年
ゼタ (zetta) Z 1021 1000000000000000000000 sextillion
エクサ (exa) E 1018 1000000000000000000 quintillion 1975年
ペタ (peta) P 1015 1000000000000000 quadrillion
テラ (tera) T 1012 1000000000000 trillion 1960年
ギガ (giga) G 109 1000000000 billion
メガ (mega) M 106 1000000 million 1874年
キロ (kilo) k 103 1000 thousand 1795年
ヘクト (hecto) h 102 100 hundred
デカ (deca) da 101 10 ten
    100 1 one    
デシ (deci) d 10−1 0.1 tenth 1795年 1960年
センチ (centi) c 10−2 0.01 hundredth
ミリ (milli) m 10−3 0.001 thousandth
マイクロ (micro) μ 10−6 0.000001 millionth 1874年
ナノ (nano) n 10−9 0.000000001 billionth
ピコ (pico) p 10−12 0.000000000001 trillionth
フェムト (femto) f 10−15 0.000000000000001 須臾 quadrillionth 1964年
アト (atto) a 10−18 0.000000000000000001 刹那 quintillionth
ゼプト (zepto) z 10−21 0.000000000000000000001 清浄 sextillionth 1991年
ヨクト (yocto) y 10−24 0.000000000000000000000001 septillionth
ロント (ronto) r 10−27 0.000000000000000000000000001 octillionth 2022年
クエクト (quecto) q 10−30 0.000000000000000000000000000001 nonillionth