ポーポイズ現象
ポーポイズ現象(ポーポイズげんしょう、英: porpoising)またはポーポイジングは、自動車や船舶、航空機などが、高速走行・航行中や着陸時などに、上下揺れと縦揺れの連成運動を生じて止まらなくなる現象。名称はネズミイルカ (porpoise) が海面を上下するように泳ぐ様子に由来する(参考:en)。
フォーミュラ1ではポーパシング、あるいはバウンシング(英: bouncing)とも呼ばれる。ただ一部の関係者からは「ポーパシングとバウンシングは異なる現象である」との意見もある[1]。
概要
[編集]porpoiseの発音は「ポーパス」に近いが、英文の綴り方を直読みすることの多い日本では「ポーポイズ」とされているようである。
航空機においては、この現象が発生すると、着地する度に乗員が繰り返し大きな衝撃を受け、コントロールが全く効かなくなる危険な状態に陥ってしまう。フェデックス80便着陸失敗事故のように重大な事故に繋がることがある[2]。
自動車レースでのポーポイズ現象はグラウンド・エフェクト・カー特有の問題で、アンダーフロアに設けられたトンネルで負圧を作り出し、地面にマシンを押し付ける力(ダウンフォース)を生み出す仕組みに起因している。ブレーキング時や路面のバンプなどでマシンが前のめりになった際に、アンダーフロアへの空気の流れが遮断されるとダウンフォースが失われる。それが失われるとスプリングが伸び、車高が上がることにより、再びアンダーボディへ空気が流れ込みダウンフォースを生み出す。この過程が繰り返されることにより、車体全体が飛び跳ねているように見える。2022年のF1世界選手権では40年ぶりにグラウンド・エフェクト・カーが解禁されたことにより、開幕前に実施されたテストでは、各チームがポーパシングへの対応に迫られた[3][4]。また路面のバンプが激しいサーキット(特に路面が荒れやすい公道コース)では、車体の底面がバンプに当たり似たような状況に陥ることがあり、これについても対応が必要となる[1]。
脚注
[編集]- ^ a b “ポーパシング”と“バウンシング”は同じではない? バクーで起きていたのは「バウンシングの方」とメルセデスが説明 - motorsport.com 2022年6月16日
- ^ “報告書番号 AA2013-4-2”. 運輸安全委員会 (2013年4月26日). 2018年2月11日閲覧。
- ^ “2022年F1のバズワード「ポーポイズ現象」とは何か? グランドエフェクトカー特有の課題を徹底解説”. Fomula1-Data (2022年2月25日). 2022年6月3日閲覧。
- ^ “新規則の副作用『ポーパシング』への対応を迫られるF1チーム。フェラーリはすでに解決”. auto sport Web (2022年3月1日). 2022年6月3日閲覧。
関連項目
[編集]- グラウンド・エフェクト・カー
- メルセデス・ベンツ・CLR - 1999年ル・マン24時間レースにおいて、車体設計上の問題から気流の乱れにより宙返りを起こして大事故を起こした。
- パイロット誘導振動
外部リンク
[編集]- 高速滑走艇の縦不安定現象について (PDF) -- 船舶におけるポーポイズ現象