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ベイカー–ネイサン効果

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

有機化学において、ベイカー–ネイサン効果(ベイカー–ネイサンこうか、: Baker–Nathan effect)は、 特定の置換基を持つ特定の化学反応に関する反応速度で観察される、置換基の誘起効果だけでは説明できない反応性の順序である[1]

この効果は1935年にジョン・W・ベイカーとW・S・ネイサンによって記述された[2][3][4]。彼らはピリジン臭化ベンジルや異なるパラ位アルキル置換基を持つ様々な臭化ベンジル誘導体との反応(反応生成物はピリジニウム塩)の化学反応速度を調べた。

ベイカー–ネイサン効果

求核置換反応は電子供与性基によって促進され(誘起効果)、一般に観察される(反応性が低下する)順序はtert-ブチル > イソプロピル > エチル > メチルである。しかしながら、この特別な反応において観察される順序はメチル > イソプロピル > tert-ブチルの順であった。1935年、ベイカーとネイサンは共役効果の観点から観察された違いを説明した。これは後の1939年に提唱された超共役の概念の先駆けであった。

この効果についての基本的な問題は、観察された順序の違いが比較的小さく、したがって正確に測定するのが困難なことである。他の研究者らが同様の結果を得ることもあれば、全く異なる結果を得ることもある。この効果に対する別の説明は、液相から気相へ向う際に順序が逆転する溶媒和の差によるものである[5]

出典

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  1. ^ de la Mare, P. B. D. (1984). “Hyperconjugation: intermediates and transition states in replacement and elimination”. Pure and Applied Chemistry 56 (12): 1755–1766. doi:10.1351/pac198456121755. 
  2. ^ Baker, John W.; Nathan, W. S. (1935). “118. The mechanism of aromatic side-chain reactions with special reference to the polar effects of substituents. Part III. The effect of unipolar substituents on the critical energy and probability factors in the interaction of benzyl bromide with pyridine and α-picoline in various solvents”. J. Chem. Soc. 0 (0): 519–527. doi:10.1039/JR9350000519. 
  3. ^ Baker, John W.; Nathan, Wilfred S. (1935). “428. The mechanism of aromatic side-chain reactions with special reference to the polar effects of substituents. Part IV. The mechanism of quaternary salt formation”. Journal of the Chemical Society (Resumed): 1840. doi:10.1039/jr9350001840. 
  4. ^ Baker, John W.; Nathan, Wilfred S. (1935). “429. The mechanism of aromatic side-chain reactions with special reference to the polar effects of substituents. Part V. The polar effects of alkyl groups”. Journal of the Chemical Society (Resumed): 1844. doi:10.1039/jr9350001844. 
  5. ^ Schubert, W. M.; Sweeney, W. A. (1956). “Concerning the Baker-Nathan Effect”. The Journal of Organic Chemistry 21 (1): 119–124. doi:10.1021/jo01107a027.