コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

プロブコール

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
プロブコール
IUPAC命名法による物質名
臨床データ
Drugs.com Micromedex Detailed Consumer Information
MedlinePlus a611037
データベースID
CAS番号
23288-49-5 チェック
ATCコード C10AX02 (WHO)
PubChem CID: 4912
DrugBank DB01599en:Template:drugbankcite
ChemSpider 4743 チェック
UNII P3CTH044XJ チェック
KEGG D00476 en:Template:keggcite
ChEBI CHEBI:8427en:Template:ebicite
ChEMBL CHEMBL608en:Template:ebicite
別名 2,6-di-tert-butyl-4-({2-[(3,5-di-tert-butyl-4-hydroxyphenyl)sulfanyl]propan-2-yl}sulfanyl)phenol
化学的データ
化学式C31H48O2S2
分子量516.844 g/mol
テンプレートを表示

プロブコール(Probucol))は脂質異常症の治療薬として使われる医薬品の一つである[1][2]。商品名ロレルコやシンレスタール。当初は虚血性心疾患治療薬として開発されていたが、臨床試験で心疾患の既往がある患者でHDLを下げることが判り、試験は中止された。プロブコールはQT延長を示す。

プロブコールは初めは、飛行機のタイヤの寿命を延ばす添加物として1970年代に発見された[3]

2017年、京都大学iPS細胞研究所は、アルツハイマー病の病因物質のひとつであるアミロイドベータ(Aβ)を減らす事ができる既存薬の組み合わせで最もAβ低減効果が強い6種類の化合物の1つにプロブコールを選出した[4]

2021年1月、東和薬品株式会社は、諸般の事情でプロブコール錠 250mg「トーワ」の販売を中止することを発表した[5]

効能・効果

[編集]
  • 脂質異常症(家族性高コレステロール血症[6]、黄色腫を含む)

副作用

[編集]

重大な副作用として添付文書に記載されているものは、心室性不整脈(Torsades de pointes)、失神、消化管出血、末梢神経炎、横紋筋融解症である[7][8]

作用機序

[編集]

プロブコールは血中のLDL異化を増加させる事でコレステロール低下作用を示す。加えて、コレステロール合成阻害作用とコレステロール吸収抑制作用を持つ[9]。またLDL中のコレステロールの酸化防止作用が強い。これにより泡沫細胞の形成が遅くなり、アテローム動脈硬化性プラークを形成し難くなる。

プロブコールはHDL産生トランスポーターABCA1英語版に働き掛けると考えられている[10]

さらに、HDLの値を低下させる[11]

出典

[編集]
  1. ^ Yamamoto A (December 2008). “A Uniqe Antilipidemic Drug - Probucol”. J. Atheroscler. Thromb. 15 (6): 304–5. doi:10.5551/jat.E621. PMID 19075491. https://doi.org/10.5551/jat.E621. 
  2. ^ 和田成雄、中山昌彦、正木清孝 ほか、高脂質血症患者に対するプロブコールの効果 動脈硬化 1983年 10巻 6号 p.1133-1142, doi:10.5551/jat1973.10.6_1133
  3. ^ アルツハイマー病病因物質を低減させる既存薬カクテルの同定”. 京都大学iPS細胞研究所. 2021年12月2日閲覧。
  4. ^ アルツハイマー病病因物質を低減させる既存薬カクテルの同定”. 2021年12月2日閲覧。
  5. ^ プロブコール錠 250mg「トーワ」 販売中止のお知らせ”. 2021年12月2日閲覧。
  6. ^ 松沢佑次、川本俊治、中村正 ほか、家族性高コレステロール血症に対するプロブコールの作用機序の検討 動脈硬化 1986年 14巻 4号 p.931-937, doi:10.5551/jat1973.14.4_931
  7. ^ ロレルコ錠250mg/ロレルコ細粒50% 添付文書 第15版”. 2018年9月4日閲覧。
  8. ^ シンレスタール錠250mg/シンレスタール細粒50% 添付文書” (2011年11月). 2015年3月29日閲覧。
  9. ^ "Probucol. Drugs.com web site. [1]
  10. ^ Favari E, Zanotti I, Zimetti F, Ronda N, Bernini F, Rothblat GH (December 2004). “Probucol inhibits ABCA1-mediated cellular lipid efflux”. Arterioscler. Thromb. Vasc. Biol. 24 (12): 2345–50. doi:10.1161/01.ATV.0000148706.15947.8a. PMID 15514211. http://atvb.ahajournals.org/cgi/pmidlookup?view=long&pmid=15514211. 
  11. ^ Miida T, Seino U, Miyazaki O, et al. (October 2008). “Probucol markedly reduces HDL phospholipids and elevated prebeta1-HDL without delayed conversion into alpha-migrating HDL: putative role of angiopoietin-like protein 3 in probucol-induced HDL remodeling”. Atherosclerosis 200 (2): 329–35. doi:10.1016/j.atherosclerosis.2007.12.031. PMID 18279878.