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プロジェクト‐ノート:ギリシア神話

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過去ログ1:カタカナ表記方法議論


カズムについて

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ギリシア神話およびカオスの記事において「カオス」の別称として「カズム」という言葉が出てきますが、出典となっているヘシオドス『神統記』(廣川洋一訳、岩波文庫、1984年)をみてもこの言葉が見つかりません。訳注(130頁)のところに「深穴」と書いて「カスマ」とルビが振られている言葉があり、これのことかなと思うのですが。なお確認したのは1992年の第12刷です。ちなみに記事の履歴を確認したところ、ギリシア神話では2008年10月20日 (月) 12:20カオスでは2009年4月17日 (金) 06:47の編集で追加されていました。この件についてご意見をいただければと思います。憶測ですが、英語のen:Chasm(キャズム)のことのような気がしています。--ねこざめ会話2024年8月6日 (火) 19:31 (UTC)[返信]

  • コメント 筑摩書房版の『神統記』が国会図書館のデジタルコレクション[1](要登録)で全文閲覧可能なので、そちらを探してみては。検索は不可能なので、読むしかないです・・・全30ページほど。
  • p7(コマ番号8)の下段に「カオス」についての言及がありますが、「裂け目/カズム」の言及は無いような。私はこの方面には明るくないので、ほかのどこかに登場していたらごめんなさい。
  • JapanKnowledgで検索をした範囲では、見出語に「カズム」は無し。本文でも無いですね(「赤ずむ」とかはヒットしますが明らかに無関係)。唯一小学館ランダムハウス英和辞典の「chasm」(en:Chasm)がヒットし、岩の割目・峡谷・亀裂などの意味が掲載されています。カオスでの記述「カズム(裂け目)」はまさにこれですね。発音記号は「kǽzm」なので、カタカナ化すればまあ「カズム」でしょうねえ。
  • ランダムハウスの英単語chasmの語源解説によると、ギリシャ語の「chaínein」(ぱくりと口を開く)が語源で、これをラテン語化させた「chasma」が語尾を失ったのが英単語の「chasm」だそうです。
  • これらに従うなら、「カズム」は英語で、古代ギリシャ語は「カズム」ではないですから、「ヘシオドスがカズムと呼んだ」という記述はちょっとアレですね。テルモピュライを「ホットゲート」と表記するような違和感が。そういう出典があるなら別ですが…--柒月例祭会話2024年8月7日 (水) 02:01 (UTC)[返信]

「カズム」という言葉を書いたのはわたしであるが、ヘーシオドスがそのように呼んでいるとは書いていない。記述原文は、「ただし、彼はカオスを混沌の意味では使っていない。それは空隙であり、カズムとも呼ばれる」(「ギリシア神話#神話1:世界の始まり」引用)。この文章から分かる通り、「ヘーシオドスがカズムと呼んだ」のではなく、誰か別の注釈者がそう呼んでいるのである。ヘーシオドスが自分で、「カオスとは混沌の意味ではなく、空隙の意味である」などとは、『神統記』には無論書かれていないのである。わたし自身は調べないで、「カズム」という古代ギリシア語があるのだろうと想い込んでいたが、いま調べると、どうも、LSJにはそういう語は載っていない。仮に古代ギリシア語で述べるとすると、「カスマ, chasma」という言葉がある。「空隙」あるいは「隙間」だというのは、呉氏の『ギリシ神話』に書かれているが、「カズム」という言葉は出てこない。これは別の人の説明だと思うが、どこで「カズム」と言っているのか、いまよく分からない。しかし、『神統記』には訳注や解説がついているが、そこに出てくるのかも知れない。そうでないとしても、誰か古代ギリシ文学や古代ギリシ文化の専門家の本に記載されていたものだと思う(わたしは基本的に、三次資料や四次資料、あるいは一般向けのいい加減な本は使っていない)。そこで英語の「カズム」が説明にあり、わたしはそれを古代ギリシ語だと想い込んだのだと思う。

ヘーシオドスがそう書いているのではなく、注釈に出てくるので、色々と考えると、「カズム」は残した方がよい。「カスマ」というギリシア語にすると、「カオスはカスマである」と説明した例がないように思う。カズムを除くことを考えたが、これはどこかに出典がある説明なので、そんな言葉は「聞いたことがない」というようなレベルで削るのは疑問がある。

高津春繁の『ギリシア・ローマ神話辞典』の「カオス」の項目には、「カオスが何かは、詩人は述べていない」と書かれている。「何もない空虚のことか?」と疑問形で述べている。LSJ(リッデル・スコット希英レキシコン)では、最初の意味で、Chaos と出てくるが(用例としては、ヘーシオドスの『神統記』116行)、この Chaos がそもそも何かよく分からない。「混沌」でないのは間違いない。呉氏は、「『口を開ける、隙間を作る』などという語根 Cha- にもとづき」として解釈を述べている。LSJで見ても、 χάος 一番目の意味として、Chaos が出てくるが、また「無限の空間」のような意味も持っている。2番目の意味でも、「空間、空気の広がり」、三番目の意味でも、「地下の深淵、無限の暗黒」で、四番目の意味だと、「大きく深い地表の割れ目、空隙[chasm]」である。「茫漠とした空間」「隙間・割れ目」というのが、むしろ「カオス」の意味だと考えるのが自然で、辞書で見ても、語根から考えても、「混沌」というような意味はない。「カズム」は英語の chasm のカタカナ書きだとは思うが、chasma(カスマ, χάσμα)というギリシア語(空隙の意味)の語があるので、カスマと言っては余計に分からないので、英語のカズムを使ったのかも知れない。これはこのままにしておいてほしい。--Stella maris会話2024年8月7日 (水) 07:56 (UTC)[返信]

  • 返信 柒月例祭さん、コメントありがとうございます。筑摩書房版の『神統記』は未確認でした。国立国会図書館はまだ未登録なので、これを機会に登録してみようかなと思います。chasmの語源の説明もとてもためになりました。
  • Stella marisさん、ギリシア神話の編集(カズムからカスマへの変更など)ありがとうございます。あと別件ですが、ギリシア神話#自然哲学的な始原の神々の、「ガイアより更に、幽冥のエレボス(暗黒)と暗きニュクス(夜)が生じた」の部分、これは「ガイア」ではなく「カオス」だと思いますので修正しておきます。--ねこざめ会話2024年8月7日 (水) 16:37 (UTC)[返信]

「転写方法の指針の補足」と「記事名の指針」

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  1. プロジェクトのページ上部に、「プロジェクト公式の指針」として、「補足」を加えました。公式ガイドライン(指針)はプロジェクトにおいて、提案し、合意プロセスを得るべきものですが、「転写方法の指針」の補足は、アポロドーロス著高津春繁訳『ギリシア神話』巻末に記されている転写法に準拠すると記されていますが、高津春繁著『ギリシア・ローマ神話辞典』に冒頭に記されている「凡例・転写法」は、二つの文章を比べれば明らかな通り、基本的に「同じ内容」が記されています。従って、この部分については、プロジェクトの同意プロセスなしでも、そのまま公式ガイドラインとなります。
  2. いま一つに「記事名」の付け方のガイドラインは、元々、ガイドライン制定議論において、当然のこととして前提されていたものですが、「指針」において、明示的に文章としては記していなかったものです。「指針」は分かりやすいものがよく、簡潔明瞭さをもとめて編集前のような文言となっています。(また、これには時代や状況が関係しています)。しかし、この指針では、古代ギリシア語で表記された、方言として異なる形の固有名などで、どの形を選ぶのかという選択の指針が明記されていなかった。基本的には、アポロドーロス『ギリシア神話』や高津春繁『ギリシア・ローマ神話辞典』で採用されている形を前提としているのですが、従来の「指針」には、明示的にそのような記載がなかった。そのため、今回「補足」として、公式ガイドラインに加えました。具体的にどういうことかというと:
A)例えば、「アテーナー(Athēnā)」女神を考えると、これはアッティカ方言・古典ギリシア語の表記で、他の方言では、「アテーネー(Athēnē)」と表記することがある。つまり古代ギリシア語の固有名であっても、方言ごとや、使い方で、形が幾らか違っている。アキレウスは通常、Achilleus というように、「ランブダ(λ)」の子音が二個あるが、ホメーロスでは、一個で、Achileus という例もある(ホメーロスでは、Achilleus も出てくる)。従って、方言ごとの違い等を持ち出すと、一義に記事名が決まってこない。これを、高津春繁氏の翻訳や辞典で見出し語となったり、使われている形にするということです。
B)また、プロジェクトのガイドラインより上位に、「ウィキペディアのガイドライン」があり、「信頼できる出典に基づく」というのがあり、固有名等について、英語版などから翻訳するとき、日本語ですでに訳語、あるいはそれに対応する名前が存在する場合、当然このすでにある名称を使わねばならない。この「すでにある日本語名称」というのは、やはり、高津氏訳のアポロドーロス『ギリシア神話』や高津氏著の『ギリシア・ローマ神話辞典』に掲載されている日本語名を使うということになります。何故なら、高津氏の訳本や辞典が、信頼できる出典だからです。高津氏の本にない場合もあるが、その場合は、呉茂一氏や松平千秋氏など、信頼できる専門家が使っている日本語名にする必要がある。(欧米と比べて、日本での古代ギリシアやローマは、相対的に一般ではないため、欧米では定まった呼び名や表記法がある場合でも、日本語では定訳がない言葉や概念がある。そういう場合は、どれが相応しいかあらためて決める必要がある)。
C)上記の具体的な例は、「河の神」というのがあり、これは高津氏の本でも、呉氏の本でも、普通、「河神(かしん)」と呼ばれている。つまり、日本語で信頼できる専門家が、「河神」という言葉を使っている。にも関わらず、「ポタモイ」というような記事名が使われている。これは、改名提案などする必要がなく、そのまま移動してもよいものです。ポタモイというのは、古代ギリシア語 potamos(ポタモス、河)の複数形で、英語版では、そういう記事名となっているが、日本語では、「河神」というのが、ギリシア神話では一般である。逆に、「ポタモイ」とか「ポタモス」などという言葉は、ギリシア神話関連では見たことがない。(このポタモイの例に限らず、独自に勝手に付けた記事名が結構ある。こういう独自研究の類いは、記事名の場合、合意過程など関係なく、即、移動してもよいものです。しかし、このようなウィキペディアの基本ガイドラインを無視した例・記事名等が他にも多数ある。そこで、明示的に「補足」として、公式ガイドラインに付け加えたのです)。

以上のような理由で、「公式指針」に「補足」を加えました。これについて、疑問や反論がある方は、根拠(出典)等を明示して、ここで提起して戴きたいです。先にガイドライン文章に「補足」を書き入れた後ですが、以上、確認のため記します。特に意見がなければ、プロジェクトの公式指針として、コンセンサスが得られたものと考えます(二週間か一ヶ月程度)。まったく新しい提案をしている訳ではなく、当然なことで、明示的に記さなかったことを、文章で附記したということです。--Stella maris会話2024年8月25日 (日) 12:21 (UTC)[返信]