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プレタポルテ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

プレタポルテ

  1. (本来の意味)フランス語prêt-à-porter既製服全般のこと。日本のファッション業界、アパレル業界ではフランス語の用語をしばしば基本用語として使うので、日本でも通常はこの意味で使う。
  2. (一部の日本人が「既製服」と対比的に「プレタポルテ」と言う場合)フランスの市場で登場した既製服のこと。しばしばパリ・ファッションウィークで扱われた既製服がそう呼ばれている。この意味で対比されるのは主に、オートクチュールである。

概要

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普通のフランス人が思い浮かべるprêt-à-porter
普通のフランス人が思い浮かべるprêt-à-porter

prêt-à-porterフランス語で「そのまま着られる」、あるいは「そのまま持ち帰ることができる」を意味する用語。フランス語で「prêt(プレ)」は「用意ができている」、porter(ポルテ)は「着る」という意味であり、à(ア)は不定詞を導く前置詞であり、「prêt à (プレタ)〜」で「そのまま〜できる...」という表現である[注釈 1]

オートクチュール(もともとの意味では、高級な注文服、高級オーダーメイド服)は、服作りの職人がいる専門店で個人客からの注文を受け、生地(地、服地)もかなり多種類用意されている中から顧客と相談しつつ顧客の好みで指定してもらい、ひとりひとり異なる顧客の体型を採寸していちいちパターン型紙)を起こし、熟練の職人がひとつひとつ手作業で製作し、それを一旦顧客に試着してもらい微調整して完成させて顧客に渡すという流れであるが、それに対してプレタポルテは、基本的には、世の中でありがちないくつかの体型を想定したトルソーを数種類用意し、立体裁断のための型紙(産業パターン)を数パターン作成し、生地もメーカー側であらかじめ数パターンほど選択・限定し(1種類から数種類程度。複数の場合、主に染色の異なる生地、あるいは異なる繊維素材から選び)、製造は工場で行い、裁断も布地を何枚〜何十枚も重ねてまとめて一挙に(電動ジグソーレーザーカッターなどで)裁断するなどして生産効率を高め、ミシンも多数並べて多人数の労働者を使い 分業制で大量生産する流れで製造し、メーカーは卸売業者にロット単位でまとめて売るなどすれば済むので、オートクチュールより単価を抑えて安く製造することができる。

日本では1963年(昭和38年)、西武デパートが高級既製服の販売促進のために大々的に使い始めて定着した[1]

パリ・ファッションウィークでのプレタポルテ

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プレタポルテのフランスでの展示会の最大規模のものが、毎年パリで数度、期間限定で開催される展示ショーであるパリ・ファッションウィークのプレタポルテ部門であるパリ・ファッションウィーク・プレタポルテ[注釈 2]である。もともとパリ・ファッションウィークはオートクチュールしか扱っていなかったが、世の中でプレタポルテが一般化しその市場が大きくなるにつれてオートクチュール市場がかなり縮小した状況を受けて、パリの業者たちは1960年代からパリ・ファッションウィークにおいてオートクチュールに加えてプレタポルテも扱うようになった。パリ・ファッションウィーク・プレタポルテでは、フランス国外のデザイナーも大勢活躍しており、そこには日本人デザイナーもいる。

日本ではこの展示ショーのものが特に話題になり「プレタポルテ」という用語とともに紹介されるので、てっきりこの展示ショーで登場するような派手なデザインのもの、普通のフランス人が日常的に使っているprêt-à-porterの衣服とはかなり傾向が異なるものばかりが「プレタポルテ」だと思い込んでいる日本人が一部にいる。

脚注

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  1. ^ 世相風俗観察会『現代世相風俗史年表:1945-2008』河出書房新社、2009年3月、119頁。ISBN 9784309225043 

参考文献

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脚注

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  1. ^ たとえば「prêt à manger」プレタ・マンジェと言うと、「そのまま食べられる」という意味で、調理済みの食材やファーストフードやサンドイッチや日本で言う「出来合いの惣菜」などを指す形容語句や名詞。
  2. ^ フランス語では、形容詞や限定する語は、しばしば語句の末尾につける。つまり英語とは語順が逆になることがある。

関連項目

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