ブレイズ・スター
ブレイズ・スター | |
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1974年のブレイズ・スター | |
生誕 |
ファニー・ベル・フレミング(Fannie Belle Fleming) 1932年4月10日 アメリカ合衆国ウェストヴァージニア州ウェイン郡 |
死没 |
2015年6月15日 (83歳没) アメリカ合衆国ウェストヴァージニア州(ウェイン郡ウィルソンデイルかミンゴ郡ウィリアムソン) |
別名 | "The Hottest Blaze in Burlesque"「バーレスクで一番ホットな炎」 |
職業 | ストリッパー、アメリカン・バーレスクスター、宝石鑑定士 |
活動期間 |
1950–1983(ストリッパー) 1989–2015(宝石鑑定士) |
配偶者 | キャロル・グロリオーソ(離婚) |
モデル情報 | |
髪の色 | 赤 |
ブレイズ・スター(英語: Blaze Starr、本名ファニー・ベル・フレミング、1932年4月10日 – 2015年6月15日)はアメリカ合衆国のストリッパーであり、小道具や動物を用いた独創的なショーで1950年代から60年代頃にかけてバーレスク界のスターとして大きな人気を博した。「炎」を意味する"Blaze"「ブレイズ」という芸名にかけて"The Hottest Blaze in Burlesque"「バーレスクで一番ホットな炎」と称されるスターであり、ルイジアナ州知事アール・ケンプ・ロングとの不倫の恋も有名である。本人の回顧録に基づいて1989年に作られた映画『ブレイズ』はこの恋愛事件を扱ったものである。
経歴
[編集]生い立ち
[編集]ブレイズ・スターは1932年4月10日、ウェストヴァージニア州ウェイン郡のトウェルヴポール・クリーク沿いの田舎で生まれた[1][2][3][4]。本名はファニー・ベル・フレミングであり、11人きょうだいの2番目の子どもで、母はローラ(旧姓エヴァンズ)、父はグッドロー・フレミングであった[4][5][6]。
ウェストヴァージニア州ウィルソンデイルのニューグランド・ホロウで育った[4][5][7]。14歳か15歳くらいの頃に家を出ており、本人の回想によると十代の頃に集団強姦の被害にあっている[3][5][8]。最初はウェストヴァージニア州ローガンに引っ越してカーホップとして働いており、そこからワシントンD.C.に引っ越した[9][10]。いとこのモリー・オデイがカントリー歌手であったのもあり、スターも最初はカントリー歌手を目指してバンドに入っていた[11][12]。回顧録によると、スターはドーナツ店で働いている時にプロモーターに発掘された[9][10]。初めて舞台に出た時、ストリップティーズじたいが悪いと思っていたわけではなかったが、ショービジネスの世界に入るということに圧倒され、怯えてショーの後に吐いてしまったという[5]。
バーレスクパフォーマーとしてのキャリア
[編集]スターはメリーランド州ボルティモアに引っ越して、1950年にボルティモアのブロック地域にあるナイトクラブであるブロックのトゥー・オクロック・クラブでショーを始め、やがてそこのヘッドライナーになった[3]。1954年2月、『エスクァイア』にスターのバーレスクパフォーマンスに触れた"B-Belles of Burlesque: You Get Strip Tease With Your Beer in Baltimore"という記事が掲載され、おかげで全国的に知られるようになった[13]。
豊かな赤毛とグラマラスな肢体、ユーモアが特徴で、大きな人気を博した[11]。 花などの小道具を活用したり、独創的なギミックを考案して使用したり、工夫に富んだパフォーマンスで話題を呼んだ[14][15]。黒ヒョウの赤ん坊など、ネコ科の猛獣を使ったショーもよく行っていた[8][15]。
スターの定番ショーは「爆発するカウチ」であった。1989年に本人が説明しているように、このショーはスターがカウチに寝そべって、隠れたボタンを押すと両足の間から煙がたちのぼり、赤い吹き流しが風に煽られて炎のように飛び上がるので、カウチが燃え上がったかのような見た目になるというものであった[2]。
スターは何回か逮捕されている。最初はペンシルヴェニア州フィラデルフィアで、のちに市長となるフランク・リッツォが若い警官だった時に猥褻のかどで逮捕された[8]。ニューオーリンズで逮捕されたこともある[8]。
1956年、燃えるソファを含むスターのショー2種類が、アーヴィング・クロウ監督・製作によるバーレスクショーコンピレーション映画Buxom Beauteaseに収録された[16]。この頃スターは「炎」を意味する"Blaze"「ブレイズ」という芸名にかけて"The Hottest Blaze in Burlesque"「バーレスクで一番ホットな炎」と称されていた[17]。
ルイジアナ州知事アール・ロングとの恋
[編集]1950年代末にスターはニューオーリンズのフレンチ・クオーター、バーボン・ストリートのショーバーに短期間出演しており、そこでその時にルイジアナ州知事だったアール・ケンプ・ロングとの長きにわたる恋愛関係が始まった[11]。この時、スターは夫であるクラブオーナーのキャロル・グロリオーソと離婚手続き中であった[15]。スターはまだ20代だったがロングは既に60代で、妻のブランチとの関係は悪化していた[15]。この不倫関係はロングが死亡する1960年まで続いた[15]。
ロングの死後
[編集]ロングが死亡した後、スターは再びボルティモアを本拠にするようになった[15]。
1962年にはドリス・ウィッシュマン監督によるヌーディストセクスプロイテーション映画Blaze Starr Goes Nudistで主演をつとめた[18]。
ダイアン・アーバスは1964年にスターを写真におさめている[18]。「自宅でのブレイズ・スター」という写真がDiane Arbus: Family Albumsの展示及び写真集に収録されている[19]。
1968年にはトゥー・オクロック・クラブを買い、この店でのショーを続けた[10]。
引退
[編集]1983年にはバーレスクを引退して宝石鑑定士として働くようになり、休暇シーズンにはボルティモアに近いエルダーズバーグのキャロルタウン・モールで宝石を販売していた[2]。
死
[編集]スターは2015年6月15日に83歳で亡くなった[11]。亡くなった場所についてはウェストヴァージニア州ウィルソンデイルの自宅と報道しているメディアもあれば[20][21]、ウィリアムソンの病院としているメディアもある[22]。 スターは捨て犬を保護して飼っており、この犬の健康を不安がっていた[22]。また、姉妹によるとスターは心臓が悪かった[13]。スターが飼っていた犬も、スターの死後数時間のうちに死亡した[22]。
メディアでの描写
[編集]1989年の映画『ブレイズ』はブレイズ・スターとアール・ロングの恋愛関係を扱った作品であり、スターの回顧録であるBlaze Starr! My Life as Told to Huey Perry (1974刊行)に基づいている[23]。ロン・シェルトンが監督・脚本を担当し、ポール・ニューマンがアール・ロング役、ロリータ・ダヴィドヴィッチがブレイズ・スター役で出演した[23]。スター本人もカメオ出演し、顧問としてもこの映画にかかわって、収益の4%を得る契約であった[24][25]。
ブレイズ・スターのコスチュームや遺品の一部はニューヨークのセックス博物館[26]、及びラスベガスのバーレスク・ホール・オヴ・フェイムで展示されている[27]。
脚注
[編集]- ^ Powell, Bob (April 10, 2015). “April 10, 1932: Striptease Artist Blaze Starr Born in Wayne County”. West Virginia Public Broadcasting. June 16, 2015時点のオリジナルよりアーカイブ。April 14, 2015閲覧。
- ^ a b c Lovece, Frank (December 13, 1989). “Starr Power: The Life and Times of a Striptease Queen”. Los Angeles Times via author's official site. オリジナルのNovember 30, 2012時点におけるアーカイブ。 March 16, 2013閲覧。
- ^ a b c Rasmussen, Frederick N. (May 15, 2010). “Blaze Starr recalls burlesque era in new film”. The Baltimore Sun. オリジナルのJune 26, 2011時点におけるアーカイブ。 March 16, 2013閲覧。
- ^ a b c “House Concurrent Resolution No. 23”. West Virginia Legislature (February 14, 2002). September 3, 2010時点のオリジナルよりアーカイブ。June 16, 2015閲覧。 Gives spelling as "Twelve Pole Creek" and "New Ground Hollow".
- ^ a b c d Sellinger, Margie Bonnett (December 18, 1989). “Stripper Blaze Starr Recalls Her Affair with the Governor”. People 32 (25). オリジナルのMay 5, 2012時点におけるアーカイブ。 March 16, 2013閲覧。
- ^ Kelly, Jacques (2015年6月17日). “Blaze Starr dies at 83; stripper known for affair with Gov. Earl Long” (英語). Los Angeles Times. 2023年3月8日閲覧。
- ^ Newground Hollow is an area of Wilsondale per “Obituary: Bennie Fleming”. Williamson Daily News (Williamson, West Virginia) via Legacy.com. June 17, 2015時点のオリジナルよりアーカイブ。June 16, 2015閲覧。
- ^ a b c d Zemeckis, Leslie (2013). Behind the Burly Q. Delaware: Skyhorse. ISBN 978-1-62087-691-6
- ^ a b Starr, Blaze (1974). Blaze Starr: My Life as Told to Huey Perry. New York: Praeger. ISBN 978-0-275-19920-3
- ^ a b c Sandler, Gilbert (2002) (英語). Small Town Baltimore: An Album of Memories. JHU Press. p. 205. ISBN 9780801870699 25 February 2019閲覧。
- ^ a b c d Southall, Ashley (June 16, 2015). “Blaze Starr, Burlesque Queen Who Was Linked to a Governor, Dies at 83”. The New York Times. オリジナルのMay 4, 2016時点におけるアーカイブ。
- ^ Bufwack, Mary A. (2003). Finding her voice : women in country music, 1800-2000. Robert K. Oermann. Nashville: Country Music Foundation Press. p. 164. ISBN 0-8265-1432-4. OCLC 51615324
- ^ a b Chris Kaltenbach (2014年4月9日). “MICA exhibit explores the history and revival of Baltimore burlesque”. Baltimore Sun. 2023年3月8日閲覧。
- ^ “Who’s Who in Burly-Q: Blaze Starr (1932 – 2015) | Burlesque Hall of Fame” (英語) (2019年4月10日). 2023年3月8日閲覧。
- ^ a b c d e f Sarah Kaplan (2015年6月16日). “Blaze Starr, who put the tease in strip, dies at 83” (英語). Washington Post. ISSN 0190-8286 2023年3月8日閲覧。
- ^ (English) Buxom beautease.. WorldCat. (2007). OCLC 191538136
- ^ Scott, Coleen, (2019). The costumes of burlesque : 1866-2018. New York, NY. ISBN 978-1-315-17858-5. OCLC 1103917529
- ^ a b “Blaze Starr, burlesque performer - obituary”. Daily Telegraph (16 June 2015). 29 December 2019閲覧。
- ^ “Diane Arbus: Family Albums”. Grey Art Gallery (2 December 2015). 29 December 2019閲覧。
- ^ Mattise, Jonathan; Nuckols, Ben (June 15, 2015). “Blaze Starr, burlesque dancer linked to governor, dead at 83”. Associated Press. オリジナルのJune 16, 2015時点におけるアーカイブ。 June 15, 2015閲覧。
- ^ Nyden, Paul (June 15, 2015). “WV native, burlesque performer Blaze Starr dies at 83”. Charleston Gazette (Charleston, West Virginia). オリジナルのJune 16, 2015時点におけるアーカイブ。 June 15, 2015閲覧。
- ^ a b c “Burlesque dancer Blaze Starr dies at 83”. The Baltimore Sun. (June 15, 2015). オリジナルのMarch 19, 2016時点におけるアーカイブ。 June 15, 2015閲覧。
- ^ a b Blaze (1989) - IMDb 2023年3月8日閲覧。
- ^ III, Harris M. Lentz (2016) (英語). Obituaries in the Performing Arts, 2015. McFarland. p. 332. ISBN 9781476625539 25 February 2019閲覧。
- ^ Sorkin, Amy Davidson (17 June 2015). “Blaze Starr and the Politicians” (英語). The New Yorker 25 February 2019閲覧。.
- ^ Zemeckis, Leslie (2014) (英語). Behind the Burly Q: The Story of Burlesque in America. Skyhorse Publishing, Inc.. ISBN 978-1-62914-868-7[要ページ番号]
- ^ “Burlesque era remains alive in hall of fame”. Los Angeles Times (5 April 2009). 29 December 2019閲覧。
外部リンク
[編集]- “Blaze Starr's Gems”. May 18, 2013時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年3月8日閲覧。
- Blaze Starr - IMDb