ブラジルカイマン
ブラジルカイマン | |||||||||||||||||||||||||||
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保全状況評価[2] | |||||||||||||||||||||||||||
LEAST CONCERN (IUCN Red List Ver.3.1 (2001)) | |||||||||||||||||||||||||||
分類 | |||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||
Paleosuchus trigonatus (Schneider, 1801) | |||||||||||||||||||||||||||
シノニム | |||||||||||||||||||||||||||
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英名 | |||||||||||||||||||||||||||
Smooth-fronted caiman Schneider's dwarf caiman Schneider's smooth-fronted caiman | |||||||||||||||||||||||||||
分布
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ブラジルカイマン(学名:Paleosuchus trigonatus)はコビトカイマン属に分類されるワニの一種。別名シュナイダームカシカイマン[4]。南アメリカのアマゾン川とオリノコ川流域に分布する。アリゲーター科の中では同属のコビトカイマンに次いで小さい。成体は通常全長約1.2-1.6m、体重9-20kgである。大型の雄は全長2.3m、体重36kgに達する。
名称
[編集]属名はギリシア語で「古代のワニ」を意味し、約3000万年前に他のカイマンから分岐した系統に属することに由来する[4]。種小名はギリシア語で「3つの角を持つ」を意味し、三角形の頭に由来する[5]。
分類
[編集]1801年にドイツの博物学者であるヨハン・ゴットロープ・テアエヌス・シュナイダーによって記載された。本種とコビトカイマンの2種でコビトカイマン属を構成する。同属は眼窩間の隆起が無く、前上顎部に4本の歯があり、他のカイマンでは5本である[5]。現生のカイマン亜科の関係は、分子系統学的研究に基づき、以下の系統樹で示される[6]。
アリゲーター科 |
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形態
[編集]頭部はメガネカイマンと似るが、目の間に隆起が無い。頸鱗板と尾の鱗板は大きく鋭い三角形で、背側と腹側の両面は頑丈な皮骨で覆われる。尾は比較的短く、基部は広く縦扁する。尾櫛は横に突出し、尾は比較的頑丈である。体は暗い灰褐色で、目は茶色である。頭部が黄褐色で、水中の落ち葉への擬態になると考えられている[7][8]。雄は全長約1.7-2.3mで、最大全長2.6mの記録がある。雌は1.4mを超えることは珍しい。体格の割に力強く、首を上に向けて頭を高く上げる傾向がある[5][9]。
分布と生息地
[編集]南米のアマゾン川とオリノコ川流域に分布し、ボリビア、ブラジル、コロンビア、エクアドル、フランス領ギアナ、ガイアナ、ペルー、スリナム、ベネズエラから知られる[7][8][2]。森林内の細流に生息する[7]。主に身を潜めた生活を送るため、自然下では日光浴を行わない[7][8][9][10]。
生態と行動
[編集]水中の巣穴や、水から100mほど離れた深い下草の中、丸太の中、倒木の下に身を潜めており、日中に観察されることは珍しい[8][9]。雄は縄張り意識が強く、雌の行動圏は狭い[10]。成体は半水生であり、主にヤマアラシ、パカ、ヘビ、鳥、トカゲなどの動物を捕食し、魚や軟体動物はほとんど食べない。幼体は孵化後数週間は主に昆虫やその他の節足動物を食べ、成長するにつれて小魚、鳥、爬虫類など、より大きな獲物を食べるようになる[9][11]。成体の死亡率は低いが、ジャガーなどの大型肉食動物に捕食されることもある[5]。
雌は約11歳、雄は約20歳で性成熟する[10]。雌は乾季の終わりに落ち葉と土で大きな塚状の巣を作るが、既存の巣を使うこともある。古巣の上に新しく産卵巣を作ることで、古巣が地面との間で断熱材の効果をすると考えられている[8]。10-15個の卵を産み、上から植物で覆う。植物の腐敗によって熱が発生するため、巣内に熱を供給する。巣はシロアリの蟻塚の側面に作られることが多く、シロアリの熱によって巣内温度が31-32℃に保たれる[4][9]。抱卵期間は約115日で、雌は少なくとも抱卵期間の前半は巣の近くに留まり、捕食者から卵を守る。その間にシロアリの塚が拡大し、土が卵を固めてしまうことがある。そのため、孵化の際に幼体が巣から脱出できるように親の助けが必要である。孵化したばかりの幼体を運んだ後、雌は幼体が独立するまで数週間世話をする。雌が再び繁殖するまで数年かかることもある[4][9]。
人との関わり
[編集]皮は頑丈に骨化しており、革目的の狩猟の対象とならない。ガイアナではペット目的で捕獲されている。森林伐採と、金の採掘活動による環境汚染が脅威である。野生個体数は100万頭以上と推定されており[5]、IUCNのレッドリストでは低危険種とされている。乱獲を制限するため、ワシントン条約の付属書IIに掲載されている[2]。
出典
[編集]- ^ Rio, J. P. & Mannion, P. D. (2021). “Phylogenetic analysis of a new morphological dataset elucidates the evolutionary history of Crocodylia and resolves the long-standing gharial problem”. PeerJ 9: e12094. doi:10.7717/peerj.12094. PMC 8428266. PMID 34567843 .
- ^ a b c Campos, Z.; Magnusson, W.E.; Muniz, F. (2019). “Paleosuchus trigonatus”. IUCN Red List of Threatened Species 2019: e.T46588A3010035. doi:10.2305/IUCN.UK.2019-1.RLTS.T46588A3010035.en 2024年11月27日閲覧。.
- ^ “Appendices CITES”. cites.org. 2024年11月27日閲覧。
- ^ a b c d 中井穂瑞嶺『ディスカバリー 生き物再発見 ワニ大図鑑』誠文堂新光社、2023年4月15日、147頁。ISBN 978-4-416-52371-1。
- ^ a b c d e Britton, Adam (2009年1月1日). “Paleosuchus palpebrosus (Schneider, 1807)”. Crocodilian species list. 2023年1月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年11月4日閲覧。
- ^ Bittencourt, Pedro Senna; Campos, Zilca; Muniz, Fabio de Lima; Marioni, Boris; Souza, Bruno Campos; Da Silveira, Ronis; de Thoisy, Benoit; Hrbek, Tomas et al. (22 March 2019). “Evidence of cryptic lineages within a small South American crocodilian: the Schneider's dwarf caiman Paleosuchus trigonatus (Alligatoridae: Caimaninae)”. PeerJ 7: e6580. doi:10.7717/peerj.6580. PMC 6433001. PMID 30931177 .
- ^ a b c d 千石正一監修 長坂拓也編著 『爬虫類・両生類800種図鑑 第3版』、ピーシーズ、2002年、154頁。
- ^ a b c d e 『動物たちの地球 101 両生類・爬虫類5 リクガメ・ワニほか』、朝日新聞社、1993年、141頁。
- ^ a b c d e f Ross, Charles A., ed (1992). Crocodiles and Alligators. Blitz. pp. 62, 121–124. ISBN 9781853910920
- ^ a b c Magnusson, William E.; Lima, Albertina P. (1991). “The ecology of a cryptic predator, Paleosuchus tigonatus, in a tropical rainforest”. Journal of Herpetology 25 (1): 41–48. doi:10.2307/1564793. JSTOR 1564793.
- ^ “Paleosuchus trigonatus (Schneider's smooth-fronted caiman, Cachirre, Jacaré coroa.)”. Animal Diversity Web. 2024年11月28日閲覧。
外部リンク
[編集]ウィキスピーシーズには、ブラジルカイマンに関する情報があります。
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