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フルカトケラトプス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
フルカトケラトプス
生息年代: 中生代後期白亜紀
~75.9–75.3 Ma
フルカトケラトプス復元骨格(国立科学博物館 特別展「恐竜博2023」にて)
地質時代
後期白亜紀
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 爬虫綱 Reptilia
亜綱 : 双弓亜綱 Diapsida
下綱 : 主竜形下綱 Archosauromorpha
上目 : 恐竜上目 Dinosauria
: 鳥盤目 Ornithischia
階級なし : ゲナサウルス類 Genasauria
新鳥盤類 Neornithischia
角脚類 Cerapoda
亜目 : 周飾頭亜目 Marginocephalia
下目 : 角竜下目 Ceratopia
: ケラトプス科 Ceratopidae
亜科 : セントロサウルス亜科 Centrosaurinae
: ナストケラトプス族 Nasutoceratopsini
: フルカトケラトプス属 Furcatoceratops
学名
Furcatoceratops
Ishikawa et al., 2023
  • F. elucidans Ishikawa et al., 2023

フルカトケラトプス (学名 Furcatoceratops ,「叉状の角のある顔」の意) は、ケラトプス科セントロサウルス亜科恐竜の一つ。

アメリカモンタナ州後期白亜紀地層ジュディスリバー累層から発見された。模式種フルカトケラトプス・エルキダンスFurcatoceratops elucidans[1]

ホロタイプは当初、アヴァケラトプスという別のケラトプス類と同定され、 "Ava" (エイヴァ、エヴァ、アヴァとも)というニックネームがついたが、まもなく新属・新種であると考えられるようになった。

発見と種

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NSM PV 24660, which is the holotype specimen
フルカトケラトプス(NSM PV 24660)、通称「エイヴァ」("Ava")の頭骨

ホロタイプ標本 NSM PV 24660 は、亜成体のほぼ完全な関節していない骨格である。その骨格には、とりわけ多くの頭骨要素が保存されている。他にはほぼ完全な左前肢と左後肢、骨盤の一部、脊椎の大部分が保存されている。その標本は、モンタナ州ファーガス群にあるジュディスリバー累層(上部白亜系)の「12-020」という発掘サイトで、トリーボルド・パレオントロジー社によって発掘された。その発掘現場は、Winifred の街から北西に約7 kmに位置する。NSM PV 24660 は、ベアパウ累層の約20 m下にあるコールリッジ部層上部の岩石から採集された。Ramezaniらによる2022年の研究によると、ホロタイプが採集された層準は約7560万年前(誤差30万年)とされている[1][2]

ホロタイプは2023年7月から9月まで、大阪市大阪市立自然史博物館で行われていた「恐竜博2023」にて展示されており、2023年にケラトプス科の新属・新種として命名された。フルカトケラトプスという属名は、ラテン語で「叉状の」を意味するfurcatusと、「角のある顔」を意味する古代ギリシア語ceratopsの合成語である。種小名elucidansは、「解明」を意味するラテン語である[1]

分類

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フルカトケラトプスと想像図

2023年のフルカトケラトプスの原記載の研究では、他のケラトプス類との系統解析も行われ、ナストケラトプス族というクレードに属すると結論付けられた。このクレードには他にアヴァケラトプスナストケラトプスが含まれている[1]

レプトケラトプス

コロノサウルス類
プロトケラトプス科

プロトケラトプス

バガケラトプス

ケラトプス上科

ズニケラトプス

トゥラノケラトプス

ケラトプス科
カスモサウルス亜科

カスモサウルス

ペンタケラトプス

セントロサウルス亜科

ディアブロケラトプス

マカイロケラトプス

ナストケラトプス族

ANSP 15800 (アヴァケラトプス ホロタイプ)

CMN 8804

MOR 692 (cf. Avaceratops)

ナストケラトプス

フルカトケラトプス

ゼノケラトプス

アルベルタケラトプス

メドゥーサケラトプス

ウェンディケラトプス

シノケラトプス

真セントロサウルス類

コロノサウルス

セントロサウルス

スピノプス

スティラコサウルス

ルベオサウルス

ステラサウルス

パキリノサウルス族

エイニオサウルス

アケロウサウルス

パキリノサウルス・ラクスタイ

パキリノサウルス・カナデンシス

パキリノサウルス・ペロトルム

古代の環境

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ジュディスリバー累層は、いくつかの恐竜化石を産出している。そのうちいくつかは、古生物学の黎明期に発掘されたもので、他のものは最近特定された。なかんずく、フルカトケラトプスは、ケラトプス類のなかまであるアヴァケラトプスメドゥーサケラトプススピクリペウスや、ハドロサウルス類ブラキロフォサウルス鎧竜類ズールティラノサウルス類ダスプレトサウルス、そして大型ワニ類のデイノスクスと共存していた[3][4][5][6][7]

出典

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  1. ^ a b c d Ishikawa, H.; Tsuihiji, T.; Manabe, M. (2023). “Furcatoceratops elucidans, a new centrosaurine (Ornithischia: Ceratopsidae) from the upper Campanian Judith River Formation, Montana, USA”. Cretaceous Research: 105660. doi:10.1016/j.cretres.2023.105660. 
  2. ^ Ramezani, Jahandar; Beveridge, Tegan L.; Rogers, Raymond R.; Eberth, David A.; Roberts, Eric M. (2022-09-26). “Calibrating the zenith of dinosaur diversity in the Campanian of the Western Interior Basin by CA-ID-TIMS U–Pb geochronology” (英語). Scientific Reports 12 (1): 16026. doi:10.1038/s41598-022-19896-w. ISSN 2045-2322. PMC 9512893. PMID 36163377. https://www.nature.com/articles/s41598-022-19896-w. 
  3. ^ Trexler, David; Murphy, Nate; Thompson, Mark (June 2007). “"Leonardo," a Mummified Brachylophosaurus (Ornithischia: Hadrosauridae) from the Judith River Formation of Montana”. In Carpenter, Kenneth. Horns and Beaks. IU Office of Scholarly Publishing Herman B Wells Library E350 1320 E 10th Street E4 Bloomington, IN 47405-3907: Indiana University Press. pp. 117–133. https://www.researchgate.net/publication/325718855 
  4. ^ Ryan, Michael J.; Russell, Anthony P., and Hartman, Scott. (2010). "A New Chasmosaurine Ceratopsid from the Judith River Formation, Montana", In: Michael J. Ryan, Brenda J. Chinnery-Allgeier, and David A. Eberth (eds), New Perspectives on Horned Dinosaurs: The Royal Tyrrell Museum Ceratopsian Symposium, Indiana University Press, 656 pp. ISBN 0-253-35358-0.
  5. ^ Fowler, Denver Warwick (2017-11-22). “Revised geochronology, correlation, and dinosaur stratigraphic ranges of the Santonian-Maastrichtian (Late Cretaceous) formations of the Western Interior of North America”. PLOS ONE 12 (11): e0188426. Bibcode2017PLoSO..1288426F. doi:10.1371/journal.pone.0188426. ISSN 1932-6203. PMC 5699823. PMID 29166406. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5699823/. 
  6. ^ Schwimmer, David (2002). King of the Crocodylians: The Paleobiology of Deinosuchus. 601 North Morton Street, Bloomington, IN: Indiana University Press. pp. 200 
  7. ^ Carr, Thomas D. (2018). “Significant geographic range extension for the sympatric tyrannosaurids Albertosaurus libratus and Daspletosaurus torosus from the Judith River Formation (Late Campanian) of northern Montana”. Journal of Vertebrate Paleontology 38 (Supplement 1): 102. https://vertpaleo.org/wp-content/uploads/2021/03/SVP-2018-program-book-V4-FINAL-with-covers-9-24-18.pdf.