六フッ化モリブデン
六フッ化モリブデン | |
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molybdenum(VI) fluoride | |
別称 molybdenum hexafluoride | |
識別情報 | |
CAS登録番号 | 7783-77-9 |
PubChem | 82219 |
EC番号 | 232-026-5 |
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特性 | |
化学式 | MoF6 |
モル質量 | 209.93 g/mol |
外観 | 白色結晶[1]または無色の液体 吸湿性 |
密度 | 3.50 g/cm3[2] |
融点 |
17.5 °C, 291 K, 64 °F [1] |
沸点 |
34.0 °C, 307 K, 93 °F [1] |
水への溶解度 | 加水分解 |
磁化率 | −26.0·10−6 cm3/mol |
構造 | |
結晶構造 | 直方晶系, oP28 |
空間群 | Pnma, No. 62 |
配位構造 | 八面体 |
双極子モーメント | 0 |
関連する物質 | |
その他の陽イオン | フッ化タングステン(VI) 六フッ化ウラン |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
六フッ化モリブデン(英: Molybdenum hexafluoride)またはフッ化モリブデン(IV)(英: Molybdenum(VI) fluoride)とは、化合式MoF6で表される無機化合物の一種である。モリブデンのフッ化物であり、無色の固体は常温で融解し、34 ℃で沸騰する[3]。
生成
[編集]六フッ化モリブデンは、金属モリブデンと十分な量のフッ素との直接反応によって以下のように生成される[2]。
典型的な不純物はMoO2F2とMoOF4であり、六フッ化物の加水分解時の傾向を反映したものである[4]。
特徴
[編集]六フッ化モリブデンは-140 ℃にて直方晶系の空間群Pnmaで結晶化する。格子定数は、a = 9.394 Å、b = 8.543 Å、c = 4.959 Åである。単位胞当たり4つの式単位[注 1]を持ち、密度は3.50 g/cm3である[2]。フッ素原子は六方最密充填構造で配置されている[5]。
液相と気相において、六フッ化モリブデンは八面体形分子構造をとる。Mo-F結合の結合長は1.817 Åである[2]。
用途
[編集]六フッ化モリブデンには用途がほとんど存在しない。原子力産業において、モリブデンはウランの核分裂生成物であるため、六フッ化ウランの不純物として生成される。また、半導体産業で用いられる六フッ化タングステンの不純物としても生成される[6]。これらの不純物は適切な高温にてモリブデンを含む多くの種類の元素と、WF6とMoF6の混合物を還元することで除去することが可能である[6][7]。
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ この場合は分子1個あたりである。
出典
[編集]- ^ a b c Lide, David (2009-05-29). “Section 4, Physical Constants of Inorganic Compounds” (英語). CRC Handbook of Chemistry and Physics (90th ed.). CRC Press. pp. 4-85. ISBN 978-1420090840
- ^ a b c d Drews, T.; Supeł, J.; Hagenbach, A.; Seppelt, K. (2006-03-28). “Solid State Molecular Structures of Transition Metal Hexafluorides” (英語). Inorganic Chemistry 45 (9): 3782–3788. doi:10.1021/ic052029f. PMID 16634614.
- ^ グリーンウッド, ノーマン; アーンショウ, アラン (1997). Chemistry of the Elements (英語) (2nd ed.). バターワース=ハイネマン. ISBN 978-0-08-037941-8。
- ^ Kwasnik, W. (1963). “Molybdenum(VI) Fluoride” (英語). Handbook of Preparative Inorganic Chemistry (Academic Press) 1: 259. ISBN 9780323161275.
- ^ Levy, J. H.; Taylor, J. C.; Waugh, A. B. (7 1983). “Neutron Powder Structural Studies of UF6, MoF6 and WF6 at 77 K” (英語). Journal of Fluorine Chemistry 23 (1): 29–36. doi:10.1016/S0022-1139(00)81276-2.
- ^ a b “Patent 5234679:Method of refining tungsten hexafluoride containing molybdenum hexafluoride as an impurity” (英語). PatentStorm. 2012年10月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年5月8日閲覧。
- ^ “Patent 6896866:Method for purification of tungsten hexafluoride” (英語). PatentStorm. 2012年10月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年5月8日閲覧。