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オポッサム形目

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
フクロネズミから転送)
オポッサム形目
ミナミオポッサム
ミナミオポッサム Didelphis marsupialis
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
上目 : 有袋上目 Marsupialia
大目 : アメリカ有袋大目 Ameridelphia
: オポッサム形目 Didelphimorphia
: オポッサム科 Didelphidae
学名
Didelphimorphia Gill, 1872[1]
Didelphidae Gray, 1821[1]
シノニム

Didelphida Szalay, 1982[2]

和名
オポッサム形目[3]
オポッサム科[3]

オポッサム形目 (オポッサムけいもく、Didelphimorphia) は、哺乳綱有袋類に分類される。現生種はオポッサム科Didelphidae)のみで構成される。別名オポッサム目[4]ディデルフィス目(Didelphida)[5]

分布

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北アメリカ大陸南アメリカ大陸[6]

形態

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吻は長く、先端が尖っている[6]。多くの種で物に巻きつけることができる尾がある[6]

指趾は5本[6]。後肢の第1趾が、対向する[6]

オポッサム属やミズオポッサム属などには育児用の袋(育児嚢)があるが、育児嚢が発達せず皺状にすぎない種や育児嚢がない種もいる[6]

分類

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以前は有袋目の多門歯亜目Polyprotodontaに含まれていたが[7]、多門歯亜目は多系統群として解体された[8]。有袋類も真獣類と同様に適応放散していることから、下位グループが複数の独立した目として分割されている[4][8]

以前は白亜紀末に出現した原始的なグループとして考えられており[8]、オポッサム形目を亜目として、白亜紀後期に生息したスタゴドン科Stagodontidae(ディデルフォドンDidelphodonなど)やペディオミス科Pediomyidaeといった初期の有袋類を含む古後獣亜目Archimetatheriaなどとともにディデルフィス目としてまとめる説もあった[2]。またペラデクテスPeradectesやペラテリウムPeratheriumなどもオポッサム科に含められていたが[8]、一方でこれらの初期群を含むディデルフィス目は側系統群ともされていた[2]。のちの研究により初期群は有袋類のステムグループに属し、本目とは系統的に離れていると考えられている[9]。狭義の本目は暁新世前期に出現し、少丘歯目とともに現生有袋類との共通祖先から最も初期に分岐した系統の一つとされている[9]

現生群をオポッサム亜科とウーリーオポッサム亜科の2亜科に分ける説があった[1][6]。2004年にハレギマウスオポッサムがコアシマウスオポッサム属から、新属Chacodelphysに分割する説が提唱された。2005年にコアシマウスオポッサム属の一部が、新属Cryptonanusに分割する説が提唱された。2009年に分子系統解析から、フサオオポッサム属のみでGlironiinae亜科とカリノースキーマウスオポッサム属のみでHyladelphinae亜科に分類する説が提唱された[10]

以下の現生の分類群はVoss & Jansa (2009) に従う[10]。和名は分類に変更のないかぎり、川田ら (2018) に従う[3]。モノタイプの英名は、Gardner (2005) に従う[1]

生態

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砂漠や高山を除いた様々な環境に生息する[6]。特殊化していないオポッサム属は地表でも樹上でも活動する[6]

食性は動物食、雑食、植物食と様々な種が含まれる[6]

出典

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  1. ^ a b c d Alfred L. Gardner, "Order Didelphimorphia," Mammal Species of the World, (3rd ed.), Volume 1, Don E. Wilson & DeeAnn M. Reeder (ed.), Volume 1, Johns Hopkins University Press, 2005, Pages 3 - 18.
  2. ^ a b c Frederick S. Szalay, “Taxa and phylogeny of Metatheria,” Evolutionary History of the Marsupials and an Analysis of Osteological Characters, Cambridge University Press, 1994, 277-406.
  3. ^ a b c 川田伸一郎他 「世界哺乳類標準和名目録」『哺乳類科学』第58巻 別冊、日本哺乳類学会、2018年、1 - 53頁。
  4. ^ a b 遠藤秀紀 「セジロウーリーオポッサム」など『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ3 中央・南アメリカ』小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著、講談社、2001年、138-139頁。
  5. ^ 遠藤秀紀・佐々木基樹 「哺乳類分類における高次群の和名について」『日本野生動物医学会誌』第6巻 2号、2001年、45-53頁。
  6. ^ a b c d e f g h i j Margaret A. O'Connell 「オポッサム」白石哲訳『動物大百科 6 有袋類ほか』今泉吉典監修 D.W.マクドナルド編、平凡社、1986年、104 - 111頁。
  7. ^ Eleanor M. Russell 「有袋目総論」白石哲訳『動物大百科 6 有袋類ほか』今泉吉典監修 D.W.マクドナルド編、平凡社、1986年、98 - 103頁。
  8. ^ a b c d 冨田幸光「有袋類」『新版絶滅哺乳類図鑑』伊藤丙雄・岡本泰子 イラスト、丸善、51-61頁。 
  9. ^ a b Robert S. Voss & Sharon A. Jansa, “Metetheria and Marsupialia,” Opossums: An Adaptive Radiation of New World Marsupials, Johns Hopkins University Press, 2021, Pages 7-13.
  10. ^ a b Roberts S. Voss & Shalon A. Jansa, "Classification," Phylogenetic Relationships and Classification of Didelphid Marsupials, an Extant Radiation of New World Metatherian Mammals, American Museum of Natural History, 2009, Pages 81 - 142.

関連項目

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