フィンランド・ミステリ協会
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フィンランド・ミステリ協会(Suomen dekkariseura)は1984年に設立されたフィンランドの文学団体。ミステリに関する各種の賞を主催している。
推理の糸口賞
[編集]1985年開始。前年出版の国内の最優秀ミステリに贈られることが多いが、授賞対象は小説に限らず、過去にはラジオドラマやテレビドラマ、ミステリに関する研究書なども受賞している。
日本推理作家協会賞とは異なり、複数回の受賞が可能である。マッティ・ウルヤナ・ヨエンスー(Matti Yrjänä Joensuu、1948-2011)はハリユンパー刑事シリーズの作品で3度受賞しており、ほかにペンッティ・キルスティラ(1948- )とハッリ・ニュカネン(Harri Nykänen、1953- )が2度受賞している。
以下の表では、日本語訳のある作家のみカタカナで表記する。
年 | 受賞者・団体 | フィンランド語タイトル | 日本語訳 | |
---|---|---|---|---|
1985 | Matti Yrjänä Joensuu | 小説 | Harjunpää ja heimolaiset | |
1986 | Sulevi Manner (Juha Numminen と Eero J. Tikka) |
小説 | Susi | |
1987 | ペンッティ・キルスティラ | 小説 | Sinivalkoiset jäähyväiset | |
1988 | Paul-Erik Haataja | 小説 | Häkkilinnut | |
1989 | フィンランド国営放送 | 1988年放送のラジオドラマに対して | ||
1990 | Harri Nykänen | 小説 | Takapiru | |
1991 | Simo Sjöblom | 『Suomenkielisen rikoskirjallisuuden ja sen reuna-alueiden bibliografia 1857–1989』 (フィンランドミステリに関する文献目録) |
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1992 | Markku Ropponen | 小説 | Kuolemanuni | |
1993 | ペンッティ・キルスティラ | 小説 | Imelda | |
1994 | Matti Yrjänä Joensuu | 小説 | Harjunpää ja rakkauden nälkä | |
1995 | Book Studio Oy (出版社) | |||
1996 | Hannu Vuorio | 小説 | Nyman | |
1997 | レーナ・レヘトライネン | 小説 | Luminainen | 『雪の女』(古市真由美訳、創元推理文庫、2013年) |
1998 | Ritva Hapuli、Johanna Matero共編 | 『Murha pukee naista』(ノンフィクション) | ||
1999 | Ilkka Remes | 小説 | Karjalan lunnaat | |
2000 | Jari Tervo | 小説 | Minun sukuni tarina | |
2001 | Harri Nykänen(小説家) Yle TV1(テレビ局) |
Harri Nykänenの小説『Raid』シリーズ、およびそのテレビドラマ版 | ||
2002 | Seppo Jokinen | 小説 | Hukan enkelit | |
2003 | Taavi Soininvaara | 小説 | Koston komissio | |
2004 | Matti Yrjänä Joensuu | 小説 | Harjunpää ja pahan pappi | |
2005 | Tuula-Liina Varis | 小説 | Vaimoni | |
2006 | マッティ・ロンカ | 小説 | Ystävät kaukana | |
2007 | Tapani Bagge | 小説 | Musta taivas | |
2008 | Marko Kilpi | 小説 | Jäätyneitä ruusuja | |
2009 | Jarkko Sipilä | 小説 | Seinää vasten | |
2010 | Marko Leino | 小説 | Ansa | |
2011 | Antti Tuomainen | 小説 | Parantaja | |
2012 | Pekka Hiltunen | 小説 | Vilpittömästi sinun |
2006年の受賞作であるマッティ・ロンカの『Ystävät kaukana』は翌年、北欧5カ国のミステリを対象とするガラスの鍵賞(スカンジナヴィア推理作家協会主催)を受賞している。
外国推理作家賞
[編集]1993年開始。
年 | 国 | 受賞者 | 受賞作品・シリーズ、または受賞理由 |
---|---|---|---|
1993 | アメリカ合衆国 | パトリシア・ハイスミス | 生涯の功績 |
1994 | イギリス | コリン・デクスター | モース警部シリーズ |
1995 | スウェーデン | シャスティン・エークマン | 『白い沈黙』(澤村灌訳、講談社文庫、1998年) |
1996 | イギリス | ルース・レンデル | 生涯の功績 |
1997 | イギリス | マイクル・ディブディン | 作品群に対して |
1998 | スウェーデン | ヘニング・マンケル | ヴァランダー警部シリーズ |
1999 | スペイン | アルトゥーロ・ペレス=レベルテ | 『呪(のろい)のデュマ倶楽部』(大熊栄訳、集英社、1996年) (集英社文庫版では『ナインスゲート』に改題) |
2000 | ノルウェー | カリン・フォッスム | セーヘル警部シリーズ |
2001 | アメリカ合衆国 | トマス・ハリス | レクター博士三部作(『レッド・ドラゴン』、『羊たちの沈黙』、『ハンニバル』) |
2002 | スウェーデン | ホーカン・ネッセル | フィンランド語に訳された作品群に対して |
2003 | イギリス | イアン・ランキン | リーバス警部シリーズ |
2004 | ロシア | ボリス・アクーニン | 《ファンドーリンの捜査ファイル》シリーズ |
2005 | イギリス | ジョン・ル・カレ | フィンランド語に訳された作品群に対して |
2006 | イギリス | ミネット・ウォルターズ | フィンランド語に訳された作品群に対して |
2007 | ノルウェー | ジョー・ネスボ | ハリー・ホーレ刑事シリーズ |
2008 | フランス | フレッド・ヴァルガス | フィンランド語に訳された作品群に対して |
2009 | アイスランド | アーナルデュル・インドリダソン | フィンランド語に訳された作品群に対して |
2010 | イギリス | P・D・ジェイムズ | 生涯の功績 |
2011 | アメリカ合衆国 | デニス・ルヘイン | フィンランド語に訳された作品群に対して |
2012 | スウェーデン | Leif G.W. Persson | フィンランド語に訳された作品群に対して |
名誉賞
[編集]フィンランドのミステリ作家、ミステリ関係者に不定期に贈られる。
- 2005年 - Pirkko Arhippa(ミステリ作家) - 生涯の功績に対して
- 2009年 - マッティ・カッシラ(映画監督) - ミステリ映画に対して
参考文献
[編集]- レーナ・レヘトライネン『雪の女』(創元推理文庫、2013年1月) 訳者あとがき(古市真由美)
- ペンッティ・キルスティラ『過去よさらば』(新樹社、2000年12月) 訳者あとがき(篠原敏武)
「フィンランド・ミステリ協会」、「推理の糸口賞」という日本語表記は前者に従った。後者ではそれぞれ、「フィンランド推理クラブ」、「導きの糸賞」とされている。
関連項目
[編集]- ガラスの鍵賞 - フィンランドを含む北欧5カ国のミステリ小説を対象とする賞
外部リンク
[編集]- Suomen dekkariseura - フィンランド・ミステリ協会公式サイト。主催する3つの賞の過去の受賞者・受賞作一覧などを見ることができる。