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フィロミクロビウム属

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
フィロミクロビウム属
分類
ドメイン : 真正細菌
Bacteria
: プロテオバクテリア門
Pseudomonadota
: アルファプロテオバクテリア綱
Alphaproteobacteria
: ヒフォミクロビウム目
Hyphomicrobiales
: ヒフォミクロビウム科
Hyphomicrobiaceae
: フィロミクロビウム属
Filomicrobium
学名
Filomicrobium
Schlesner 1987[1]
(IJSEMリストに掲載 1988[2])
タイプ種
フィロミクロビウム・フシフォルメ
Filomicrobium fusiforme

Schlesner 1987[1]
(IJSEMリストに掲載 1988[2])
下位分類([5]

フィロミクロビウム属Filomicrobium)は真正細菌プロテオバクテリア門アルファプロテオバクテリア綱ヒフォミクロビウム目ヒフォミクロビウム科の一つである[3]

略称は"FIMI"である[6]ヒフォミクロビウム属ヒフォモナス属、及びペドミクロビウム属と同様に、芽胞とプロステーカを同時に両方又は片方を形成する細菌として知られている。

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Filomicrobium fusiforme(フィロミクロビウム・フシフォルメ)

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好気性菌であり、細胞は紡錘形で、二つの細胞極のどちらにも菌糸を有しそれら菌糸の先端に非運動性の芽胞を形成する[1]対数増殖期に菌糸は長さ40μmまで、濃縮培養の細胞では300μmを超えたことが観察された。酢酸塩、プロピオン酸塩、フマル酸塩、リンゴ酸塩、コハク酸塩、及びグルタミン酸塩といった数種類の有機酸のみを炭素源として利用することができることが観察された。感受性を示す抗生物質としてペニシリンGテトラサイクリンストレプトマイシン、及びクロラムフェニコールが確認された。GC含量は61.9mol%である。

Filomicrobium insigne

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insigneは、「マークで区別された」「顕著な」「特別な」を意味する中性形容詞である。ヒフォミクロビウム属とフィロミクロビウム属の間の顕著な系統学的な関係に由来する。

グラム陰性、好気性、運動性、非色素性であり、幅0.5~1.0μm且つ長さ1.0~2.5μmであり、単一又は両細胞極それぞれから1本のプロステーカを持ち、プロステーカの先端に芽胞を形成する[3]LB寒天培地上のコロニーは乳白色で、30℃で5~7日間培養した後の直径は0.1~0.2mmである。ポリ-β-ヒドロキシ酪酸が蓄積し、細胞壁の成長により凝集塊と薄膜が発生するが、菌体外多糖は生成されない。生育pHは6.0~9.0(最適7.0~7.5)、NaCl濃度は0~7%(w/v)(最適1~2%)、温度は4~45℃(最適28~30℃)である。鑑別試験において、オキシダーゼカタラーゼ硝酸塩還元活性、PHB生成、エスクリンの加水分解、並びにd-グルコースの酸化については陽性を示す。ゼラチン、Tween 80、デンプンカゼイン及びDNAの加水分解、並びに、ウレアーゼフェニルアラニン脱アミノ酵素亜硝酸還元、インドール生成、リジン及びオルニチン及びアルギニン脱炭酸酵素の活性試験、並びにONPGフォーゲスプロスカウエル、及びメチルレッド試験で陰性を示す。メタノールギ酸メチルアミンで生育する。唯一の炭素及びエネルギー源としてHCl、酢酸塩、エタノール、d-フルクトースセロビオース、又はトレハロースを利用することができる。GC含量は59.5mol%である。

歴史

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脚注

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  1. ^ a b c d e Heinz Schlesner (1 November 1987). “Filomicrobium fusiforme gen. nov., sp. nov., a Slender Budding, Hyphal Bacterium from Brackish Water”. Systematic and Applied Microbiology 10 (1): 63-67. doi:10.1016/S0723-2020(87)80012-7. 
  2. ^ a b c d “Validation of the Publication of New Names and New Combinations Previously Effectively Published Outside the IJSB”. International Journal of Systematic and Evolutionary Microbiology 38 (2): 220-222. (01 April 1988). doi:10.1099/00207713-38-2-220. 
  3. ^ a b c Wu, X. -L.; Yu, S. -L.; Gu, J.; Zhao, G. -F.; Chi, C. -Q. (2009). “Filomicrobium insigne sp. nov., isolated from an oil-polluted saline soil”. International Journal of Systematic and Evolutionary Microbiology 59 (2): 300–5. doi:10.1099/ijs.0.65758-0. PMID 19196769. 
  4. ^ a b c “Notification that new names and new combinations have appeared in volume 59, part 2, of the IJSEM”. International Journal of Systematic and Evolutionary Microbiology 59 (5). (01 May 2009). doi:10.1099/ijs.0.013334-0. 
  5. ^ Jean P. Euzéby, Aidan C. Parte. “Genus Filomicrobium”. List of Prokaryotic names with Standing in Nomenclature. 2023年8月16日閲覧。
  6. ^ a b Keith F. Pittman, Cynthia A. Walczak, Carol M. Lock (01 October 1991). “Codes and Abbreviations for Approved or Effectively Published Names of Genera of Bacteria Published from January 1980 to December 1990”. International Journal of Systematic and Evolutionary Microbiology 41 (4): 571-579. doi:10.1099/00207713-41-4-571.