ファジー・ネーブル
ファジー・ネーブル | |
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基本情報 | |
種別 | ロングドリンク |
作成技法 | ビルド |
色 | 橙黄色 |
グラス | タンブラー |
度数 | 5.4度[1] |
レシピの一例 | |
ベース | ピーチ・リキュール |
装飾材料 | カット・オレンジ或いはスライス・オレンジ |
備考 | データはロングドリンクとして作られる場合のものを掲載。 |
ファジー・ネーブル (Fuzzy navel)は、リキュールベースのカクテルである。ショートドリンクとしても、ロングドリンクとしても作られる。作り方が簡単で、ビルドで作る(グラスに直接作る)ことができるので、ホームパーティ向きのカクテルともされる。なお、ピーチ・リキュールは、好みのものを選択すればよい。
由来
[編集]- 「ファジー(Fuzzy)」は日本語で「産毛(この場合は桃の皮の表面の毛)」のことを指すほか、ここでは「曖昧」という意味もあり、「桃なのかオレンジなのかわからない曖昧な味」としてつけられている[2]。
- 「ネーブル(Navel)」は日本語で「へそ(この場合はモモやオレンジの果頂部)」のことを指すほか、ここではネーブルオレンジのことを指している[2]。
歴史
[編集]ファジー・ネーブルの材料の一つとして使われることもあるピーチツリー(Peachtree)は、オランダのデ・カイパー社のピーチ・リキュールである。同社は、ピーチツリーを宣伝するために「ピーチツリー・トニック」というカクテルを提案していた。ピーチツリー・トニックとは、その名の通り、ピーチツリーのトニック・ウォーター割りである(詳しくは、バリエーションの項目を参照)。デ・カイパー社は、この飲み方を、ピーチツリーを発売した当初から薦めていた。このピーチツリー・トニックというカクテルは、1980年代のアメリカで流行し、ピーチツリーの人気も不動のものとなった。しかし、その後「ファジー・ネーブル」が考案され、ピーチツリー・トニックよりもファジー・ネーブルの方が人気の高いカクテルとなった。先述の通り、ファジー・ネーブルに使用されるピーチ・リキュールは、ピーチツリーに限定されない。だが、このような経緯があるため、ピーチ・リキュールはピーチツリーに限定するとするレシピも存在する。
標準的なレシピ
[編集]- ピーチ・リキュール(ピーチツリー/Peachtree、クレーム・ド・ペシェ) = 30ml
- オレンジ・ジュース = 30ml
作り方
[編集]氷を入れた小型のオールド・ファッションド・グラス(容量120~180ml程度)に、ピーチ・リキュールを注ぎ、次にオレンジ・ジュースを注いでからステアすれば完成である。ただし、グラスにオレンジ(カット・オレンジ或いはスライス・オレンジ)を飾ることもある。また、ロングドリンクとして作る場合も同様であるが、グラスはタンブラー(容量300ml程度)など、ショートドリンクとして作る場合よりも容量の大きなものを用いる。なお、オレンジ・ジュースは、その場でオレンジを絞ったものを使用するのがベストであるが、市販のジュースを用いてもよい。特にホームパーティなどで作る時は、市販のジュースを用いた方が簡単である。ただしその場合でも、果汁100%のオレンジ・ジュースを用いるのが一般的である。
備考
[編集]- 好みによって割合は変えることがある。特にロングドリンクとして作る場合は、オレンジ・ジュースでグラスを満たすので、アルコール度数は低くなる。アルコール度数が低くなりすぎる場合は、ピーチ・リキュールを増量して対応する。なお、ロングドリンクとして作る場合のピーチ・リキュールの使用量は、45mlを標準とする。この点は、後述の「ピーチツリー・トニック」の標準的なレシピと同じである。
- ショートドリンクとロングドリンク、いずれの場合もオレンジを飾ることもある。
- ピーチ・リキュールは、別にピーチツリーでなくともよい。ちなみにピーチツリーは無色透明なので、ピーチツリーを使った場合は、オレンジ・ジュースの色で仕上がりの色が決まる。
バリエーション
[編集]ピーチ・リキュールは「ピーチツリー」を使用し、ロングドリンクとして作った「ファジー・ネーブル」のオレンジ・ジュースをトニック・ウォーターに変えると、「ピーチツリー・トニック」(Peachtree and Tonic)となる。
標準的なレシピ
[編集]- ピーチツリー = 45ml
- トニック・ウォーター = 適量
- レモン (飾り用)
作り方
[編集]氷を入れたタンブラー(容量300ml程度)にピーチツリーを注ぎ、よく冷やしたトニック・ウォーターで満たす。最後にレモンを飾れば完成である。
注意
[編集]ファジー・ネーブルとは違い、
- ピーチツリーを使用しなければならない。
- オレンジではなく、レモンを飾る。
その他のバリエーション
[編集]ショートドリンクとして「ファジー・ネーブル」を作った場合
[編集]- ピーチ・リキュールをジンに変えれば、「オレンジ・ブロッサム」となる。
- ジン:オレンジジュース=2:1のレシピが多いが、ファジー・ネーブルと同様、好みによって割合は変えることがある。
ロングドリンクとして「ファジー・ネーブル」を作った場合
[編集]ピーチ・リキュールを
- カンパリに変えれば、「カンパリ・オレンジ」となる。
- マリブに変えれば、「マリブ・ビーチ」となる。(オレンジ以外に、マラスキーノ・チェリーも飾ることがある。)
- マリブ以外のココナッツ・リキュールに変えた場合は、「ココナッツ・オレンジ」と呼ばれる。
- アマレットに変えれば、「イタリアン・スクリュー・ドライバー」となる。
- ウォッカに変えれば、「スクリュー・ドライバー」となる。
- ウォッカに変え、そこに2tspのガリアーノを加えれば、「ハーベイ・ウォールバンガー」となる。
関連項目
[編集]脚注
[編集]- ^ 桑名 伸佐 監修 『カクテル・パーフェクトブック』p.208 日本文芸社 2006年2月25日発行 ISBN 978-4-537-20423-0
- ^ a b TPO別カクテルBOOK 315 ISBN 978-4415071244
参考文献
[編集]- 福西 英三 『カクテルズ』 ナツメ社 1996年9月1日発行 ISBN 4-8163-1744-9
- 澤井 慶明 監修 『カクテルの事典』 成美堂出版 1996年12月20日発行 ISBN 4-415-08348-X
- 上田 和男 『カクテル』 西東社 2001年3月15日発行 ISBN 4-7916-0994-8
- 桑名 伸佐 監修 『カクテル・パーフェクトブック』 日本文芸社 2006年2月25日発行 ISBN 978-4-537-20423-0
- 上田 和男 監修 『カクテル・ハンドブック』 池田書店 1997年7月31日発行 ISBN 4-262-12007-4
- 上田 和男 『カクテル Handy Book』 西東社 2001年3月15日発行 ISBN 4-7916-0977-8