ピアノソナタ第21番 (シューベルト)
ピアノソナタ第21番 変ロ長調 D 960 は、フランツ・シューベルトが1828年9月に作曲したピアノソナタ。
この曲は作曲者晩年のピアノソナタ3部作(『第19番 ハ短調』(D 958)、『第20番 イ長調』(D 959)、本作)の最後を締めくくり、また、作曲者の生涯最後のピアノソナタである。
曲の構成
[編集]全4楽章、演奏時間は約43分。
- 第1楽章 モルト・モデラート
- 第2楽章 アンダンテ・ソステヌート
- 第3楽章 スケルツォ:アレグロ・ヴィヴァーチェ・コン・デリカテッツァ - トリオ
- 第4楽章 アレグロ・マ・ノン・トロッポ - プレスト
吉松隆編曲によるピアノ協奏曲版
[編集]日本の作曲家である吉松隆は、この曲を『シューベルト@ピアノ協奏曲』としてオーケストラとピアノのために編曲した。吉松はこの曲を田部京子のCDで初めて聞き、魅了された。それがきっかけとなり、吉松の「プレイアデス舞曲集」を録音することになり、1998年には『ピアノ協奏曲《メモ・フローラ》』(作品67)を書き下ろした。その中で、「シューベルトのピアノソナタ第21番をピアノ協奏曲にしてはどうだろう」と思いつき、2000年の春に完成させた。吉松本人は「誰に頼まれたのでもなく、演奏する当てがあったわけでもない。好きな曲だったのでオーケストラで鳴らしてみたかった、ピアニスト(田部)の誕生日のサプライズプレゼントにしたかったというだけのかなり気まぐれな(逆に言えば純粋な好奇心に駆られて書いた)作品である。」と語っている。しかし、スコアを指揮者の藤岡幸夫に見せたところ、反応があまり芳しくなく、それ以来、半ばお蔵入り状態となっていた。しかし、その後2020年になって、藤岡がスコアを再び発見し、2021年に田部京子のピアノ、藤岡幸夫の指揮で東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団 第67回ティアラこうとう定期演奏会にて世界初演された。その後、2022年には同じく田部京子のピアノ、藤岡幸夫の指揮で関西フィルハーモニー管弦楽団 Meet the classic Vol.45にて関西初演も行われている。なお、ソロ・ピアノパートは、一部改変が施されているものの、大筋は変わらない。