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ビトペルチン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ビトペルチン
IUPAC命名法による物質名
識別
CAS番号
845614-11-1
ATCコード none
PubChem CID: 24946690
IUPHAR/BPS 7546
ChemSpider 25034798
UNII Q8L6AN59YY
KEGG D10186
ChEMBL CHEMBL1169880
化学的データ
化学式C21H20F7N3O4S
分子量543.46 g·mol−1
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ビトペルチン(: Bitopertin) は、統合失調症の陰性症状の改善薬としてロシュによって開発中のグリシン再取り込み阻害薬[1]。陰性症状に対しての適応は2014年に第3相臨床試験で6試験のうち2試験で主要評価項目を達成しなかったためほとんどの臨床試験が中止となっている[2][3]

ビトペルチンは、シナプス間隙からのグリシンの再取り込みを阻害することによって、グリシン濃度を増加させるグリシントランスポーター1(GlyT1) 阻害剤である。グリシンは、 NMDA受容体においてグルタミン酸とともに必要なコアゴニストとして作用する。NMDA受容体の機能低下は、統合失調症の陰性症状において重要な役割を果たしている可能性が示唆されており、シナプス間隙におけるグリシン濃度の増加を介した、グルタミン酸作動性神経系の調節は、NMDA受容体の機能を強化し、統合失調症の陰性症状を改善するのに役立つ可能性があるとされる[4]

第2相臨床試験では、ビトペルチンを投与された患者は、8週間以内にベースラインからの陰性症状因子スコアの変化に有意な改善を示した (プラセボ群 -4.86 、治療群-6.65、p値<0.05)。さらに、ビトペルチンを投与された患者の83%がCGI-Iの陰性症状が改善したのに対し、プラセボを投与された患者で改善が見られたのは 66% であった (p値<0.05)[5]

2014年1月、ロシュは、統合失調症の陰性症状軽減におけるビトペルチンの有効性を評価する2つの第3相臨床試験において、ビトペルチンが主要評価項目を達成できなかったと発表した[2]。その後、2014年4月にロシュは、統合失調症に対するビトペルチンの第3相臨床試験について1つを除いてすべてを中止すると発表した[2]

脚注

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  1. ^ “Effect of bitopertin, a glycine reuptake inhibitor, on negative symptoms of schizophrenia: a randomized, double-blind, proof-of-concept study”. JAMA Psychiatry 71 (6): 637–46. (June 2014). doi:10.1001/jamapsychiatry.2014.163. PMID 24696094. 
  2. ^ a b c Medscape (2014年). “Bitopertin Disappoints as Schizophrenia Treatment”. 2023年9月17日閲覧。
  3. ^ 中外 P3段階の統合失調症薬ビトペルチン 6試験中2試験で主要項目未達 | ニュース | ミクスOnline”. www.mixonline.jp. 株式会社ミクス(MIX, Inc.) (2014年1月22日). 2023年9月17日閲覧。
  4. ^ "Bitopertin for schizophrenia" Archived 30 July 2012 at the Wayback Machine., "EuroScan", 14 August 2012
  5. ^ Glycine Transporter Type 1 (GLYT1) Inhibitor RG1678: Positive Results of the Proof-of-Concept Study for the Treatment of Negative Symptoms in Schizophrenia, Umbricht D. et al., ACNP 2010

関連項目

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