ビコル国際空港
ビコル国際空港 Bicol International Airport | |||||||
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IATA: DRP - ICAO: RPLK | |||||||
概要 | |||||||
国・地域 | フィリピン | ||||||
所在地 | アルバイ州ダラガ | ||||||
母都市 | レガスピ、ビコル地方 | ||||||
種類 | 公共 | ||||||
所有者 | フィリピン民間航空局 | ||||||
運営者 | Aboitiz InfraCapital Inc. | ||||||
開港 | 2021年10月8日 | ||||||
標高 | 95 m (313 ft) | ||||||
座標 | 北緯13度06分44秒 東経123度40分38秒 / 北緯13.11222度 東経123.67722度座標: 北緯13度06分44秒 東経123度40分38秒 / 北緯13.11222度 東経123.67722度 | ||||||
公式サイト | https://bicolairport.ph | ||||||
地図 | |||||||
ビコル国際空港の位置 | |||||||
滑走路 | |||||||
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統計(2022) | |||||||
旅客数 |
526,742人 708.64 | ||||||
貨物取扱量 |
458,698kg 217.98 | ||||||
発着回数 |
5,790回 182.58 | ||||||
出典: CAAP[1] | |||||||
リスト | |||||||
空港の一覧 |
ビコル国際空港(ビコルこくさいくうこう、英語: Bicol International Airport[注釈 2] (IATA: DRP, ICAO: RPLK))、別名サザン・ルソン国際空港 (Southern Luzon International Airport) は、フィリピンのアルバイ州の州都でビコル地方の中心都市であるレガスピ一帯にサービスを提供している空港。
フィリピンで「最も風光明媚なゲートウェイ (Most Scenic Gateway)」と称される[2]この空港は、レガスピに隣接した自治体であるダラガに所在している。47億フィリピン・ペソが投じられたプロジェクトで、火山であるマヨン山から15km離れた高原上の200ヘクタールの敷地に建設された。この空港は、従来のレガスピ空港に代わるものであり、両者は2-3kmしか離れていない[3]。
1996年に最初に計画され、2008年から建設が始まったこの空港は、何度も建設が遅れ、実際に航空機が就航したのは2021年10月7日のことであった。この空港は、年間220万人の旅客を処理できると見込まれている[3]。
歴史
[編集]計画
[編集]レガスピに国際空港を設ける計画は、1996年に始まった[4]。1997年、日本の国際協力機構 (JICA) が主導した研究が、フィリピンにおける4つの空港、すなわちレガスピ空港、バコロド・シティ国内空港、イロイロのマンデュリャオ空港、タクロバンのダニエル・Z・ロマオルデス空港の拡張の必要を指摘した[5]。
2006年3月4日と5日、空港建設予定地のダラガで、関係する諸バランガイ (Alobo, Inarado, Kinawitan, Burgos, Martos territory, Velasco Hacienda, Mabini) の指導者たちとの、空港の建設を前提とした農地の工業用地への転用に関する話し合いが持たれた。空港は少なくとも200haの面積を占め、多数の家族が空港建設によって追い立てられる見込みとなっていた。この空港は、ビコル地方初の国際空港となる運びであり、ダラガの市長 Gerry Rodrigueza Jaucian によれば、当地の経済成長を約束しビコラノ人の夢を実現するものとされ、『マニラ・タイムズ (The Manila Times)』は、市長の言葉として「我々は、国際空港をもつというビコラノ人の夢を実現させた大統領に感謝しています。この空港は、我々が目指す、この国の中でも成長が著しい地域のひとつになるという目標の実現なのです。」と報じた[6]。
建設と遅延
[編集]2007年7月、運輸通信省(後の運輸省)は計画された新空港に関する書類処理を急ぐよう命令を発した[7]。当時の大統領グロリア・マカパガル=アロヨは、事前の技術的調査に8500万ペソを投じると発表した[8]。観光大臣エース・デュラノは、土地の収容のために2億5千万ペソを投じると公表した。
当初の計画では、この空港は2014年には完成することになっていた[9]。しかし、建設の遅れが生じ、プロジェクトの完成は、2016年のいずれかの時点まで完成しないことが見込まれた[10]。2015年6月の報道では、建設の進捗率は 47%で、完成は2017年7月と見込まれたが[11]、2016年7月の報道では、建設はさらに遅れて2018年8月に完成するものとされた[12]。
2012年9月、予算行政管理省は、運輸通信省によるこの空港の建設計画の官民パートナーシップ (PPP) に46億ペソを拠出すると公表した[13]。
しかし、2012年のうちには、滑走路も誘導路も、エプロンもフェンスも、大部分が未完成のままであり、国庫からの出資は取り消された。
ロドリゴ・ドゥテルテ大統領の政権下になると、「Build! Build! Build!」のインフラストラクチャー・プログラムによって、空港の建設は加速された。空港の鍬入れの式典は2016年12月8日におこなわれ[14]、地上施設の建設が同年中に始まった[4]。
2017年9月28日の夜、新人民軍のメンバーと思しき一団が、空港の建設に用いられていた重機11台に放火した[15]。
合わせて10年以上も建設が遅れたビコル国際空港は、2018年8月時点で 50% の進捗であることが確認され、滑走路、駐機エプロン、空港周囲のフェンスが完成した[16]。2020年1月には、進捗率は 62%となり、空港の完成は2020年7月とされた[17]。しかし、2020年7月の完成は、さらに延期された。
開港と初就航
[編集]空港は、2021年10月7日に、大統領ロドリゴ・ドゥテルテによって開港され[3][2]、翌8日に運用が開始された[18]。空港には、当初は国内線が就航し、国際線は11月7日以降に就航するものとされた[19][20]。しかし、2022年12月現在に至るまで、国際線の運航はなされていない。
最初に空港に着陸した商用機は、フィリピン航空の2923便で、マニラのニノイ・アキノ国際空港からPAL エクスプレスが運航するDash 8 Q400が、フィリピン標準時午前 9時57分に到着した[21]。セブパシフィック航空も、同日のうちに就航した[22]。当初は、ターボプロップ機が運用されていたが、2022年5月1日からエアバスA320が就航した。最初のエアバスA320の到着は、セブパシフィック航空321便で、フィリピン標準時午前 4時39分であったが[23]、同日の遅い時間には、PALもA320を2919便として到着させた[24]。
構造
[編集]旅客ターミナル
[編集]広さ13,680平方メートル (147,300 sq ft) の旅客ターミナルは、2階建で、年間200万人の旅客を処理できる。セルフサービス式のチェックイン・キオスクのほか19のチェックイン・カウンター、ラウンジが空港ロビーにあり、ボーディング・ブリッジは2台ある[25][26]。
旅客ターミナルの建設を手がけた、EM Cuerpo 社は、滑走路回りの関連施設も担当した[27]。
滑走路
[編集]この空港の滑走路は1本で、長さは2500m、幅は45mで、方向は 05/23 である[28] 。滑走路は、廃港となったかつてのレガスピ空港よりも、長くて幅広く、より大型の機材が着陸できるようになった[27]。さらに、この空港は、夜間の運用が可能である[18]。
就航航空会社と就航地
[編集]航空会社 | 就航地 |
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セブゴー | セブ、マニラ |
セブパシフィック航空 | マニラ |
PAL エクスプレス | セブ(2023年12月15日就航)[29]、マニラ |
統計
[編集]フィリピン民間航空局 (CAAP) のデータによる[1]。
年 | 旅客数 | 発着回数 | 貨物取扱量 (kg) | |||
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国内線 | % 増減 | 国内線 | % 増減 | 国内線 | % 増減 | |
2021 | 65,139 | 2,049 | 144,253 | |||
2022 | 526,742 | 708.64 | 5,790 | 182.58 | 458,698 | 217.98 |
事件、事故
[編集]- 2018年1月10日、フィリピン中央銀行の職員6人を乗せていたガルフストリームG200が、緊急着陸を試みた際に滑走路から外れた。乗客6名は全員無事だった。このジェット機は旧来のレガスピ空港に着陸する予定であったが、強風のためパイロットは未完成だった新空港に緊急着陸を余儀なくされた[30]。
- 2023年2月18日、空港から離陸してマニラに向かっていたセスナ340が、マヨン山の火口付近に墜落した。乗っていた4名は全員が死亡した[31]。
- 2023年10月2日、引き千切られたノートのページに「BOMB?(爆弾??)」と記されたものを、セブパシフィック航空の乗務員が飛行機内のトイレで発見し、遅延が生じた。空港当局は、一時的に滑走路を封鎖し、3人の幼児を含む133名の乗客全員を飛行機から降ろして保安検査をおこなった。この事件では、けが人は誰も出なかった[32]。
注釈
[編集]脚注
[編集]- ^ a b “Aircraft, Passenger, and Cargo Movements”. Civil Aviation Authority of the Philippines. 21 October 2022閲覧。
- ^ a b Parrocha, Azer (7 October 2021). “Duterte opens PH’s ‘most scenic’ airport in Bicol” (英語). Philippine News Agency 7 October 2021閲覧。
- ^ a b c Quismorio, Ellson (7 October 2021). “Duterte leads inauguration of Bicol int'l airport, 'most scenic' in PH”. Manila Bulletin 7 October 2021閲覧。
- ^ a b Abadilla, Emmie V. (2021年10月5日). “P5-B Bicol international airport starts domestic operation Oct. 7”. Manila Bulletin 2021年10月8日閲覧。
- ^ “Bacolod Airport (BCD), Negros Island, Philippines”. Airport Technology. SPG Media Limited (January 6, 2007). August 23, 2022閲覧。
- ^ Barcia, Rhaydz B. (7 March 2006). “Talks to construct airport under way”. Manila Times. オリジナルの2007年11月8日時点におけるアーカイブ。
- ^ “PGMA orders DOTC to fast-track preparations for Legazpi City's new airport 'on the plateau'”. Philippine Information Agency. (3 July 2007). オリジナルの27 September 2007時点におけるアーカイブ。
- ^ “PGMA's Speech during the Infra Conference for Central Philippines Super Region”. Office of the President (13 July 2007). 2007年10月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年11月25日閲覧。
- ^ “Roxas approves P2b for new Bicol airport”. Manila Standard. (26 May 2012). オリジナルの28 June 2012時点におけるアーカイブ。
- ^ “DOTC allocates P780.9 million for Bicol International Airport”. BusinessMirror (19 December 2014). 29 January 2015閲覧。
- ^ “Bicol International Airport to Become Operational in 2017”. Philippine Flight Network. (June 2015) 25 October 2016閲覧。
- ^ “Completion of Bicol International Airport Delayed to August 2018”. Philippine Flight Network. (July 2016) 25 October 2016閲覧。
- ^ Jiao, Diane Claire J. (14 September 2012). “Budget for DoTC's PPP projects released”. BusinessWorld Online Corp.. オリジナルのJanuary 11, 2018時点におけるアーカイブ。 11 January 2018閲覧。
- ^ Velasquez, Caleb (8 December 2016). “President Duterte leads groundbreaking ceremony for Bicol International Airport development”. Update Philippines 8 October 2021閲覧。
- ^ Mier, Ma. April (29 September 2017). “NPA rebels burn 11 heavy equipment at Bicol International Airport”. Inquirer.net 10 January 2018閲覧。
- ^ Valdez, Denise A. (2018年8月28日). “Bicol airport hits 50% completion, remains on track for 2020 opening”. BusinessWorld 2021年10月8日閲覧。
- ^ Quadra-Balibay, Aurora (11 January 2020). “LOOK: Bicol’s most scenic gateway to Mayon Volcano opens in Albay this July 2020”. Good News Pilipinas 8 October 2021閲覧。
- ^ a b Cordero, Ted (8 October 2021). “Bicol International Airport starts commercial operations”. GMA News 2023年11月27日閲覧。
- ^ Arguelles, Mar S. (7 October 2021). “New Bicol International Airport opens after 11-year construction” (英語). Philippine Daily Inquirer 7 October 2021閲覧。
- ^ “Bicol International Airport to start domestic operations on Oct. 7”. CNN Philippines. (4 October 2021) 6 October 2021閲覧。
- ^ “LOOK: Very first commercial flight from the new Bicol International Airport”. AirTraveller PH. (2021年10月8日) 2021年10月8日閲覧。
- ^ Abadilla, Emmie V. (2021年10月8日). “CEB starts operating at Bicol International Airport”. Manila Bulletin 2021年10月8日閲覧。
- ^ “Cebu Pacific deploys A320 to Legazpi”. TTR Weekly. (May 5, 2022) November 18, 2022閲覧。
- ^ Barcia, Raydes (April 25, 2022). “PAL announces return of airbus flight in Bicol International Airport in May”. Rapid News PH August 23, 2022閲覧。
- ^ Bueno, Feliz Grace. “Bicol Welcomes the World: Welcome to the newly constructed Bicol Int’l Airport”. Pinoy Builders. 2021年10月8日閲覧。
- ^ “Bicol International Airport”. Civil Aviation Authority of the Philippines. 2023年5月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年11月27日閲覧。
- ^ a b “Bicol International Airport, Legazpi”. Airport Technology. SPG Media Limited (February 18, 2021). August 23, 2022閲覧。
- ^ “Bicol Airport”. SkyVector. 23 August 2022閲覧。
- ^ “PAL reopens more domestic flights from Cebu”. ABS-CBN News. October 10, 2023閲覧。
- ^ Barcia, Rhaydz (January 10, 2018). “Plane carrying Bangko Sentral employees makes emergency landing at Bicol airport”. The Manila Times January 11, 2018閲覧。
- ^ “‘No survivors’: Bodies of passengers of crashed Cessna plane found in Albay”. Rappler. (February 23, 2023) February 23, 2023閲覧。
- ^ Yu, Lance Spencer (October 2, 2023). “‘BOMB??’: How a crumpled piece of paper shut down the Bicol airport for hours”. Rappler October 2, 2023閲覧。