コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

ミズラモグラ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ヒワミズラモグラから転送)
ミズラモグラ
国立科学博物館の標本展示
保全状況評価[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
: 真無盲腸目 Eulipotyphla
: モグラ科 Talpidae
: ミズラモグラ属[2] Oreoscaptor Kawada, 2016[3]
: ミズラモグラ O. mizura
学名
Oreoscaptor mizura
(Günther, 1880)[4]
シノニム[5]
  • Talpa mizura Günther, 1880
  • Euroscaptor mizura: Kuroda, 1948
  • Mogera mizura: Tsuchiya, 1988
和名
ミズラモグラ[2]
英名
Japanese mountain mole[1]
亜種
  • フジミズラモグラ O. m. mizura
  • シナノミズラモグラ O. m. ohtai
  • ヒワミズラモグラ O. m. hiwaensis

ミズラモグラ(角髪土竜、学名Oreoscaptor mizura)は、真無盲腸目モグラ科に属する哺乳類。

種小名のmizura は、日本古来の髪型である角髪(みずら)に由来する。

分布

[編集]

本州青森県から広島県にかけて分布する。日本固有種

形態

[編集]

頭胴長が80-106.5mm、尾長が20-26mm、後足長が13.5-15.4mm、体重が26-35.5gになる。ヒミズよりやや大きく、耳介が無い。尾は通常後足の1.5倍以上の長さがある。手は大きく発達しており、幅と長さがほぼ等しい。爪がまっすぐで強大であることも特徴である。吻上面の裸出部は、長三角形になる。体毛の色は、生息地域もしくは個体によって変異に富んでおり、灰褐色から黒色まである。

生態

[編集]

低山帯から高山帯までの森林に生息しているが、生息数はあまり多くない。昆虫類、ミミズ類、ジムカデ類、ヒル類などを食べる。地下に広葉樹の葉を使って、径36cm前後、高さ31cm前後の巣を作る。自らもトンネルを掘るが、他のモグラが掘ったトンネルも利用することもある。

分類

[編集]

1880年にヨーロッパモグラ属Talpaの一種として記載されたが、1948年に旧ミズラモグラ属(=アジアモグラ属Euroscaptor)に分類された[5]。1988年には染色体の比較からニホンモグラ属Mogeraに含める説も提唱されていた[6]。2014年に発表されたアジア産モグラ類の分子系統解析では、本種がアジアモグラ属・ニオイモグラ属Scaptochirus・ニホンモグラ属からなる単系統群との姉妹群を形成し、旧ミズラモグラ属は側系統群という結果が得られている[7]。2016年に大陸産アジアモグラ属との形態比較から本種と独立属とすることが提唱され、新たにミズラモグラ属Oreoscaptorが記載された[3][4]

  • フジミズラモグラ Oreoscaptor mizura mizura (Günther, 1880)
  • シナノミズラモグラ Oreoscaptor mizura ohtai (Imaizumi, 1955)
  • ヒワミズラモグラ Oreoscaptor mizura hiwaensis (Imaizumi, 1955)

以上の3亜種に分ける説もある。一方、亜種ヒワミズラモグラを基亜種フジミズラモグラのシノニムとして2亜種とする説もある[8]

保全状態評価

[編集]

LEAST CONCERN (IUCN Red List Ver. 3.1 (2001))[1]

準絶滅危惧(NT)環境省レッドリスト[9]

脚注

[編集]
  1. ^ a b c Laginha Pinto Correia, D. 2016. Euroscaptor mizura. The IUCN Red List of Threatened Species 2016: e.T8385A22320533. https://doi.org/10.2305/IUCN.UK.2016-1.RLTS.T8385A22320533.en. Accessed on 05 September 2022.
  2. ^ a b 川田伸一郎・岩佐真宏・福井大・新宅勇太・天野雅男・下稲葉さやか・樽創・姉崎智子・鈴木聡・押田龍夫・横畑泰志世界哺乳類標準和名リスト2021年度版」日本哺乳類学会、2021年12月24日公開、2022年9月5日閲覧。
  3. ^ a b Shin-ichiro Kawada, “Morphological Review of the Japanese Mountain Mole (Eulipotyphla, Talpidae) with the Proposal of a New Genus,” Mammal Study, Volume 41, Issue 4, Mammal Society of Japan, 2016, Pages 191-205.
  4. ^ a b 谷戸崇・岡部晋也・池田悠吾・本川雅治Illustrated Checklist of the Mammals of the Worldにおける日本産哺乳類の種分類の検討」『タクサ:日本動物分類学会誌』第53巻(号)、日本動物分類学会、2022年、31-47頁。
  5. ^ a b 阿部永日本産食虫類の種名の検討」『哺乳類科学』第36巻 1号、日本哺乳類学会、1996年、97-108頁。
  6. ^ 土屋公幸日本産モグラ科の染色体による分類」『哺乳類科学』第28巻 1号、日本哺乳類学会、1988年、63-68頁。
  7. ^ Akio Shinohara, Shin-ichiro Kawada, Nguyen Truong Son, Chihiro Koshimoto, Hideki Endo, Dang Ngoc Can, Hitoshi Suzuki, “Molecular phylogeny of East and Southeast Asian fossorial moles (Lipotyphla, Talpidae),” Journal of Mammalogy, Volume 95, Issue 3, American Society of Mammalogists, 2014, Pages 455–466.
  8. ^ Mammal Species of the World, 3rd edition の分類Euroscaptor mizura mizura
  9. ^ 横畑泰志「ミズラモグラ」、環境省自然環境局野生生物課希少種保全推進室編『レッドデータブック2014 日本の絶滅のおそれのある野生動物 1 哺乳類』ぎょうせい、2014年、80頁。

参考文献

[編集]
  • 小宮輝之 『日本の哺乳類』 学習研究社<フィールドベスト図鑑>、2002年、P100
  • 阿部 永 『改訂版 日本の哺乳類』 東海大学出版会、2005年、P19

関連項目

[編集]

外部リンク

[編集]