コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

アスナロ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ヒノキアスナロから転送)
アスナロ
1. 枝葉の裏面(各葉に白く大きな気孔帯がある)
保全状況評価[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
: 植物界 Plantae
階級なし : 裸子植物 gymnosperms
: マツ綱 Pinopsida
: ヒノキ目 Cupressales[注 1]
: ヒノキ科 Cupressaceae
亜科 : ヒノキ亜科 Cupressoideae
: アスナロ属 Thujopsis
: アスナロ T. dolabrata
学名
属: Thujopsis Siebold & Zucc. (1842) nom. cons.[5]

種: Thujopsis dolabrata (L.f.) Siebold & Zucc. (1844)[6][7]

シノニム

 属

 種

和名
アスナロ(翌檜、明檜)[8][9]、アスナロウ(明日奈郎宇)[10]、アスワヒノキ(明日檜)[11]、アスヒ(明檜、明日檜、阿須檜)[9][11][12]、アテヒ(当檜、明檜)[13][9]、アテビ[8]、アテ(档、檔、阿天)[14][15][16]、ヒバ(檜葉)[注 2]、ツガルヒバ[20]、ラカンハク(羅漢柏)[21]、シラビ(白檜)[22][注 3]、ヒノキ(檜、檜木)[23][24][注 4]、オニヒノキ(鬼檜)[25]、マキ[26][注 5]、クサマキ(草槇)[28][注 6]
英名
hiba-arborvitae[29][30], Hiba[30], Asunaro[30], Japanese-thuya[30]
変種
  • アスナロ T. dolabrata var. dolabrata
  • ヒノキアスナロ T. dolabrata var. hondae

アスナロ(翌檜、明檜)は、裸子植物マツ綱ヒノキ科アスナロ属に分類される唯一の現生種である Thujopsis dolabrata のこと、またはその基準変種である Thujopsis dolabrata var. dolabrata のことである。別変種として、ヒノキアスナロThujopsis dolabrata var. hondae)がある。高木になる常緑針葉樹であり、小枝は十字対生するやや厚い鱗片状の葉によって扁平に覆われ、裏面に目立つ白色の気孔帯がある(図1)。"花期"は5月、球果は木質でその年の秋に熟し、基準変種では鱗片に明瞭な突起があるが、ヒノキアスナロでは突起が目立たない。冷温帯に生育する日本固有種であり、基準変種は本州四国九州、ヒノキアスナロは北海道南部から本州北部に分布する。

は建築材などに利用され、特に青森県石川県では重要な樹種である。また材にヒノキチオールなど精油が多く含まれ、医薬品や食品添加物、化粧品などに利用されている。「アスナロ」の名は、ヒノキに似るが材が多少劣ることから「明日はヒノキになろう」を意味するとされることが多いが、異説もある(→名称)。ヒバ(檜葉)やアテ(档)ともよばれる。

特徴

[編集]

常緑高木になる針葉樹であり、幹は直立し、大きなものは高さ30メートル (m)、幹の直径 1 m になる[31][32][26](下図2a, b)。材は耐朽性が高く、枯死しても心材が残っていることがある[26]。自生地では、斜面や雪の影響で根元が曲がっていることも多い[33]。枝が地面を匍匐し、そこからを生じて株となること(伏条更新)もある[33][17]樹皮は赤褐色から灰褐色、黒褐色、縦に薄く剥がれ、やや繊維状、剥げた跡は灰色になる[32][26][34][33][35](下図2c)。樹冠は卵状円錐形[26][34][35]。枝はヒノキにくらべて太く、互生する[33]。小枝は直径4–6ミリメートル (mm)、平面的に分枝して広がり、鱗片状の鱗形葉に扁平に覆われて表裏の別(背腹性)を示す[34][29](下記参照)。

2a. 樹形
2b. 樹形
2c. 樹皮

は鱗片状、長さ 4–7 mm、鈍頭、ヒノキよりも厚く、無毛、十字対生して小枝を扁平に覆う[32][26][34](下図3)。背腹性を示し、左右につく葉は船形から卵状披針形で先端がわずかに内側に湾曲し、表裏につく葉は舌形から舌状菱形、いずれも表面(向軸側)は光沢がある濃緑色(下図3a)、裏面(背軸側)には大きく明瞭な白色の気孔帯がある[32][26][29](下図3b)。葉は数年間宿存し、小枝が太くなるとともに葉も大きくなる[34]

3a. 枝葉(表、向軸面)
3b. 枝葉(裏、背軸面)

雌雄同株、"花期"は5月[31][32][26]雄球花[注 7]は小枝に頂生し、楕円形、6–10対の小胞子葉("雄しべ")が十字対生し、それぞれ花粉嚢を3–5個つける[32][26][34][29](下図4a)。雌球花[注 8]は扁球形、淡黄緑色で赤みをおび、4–5対の十字対生する果鱗種鱗+苞鱗)からなり、各果鱗は3–5個の胚珠をもつ[32][35][29]球果は10–11月に熟し、木質、褐色、球形、直径 12–16 mm、果鱗は広卵形、長さ約 8 mm、上部が厚くなり、先端は角状に大きく突出する[31][32][26][34](下図4b)。ただし変種ヒノキアスナロではほとんど突出せず、球果は直径 15–20 mm ほど[32][26][34]種子は褐色、長楕円形、長さ 3–5 mm、狭い翼が2–3個ある[32][34][29]子葉は2枚[32][34]染色体数は 2n = 22[32]

4a. 雄球花をつけた枝葉
4b. 裂開した球果をつけた枝葉: 果鱗は反り返り、大きな突起がある。

には重量比1%ほどの精油が含まれ[17]ツヨプセン(下図5a)、セドロール(下図5b)、クパレノールコスタールエレメナールマユロンウィドロールエレモールなどのセスキテルペンが多いが、α-およびβ-ツヤプリシンヒノキチオール; 下図5c)、β-ドラブリンも含まれる[39][40]。一方、サビネンボルネオールサビノールジペンテンなどのモノテルペンを多く含む[40][41]。種子には、サビネン、ヘジカリオール、α-ピネントタロール、α-テルピニルアセテートなどが多い[40]

分布・生態

[編集]
6. アスナロが混生する森林(徳島県

日本固有種であり、湿潤な冷温帯(ブナ帯)に分布する[35][29](図6)。基準変種であるアスナロは本州四国九州に分布する[31][32][26][33]。一方、変種ヒノキアスナロは、北海道南部(渡島半島)から本州北部(太平洋側は栃木県、日本海側は能登半島以北)に分布し、蛇紋岩地帯にも生育する[32][26][34][35]

一般的に斜面下部の湿潤地を好むが[35]スギよりは乾燥に強い[42]。自生のものはしばしばクロベ(ネズコ)やブナと混生する[33]。また、尾根筋や湿原周辺では純林を形成することもある[33]。耐陰性が極めて高く、林内の樹下でもゆっくりと成長できるため[26][33]、木曽ではヒノキ林の下層にアスナロが多く生育しており、放置すればアスナロ林に移行すると考えられている[31][43]。材は粘り強いため、雪による幹折れはほとんどないが、根が浅いため強風や雪によって倒伏することがある[42]

アスナロは、スギマツ類に比べて病虫害は少ない[42]。ただし、Cistella japonica子嚢菌門ズキンタケ綱)による漏脂病の被害が生じることがある[42][44]。また Blastospora betulae担子菌門サビキン綱)による天狗巣病が生じることがあるが、実害はない[42][44]

保全状況評価

[編集]

レッドリスト

[編集]

国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストでは、低危険種 (LC) に指定されている[1]

日本のレッドデータでは、アスナロとヒノキアスナロが別に扱われているが、いずれも日本全体としては絶滅危惧等の指定はない[45][46]。都道府県単位では、アスナロは奈良県で希少種(統一カテゴリ名では準絶滅危惧種)に指定されており[45]、またヒノキアスナロは以下の都道府県で指定を受けている[46](統一カテゴリ名、2023年現在)。

天然記念物

[編集]
7. 十二本ヤス(青森県五所川原市

日本では、アスナロ(ヒノキアスナロ)の自生地北限であり、かつアオトドマツの自生地南限である北海道檜山郡江差町の「ヒノキアスナロおよびアオトドマツ自生地」(およそ500ヘクタール)が、天然記念物に指定されており[47]、また同地域は「椴川生物群集保護林」にも指定されている[48]。この地域では、高木層でヒノキアスナロとアオトドマツが優占しており、ブナミズナラハリギリなどが混生、亜高木層でもヒノキアスナロが優占し、ミズキシナノキなどが混生している[48]

また、県など地方自治体指定に指定されたアスナロの天然記念物も存在し、その例を以下に示す。

人間との関わり

[編集]

木材

[編集]

アスナロ、ヒノキアスナロの材は耐朽性・耐水性に優れ、シロアリ害に強く、加工しやすい[35][61][20][62][17]。材は建築家具風呂土木車両器具彫刻経木などに用いられる[61][17]。特に、岩木山神社中尊寺金色堂など東北地方から北陸地方、北関東の寺社にしばしば使われている[63][62](下図8)。抗菌性と耐湿性に優れているため、アスナロ材はまな板に適しており、特に繊維が密で硬く丈夫な根元の材が用いられている[31][17]。また、樹皮は槙肌(まきはだ、まいはだ; 防水用の詰め物)として優れている[35]

成長が遅く、一般的に100年以上の木を伐採する[17]。気乾比重は0.37–(0.45)–0.55[62]。心材は淡黄色、辺材は黄白色[62]。木理が通直、肌目は精[62]。精油による独得の強い臭気があり、水中貯木などでこれを除くことがある[35][62]。一方でこの精油は抗菌性などを示し、広く利用されている(→下記参照)。

北海道における林業は、檜山におけるヒノキアスナロ(エゾヒノキとよばれた)の管理に始まり、1678年に松前藩が檜山奉行を置いた[61]。しかし、山火事や太平洋戦争時の造船のための乱伐によって、北海道の天然林はほとんど消失したとされる[61]

青森県では、江戸時代にはヒノキアスナロは「ヒノキ(檜)」とよばれていたが、現在では「ヒバ」とよばれる[63][20]津軽下北半島にヒノキアスナロの天然林が発達しており、また江戸時代に津軽藩が保護、造林に努めた[63][20]。このような青森県のヒバ林は「青森ヒバ」とよばれ、秋田スギ、木曽ヒノキとともに日本三大美林の一つとされる[63][20]。日本の国有林におけるアスナロの蓄積量は1,591万立方メートルスギは18,933万立方メートル)であり、その8割以上が青森県に存在する(2018年現在)[17]。青森県でヒノキアスナロを用いて作られた曲物はひば曲物とよばれ、県の伝統工芸品に指定されている[64]

石川県ではヒノキアスナロは「アテ」とよばれ、クサアテ、マアテ、エソアテ、カナアテなどの栽培品種がある[63][42]。「アテ林業」は自生のものに由来するとする説と、東北などから移入されたものに由来するとする説がある[42]。アテ林業では耐陰性が高く発根性がよいアテの性質を生かし、択伐によって生じた林内の空間にアテを直挿しまたは挿木苗植栽(下木植栽)することがあり、小面積でも持続的経営を可能にしている[63][15][42]。石川県では、建築材などのほか、輪島塗の漆器木地にも利用される[62][42]

木曽谷では、アスナロがヒノキサワラクロベ(ネズコ)、コウヤマキとともに、木曽五木の1つとされる[35]。木曽五木を材料とする箱物などは木曽材木工芸品とよばれ、長野県の伝統的工芸品に指定されている[65]

その他の利用

[編集]

アスナロ(ヒノキアスナロを含む)のから得られる精油上記参照)には抗菌性や防虫性があり、香料やアロマオイルとして広く流通している[17][39][41]。特に精油の一成分であるβ-ツヤプリシンヒノキチオール[注 9]は抗菌性が強く、医薬品や食品添加物、化粧品などに利用されている[17]

観賞用に庭園や公園に植栽されることがある[66]園芸品種がいくつか作出されており、ヒメアスナロ(Thujopsis dolabrata var. hondae ‘Nana’)は多幹性の低木となり、球形または半球形の樹形となる[61][67](下図9a)。葉にが入るフイリアスナロ(Thujopsis dolabrata var. hondae ‘Variegata’)もある[68](下図9b)。また、防風用に植栽されることもある[69]

9a. ヒメアスナロ
9b. フイリアスナロ

2017年には、富山県射水市産のアスナロが神戸市メリケンパークに運ばれ、生木では世界一という高さ約30メートルのクリスマスツリーとして展示されたことがある[70]

アスナロの花言葉は、「芳香」である[31]

自治体の木

[編集]

上記のように、地域によってはアスナロ(特にヒノキアスナロ)は林業上重要かつ身近な樹種であり、青森県では「ヒバ」の名で[71]石川県では「あて(能登ヒバ)」の名で[72]、それぞれ県の木に指定されている。また各地の市町村でも、以下のように自治体の木とされている[73]

名称

[編集]

和名であるアスナロの名は、ヒノキに似ているが材としてやや劣るため、「明日はヒノキになろう」に由来するとされることが多く[84][31]清少納言枕草子[61][43][注 10]松尾芭蕉『笈日記』[注 11]井上靖あすなろ物語[注 12]などでもこの意味で記されている。

しかし、この語源は俗説であり正しくないとされることもあり[85]、また材質がヒノキに劣ることはないともされる[63]。古くは高貴なヒノキを意味する「アテヒ(貴檜)」とよばれ、これが「アスヒ(阿須檜)」になり、「アスナロ」に転化したともされる[63][86]。西日本では、ヒノキ属サワラをナロとよぶ地域がある[63][43]。また、ヒノキに比べて葉が厚いことを示す「アツハヒノキ(厚葉檜)」から転じたとの説もある[63][86][43]

青森県などではヒバ(檜葉)[87][17][18][19]石川県ではアテ(档、檔、阿天)[14][15][16]とよばれる。他にも別名が多く、アスナロウ(明日奈郎宇)[10]、アスヒ[88]、アスダロ[88]、アテビ[88]、アスワヒノキ(明日檜)[11]、ツガルヒバ[20]、シラビ(白檜)[22][注 3]、オニヒノキ(鬼檜)[25]、クサマキ(草槇)[28]、ラカンハク(羅漢柏)[21]などがある。青森県や北海道でヒバとよばれるものは変種のヒノキアスナロのことを指していて、渡島半島檜山地方という地名は、ヒノキアスナロが多いことから来た名前である[88]

学名Thujopsis dolabrata のうち、属名の Thujopsis は「クロベ属(ネズコ属、Thuja)に似ている」を示す[63][29][43]。種小名はラテン語で「手斧」を意味する dolabra に由来し、葉の形を示している[29][43]

分類

[編集]
10. ヒノキアスナロ

としてのアスナロは、基準変種のアスナロと、変種であるヒノキアスナロ(図10)を含む[88]。ヒノキアスナロは、基準変種のアスナロよりも北方に分布する(上記参照[88]。ヒノキアスナロは、アスナロよりも鱗形葉がやや小さい[26][33]。また、果鱗先端はほとんど突出せず、球果はほぼ球形で直径 15–20 mm[32][26][34]

  • アスナロ Thujopsis dolabrata var. dolabrata[89][7]
    シノニム: Thuja laetevirens Nuytens (1887), nom. nud.; Thuja prostrata Jacob-Makoy (1862); Thujopsis atrovirens Lavallée (1877); Thujopsis dolabrata var. australis A.Henry in H.J.Elwes & A.Henry (1907); Thujopsis dolabrata f. decumbens Beissn. (1891); Thujopsis dolabrata var. latifolia Lavallée (1877); Thujopsis dolabrata f. nana (Endl.) Beissn. (1887); Thujopsis dolabrata var. nana Endl. (1847); Thujopsis dolabrata f. variegata (Fortune) Beissn. (1887); Thujopsis dolabrata var. variegata Fortune (1861); Thujopsis keteleeri Standish ex J.Dix (1862); Thujopsis laetevirens Lindl. (1862)[89]
  • ヒノキアスナロ Thujopsis dolabrata var. hondae Makino (1901)[90][91]
    シノニム: Thujopsis dolabrata subsp. hondae (Makino) Silba (2006)[90]

また、青森県眺望山には、鱗形葉が著しく細いものが見られ、品種ホソバアスナロ(コアスナロ、学名: Thujopsis dolabrata var. hondae f. uchimappeana Hayashi (1960))として命名されている[92][87][93]

現生種としては、アスナロはアスナロ属の唯一の種である。アスナロ属の確実な化石記録はおそらく東アジアに限られており、ヨーロッパからの報告もあるが、これは誤りと考えられている[94]。最古の化石記録として確実なものは、中新世の北海道や本州から報告されている Thujopsis miodolabrata Tanai & N.Suzuki (1963) にさかのぼる[94][95]

脚注

[編集]

注釈

[編集]
  1. ^ ヒノキ科はふつうイチイ科コウヤマキ科とともにヒノキ目に分類されるが[2][3]マツ科(およびグネツム類)を加えた広義のマツ目(Pinales)に分類することもある[4]
  2. ^ 特に変種ヒノキアスナロに対して用いられるが[15]、基準変種も含めて用いることも多い[17][18][19]。またヒノキサワラクロベをヒバとよぶこともある[18]
  3. ^ a b シラビソマツ科)のことを意味することもある[22]
  4. ^ 標準名でヒノキとよばれる植物は別種である。
  5. ^ 一般的にはコウヤマキイヌマキを意味し、スギヒノキを意味することもある[27]
  6. ^ イヌマキコウヤマキを意味することもある[28]
  7. ^ "雄花"ともよばれるが、厳密にはではなく小胞子嚢穂(雄性胞子嚢穂)とされる[36]。雄性球花や雄性球果ともよばれる[37][38]
  8. ^ "雌花"ともよばれるが、厳密にはではなく大胞子嚢穂(雌性胞子嚢穂)とされる[36][37]。送受粉段階の胞子嚢穂は球花とよばれ、成熟し種子をつけた雌球花は下記のように球果とよばれる[37]
  9. ^ ヒノキチオールはタイワンヒノキで発見され、ヒノキ科の他の種にもときに存在するが、日本産の樹種の中ではアスナロに多い[17]
  10. ^ 枕草子』第40段「花の木ならぬは」「あすは檜の木、この世に近くもみえきこえず。御獄にまうでて帰りたる人などの持て来める、枝さしなどは、いと手触れにくげに荒くましけれど、なにの心ありて、あすは檜の木とつけけむ。あぢきなきかねごとなりや。誰に頼めたるにかと思ふに、聞かまほしくをかし。」
  11. ^ 松尾芭蕉『笈日記』「あすは檜の木とかや、谷の老木のいへる事あり。昨日は夢と過ぎて、 明日はいまだ来らず。ただ生前一樽の楽しみの外に、明日は明日はと言ひ暮して、終に賢者のそしりをうけぬ。」
  12. ^ ただし、井上靖の生家がある伊豆地方では、イヌマキマキ科)のことを「アスナロ」とよぶ[43]

出典

[編集]
  1. ^ a b Carter, G. (2013年). “Thujopsis dolabrata”. The IUCN Red List of Threatened Species 2013. IUCN. 2024年1月20日閲覧。
  2. ^ 大橋広好, 門田裕一, 邑田仁, 米倉浩司, 木原浩 (編), ed (2015). “種子植物の系統関係図と全5巻の構成”. 改訂新版 日本の野生植物 1. 平凡社. p. 18. ISBN 978-4582535310 
  3. ^ 米倉浩司・邑田仁 (2013). 維管束植物分類表. 北隆館. p. 44. ISBN 978-4832609754 
  4. ^ 大場秀章 (2009). 植物分類表. アボック社. p. 18. ISBN 978-4900358614 
  5. ^ a b Thujopsis”. Plants of the World Online. Kew Botanical Garden. 2024年1月20日閲覧。
  6. ^ a b c d Thujopsis dolabrata”. Plants of the World Online. Kew Botanical Garden. 2024年1月20日閲覧。
  7. ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Thujopsis dolabrata (L.f.) Siebold et Zucc. var. dolabrata”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2022年1月20日閲覧。
  8. ^ a b 翌檜」『精選版 日本国語大辞典』https://kotobank.jp/word/%E7%BF%8C%E6%AA%9Cコトバンクより2024年1月19日閲覧 
  9. ^ a b c 明檜」『動植物名よみかた辞典 普及版』https://kotobank.jp/word/%E6%98%8E%E6%AA%9Cコトバンクより2024年1月19日閲覧 
  10. ^ a b 明日奈郎宇」『動植物名よみかた辞典 普及版』https://kotobank.jp/word/%E6%98%8E%E6%97%A5%E5%A5%88%E9%83%8E%E5%AE%87コトバンクより2024年1月19日閲覧 
  11. ^ a b c 明日檜https://kotobank.jp/word/%E6%98%8E%E6%97%A5%E6%AA%9Cコトバンクより2024年1月19日閲覧 
  12. ^ 阿須檜」『動植物名よみかた辞典 普及版』https://kotobank.jp/word/%E9%98%BF%E9%A0%88%E6%AA%9Cコトバンクより2024年1月19日閲覧 
  13. ^ 当檜」『動植物名よみかた辞典 普及版』https://kotobank.jp/word/%E5%BD%93%E6%AA%9Cコトバンクより2024年1月19日閲覧 
  14. ^ a b c 輪島市の花・木・鳥”. 輪島市 (2013年3月30日). 2024年1月19日閲覧。
  15. ^ a b c d ヒバ」『改訂新版 世界大百科事典』https://kotobank.jp/word/%E3%83%92%E3%83%90コトバンクより2024年1月19日閲覧 
  16. ^ a b 阿天」『動植物名よみかた辞典 普及版』https://kotobank.jp/word/%E9%98%BF%E5%A4%A9コトバンクより2024年1月19日閲覧 
  17. ^ a b c d e f g h i j k l ヒバとは”. 東北森林管理局. 2024年1月20日閲覧。
  18. ^ a b c 檜葉https://kotobank.jp/word/%E6%AA%9C%E8%91%89コトバンクより2024年1月19日閲覧 
  19. ^ a b 檜翌檜」『精選版 日本国語大辞典』https://kotobank.jp/word/%E6%AA%9C%E7%BF%8C%E6%AA%9Cコトバンクより2024年1月19日閲覧 
  20. ^ a b c d e f 津軽ヒバ」『改訂新版 世界大百科事典』https://kotobank.jp/word/%E6%B4%A5%E8%BB%BD%E3%83%92%E3%83%90コトバンクより2024年1月15日閲覧 
  21. ^ a b 羅漢柏https://kotobank.jp/word/%E7%BE%85%E6%BC%A2%E6%9F%8Fコトバンクより2024年1月19日閲覧 
  22. ^ a b c 白檜https://kotobank.jp/word/%E7%99%BD%E6%AA%9Cコトバンクより2024年1月19日閲覧 
  23. ^ 」『動植物名よみかた辞典 普及版』https://kotobank.jp/word/%E6%AA%9Cコトバンクより2024年1月19日閲覧 
  24. ^ 檜木」『動植物名よみかた辞典 普及版』https://kotobank.jp/word/%E6%AA%9C%E6%9C%A8コトバンクより2024年1月19日閲覧 
  25. ^ a b 鬼檜https://kotobank.jp/word/%E9%AC%BC%E6%AA%9Cコトバンクより2024年1月19日閲覧 
  26. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p 中川重年 (2006). “アスナロ”. 樹に咲く花 合弁花・単子葉・裸子植物. 山と渓谷社. pp. 636–639. ISBN 978-4635070058 
  27. ^ 」『動植物名よみかた辞典 普及版』https://kotobank.jp/word/%E6%A7%87コトバンクより2024年1月20日閲覧 
  28. ^ a b c 草槇https://kotobank.jp/word/%E8%8D%89%E6%A7%87コトバンクより2024年1月19日閲覧 
  29. ^ a b c d e f g h i Thujopsis dolabrata”. The Gymnosperm Database. 2024年1月14日閲覧。
  30. ^ a b c d GBIF Secretariat (2022年). “Thujopsis dolabrata (Thunb. ex L.f.) Siebold & Zucc.”. GBIF Backbone Taxonomy. 2024年1月19日閲覧。
  31. ^ a b c d e f g h 田中潔『知っておきたい100の木:日本の暮らしを支える樹木たち』主婦の友社〈主婦の友ベストBOOKS〉、2011年7月31日、38頁。ISBN 978-4-07-278497-6 
  32. ^ a b c d e f g h i j k l m n o 大橋広好 (2015). “アスナロ属”. In 大橋広好, 門田裕一, 邑田仁, 米倉浩司, 木原浩 (編). 改訂新版 日本の野生植物 1. 平凡社. p. 41. ISBN 978-4582535310 
  33. ^ a b c d e f g h i 中川重年 (1994). “アスナロ”. 検索入門 針葉樹. 保育社. p. 25. ISBN 978-4586310395 
  34. ^ a b c d e f g h i j k l 北村四郎・村田源 (1979). “アスナロ属”. 原色日本植物図鑑 木本編 2. 保育社. pp. 411–412. ISBN 978-4-586-30050-1 
  35. ^ a b c d e f g h i j アスナロ」『改訂新版 世界大百科事典』https://kotobank.jp/word/%E3%82%A2%E3%82%B9%E3%83%8A%E3%83%ADコトバンクより2024年1月15日閲覧 
  36. ^ a b 長谷部光泰 (2020). 陸上植物の形態と進化. 裳華房. p. 205. ISBN 978-4785358716 
  37. ^ a b c 清水建美 (2001). 図説 植物用語事典. 八坂書房. p. 260. ISBN 978-4896944792 
  38. ^ アーネスト M. ギフォードエイドリアンス S. フォスター『維管束植物の形態と進化 原著第3版』長谷部光泰鈴木武植田邦彦監訳、文一総合出版、2002年4月10日、332–484頁。ISBN 4-8299-2160-9 
  39. ^ a b 酒井温子 (2008). “ヒバ精油およびヒノキチオールの木材防腐性能”. 奈良県森林技術センター研究報告 37: 49-53. CRID 1050845763672812800. 
  40. ^ a b c Hasegawa, S. & Yoshiyuki, H. (1982). “Terpenoids from the seed of Thujopsis dolabrata var. dolabrata”. Phytochemistry 21 (3): 643-646. doi:10.1016/0031-9422(82)83156-7. 
  41. ^ a b 亀岡弘 (2008). “ヒバ油”. エッセンシャルオイルの科学: 精油の正しい知識と理解を深めるために. フレグランスジャーナル社. pp. 78–79. ISBN 978-4894791374 
  42. ^ a b c d e f g h i 能登のあて” (PDF). 石川県農林水産部 (1997年). 2024年1月20日閲覧。
  43. ^ a b c d e f g 鈴木和夫・福田健二 (2012). “アスナロ”. 図説日本の樹木. 朝倉書店. p. 50. ISBN 978-4254171495 
  44. ^ a b 日本植物病名データベース”. 農業生物資源ジーンバンク. 2024年1月20日閲覧。
  45. ^ a b アスナロ”. 日本のレッドデータ 検索システム. 2024年1月19日閲覧。
  46. ^ a b ヒノキアスナロ”. 日本のレッドデータ 検索システム. 2024年1月19日閲覧。
  47. ^ 国指定文化財等データベース”. 文化庁. 2024年1月21日閲覧。
  48. ^ a b 椴川(とどがわ)生物群集保護林”. 北海道森林管理局. 2024年1月21日閲覧。
  49. ^ 十二本ヤス”. 五所川原市観光協会. 2024年1月21日閲覧。
  50. ^ a b 青森県 里山の巨樹・古木マップ(天然記念物編)”. 青森県. 2024年1月22日閲覧。
  51. ^ 道満の三光ヒバ”. 天童市. 2024年1月21日閲覧。
  52. ^ 田村市指定天然記念物 大亀神社のアスナロ”. 田村市. 2024年1月21日閲覧。
  53. ^ 揚源寺アスナロウ”. ヤマゼンコミュニケイションズ株式会社. 2024年1月21日閲覧。
  54. ^ 阿弥陀アスナロ”. 新潟県立生涯学習推進センター. 2024年1月21日閲覧。
  55. ^ 山梨の文化財ガイド(データベース)天然記念物06”. 山梨県. 2024年1月22日閲覧。
  56. ^ 馬曲七曲のアスナロ”. 公益財団法人 八十二文化財団. 2024年1月21日閲覧。
  57. ^ 元祖アテ”. 石川県 (2010年9月6日). 2024年1月21日閲覧。
  58. ^ 栃が谷平のアスナロ群生”. 但馬百科の事典. 公益財団法人 たんしん地域振興基金. 2024年1月21日閲覧。
  59. ^ 広島県の文化財 - 都志見のアスナロ”. 広島県教育委員会事務局. 2024年1月21日閲覧。
  60. ^ 芝原轟口のアスナロ”. みやざき文化財情報. 宮崎県. 2024年1月21日閲覧。
  61. ^ a b c d e f アスナロ」『日本大百科全書(ニッポニカ)』https://kotobank.jp/word/%E3%82%A2%E3%82%B9%E3%83%8A%E3%83%ADコトバンクより2024年1月17日閲覧 
  62. ^ a b c d e f g ヒバ、アスナロ”. 木材の種類と特性. 一般財団法人 日本木材総合情報センター. 2024年1月20日閲覧。
  63. ^ a b c d e f g h i j k 大澤毅守 (1997). “アスナロ”. 週刊朝日百科 植物の世界 11. p. 185. ISBN 9784023800106 
  64. ^ ひば曲物」『デジタル大辞泉プラス』https://kotobank.jp/word/%E3%81%B2%E3%81%B0%E6%9B%B2%E7%89%A9コトバンクより2024年1月19日閲覧 
  65. ^ 木曽材木工芸品https://kotobank.jp/word/%E6%9C%A8%E6%9B%BD%E6%9D%90%E6%9C%A8%E5%B7%A5%E8%8A%B8%E5%93%81コトバンクより2024年1月19日閲覧 
  66. ^ Flora of China Editorial Committee (2010年). “Thujopsis dolabrata”. Flora of China. Missouri Botanical Garden and Harvard University Herbaria. 2024年1月20日閲覧。
  67. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Thujopsis dolabrata (L.f.) Siebold et Zucc. var. hondae Makino ‘Nana’”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年1月20日閲覧。
  68. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Thujopsis dolabrata (L.f.) Siebold et Zucc. var. hondae Makino 'Variegata'”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年1月20日閲覧。
  69. ^ 藤山宏『プロが教える住宅の植栽』学芸出版社、2010年、9頁。 
  70. ^ 神戸の「世界一Xマスツリー」物議「かわいそう」「金のにおいしかしない」「エゴだ」…批判殺到で炎上、思わぬ逆風”. 産経新聞 (2017年12月20日). 2021年12月30日閲覧。
  71. ^ 青森県のシンボル”. 青森県 (2012年1月4日). 2024年1月19日閲覧。
  72. ^ 石川県の概要(シンボル、人口)”. 石川県 (2012年1月4日). 2024年1月19日閲覧。
  73. ^ 市区町村のシンボル”. 都道府県市区町村. 2024年1月20日閲覧。
  74. ^ 江差町の位置・沿革・地勢”. 江差町. 2024年1月19日閲覧。
  75. ^ 上ノ国町の概要”. 上ノ国町. 2024年1月19日閲覧。
  76. ^ 市民憲章と市の花・鳥・木・貝”. 五所川原市. 2024年1月19日閲覧。
  77. ^ むつ市の花・木・鳥を制定しました!!”. むつ市. 2024年1月19日閲覧。
  78. ^ 町の花・木・鳥”. 今別町. 2024年1月19日閲覧。
  79. ^ 花・木・鳥”. 中泊町 (2022年4月1日). 2024年1月19日閲覧。
  80. ^ 風間浦村プロフィール”. 風間浦村. 2024年1月19日閲覧。
  81. ^ 基本情報”. 佐井村. 2024年1月19日閲覧。
  82. ^ 市の花・木・鳥・魚”. 佐渡市 (2021年3月1日). 2024年1月19日閲覧。
  83. ^ 穴水町勢要覧”. 穴水町 (2022年8月). 2024年1月19日閲覧。
  84. ^ 『広辞苑』岩波書店、2009年11月15日。ISBN 4-00-080102-3 
  85. ^ 牧野富太郎 著、大橋広好 編『新牧野日本植物圖鑑』北隆館、2008年11月、14頁。ISBN 978-4832610002 
  86. ^ a b 「青森ヒバ」とは”. 東北森林管理局. 2024年1月20日閲覧。
  87. ^ a b アスナロ(ヒバ) Thujopsis dolabrata”. 東北森林管理局. 2024年1月20日閲覧。
  88. ^ a b c d e f 辻井達一『日本の樹木』中央公論社〈中公新書〉、1995年4月25日、51 - 54頁。ISBN 4-12-101238-0 
  89. ^ a b Thujopsis dolabrata var. dolabrata”. Plants of the World Online. Kew Botanical Garden. 2024年1月20日閲覧。
  90. ^ a b Thujopsis dolabrata var. hondae”. Plants of the World Online. Kew Botanical Garden. 2024年1月20日閲覧。
  91. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Thujopsis dolabrata (L.f.) Siebold et Zucc. var. hondae Makino”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2022年1月20日閲覧。
  92. ^ 林弥栄 (1960). “日本産樹木新報知(4)”. 林業試験場研究報告 125: 67‒78. https://dl.ndl.go.jp/view/prepareDownload?itemId=info%3Andljp%2Fpid%2F10956999&contentNo=1. 
  93. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Thujopsis dolabrata (L.f.) Siebold et Zucc. var. hondae Makino f. uchimappeana Hayashi”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2022年1月20日閲覧。
  94. ^ a b Yabe, A., Jeong, E., Kim, K. & Uemura, K. (2019). “Oligocene–Neogene fossil history of Asian endemic conifer genera in Japan and Korea”. Journal of Systematics and Evolution 57 (2): 114-128. doi:10.1111/jse.12445. 
  95. ^ 植村和彦 & 鈴木三男 (2019). “北海道津別町上里産の中新–鮮新世植物群”. 知床博物館研究報告 41: 1-18. CRID 1520576524383583232. 

関連項目

[編集]

外部リンク

[編集]