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ヒスパニオラホラアナネズミ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ヒスパニオラホラアナネズミ
保全状況評価[1]
EXTINCT
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
: 齧歯目 Rodentia
: アメリカトゲネズミ科 Echimyidae
亜科 : ホラアナネズミ亜科 Heteropsomyinae
: ハイチホラアナネズミ属 Brotomys
: ヒスパニオラホラアナネズミ B. voratus
学名
Brotomys voratus
Miller, 1916[2]
和名
ヒスパニオラホラアナネズミ[3]
英名
Hispaniolan edible rat[1]

ヒスパニオラホラアナネズミ学名Brotomys voratus)は、アメリカトゲネズミ科ハイチホラアナネズミ属に分類される齧歯類[3]。すでに絶滅したとされる。イスパニョーラ島固有種熱帯から亜熱帯低地湿度の高い森林に生息していた。過去の分布は現在のドミニカ共和国と思われる[4]

概要

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アメリカ動物学者ゲリット・スミス・ミラーよりはじめて記載される。イスパニョーラ島の貝塚遺跡で当該種の遺骸を発見した。ミラーは本種を16世紀スペイン史学史家でサントドミンゴ植民地市長であったゴンサロ・フェルナンデス・デ・オヴィエド・イ・ヴァルデス英語版に「mohuy」と呼ばれた動物と同じ種と視した。

オヴィエドは1535年の著書『インド諸島の一般史および自然史』で「mohuy」について下記の通り記述した。

mohuyはフチアと比べてやや小さい動物。その色は白っぽく、灰色に近い。カシケたちとこの島の族長たちに一番重視され、高く評価される食料だった。特徴はフチアによく似ていたが、毛はより濃密で粗く(または硬く)、かなりとがっていて直立していたまたは真上に向いていた。私はこの動物を一回も見たことがなかった。ただし、多くの人が前文通りのように述べた。この島には見たことか食べたことのある人も多くいる。人々はその肉を私たちの言及した他の食肉より上質だったと称賛した[5]

直立する毛はアメリカトゲネズミ科の特徴。言及された「フチア」はネジレバフチア属Quemisia)またはプエルトリコフチア属Isolobodon)の絶滅した種と思われ、両方とも本種よりやや大きかった[6]

前文の通り食用性は高く評価されたが、絶滅の原因は人類の捕殺よりラットの引入と思われる[1]下顎骨年代測定によると年代は340 ± 60 BP1550年-1670年)なのでスペインによる植民地化の初期まで生き抜けたとされる[7]

分類

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本種の属するホラアナネズミ亜科は西インド諸島に分布していたネズミ類で構成されており、いずれも絶滅種となっている[2]

ハイチホラアナネズミとの関係

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同属のハイチホラアナネズミB. contractus)は2005年の分類では別種として分類されているが[2][3]、具体的な分類についてはさらなる研究が必要[4]

参考文献

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  1. ^ a b c Turvey, S.; Helgen, K. (2016). Brotomys voratus. IUCN Red List of Threatened Species 2016: e.T3121A22205792. doi:10.2305/IUCN.UK.2016-2.RLTS.T3121A22205792.en. https://www.iucnredlist.org/species/3121/22205792 2024年1月22日閲覧。. 
  2. ^ a b c Woods, C.A.; Kilpatrick, C.W. (2005). "Infraorder Hystricognathi". In Wilson, D.E.; Reeder, D.M (eds.). Mammal Species of the World: A Taxonomic and Geographic Reference (3rd ed.). Johns Hopkins University Press. pp. 1538–1600. ISBN 978-0-8018-8221-0. OCLC 62265494
  3. ^ a b c 川田伸一郎、岩佐真宏、福井大、新宅勇太、天野雅男、下稲葉さやか、樽創、姉崎智子 ほか「世界哺乳類標準和名目録」『哺乳類科学』第58巻別冊、日本哺乳類学会、2018年6月、32頁、doi:10.11238/mammalianscience.58.S1ISSN 1881-526X2024年1月21日閲覧 
  4. ^ a b Brotomys voratus G. S. Miller, 1916”. ASM Mammal Diversity Database. 2024年1月25日閲覧。
  5. ^ Smithsonian miscellaneous collections” (1862年). 2024年1月24日閲覧。
  6. ^ Miller Jr., Gerrit (11 December 1929). “Mammals eaten by Indians, Owls, and Spaniards in the Coast Region of the Dominican Republic”. Smithsonian Miscellaneous Collections 82 (5). https://repository.si.edu/bitstream/handle/10088/23913/SMC_82_Miller_1929_5_1-16.pdf 2024年1月24日閲覧。. 
  7. ^ Haynes, Gary (2009). American megafaunal extinctions at the end of the Pleistocene. Springer. pp. 23, 27–31, 133, 152–53, 172. ISBN 978-1-4020-8792-9. https://books.google.com/books?id=iq6qZXUkWo0C 2024年1月24日閲覧。