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スパルティナ・アルテルニフロラ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ヒガタアシから転送)
スパルティナ・アルテルニフロラ
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 単子葉類 Monocots
階級なし : ツユクサ類 Commelinids
: イネ目 Poales
: イネ科 Poaceae
: スパルティナ属 Spartina
: S. alterniflora
学名
Spartina alterniflora Loisel.
和名
ヒガタアシ
英名
Smooth Cordgrass、
Salt-water Cordgrass、
Atlantic Cordgrass、
Saltmarsh Cordgrass[1]

スパルティナ・アルテルニフロラSpartina alterniflora)は、イネ科の植物で、北米東部原産。外見はヨシに似ており、高さ2mまで成長する場合もある[2]

干潟や川の河口など汽水域で繁茂し、見た目は日本在来植物では水辺に生えるヨシすなわちアシ(葦・芦)に類似する。このため和名としてヒガタアシと呼ばれることもある[3]

生態

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スパルティナ属は、干潟や塩沼など、塩分濃度が高い水辺に生育する[2]

繁殖力が強いため、米国西部のワシントン州ニュージーランドブラジルなどでは過去、干潟が草地化する被害を引き起こしている[4]。干潟は魚介類水鳥が暮らす生物多様性において貴重な存在である。ヒガタアシは円形の群落を形成し、種子だけでなく断片からでも増殖し、近くで飛地状に別の草むらが発生することもある。地盤が軟らかい干潟や湿地では重機による根本からの掘り起しができないため、いったん根付くと根絶が難しく、生態系への重大な脅威とみなされている[5]

日本における生態

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2011年8月、スパルティナ・アルテルニフロラが梅田川愛知県豊橋市)の河口付近で、約1kmにわたって繁殖していることが報じられた。これは、日本国内で初めてのスパルティナ属の生息確認だった[2]

発見のきっかけは同年3月に「愛知県移入種検討会」の担当委員が調べた、「不明植物」の標本(梅田川で2008年に採取された後に愛知教育大学で保管)。同委員によると、この外来生物の侵入時期は2005年前後と推測されている[6]

侵入経路は不明だが、繁殖地が貿易港である三河港に近いため、貨物船バラスト水が種子を運んで来た説を同委員は挙げている[7]

環境省愛知県は、特定外来生物世界の侵略的外来種ワースト100の「スパルティナ・アングリカ[8]に近縁な種であるため、生態系への影響を警戒し、開花時期である(同年)10月に、合同で生態調査をする方針を示した[4]

また、熊本県の3河川(白川坪井川、大野川)でも生育が確認された[9]。日本の沿岸に繁殖する恐れが強まったとされ、環境省は2014年6月にも特定外来生物に指定することと根絶対策を強化する方針を固め[10]、2014年6月11日に指定した[11]

日本スパルティナ防除ネットワーク(JNPS)も発足した[12]

脚注

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  1. ^ スパルティナ・アルテルニフロラの概要 - 中部地方環境事務所(PDF)
  2. ^ a b c 「侵略」イネ科 豊橋で繁殖 国内初確認 - 読売新聞 中部 2011年8月14日
  3. ^ ヒガタアシ - 豊橋市(2018年7月9日閲覧)
  4. ^ a b イネ科外来種 拡散阻止へ 環境省と愛知県 10月に現地調査 - 読売新聞 中部 2011年8月25日
  5. ^ 脅威増す外来種(6)ヒガタアシ/干潟を草地に 海辺の生態系崩す『日本経済新聞』朝刊2018年7月1日(サイエンス面)2018年7月10日閲覧。
  6. ^ 「最も侵略的」イネ科、希少植物追いやり繁殖 - YOMIURI ONLINE(読売新聞)2011年8月14日11時45分 (リンク切れ)
  7. ^ 「侵略」イネ科、国内初確認…生態系乱す恐れ - YOMIURI ONLINE(読売新聞)2011年8月14日11時37分 (リンク切れ)
  8. ^ この種も、愛知県碧南市の堀川河口付近で見つかり、日本侵入が初確認されている。「危険なイネ科外来種 確認/愛知・碧南 生態系破壊の恐れ」読売新聞』朝刊2019年2月24日(社会面)2019年3月7日閲覧。
  9. ^ 外来生物対策-スパルティナ・アルテルニフロラについて~特徴や予想される被害等~ - 九州地方環境事務所
  10. ^ 干潟むしばむ外来植物 環境省が根絶対策強化へ - YOMIURI ONLINE 2014年5月26日(読売新聞 5月25日朝刊32面)
  11. ^ ヒガタアシが特定外来生物に指定されました(県条例の規制対象から外来生物法の規制対象となります)愛知県(2014年6月11日)2018年7月9日閲覧。
  12. ^ 「最も侵略的」イネ外来種、根絶に向け全国組織 - YOMIURI ONLINE 2015年2月1日

外部リンク

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