バロン・モルド
バロン・モルド (Baron Mordo)、または、カール・アマデウス・モルド(Karl Amadeus Mordo)は、マーベル・コミックが出版するアメリカン・コミックスに登場するスーパーヴィランである。魔術の才能があり、特に悪魔召喚を含む黒魔術に長け、ドクター・ストレンジの敵として描写される。
Baron Mordo | |
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出版の情報 | |
出版者 | マーベル・コミック |
初登場 | 『ストレンジ・テイルズ』 #111(1963年8月) |
クリエイター | スタン・リー スティーヴ・ディッコ |
作中の情報 | |
本名 | カール・アマデウス・モルド |
種族 | 人間 |
能力 |
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カール・モルドは、スティーヴン・ストレンジがチベットに到着した時点で、エンシェント・ワンの下で魔術を研究していたが、同時にエンシェント・ワンを殺そうと陰謀を企だてていた。しかし魔術師になったストレンジに敗れて追放され、それ以来モルドは“ソーサラー・スプリーム”になったストレンジと何度か衝突。時には悪魔のドルマムゥの力を得て、ストレンジになりすましたこともあった[1]。
発行履歴
[編集]スタン・リーとスティーヴ・ディッコによって創造され、1963年8月の『ストレンジ・テイルズ』 第111号で初登場した。
キャラクター経歴
[編集]カール・アマデウス・モルドは、トランシルバニアの“ヴァルフ・マンドラ”にある古い貴族の家に産まれ、裕福な環境で育った彼は望むことをなんでも叶え、贅沢な生活を送るだけでなく、黒魔術などのオカルト研究を趣味とする変わり者な祖父の影響で、魔術に対して異常なまでの関心を持つようになると、魔術師であるエンシェント・ワンの弟子になった[2][3][4]。エンシェント・ワンはモルドが強大な力を求めていると見抜き、注意深く見守りながら修行に励ませることで改心させようとしたがそれは叶わず、モルドはエンシェント・ワンの知識を全て学んだと思い込んで彼の抹殺を企んだ。しかしそれを察したストレンジと激しい魔術戦となり、相手を拘束して勝利したと思いきや、裏をかいていたストレンジに敗北。これによりモルドは外界に追放された[5][2]。
モルドは外界に追放された後も独自に黒魔術の研究を続け、邪悪にして世界有数の魔術師となった。そんなモルドはストレンジへの復讐を企み、アストラル投射を駆使しての毒殺やクライヴ・ベントレー卿に変装など、あの手この手でストレンジを手にかけようとしたが失敗した[6]。
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能力・スキル
[編集]バロン・モルドは、黒魔術とミスティック・アーツを長年研究してきたことから、催眠術、動物磁気、強大な爆風の発生、次元間のテレポート、身体から“アストラル体”を切り離すなど、さまざまな効果を持つ魔術の数々を有している。呪文を唱えることで、地球に接する別次元から異次元のエネルギーを利用することもでき、満足に操れるとまではいかないが、悪魔を召喚することも可能。
また、空手のような武道についてある程度の心得があり、魔法の伝承についても幅広い知識を持っている。
その他のバージョン
[編集]ミュータントX
[編集]『ミュータントX』の最終号に“エンシェント・ワン”と呼ばれるモルドが登場。ビヨンダー/ゴブリンクイーンを止めるために他のヒーローやヴィランと同盟しているが、彼もまたヴィランと見られている。
シークレット・ウォーズ2099
[編集]『シークレット・ウォーズ2099』の『バトルワールド』では、マーティン・ハーグッドを調査し[7]、最終号では、彼がモルドの子孫であることが明らかになった[8]。
MARVEL’sウェイストランダーズ
[編集]『MARVEL’sウェイストランダーズ』では、アース21923の大統領府で村を経営しながらダークホールドを所有し、捕虜のアガサ・ハークネスから力を引き、ソフィア・ストレンジを奴隷にした。だが後にドクター・ドゥームが村に出くわすと、彼の手にかかって死亡し、ダークホールドも奪われた[9]。
MCU版
[編集]『マーベル・シネマティック・ユニバース』では、キウェテル・イジョフォーが演じる。日本語吹替は小野大輔が担当する。
キャラクター像
[編集]かつて知識と力・復讐の手段を求めて“カマー・タージ”を訪ね[10][11]、“マスターズ・オブ・ミスティック・アーツ”に入門して修行を積んだ黒人系の魔術師。
自然の調和を保つ魔術師であることに誇りを持っており、生真面目で自らの倫理観を確立しているものの、融通が利かない一面もあり、自然の秩序を乱す敵には容赦せず命まで奪おうとするほどの激しい気性の持ち主。その意固地さも相まって、エンシェント・ワンからは「若い頃に苦労した経験から魂が固すぎる」と危惧されている。
かつてはエンシェント・ワンを師と強く信頼している忠実な弟子で、同門のウォンと共にスティーヴン・ストレンジ/ドクター・ストレンジを魔術の道へと導いたが、彼らとは後述の理由から 袂を分かっている。
カール・モルド / バロン・モルド(Karl Mordo / Baron Mordo)
[編集]正史の宇宙(“アース616”)とは別の宇宙である“アース838”におけるモルドは、アース838のマスターズ・オブ・ミスティック・アーツの“ソーサラー・スプリーム”となっていると共に、“イルミナティ”のメンバーの一人でもある。
一見その肩書に相応しい佇まいをしているが、スティーヴン・ストレンジ/ドクター・ストレンジ(アース838)の才能に嫉妬して彼を堕落させるために“ダークホールド”を与えたり、そのことをストレンジ (アース616)に見抜かれて挑発されると激昂するなど、小物染みた本質の男である。
能力
[編集]“マスター”のランクを有する熟練の魔術師としての実力を持つが、現在のところ魔術よりも、体術や後述の“レリック”を駆使した直接的な近接戦法をメインに戦う描写がほとんどである。
レリック
[編集]- スリング・リング
- 使用する魔術師が望む行き先へのゲートウェイ(出入り口)を開く指輪。
- ヴァルトのブーツ(Vaulting Boots of Valtorr)
- モルドが常時履いている一足の靴。これを履くことで、空中を蹴りながら歩行・跳躍ができる[注釈 1]。
- リビング・トリビューナルの杖(Staff of the Living Tribunal)
- かつて公平かつ冷酷な裁きを下す宇宙的な存在が所有していたと知られるスタッフ[10]。分かれた節から現れるオレンジ色の魔術エネルギーにより、多節棍のように変化し、打ち付けた敵を吹き飛ばす衝撃力を繰り出す[10]。現代ではモルドがこれを背負って携行し、修行や戦闘で鞭として用いる。
描写
[編集]- 『ドクター・ストレンジ』
- 本作でMCU初登場。
- カトマンズを訪れたストレンジを暴漢らから救い、カマー・タージへと招いて彼の兄弟子兼お目付け役となり、修行相手を務めつつ魔術の知識を与えるだけでなく、規則を無視したり闇の勢力との戦いに消極的な姿勢を見せるストレンジを戒める。やがてゼロッツのサンクタム・サンクトラム襲撃に巻き込まれ、応戦する最中にエンシェント・ワンの秘密を知ったことで、魔術に対して失望してしまう。
- それでも香港を守るためにストレンジやウォンと共闘したが、戦闘後に彼らと決裂して行方をくらます。さらにエンドロール後には、パングボーンの下に現れ、彼の魔力を奪い取り、「魔術師が多すぎる」と呟く。
- 『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』
- 本作では、アース833におけるモルドが登場。
その他のメディア
[編集]テレビアニメ
[編集]- 『スパイダーマン』では、ドルマムゥの下僕にしてストレンジの敵として登場し、トニー・ジェイが声をあてた。
- 『The Super Hero Squad Show』のエピソード『Night in the Sanctorum!』と『Invader from the Dark Dimension!』ではデイヴ・ボートが声をあてた。
- 『アルティメット・スパイダーマン』ではダニー・ジェイコブスが声をあてた[12]。
- 『アベンジャーズ・アッセンブル』のエピソード『アガモットの目 パート1』では、“ヒドラ”の一員であるアフリカ系アメリカ人として登場し、フィル・ラマールが声をあてた[13]。
- 『マーベル スパイダーマン』のエピソード『驚くべき仲間たち』では“A.I.M.”の一員であるアフリカ系アメリカ人として登場し、レナード・ロバーツが声をあてた[14][15]。
ゲーム
[編集]- 『MARVEL ULTIMATE ALLIANCE』では、“マスターズ・オブ・イーヴィル”のメンバーにしてドクター・ドゥームの副官の一人を務めている。フィリップ・プロクターが声をあてた。
- 『Marvel: Avengers Alliance』ではボスキャラクター兼ロック解除可能なキャラとして登場する。
- 『MARVEL オールスターバトル』・『マーベル・パズルクエスト』・『LEGO マーベル スーパー・ヒーローズ 2 ザ・ゲーム』ではプレイヤーキャラクターとして登場し[16][17]、『LEGO マーベル スーパー・ヒーローズ 2 ザ・ゲーム』ではMCU版のビジュアルで登場する[18]。
- 『マーベル・フューチャーファイト』・『MARVEL フューチャーレボリューション』 にも登場する[19][20]。
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ 空中を蹴ると、小さな魔法円が発生する。
参考
[編集]- ^ Rovin, Jeff (1987). The Encyclopedia of Supervillains. New York: Facts on File. p. 19. ISBN 0-8160-1356-X
- ^ a b “【ドクター・ストレンジ】バロン・モルドの強さ・能力について解説!【マーベル原作】”. 2022年7月10日閲覧。
- ^ Strange Tales #115 (Dec. 1963)
- ^ Brevoort, Tom; DeFalco, Tom; Manning, Matthew K.; Sanderson, Peter; Wiacek, Win (2017). Marvel Year By Year: A Visual History. DK Publishing. p. 93. ISBN 978-1465455505
- ^ Strange Tales #111. Marvel Comics.
- ^ Strange Tales #114. Marvel Comics.
- ^ Secret Wars 2099 #2. Marvel Comics.
- ^ Secret Wars 2099 #5. Marvel Comics.
- ^ Wastelanders: Doom #1. Marvel Comics.
- ^ a b c ビジュアル・ディクショナリー 2019, p. 162
- ^ キャラクター事典 2020, p. 149
- ^ "Miles From Home". Ultimate Spider-Man. シーズン4. Episode 3. 28 February 2016. Disney XD。
- ^ "The Eye of Agamotto Pt. 1". Avengers Assemble. シーズン4. Episode 15. 7 January 2018. Disney XD。
- ^ “Amazing Friends”. The Futon Critic (April 21, 2020). April 21, 2020閲覧。
- ^ "Amazing Friends". Spider-Man. シーズン3. Episode 2. 17 May 2020. Disney XD。
- ^ “Piecing Together Marvel Puzzle Quest: Mordo”. News - Marvel.com. 30 October 2017閲覧。
- ^ “Characters”. IGN Database. 22 December 2017閲覧。
- ^ “Rune to Maneuver”. IGN Database. 24 January 2018閲覧。
- ^ "An Epic Quest Brings Doctor Strange to Marvel Future Fight," Marvel. Retrieved December 21, 2016
- ^ “The master mystic Baron Mordo is ready to join your team as a new companion in #MARVELFutureRevolution, the question is... are you ready for him?”. Marvel Future Revolution. Twitter (January 22, 2022). June 6, 2022閲覧。
参考文献
[編集]- 『マーベル・スタジオ・ビジュアル・ディクショナリー』デアゴスティーニ・ジャパン、2019年。ISBN 978-4-8135-2270-6。
- 『マーベル・スタジオ キャラクター事典』株式会社うさぎ出版、2020年。ISBN 978-4-418-19429-2。