エジプト・ステーション
『エジプト・ステーション』 | |||||
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ポール・マッカートニー の スタジオ・アルバム | |||||
リリース | |||||
録音 | 2016年1月 | - 2018年2月||||
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時間 | |||||
レーベル | キャピトル・レコード | ||||
プロデュース |
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専門評論家によるレビュー | |||||
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チャート最高順位 | |||||
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ポール・マッカートニー 年表 | |||||
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ポール・マッカートニー スタジオ・アルバム 年表 | |||||
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『エジプト・ステーション』収録のシングル | |||||
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『エジプト・ステーション』(英語: Egypt Station)は、2018年9月7日 に発売されたポール・マッカートニーの通算17作目のアルバム。
解説
[編集]オリジナル・アルバムとしては、2013年発売の『NEW』以来5年ぶりのリリース。同時に古巣となるキャピトル・レコードへの再移籍後初のアルバムとなる[13]。
アートワークに使用されたイラストは、1988年にマッカートニーによって描かれたもので、アルバム・タイトルはこのイラストと共鳴している[13][1][14]。マッカートニーはアルバム・タイトルについて「すごく気に入っている言葉で、僕らがかつて作っていたアルバムを思いおこさせる。本作は1曲目の駅から出発し、楽曲それぞれが違う駅のような感じ。そのアイデアが収録曲全ての原型になっている。それは音楽が織りなす夢のような場所だと思っている。」とコメントしている[15][1]。
本作のレコーディングは、ロサンゼルスとロンドン、サセックスのスタジオにて行なわれた[1]。本作は、主にグレッグ・カースティンとマッカートニーの共同プロデュースだが、1曲のみライアン・テダーによるプロデュースとなっている[1]。収録曲のうち、「バック・イン・ブラジル」はサンパウロに所在するKLBスタジオで録音された[16]。
本作からの第1弾シングルとして両A面シングル「アイ・ドント・ノウ / カム・オン・トゥ・ミー」を2018年6月20日に発売された[17][18]。その後、「ファー・ユー」、「フー・ケアズ」もシングル盤として発表されている。2019年1月1日にはシングル「ゲット・イナフ」が発表され、本作のエクスプロラーズ・エディションに収録された。
プロモーション
[編集]2018年6月10日、マッカートニーは公式Instagramがこれまでの投稿を削除し、突如謎のシンボルを描いた写真[19]とさまざまな楽器を演奏する姿を写した写真が投稿された[20]。アルバム・タイトルである「エジプト・ステーション」は、マッカートニーの76歳の誕生日である2018年6月18日に発表された。翌日には両A面シングル「アイ・ドント・ノウ/カム・オン・トゥ・ミー」が6月20日に発売されることがアナウンスされ、同日に本作の発売日やレコーディングに関する情報も発表された[1]。
6月21日にCBSで放送された『レイト×2ショー with ジェームズ・コーデン』のコーナー「カープール・カラオケ」に出演[21]。その一環としてマッカートニーは、リバプールにあるフィルハーモニック・ダイニング・ルームでギグを行ない、「カム・オン・トゥ・ミー」を初めて演奏した。この模様は、シングル盤のリリースに合わせて6月17日に「When Corden Met McCartney (Live from Liverpool)」と題されて放送された[22]。
7月3日に公式サイト上で、9月17日よりカナダ・ケベック・シティーを皮切りに「フレッシュン・アップ」ツアーの開始が発表された。
7月19日にマッカートニーは公式Instagramでファンに「来週、あなたがポールが行うロンドンのシークレット・イベントに出席すべき理由は何ですか?(Why do you think you should attend a secret event in London with Paul next week?)」という質問が書かれた画像を投稿し、ファンに対してハッシュタグ「#UnderTheStaircase」を付けてショート・ムービーを投稿することを求めた[23]。この中から選ばれたファンは、多くの有名人が出席したアビー・ロード・スタジオでのシークレット・ライヴに招待された。この時のセットリストはライヴ初披露となる「カム・オン・トゥ・ミー」「コンフィダンテ」「ファー・ユー」「フー・ケアズ」の4曲で、いずれも本作に収録されている。7月26日には、キャヴァーン・クラブにて無料ライブが行なわれた[24]。
7月25日にリバプール芸術学校で「Casual Conversation」と題された講演会が行なわれた。ジャーヴィス・コッカーがモデレーターを務めたこのイベントの模様は、Facebook上でライブ・ストリーミングされ、視聴者から寄せられた質問に答えた[25]。
8月15日にアルバムからの第2弾シングルとして「ファー・ユー」がリリースされた。
9月3日に公式YouTubeチャンネルで、「Egypt Station – Words Between the Tracks」と題した収録曲の解説動画が公開された。
9月7日に本作の発売を記念し、グランド・セントラル駅でシークレット・ライヴが開催された。このライヴの模様は、後に公式YouTubeチャンネルで公開された。
本作の発売に先駆け、シングル「アイ・ドント・ノウ」「カム・オン・トゥ・ミー」「ファー・ユー」のリリック・ビデオが公開され、発売後に収録曲「ファー・ユー」「バック・イン・ザ・ブラジル」「カム・オン・トゥ・ミー」のミュージック・ビデオが公開された。
チャート・アクション
[編集]本作は、2018年9月22日付のBillboard 200で初登場1位を獲得した[10]。アルバムが全米チャートで1位を獲得したのは、1982年発売の『タッグ・オブ・ウォー』以来36年ぶりで、通算8作目となる。また、マッカートニーのアルバムが全米チャートで初登場1位を獲得したのは本作が初で、2週目には8位にランクインした[10]。
イギリスでは2018年9月14日付の全英アルバムチャートで最高3位[11]、日本では2018年9月17日付のオリコン週間アルバムランキングで最高6位を獲得した[26]。
エクスプロラーズ・エディション
[編集]2019年5月17日に『エジプト・ステーション (エクスプロラーズ・エディション)』が緊急発売された[27]。
『エジプト・ステーション』の他、『エジプト・ステーションII』と題されたボーナス・ディスクが付属[28]。『エジプト・ステーション』リリース後に発表されたシングル「ゲット・イナフ」やアビー・ロード・スタジオやキャヴァーン・クラブなどマッカートニーにゆかりのある場所などで行われたサプライズ・ライブから厳選されたライブ音源4曲などCD初収録となる8曲が追加収録された[29]。3LP、2CDの2形態で発売され、ターゲット盤や日本盤、ヨーロッパ盤には「ゲット・スターティッド」「ナッシング・フォー・フリー」が追加収録されている。また、3000セット限定でカセットテープ、マッカートニーによる手書きのメモ、地図のイラスト、ラゲージ・ステッカー、リトグラフ、ジグソーパズル、トランプなどの付録がついた「トラベラーズ・エディション」も制作され、5月10日にリリースされた[30]。こちらには「フランク・シナトラズ・パーティー」「シックスティ・セカンド・ストリート」、「フー・ケアズ」のエクステンデッド・バージョンが含まれている[28]。
ジャケットもオリジナル版から変更され、空が夕方のようになっており、通常盤にはいなかった、ゴーストの姿がある。
収録曲
[編集]# | タイトル | 作詞・作曲 | 時間 |
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1. | 「オープニング・ステーション」(Opening Station) | ||
2. | 「アイ・ドント・ノウ」(I Don't Know) | ||
3. | 「カム・オン・トゥ・ミー」(Come On To Me) | ||
4. | 「ハッピー・ウィズ・ユー」(Happy With You) | ||
5. | 「フー・ケアズ」(Who Cares) | ||
6. | 「ファー・ユー」(Fuh You) |
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7. | 「コンフィダンテ」(Confidante) | ||
8. | 「ピープル・ウォント・ピース」(People Want Peace) | ||
9. | 「ハンド・イン・ハンド」(Hand In Hand) | ||
10. | 「ドミノズ」(Dominos) | ||
11. | 「バック・イン・ブラジル」(Back In Brazil) | ||
12. | 「ドゥ・イット・ナウ」(Do It Now) | ||
13. | 「シーザー・ロック」(Caesar Rock) | ||
14. | 「ディスパイト・リピーティッド・ウォーニングス」(Despite Repeated Warnings) | ||
15. | 「ステーションII」(Station II) | ||
16. | 「ハント・ユー・ダウン/ネイキッド/C-リンク」(Hunt You Down/Naked/C-Link) | ||
合計時間: |
パーソネル
[編集]- ポール・マッカートニー - リード・ボーカル、バッキング・ボーカル(#2-14,16)、アコースティック・ギター(#2-5,7-14,16)、キーボード(#2-4,6-14,16)、ベース(#2,4-8,10-14,16)、パーカッション(#2,3,8,10,11,13,14,16)、ドラムス(#2,8,10,12-14,16)、エレクトリック・ギター(#3,8,10,11,14,16)、ハーモニカ(#3)、テープ・ループ(#10)、アシスタント・プロデューサー[31]
外部ミュージシャン
- グレッグ・カースティン - プロデューサー、エンジニア、編曲、キーボード(#2,4,8,11,14)、エレクトリック・ギター(#2,3)、メロトロン(#2)、パーカッション(#3,12)、バッキング・ボーカル(#8)、マリンバ(#10)、効果音(#11)、ヴィブラフォン(#16)
- ロブ・ミレット - ツィンバロム(#2,4,10)
- ポール・ウィッケンズ - キーボード(#3,5,13,14)
- エイブ・ラボリエル・ジュニア - ドラムス(#3,5,11,13,14)、パーカッション(#4,12,16)、タック・ピアノ(#4)、バッキング・ボーカル(#5,11,12,13,14,16)
- ラスティ・アンダーソン - エレクトリック・ギター(#3,5,12,13,14,16)、バッキング・ボーカル(#5,12,13,14,16)、アコースティック・ギター(#14)
- ブライアン・レイ - エレクトリック・ギター(#3,5,13,14,16)、ベース(#3)、バッキング・ボーカル(#5,13,14,16)、アコースティック・ギター(#14)
- ティム・ルー - チェロ(#3,16)
- グレッグ・フィリンゲインズ - ピアノ(#3)
- ペドロ・エウスターチェ - フルート(#4,9,11)、ドゥドゥク(#11)
- ライアン・テダー - バッキング・ボーカル(#6)、プログラミング(#6)、アシスタント・プロデューサー(#6)
- ザック・スケルトン - プログラミング(#6)、アシスタント・プロデューサー(#6)
- イナラ・ジョージ、アレックス・パスコ、マット・タグル、コリン・カドレック - バッキング・ボーカル(#8)
- バネッサ・フリーバーン・スミス - チェロ(#8,9)
- ジョディ・バーネット - チェロ(#9)
- キャロライン・ルジーン、ロイ・ベネット - バッキング・ボーカル(#13)
- セッション・ミュージシャン - オーケストラ・合唱団(#1-4,6,11,12,14-16)
- スパイク・ステント - ミキシング
- スティーブ・オーチャード、モーリシオ・チェルソーシモ、アル・シュミット、ビリー・ブッシュ、リッチ・リッチ、アレックス・パスコ - エンジニア
脚注
[編集]- ^ a b c d e f “New Album 'Egypt Station' Arriving September 7th”. PaulMcCartney.com. 2019年9月3日閲覧。
- ^ Thompson, Rita (2018年8月15日). “'Paul McCartney Debuts Raunchy Love Song "Fuh You"'”. Billboard. 2019年9月3日閲覧。
- ^ Erlewine, Stephen Thomas. “Egypt Station ? Paul McCartney”. AllMusic. 2019年9月3日閲覧。
- ^ Empire, Kitty (2018年9月9日). “Paul McCartney ? 'Egypt Station'”. Guardian. 2019年9月3日閲覧。
- ^ Nicolson, Barry (2018年9月7日). “Paul McCartney ? 'Egypt Station'”. NME. 2019年9月3日閲覧。
- ^ Empire, Kitty (2018年9月9日). “Paul McCartney ? Egypt Station”. The Observer 2019年9月3日閲覧。
- ^ Erlewine, Stephen Thomas (2018年9月11日). “Paul McCartney: Egypt Station Album Review”. Pitchfork. 2019年9月3日閲覧。
- ^ Sheffield, Rob (2018年9月5日). “Paul McCartney, Egypt Station”. Rolling Stone. 2019年9月3日閲覧。
- ^ “Slant review”. Slantmagazine.com. 2019年9月3日閲覧。
- ^ a b c Caulfield, Keith (2018年9月16日). “Paul McCartney Earns First No. 1 Album in Over 36 Years on Billboard 200 Chart With 'Egypt Station'”. Billboard. 2019年9月3日閲覧。
- ^ a b “Official Albums Chart Top 100”. Official Charts Company (2018年9月14日). 2019年9月3日閲覧。
- ^ “エジプト・ステーション|ポール・マッカートニー”. ORICON NEWS. オリコン. 2019年9月3日閲覧。
- ^ a b “『エジプト・ステーション』ポール・マッカートニー(Album Review)|Daily News”. Billboard JAPAN. 阪神コンテンツリンク (2018年9月10日). 2019年9月3日閲覧。
- ^ “Egypt Station”. McCartney Art. 2019年9月3日閲覧。
- ^ “ポール・マッカートニー 特集”. TOWER RECORDS ONLINE (タワーレコード) 2019年9月3日閲覧。
- ^ “"Back In Brazil" recording (2017 ?)”. The-apulmccartney-project.com. 2019年9月3日閲覧。
- ^ “Paul To Release All-New Double A Side Single”. PaulMcCartney.com (2018年6月20日). 2019年9月3日閲覧。
- ^ “Paul McCartney Releases New Singles”. Stereogum. 2019年9月3日閲覧。
- ^ “ポール・マッカートニー、リヴァプールのパブでシークレット・ライヴを行ったことが明らかに”. NME Japan (ニュー・ミュージカル・エクスプレス). (2018年6月11日) 2019年9月3日閲覧。
- ^ “McCartney Teases Beatles White Album”. Bestclassicbands.com. 2019年9月3日閲覧。
- ^ “ポール・マッカートニーが相乗りカラオケ「Carpool Karaoke」でリヴァプールを訪問”. uDiscoverJP (ユニバーサル・ミュージック). (2018年6月25日) 2019年9月3日閲覧。
- ^ “Monday's TV highlights: 'Carpool Karaoke: When Corden Met McCartney'”. LA Times (2018年8月20日). 2019年9月3日閲覧。
- ^ “ポール・マッカートニー、今週ロンドンでシークレット・ライヴを行うことが明らかに”. NME Japan (NME). (2018年7月23日) 2019年9月3日閲覧。
- ^ “ポール・マッカートニー、7月に行ったキャバーン・クラブでのライヴ映像が日本語字幕付で公開”. NME Japan (ニュー・ミュージカル・エクスプレス). (2018年9月13日) 2019年9月10日閲覧。
- ^ “Watch Paul in Casual Conversation with Jarvis Cocker”. PaulMcCartney.com (2018年7月27日). 2019年9月3日閲覧。
- ^ “オリコン週間 アルバムランキング 2018年09月03日〜2018年09月09日”. ORICON NEWS. オリコン (2018年9月17日). 2019年9月3日閲覧。
- ^ “ポール・マッカートニー 全米1位を獲得した最新作のデラックス盤をリリース”. SPICE - エンタメ特化型情報メディア スパイス (イープラス). (2019年4月25日) 2019年9月3日閲覧。
- ^ a b “ポール・マッカートニー、『エジプト・ステーション』のボーナス盤を再度発売”. ローリング・ストーン. (2019年4月28日) 2019年9月3日閲覧。
- ^ “Paul McCartney(ポール・マッカートニー)、5月17日に最新アルバム『Egypt Station』初CD収録8曲を含むデラックス盤リリース決定”. TOWER RECORDS ONLINE (タワーレコード). (2019年4月25日) 2019年9月3日閲覧。
- ^ “ポール・マッカートニー、最新作の“トラベラーズ・エディション”発売”. BARKS (ジャパンミュージックネットワーク株式会社). (2019年2月19日) 2019年9月12日閲覧。
- ^ “Egypt Station”. Egypt-Station.com. 2019年9月3日閲覧。