ハタケシメジ
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| 分類 | |||||||||||||||||||||||||||
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| 学名 | |||||||||||||||||||||||||||
| Lyophyllum decastes (Fr.) Singer | |||||||||||||||||||||||||||
| 和名 | |||||||||||||||||||||||||||
| ハタケシメジ（畑占地/畑湿地） |
ハタケシメジ（畑占地[1]・畑湿地[2]、学名: Lyophyllum decastes）はシメジ科シメジ属の食用キノコ。俗にニワシメジともよばれる[3]。食味に優れたキノコで、身近なところの同じ場所に数年生えるため、畑に行くように採取できる[2]。キノコとしては標準的な形であるが、傘の色、表面の様子などがさまざま見られ、見分けが難しいものもある[2]。地方名が多く、代表的なものにハタケセンボン、ニワシメジ、ヤブシメジ、ウリシメジ、ササゲシメジ、ハタケモダシ、ナスキノコ、シカクシ、コモリシメジなどがある[4]。
分布・生態
[編集]北半球の温帯に広く分布する[2]。日本でも、ほぼ全域で見られ、秋に畑や道端、人里、草地、林内の埋もれた材に生える[2][3]。どこにでも発生するのが特徴である[3]。
腐生菌[2]（腐生性[1]）。春（梅雨の前後）と初夏から中秋にかけて、地中に埋まっている木材から菌糸を伸ばして単生または束生する[2][3][4]。通常、数本ないし多数が柄の基部で合着して株状をなし、路傍や公園地などに発生する。「ハタケ」の名の通り、人里近くの畑地や人家の庭先にも生じ、あるいは農家の納屋の床下に発生した例がある[5]。 形態的に酷似するホンシメジと異なり、外生菌根を形成せず、土中の腐食質や木材などを栄養源にして腐生的に生育する[3]。地中に長く伸びた柄の基部をていねいに掘り下げると、その末端に、埋もれた木材の破片・腐朽した落ち葉の堆積層などが見出されることが多い[6]。
形態
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子実体は傘と柄からなるハラタケ型。傘は径4 - 9センチメートル (cm) 、幼菌のうちは半円形から丸山形（まんじゅう形）になり、そこから成菌になるとほぼ平らに開き、縁がやや反り返って中央がややくぼむ[2][3]。幼時は淡いねずみ色か黄褐色で僅かに粉状をなすが、老成時には褐色が濃くなる[3]。傘には白いかすり模様の繊維紋があることが多く、時に白い粉を吹いたように見えるものもある[1][2][4]。肉は白色で無味無臭[2]、やや厚くてもろいがしまった肉質で、傷つけても変色することはなく、味もにおいも温和である。ヒダは密で、柄に直生ないし湾生から垂生し、ほぼ白色であるが[2]、古くなると多少クリーム色を帯びることがある。
柄は長さ3 - 10 cm[3]、太さ7 - 10ミリメートル (㎜) 程度、ほぼ上下同大あるいは基部に向かってやや膨らみ、白色から褐色で中実である[2]。胞子紋は白色、胞子は類球形で無色・平滑、大きさ5.5 - 7.5×5 - 7マイクロメートル (μm) 、しばしば一個の大きな油滴を含む。
食用
[編集]ハタケシメジは身近に生える優秀な食用キノコとして広く知られている[4]。ホンシメジと同様に、匂い、味とも優れる[3]。クセがなくてシャキシャキした食感で歯切れがよく、よいダシが出てほんのりした独特の風味が味わえる[4][7]。煮込み料理やホイル焼き、アヒージョなど、和風・洋風・中華など、さまざまな料理にあう[7][1]。軽く湯がいて下処理し、きのこ汁（煮物）、土瓶蒸し、バター炒め、すき焼き、卵とじ、鉄板焼き、つけ焼き、マリネなどにする[3][4]。
栽培
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ハタケシメジは菌床栽培も行われている[4]。培地基材としてはバーク堆肥がしばしば用いられるが、木粉も使用できる（スギなどの鋸屑を使用する場合には、ときどき散水しつつ一定期間放置し、抗菌性物質を揮散させてから用いる）。培地添加物は、フスマやトウモロコシかすなどのほか、米ヌカあるいはビール粕も利用される。人工栽培法が確立している他の食用きのこと比べ、植菌後の培地への菌糸の蔓延に時間がかかり、植菌直後から充分に菌糸が生育するまでの期間における管理が重要となる[8]。 「ビン栽培」や「箱栽培」あるいは「袋栽培」も可能であるが、自然環境下では地中に埋もれた材片その他の有機物を栄養源としているため、 箱や袋などを用い、ブロック状の培地にじゅうぶんに菌糸を蔓延させた後、これを清潔な土中に埋め込むことにより、自然発生したものと同等の子実体を収穫する方法が普及しつつある。
- 栽培特性（ビン栽培）
育成および発生環境は、菌株の種類によって若干異なる。
類似の毒キノコ
[編集]雑木林に生える毒キノコのクサウラベニタケ（Entoloma rhodopolium）と間違えやすいが、傘が白っぽく柄がやわらかで、成菌になるとヒダが肉色（ピンク色）になるので見分けられる[1][3]。同様に毒キノコのイッポンシメジ（Entoloma sinuatum）にも似ており、これもヒダの色がピンク色を帯びる[4]。 またハイイロカラチチタケ（Lactarius acris）は、ハタケシメジによく似た外観で、無毒であるものの食用価値は低い。
脚注
[編集]- ^ a b c d e 牛島秀爾 2021, p. 94.
- ^ a b c d e f g h i j k l 吹春俊光 2010, p. 20.
- ^ a b c d e f g h i j k 瀬畑雄三監修 2006, p. 110.
- ^ a b c d e f g h 大作晃一 2005, p. 74.
- ^ 今関六也・本郷次雄、1973. “カラー自然ガイド きのこ．”. 保育社. ISBN 978-4586400089.
- ^ 小川眞（編著）、1987． 見る・採る・食べる きのこカラー図鑑． 講談社、東京． ISBN 4-06-141391-0
- ^ a b 講談社 編『からだにやさしい旬の食材 野菜の本』講談社、2013年5月13日、213頁。ISBN 978-4-06-218342-0。
- ^ はたけしめじの自然栽培・菌床栽培法（ブロック）
- ^ ハタケシメジ特許庁
参考文献
[編集]- 牛島秀爾『道端から奥山まで採って食べて楽しむ菌活 きのこ図鑑』つり人社、2021年11月1日。ISBN 978-4-86447-382-8。
- 大作晃一『山菜&きのこ採り入門 : 見分け方とおいしく食べるコツを解説』山と渓谷社〈Outdoor Books 5〉、2005年9月20日。ISBN 4-635-00755-3。
- 瀬畑雄三 監修、家の光協会 編『名人が教える きのこの採り方・食べ方』家の光協会、2006年9月1日。ISBN 4-259-56162-6。
- 吹春俊光『おいしいきのこ 毒きのこ』大作晃一（写真）、主婦の友社、2010年9月30日。ISBN 978-4-07-273560-2。
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- 日本のきのこ（山と渓谷社）
関連項目
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外部リンク
[編集]- ハタケシメジ人工栽培技術の確立(王子製紙株式会社、三重県経済農業協同組合連合会共同研究)三重県林業研究所
- ハタケシメジ栽培の試験研究と普及推進(独)森林総合研究所 (栃木県林業センター)
- ハタケシメジ（あかしあごけ）石川県林業試験場
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