バーク堆肥
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バーク堆肥(バークたいひ)とは、樹皮(バーク)を発酵させて作った有機質肥料で、土壌の膨軟化が主な用途[1]である。発酵させて堆肥化させてあるためバークチップス(Bark chips)とは異なる。
樹皮の原料として使用される木(樹種)に対する規定や制約は無く、広葉樹も針葉樹のどちらも使用され混合比も規定されない。難分解性のリグニンが多い事から原料樹種によっては生育障害、発芽抑制、生育遅延が生じることがある[2][3]。生育や成長の阻害物質は針葉樹に多いため、広葉樹の樹皮を原料としたバーク堆肥の方が良質とされる[4]。
稲藁などの草を原料とした堆肥よりも C/N 比が高く遅効性である[4][3]。また、C/N比の高いバーク堆肥を多量に施肥すると窒素飢餓による生育不良を起こす可能性が高くなる[3]。同時に、作物用に施肥する場合は熟度が重要となる。
大量に発生した樹皮が産業廃棄物となり、処分に苦慮したパルプ業者や木材加工業者などによって樹皮を原料とした堆肥の生産が1960年代後半に開始された。当初は農業用用途が多かったが、公共事業に係わる緑化用途にも使われ需要が拡大し、更に園芸用途にも広がった[4]。
法的定義
[編集]- 肥料の品質の確保等に関する法律[5]
- 地力増進法[7]
-
- 土識改良資材
製造工程概要
[編集]概ね以下の工程を経る[8]
- 木材チップ工場や製材工場から排出される樹皮を粉砕機で粉砕。
- 回転ふるいにかけて粒径を調整。
- 添加物として、油かす、家畜糞尿(鶏や豚)、化学肥料(尿素など)を混合。
- 含水量を調整。
- 堆積して発熱(高温)醗酵腐熟。
バーク堆肥の品質基準
[編集]全国バーク堆肥工業会の例[8]、
項目 | 数値 |
---|---|
有機物の含有率(乾物) | 70% 以上 |
炭素率[C/N比] | 35 以下 |
陽イオン交換容量[CEC](乾物) | 70me/100g 以上 |
pH | 5.5 - 7.5 |
水分 | 60±5% |
全窒素[N](乾物) | 1.2% 以上 |
全リン酸[P2O5](乾物) | 0.5% 以上 |
全カリ[K2O](乾物) | 0.3% 以上 |
幼植物試験の結果 | 生育阻害その他異常を認めない |
出典・脚注
[編集]- ^ 肥料、改良資材の特徴 農林水産省 (PDF)
- ^ 「バーク(樹皮)堆肥-製造・利用の理論と実際-」 河田弘著 (博友社)、 1981年刊
- ^ a b c 今野一男、平井義孝、東田修司、バーク堆肥の腐熟度指標と畑地への施用法 日本土壌肥料学雑誌 1988年 59巻 6号 p.621-625, doi:10.20710/dojo.59.6_621
- ^ a b c 野瀬光弘、バーク堆肥生産の変遷と現状 森林研究 Forest research, Kyoto (1998), 70: 69-76, hdl:2433/192806
- ^ a b 肥料取締法について (PDF) 農林水産省
- ^ 肥料取締法に基づく特殊肥料等 昭和二十五年六月二十日 農林省告示第百七十七号 農林水産省
- ^ [地力増進法及び関連法令等:農林水産省
- ^ a b 全国バーク堆肥工業会
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- 加藤淳、小林茂、鎌田賢一、バーク堆肥の塩獺濃度およびフェノール濃度が作物の初期成育に及ぼす影響 日本土壌肥料学雑誌 1990年 61 巻 5 号 p. 519-521, doi:10.20710/dojo.61.5_519