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ハゴロモモ属

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ハゴロモモ属

(上) 1a. Cabomba aquatica
(下) 1b. C. furcata の沈水葉、浮水葉、花
分類
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
: スイレン目 Nymphaeales
: ハゴロモモ科 Cabombaceae
: ハゴロモモ属 Cabomba
学名
Cabomba Aubl. (1775)}[1]
タイプ種
Cabomba aquatica Aubl. (1775)[2]
シノニム
英名
fanworts[3]

ハゴロモモ属(ハゴロモモぞく、学名: Cabomba)は、スイレン目ハゴロモモ科[注 1]に分類される2のうちの1つである(もう1つはジュンサイ属)。池沼の水中に生育する多年生の水草であり、細かく二叉分岐した葉を水中につける(図1a)。花は水上に咲き、花被片は白色、黄色、紫色など、3枚ずつ2輪につく(図1b)。約5種が含まれる。北米から南米熱帯域から温帯域に分布しているが、ハゴロモモ (フサジュンサイ) は世界中に帰化しており、日本でも見られる。

しばしばアクアリウム金魚熱帯魚とともに栽培される。特にハゴロモモ金魚藻と総称される水草の1つであり、極めて広く利用されている。学名をそのまま読んでカボンバの名で売買されていることも多い。

特徴

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2a. ハゴロモモ (右側は雌しべ)

ハゴロモモ属は、基本的に沈水性の水草であり、淡水の池沼や緩やかな河川、水路などに生育する。沈水葉 (水中葉) は茎に対生または3輪生し、細かく二叉分岐している[7][8] (図2a, b)。浮水葉 (水上葉) をつけることもあり、浮水葉はふつう互生し、楕円形からやじり形、小型で全縁、葉柄は葉身裏面中央付近につく (楯状)[7] (図1b, 2a, c, d)。浮水葉の気孔は葉脈に平行[8]

は放射相称、両性花であり、水上にでて開花する[7] (図1b, 2a, c, d)。花被片は白色、黄色、紫色などであり、3枚ずつ2輪に配置する[7] (図2c, d)。内花被片の基部に1対の蜜腺が存在する[7]雄蕊 (雄しべ) は3個が1輪、または3個ずつ2輪につく[7]。花糸は細長く、葯は外向する[7]。離生心皮であり雌蕊 (雌しべ) はふつう3個が1輪につき、ときに基部でやや合着する[7] (図2a)。柱頭は頭状[8]胚珠は雌しべ1個あたり2 - 3個、子房背軸面と向軸面につく[7]果実袋果状の非裂開果[7][8]

2b. ハゴロモモの沈水葉は対生し、細かく二又分岐してる
2c. Cabomba aquatica の花、浮水葉と沈水葉
2d. Cabomba furcata の花、浮水葉と沈水葉

人間との関わり

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3. 水槽中の Cabomba aquatica

ハゴロモモ属の植物は、マツモ (マツモ科) やフサモ (アリノトウグサ科) などとともに金魚藻きんぎょもと総称され、アクアリウムにおいて金魚熱帯魚とともに栽培される (図3)。学名をそのまま読んで「カボンバ」の名で流通していることも多い。もっとも一般的なであるハゴロモモ (グリーンカボンバ) が、カボンバとよばれることもある[9]

ハゴロモモ (グリーンカボンバ) は初心者向けといわれるが、水質は弱酸性が適しており、アルカリ性に傾くとバラバラになってしまうこともある。本種の栽培においては光量や二酸化炭素の添加は気にしなくて良いとされる[10]。グリーンカボンバとくらべると、イエローカボンバやレッドカボンバは維持が難しいとされる[9]

分類

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ハゴロモモ属には15種ほどが記載されているが、一般的にそのうち5種ほどが認められていることが多い[11][12][13](下表1)。葉の色や分岐程度などに基づいて分類されることがあるが、このような形質は環境条件による変異が大きい。そのため、種子の大きさや形、表面構造が特に重視される[11][12]

表1. ハゴロモモ属の分類の一例[13][14][3]

脚注

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注釈

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  1. ^ ジュンサイ科ともよばれ[4][5]、またスイレン科に含められることもあった[6]
  2. ^ Cabomba schwartzii は独立種として扱われることもある[1]

出典

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  1. ^ a b c d Cabomba”. Plants of the World Online. Kew Botanical Garden. 2023年2月2日閲覧。
  2. ^ Cabomba Aubl.”. Tropicos.org. Missouri Botanical Garden. 2022年8月12日閲覧。
  3. ^ a b GBIF Secretariat (2021年). “Cabomba Aubl.”. GBIF Backbone Taxonomy. 2021年4月28日閲覧。
  4. ^ 伊藤元己 & 井鷺裕司 (2018). 新しい植物分類体系. 文一総合出版. pp. 68–69. ISBN 978-4829965306 
  5. ^ 米倉浩司・梶田忠. “植物和名ー学名インデックスYList”. 2021年4月17日閲覧。
  6. ^ 井上浩, 岩槻邦男, 柏谷博之, 田村道夫, 堀田満, 三浦宏一郎 & 山岸高旺 (1983). “種子植物門”. 植物系統分類の基礎. 北隆館. p. 224 
  7. ^ a b c d e f g h i j 伊藤元巳 (2015). “ジュンサイ科”. In 大橋広好, 門田裕一, 邑田仁, 米倉浩司, 木原浩 (編). 改訂新版 日本の野生植物 1. 平凡社. p. 45. ISBN 978-4582535310 
  8. ^ a b c d Stevens, P. F.. “Cabombaceae”. Angiosperm Phylogeny Website. Version 14, July 2017. 2021年4月17日閲覧。
  9. ^ a b カボンバの育て方と増やし方・トリミング・花の咲かせ方”. 水草水草.com (2019年11月9日). 2021年4月24日閲覧。
  10. ^ 千田義洋 (監修) (2013). アクアリウムの作り方・楽しみ方. 成美堂出版. ISBN 978-4415307572 
  11. ^ a b Mackey, A. P. (1996). “Cabomba (Cabomba spp.)”. Pest status review series - Land Protection Branch. Australia: Queensland Government Department of Natural Resources and Mines: 1–32. https://www.daf.qld.gov.au/__data/assets/pdf_file/0014/62006/IPA-Cabomba-PSA.pdf. 
  12. ^ a b Ørgaard, M. (1991). “The genus Cabomba (Cabombaceae)–a taxonomic study”. Nordic Journal of Botany 11 (2): 179-203. doi:10.1111/j.1756-1051.1991.tb01819.x. 
  13. ^ a b Govaerts, R., Dransfield, J., Zona, S., Hodel, D.R. & Henderson, A.. “World Checklist of Selected Plant Families”. Royal Botanic Gardens, Kew. 2021年4月22日閲覧。
  14. ^ IPNI (2021年). “Cabomba caroliniana”. International Plant Names Index (IPNI). 2021年4月22日閲覧。
  15. ^ Cabomba caroliniana”. Plants of the World Online. Kew Botanical Garden. 2021年4月21日閲覧。

外部リンク

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