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ノート:夜長姫と耳男

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冒頭部の「5年ぶり」、その他について

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2014年12月10日に、少し修正した部分についての具体的な説明です。

  • 冒頭部において、『夜長姫と耳男』を、純文学作品としては「青鬼の褌を洗う女」以来5年ぶりとなる安吾晩年の作品である。と、「定義」してしまうのは、事典的には適切でないので、除去いたしました。
    • なぜかというと、『青鬼の褌を洗う女』(1947年)から『夜長姫と耳男』(1952年)までの5年の間にも、自伝小説『三十歳』(1948年)、『肝臓先生』(1950年)、『街はふるさと』(1950年)などの小説(文学作品)が発表されています。これらを「純文学作品」に入れないというのは、あくまでも長田光展の「一つの見解」にすぎない性質のものですので、こういった、何を「純文学作品」とするかという不確定で曖昧な判断を含んでいる見解を、冒頭部分であたかも「定義づけ」かのようにすることは相応しくないものです。
    • 坂口安吾の作品には多くの推理小説や歴史小説があり、『青鬼の褌を洗う女』と『夜長姫と耳男』の間にも、その類の作品が多く書かれていますが、推理小説はともかく、歴史を題材とした作品を全部、「純文学作品ではない」と解釈してしまうのも、あくまでも「一つの観点」でしかないものです。1949年から取り掛かった長編『火』(『にっぽん物語』)を純文学の範疇に入れずに、「5年ぶり」とするは、長田光展の捉え方であり、多くの評論家に共通する一般的な解釈や定義ではないと思います。
    • そもそも安吾文学の中で、どれが「純文学作品」か区別して「規定」することは難しく、そのような曖昧性のある、客観的定義がないものを、事典の冒頭において「5年ぶり」の純文学作品と断定的に書いてしまうことは、妥当ではありません。いくら出典が一つあるとしても、初出情報や総体的な評価や解説、処女作とか遺作である、というような、多くの論者に「共通する見識」ではないので、それをあたかも「規定」「定義づけ」かのように載せるのは避けた方がいいと思います。
  • 『文学のふるさと』に触れている箇所で、この著作に何の予備知識のない人が読むと、あたかも、『文学のふるさと』自体が、“「赤ずきん」のような救いも教訓もない物語”とも読めてしまう可能性を秘めた文章の流れになっているので、誤解を招かないように、安全性をみて少し補足説明を加えて整理しておきました。また、『文学のふるさと』のテーマは、『夜長姫と耳男』研究史だけに特別に結びつけられているものではないため、その点の概略も付記しておかないと、説明不足になるので補填しておきました。修正前の後の比較を明記しておきます。あと、著作物の『文学のふるさと』と、概念の「文学のふるさと」とが同じ表記だと判りにくいので、ここでの妥当性のある表記分けにしておきました。

修正前

「夜長姫と耳男」研究史には、この作品を安吾のエッセイ「文学のふるさと」と結びつけたうえで「芸術家の覚悟」の主題を見るという一連の流れがある[25]。「文学のふるさと」は、赤ずきんが狼に食べられたままで終わってしまうペロー版の「赤ずきん」のような救いも教訓もない物語、その「プツンとちょん切られた空しい余白」に「文学のふるさと」を見出すというもので[26]、しばしば「桜の森の満開の下」などとも結び付けて論じられている。

修正後

『夜長姫と耳男』研究史には、この作品を安吾の評論『文学のふるさと』(1941年)と結びつけたうえで、「芸術家の覚悟」の主題を見るという一連の流れがある[25]。『文学のふるさと』では、ペロー版『赤ずきん』(赤ずきんが狼に食べられたままで終わってしまう)ような救いのない結末の物語について考察され、その「救ひ」のない「突き放された」読後の「ぷつんとちよん切られた空しい余白」に、「文学のふるさと」を見出すという文学論で[26]、そこで安吾が主張する「モラルがない、といふこと自体が、モラルなのだ」という「生存それ自体が孕んでゐる絶対の孤独」の文学観は、しばしば『堕落論』『桜の森の満開の下』など他の文学作品とも通底するテーマとして結び付けられて論じられることが多く、「文学のふるさと」は安吾文学を解く重要なキーワードである[27]。
  • それから、「舞台設定」「文体と構造」の解説の中の説明の中で、多分にその論者の「解釈」「見解」「研究」の一つであるものに関しては、翻案件などの観点からも、解説者の名前は明示して出しておいた方がいいので付記しておきました。解説内容などは、初稿立項者の方のまとめ方を尊重し、中身は特にいじってはいませんので、ご了承願いただければと思います。--みしまるもも会話) 2014年12月10日 (水) 08:03 (UTC)--みしまるもも会話) 2016年7月4日 (月) 00:37 (UTC)修正日を付記--みしまるもも会話2016年7月4日 (月) 12:04 (UTC)[返信]