ノート:中国人民解放軍/記事案:中国人民解放軍で使用されている参考資料
台湾と中国の軍事バランス
- 中国人民解放軍は近年では兵器の近代化に力を入れているが、台湾上陸も覚束ない有様である。現状の台湾情勢については、軍事ジャーナリスト田岡俊次氏指摘のように「中国が台湾海峡の制空権、制海権を通常軍のみで掌握するのは厳しい情勢にある」と見るべき
- 「台湾軍はF-16戦闘機を120機、ミラージュ2000を60機、国産の経国戦闘機を150機、レーダーを新型に換装したF-5戦闘機100機を保有しており制空権、制海権を取った上で、数万人の軍を海峡をこえて上陸させ、かつ補給を続けるのは不可能。中国の兵員輸送能力は漁船・商船動員してせいぜい2万人程度であるとの見方があり、それは正しい。レーダーや航空機、潜水艦、ミサイル等の性能が低いため、中国が勝つ可能性はほとんどないと、元朝日新聞編集委員の田岡氏らは指摘した。」(外部リンク参照)
- 「中国の渡海侵攻能力は漁船、商船を動員しても最大1個師団余(2万人程度)、と台湾の国防当局者は計算し、議会で、台湾への侵攻は根本的に不可能と答弁するありさまだ」と田岡氏は書いている
- 台湾軍は金門島の兵力を削減しているのが現状であるがその理由は中国軍の上陸作戦能力が低く、金門島であっても根本的に不可能だからである。
|
台湾と中国の軍事バランス
- 田岡氏の論文を読むと論旨は「日本は米国に頼らなくても自主防衛できる。スウェーデンのような一国防衛主義も考えるべきだ!」という自主防衛論の中で、中国・ロシアの軍事力を意図的に低く見積もっているが、実際には2006年現在、日本の基盤的防衛力は日米安保・米軍の後盾を条件に中露に対抗できる最小限に抑えられており単独防衛まで想定した防衛力水準ではないし、台湾の自国防衛も2000年を境に米国の後盾なしの台湾単独での国防は難しい状況になったと言う見方が米台においても広がっている。日台が米の保護なく単独で中国と渡り合えるというのは、現在主流の考え方ではない。
- それに田岡氏の論文は2004年に発表されている。本来なら2004年の中露の軍備を調べて論文を書くべきであろう。にもかかわらず1990年代中盤の中国軍を前提に1999年以前「前世紀」に台湾軍当局者が行った答弁を時期の表示なく引用し、中国軍の近代化・揚陸艦隊建設が進んだ10年後の2004年にも当てはまるかのように記述している。中国近代揚陸艦隊は1980年代に建設をはじめ1990年代は萌芽期であったが2000年を越える頃から世界2位の規模に急成長しているのは基礎中の基礎データーで、2004年に世界2位の揚陸能力を持つ中国艦隊が(商船は使うにしろ)漁船まで使って揚陸と言い出しているのは呆れる外ないし、3-5万人と空挺装甲車数百両を空挺できる世界最大のロシア空挺軍という基礎データーを見落としているのも粗雑な議論といえよう。 自衛隊と在沖米軍に関する彼の情報は丹念に取材したものと評価できるが、中露の情報については着上陸のイロハのイであり誰でも調べられる揚陸・空挺輸送能力すら把握していない彼が、より入手困難な情報である実効性能・稼働率・生産配備計画/状況・開発進行状況・輸入契約等を語っても誰も信用しないであろう。
- 田岡氏という1ジャーナリストの記事を盲信するより、各機関の統計データー集計結果を信頼するなら米と(量的にその半分の規模の)中・露には限定的ながら師団級渡洋/空挺侵攻能力があり、量的に中露の10-15%規模の日韓には連/大隊級島嶼揚陸能力しかない。
- 中国は2000年までは戦闘機の質と揚陸艦隊の能力不足で侵攻能力はなかったが、2006年現在ロシアに近い319機のフランカーと米軍の1/4、戦車220両 兵員3万前後の揚陸能力をもち、現状はやや中国有利に傾きつつあると米軍は分析している。2015年までに揚陸艦隊能力は戦車400-500両 4万人(3個師団=陸自6個師団分)の侵攻能力に増強される予定であり、ADDER/ARCHER/ロシア製レーダー装備のJ10戦闘機も2004年に生産を始めていて、2015-2020年迄に300-600機生産される計画で、F15/F16世代機1100機とF4世代機900機でJ6x3000機が代替される予定。10-15年後にはバランスは完全に中国側に傾き台湾武力併合は軍事的には極めて現実的になる可能性が高い
- 中国の戦車揚陸能力が400-500両に増強される一方で、陸自の戦車総数は財政難で日本全国で約1000両から600両にまで減らされる予定である。
- なお、金門島の兵力が削減されているのは、中国軍の揚陸戦力低下のせいなどではなく、(それどころか米揚陸艦隊能力を急追している)中国揚陸戦力が商船や漁船やジャンクの寄せ集めで、目の前の金門島を襲う以外何も出来なかった1995年以前の状態から、ヘリ揚陸艦数十隻に近代化され、台中等を直接襲う事が出来るようになったため、金門島はもはや前線ではなくなってしまった事による。米陸軍が来援する前に台湾全土を占領せねばならない中国側が、わざわざ金門島に寄り道をしてから台湾本土に上陸すると考える者は最近は余り居ない。
- Globalsecurity
- SinoDefence
|
<references>