ノート:カタクチイワシ
Engraulis が女性名詞であるという主張は恐らく http://www.kanpira.com/iriomote_museum/scientific_name.htm から引用していると思うのですが、 http://www.fao.org/fishery/species/2915/en では男性名詞でありjaponicaは間違いであると書かれています。また、英語版カタクチイワシ属のページではjaponicus以外も男性形です。 要出典を貼られてから1年以上が経過しているのでjaponicusに戻します。--Kenyu7(会話) 2013年5月13日 (月) 19:13 (UTC)
Engraulisについて
私がEngraulisを女性型と考える根拠は以下の文献によります。
なおウェブ上にはないようですが、これ以外にもCalifornia Academy of Scienceから発行されているGenera of recenet fishesという書物にも同様の記載があります。
Catalog of fishesのウェブサイトで属名のEngraulisを検索すると、以下のように出て来ます。 Engraulis Cuvier [G.] 1816:174 [ref. 993]. Fem. Clupea encrasicolus Linnaeus 1758. Type by subsequent designation. Type designated by Fleming 1822:385 according to Whitehead 1967:124 [ref. 6464]. See Whitley 1935:136 [ref. 6396] for possible earlier publication. Genus name misspelled Langraulis by Gruvel & Bouyat 1906:156 [ref. 30367]. •Valid as Engraulis Cuvier 1816 -- (Svetovidov 1973:111 [ref. 7169], Whitehead in Whitehead et al. 1984:282 [ref. 13675], Uyeno & Sato in Masuda et al. 1984:20 [ref. 6441], Grande 1985:245 [ref. 6466], Whitehead & Wongratana 1986:205 [ref. 6284], Whitehead et al. 1988:311 [ref. 5725], Paxton et al. 1989:159 [ref. 12442], Gomon et al. 1994:226 [ref. 22532], Wongratana et al. 1999:1700 [ref. 24719], Mecklenburg et al. 2002:133 [ref. 25968], Nizinski & Munroe 2003:766 [ref. 26995], Bogutskaya & Naseka 2004:29 [ref. 28183], Borsa et al. 2004:1114 [ref. 28607], Paxton et al. 2006:312 [ref. 28995], Gomon 2008:194 [ref. 30616]). Current status: Valid as Engraulis Cuvier 1816. Engraulidae.
最初の行にFem(女性形)と明記されています。日本産のカタクチイワシの学名はEngraulis japonicusと出て来ますが、おそらくこれは最近の文献からの転用と思われます。
私の知る限り、Engraulisを男性形としている文献はFAOだけで、どうもこれが一人歩きしてしまっているようです。そのせいで日本産のカタクチイワシに限らず外国産のEngraulis属の種も種小名を男性形に変えられる傾向があるようです。
ちなみに、Engraulisは「小さな魚」と言う意味のギリシャ語由来の言葉ですが、この語を部分的に含む他の属もあります。 Catalog of fishesで調べてみると、以下のようなものが出て来ます。
Lycengraulis (subgenus of Engraulis) Günther [A.] 1868:385, 399 [ref. 1990]. Fem. Engraulis grossidens Agassiz 1829. Type by subsequent designation. Described in key (p. 385) as a subgenus of Engraulis for two species on p. 399. Type designated by Jordan & Evermann 1896:451 [ref. 2443] (see Whitehead 1967:134 [ref. 6464]). •Valid as Lycengraulis Günther 1868 -- (Grande 1985:245 [ref. 6466], Nizinski & Munroe 2003:765 [ref. 26995], Kullander & Ferraris in Reis et al. 2003:40 [ref. 27061]). Current status: Valid as Lycengraulis Günther 1868. Engraulidae.
Pterengraulis (subgenus of Engraulis) Günther [A.] 1868:384, 398 [ref. 1990]. Fem. Clupea atherinoides Linnaeus 1766. Type by monotypy. Described in key (p. 398) as subgenus of Engraulis for 1 species treated on p. 398. •Valid as Pterengraulis Günther 1868 -- (Grande 1985:245 [ref. 6466], Whitehead et al. 1988:386 [ref. 5725], Nizinski & Munroe 2003:765 [ref. 26995], Kullander & Ferraris in Reis et al. 2003:41 [ref. 27061]). Current status: Valid as Pterengraulis Günther 1868. Engraulidae.
Scutengraulis Jordan [D. S.] & Seale [A.] 1925:30 [ref. 2499]. Fem. Engraulis (Coilia) hamiltonii Gray 1835. Type by original designation (also monotypic). •Synonym of Thryssa Cuvier 1829 -- (Whitehead 1967:140 [ref. 6464], Whitehead
これらすべて女性名詞であることから、Engraulisの性が影響しているものと思います。
以上のことから、Engraulisは女性名詞であると考えられます。
利用者:Labrax(会話) 2013年5月27日 (月) 15:48 (UTC)
- 個人的には、確かにjaponicaが正しいのかもしれないと感じました。しかし、ウィキペディアでは執筆者個人による見解を掲載することはできません(WP:OR)。Wikipedia:信頼できる情報源に、「本種の学名はjaponicusでなくjaponicaとするべきである」という内容が記されていない限り、執筆者個人が語の性を判断して、広く使われている学名を変更することはできないのです。それを許すと、ウィキペディアはすでに公刊されている情報をまとめる百科事典ではなく、新しい研究成果を発表する一次媒体になってしまいます。
- 間違いなく-caが正しいとお考えなら、ぜひともその内容を専門的な媒体に論文として公表してください(分布の広い水産重要種の学名変更ですから、かなり注目される論文になるでしょう)。そうすれば、他の執筆者がそれを出典に記事を書くことができます。--Trca(会話) 2013年5月28日 (火) 01:47 (UTC)
- Engraulisが女性名詞であるという文献を示していただきありがとうございます。私としてはjaponicaの方が正しいんじゃないの?という一節を載せることに異議はありません。ただ、学名は記載変更されるまでjaponicusでないと駄目だろうという考えは変わりません。
- Composition of scientific wordsについて、語学的知識がないのですが、ギリシャ語で女性名詞だからといってラテン語でも必ず女性名詞になるのでしょうか? また、Engraulis encrasicolusをencrasicholusと記載していて、これがミススペル(本来の単語云々ではなく記載された学名として)であるので、典拠足りうるのかという疑問もあります。--Kenyu7(会話) 2013年5月29日 (水) 16:50 (UTC)
- 「記載変更」というのがどういう意味なのかよくわからないのですが、再記載論文という意味なのであれば、再記載というのは専ら分類学的取扱いや学名に問題がある場合になされるもので、これまでに学名の性の取扱いだけを論じるためだけになされた再記載というのはほとんど記憶にありません。ちなみに、以前使われていたjaponicaがjaponicusに「記載変更」されたことはなく、上に書いたようにFAOの見解が一人歩きしているだけです。
- ギリシャ語に由来する属名の性については、国際動物命名規約の条30.1.2に以下のように書かれています。
- 条30.1.2 属階級群名であって、ラテン文字への換字のみを施しそれ以外変更していないギリシア語の単語であるかまたはそれに終わるものは、標準的ギリシア語辞書の中でその単語に与えられている性をとる。
- また、条34.2には以下のように書かれています。
- 条34.2 ラテン語であるかまたはラテン語化した形容詞もしくは分詞である種階級群名の語尾は、その小名が結合する属名とつねに性が一致していなければならない。
あと、学名に誤植があるからその文献の信頼性を疑うという見解はいかがなものか。誤植というのは印刷物では不可避のもので、特に現代と違って活版印刷だった時代の書物で完璧に誤植がないものはないと思います。ちなみに、現在日本で魚類分類書の権威とされている「日本産魚類検索」でもその初版本では誤植の山で、正誤表だけで1冊の冊子になるほどでしたが。
利用者:Labrax(会話) 2013年5月30日 (木) 05:16 (UTC)
- 一般の論文でしたら、姓の変更はすぐにしてかまいません。しかしウィキペディアは匿名・不特定多数の著者によって書かれるもので、その信頼性は出典となる資料の信頼性に依存しています。現時点で利用可能な信頼できる情報源の大部分が-cusを採用している以上、ウィキペディアではそれに従わなければなりません。失礼な物言いになってしまいますが、どこの誰かもわからない人物が勝手に言っていることより、誤りを含んでいるとしても専門家が適切な媒体に公表した見解が、ウィキペディアでは尊重されます。たとえ誤りと思われても、多くの専門家が-cusを適切なものとして採用している以上、ウィキペディアはそちらを信頼します。
- 姓の変更だけで論文になることは確かにあまりないと思いますが、これほど重要な種の学名が、影響力のある文献も含めて広く間違われているのだとしたら、かなり大きな影響を持ちますから、発表できる媒体はあるのではないでしょうか。もしくは、FishBaseやCatalog of Fishesにはそれぞれ情報提供用の連絡先があります(前者だと[1]のページ下部にある「Comments & Corrections」のリンク)ので、そちらに連絡して執筆者に訂正を求められてはいかがでしょうか。その結果としてこれらのデータベースの見解が変われば、それを出典としてウィキペディアに執筆することができます。--Trca(会話) 2013年5月30日 (木) 06:51 (UTC)
- カタクチイワシの学名ですが、先ごろ出版された『日本産魚類検索 全種の同定 第三版』(東海大学出版会・中坊徹次編)では、Engraulis japonicaに修正されています(p.302, p.1813)。学名研究者である平嶋義宏氏の見解(Engraulisは女性)を採用したようです。記事にどのように反映させるかはお任せしますが、ご参考になれば幸いです。--Konowata(会話) 2013年6月1日 (土) 13:32 (UTC)