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ネキトンボ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ネキトンボ
成熟雄
成熟した雄。顔面まで赤くなる。
成熟雌
成熟雌。胸部側面の太い黒色条が目立つ。
分類
: 動物界 Animalia
: 節足動物門 Arthropoda
: 昆虫綱 Insecta
: トンボ目(蜻蛉目) Odonata
亜目 : 不均翅亜目(トンボ亜目Anisoptera
: トンボ科 Libellulidae
: アカネ属 Sympetrum
: S. speciosum
亜種 : ネキトンボ
S. s. speciosum
学名
Sympetrum speciosum speciosum
(Oguma, 1915)
和名
ネキトンボ
亜種
  • S. speciosum speciosum ネキトンボ
    * S. speciosum taiwanum タイワンネキトンボ

ネキトンボ(根黄蜻蛉、学名 Sympetrum speciosum speciosum )は アカネ属トンボの一種。和名は翅の基部が橙色をしているところに由来する。国内では東北地方以南に分布する。国外では台湾に亜種タイワンネキトンボ(学名: Sympetrum speciosum taiwanum Asahina , 1951)が分布する。

形態

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成虫は、体長38-48mm、腹長23-30mm、後翅長29-39mm。やや大型で太めの赤とんぼで、雌雄とも胸部側面に太い黒色条が2本ある。

幼虫は典型的な赤とんぼ型のヤゴで、体長20mm前後。腹部第8節の側棘の長さは第9節の末端まで届かないものが多い。

生態

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成虫は5月下旬頃から羽化し、遅いところでは11月下旬頃まで見られる。未熟なうちは雌雄とも黄褐色を基調とした体色で、成熟した雄はナツアカネコノシメトンボ同様全身が赤化し、雌は腹部背面のみ赤化する。

羽化後は羽化水域をいったん離れて、付近の樹林のやや高い樹の梢に静止し、体が成熟するまでそこで摂食活動を行う。

成熟後はよく移動・分散し、本種だけで群れを作ることは少なく単独で見つかることが多い。静止するときは他の赤とんぼの仲間と比べ、高い場所に身を確保する傾向がある。

成熟した雄は水域近くに縄張りを持つようになる。時折、周囲をパトロール飛翔するが、赤とんぼの仲間では比較的長い時間飛び続ける。

丘陵地や低山地の、付近に樹林がある比較的大規模で植生豊かなを好み、時には学校プールやコンクリート張りのなど人工的な水域でも幼虫が発見される。

産卵は打水産卵で、雌雄が連結したまま行うことが多いが、途中で連結を解いて雌の単独産卵に移行することもある。この場合は雄が上空で停止飛翔をしながら、または付近に静止して雌の産卵を見守ることもある。

他の多くの赤とんぼが卵で越冬するのに対し、本種は幼虫で越冬するため、赤とんぼの中では早い時期から羽化が始まる。6月にはもう生殖行動を観察することができる。

類似種

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翅の基部に橙色斑があるという点で、アカネ属の中ではキトンボエゾアカネに似る。キトンボは翅の橙色部分の面積が本種より広く、胸部はほぼ無斑で、足が黄色いことで区別できる。本種とキトンボとの間で異種間連結・異種間交尾・産卵が観察されることがあり、稀に種間雑種を生じる。エゾアカネとはふつう分布域が被ることはない。

また、アカネ属ではないがショウジョウトンボにも似ており、ショウジョウトンボは本種より体格が一回り大きく胸部は無斑で、雄では脚まで赤くなることから区別できる。

参考文献

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  • 尾園暁、川島逸郎・二橋 亮『日本のトンボ』文一総合出版〈ネイチャーガイド〉、2013年3月1日。ISBN 978-4-8299-0119-9 
  • 石田昇三・石田勝義・小島圭三・杉村光俊、『日本産トンボ幼虫・成虫検索図説』 東海大学出版会、1988年6月10日。ISBN 4-486-01012-4

関連項目

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