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アメリカ先住民

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

アメリカ先住民アメリカインディアンインディアンインディオ

  • アメリカ州の先住民族:アメリカ州の先住民族全般(エスキモー・アレウトを含む)→本記事で扱う。
  • インディアン:アメリカ州の先住民族のうち、エスキモー・アレウトを除く諸民族の総称。狭義には北米の先住民。→#インディアン
  • インディオ:中南米の先住民の総称。→#インディオ

アメリカ大陸の先住民
アメリカ大陸における先住民の分布図
総人口
およそ7,000万人
居住地域
メキシコ25.7 million[1]
ペルー13 million
グァテマラ7.8 million
ボリビア6 million
アメリカ合衆国5.2 million
エクアドル4.5 million
カナダ2.13 million
チリ2.1 million
コロンビア1.9 million
アルゼンチン1.2 million
ブラジル997,000
ベネズエラ524,000
ホンデュラス520,000
パナマ460,000
ニカラグア444,000
ウルグアイ160,000
コスタリカ118,000
パラグアイ116,000
エルサルバドル70,000
ガイアナ80,000
グリーンランド51,000
ベリーズ40,000 (Maya)
スリナム20,300
フランス (フランス領ギアナ)19,000
キューバ4,000
ドミニカ共和国2,000
セントビンセント・グレナディーン2,000
トリニダード・トバゴ1,500

アメリカ先住民[2](アメリカせんじゅうみん、Indigenous peoples of the Americas)は、ヴァイキングクリストファー・コロンブスによるアメリカ本土への到達以前からアメリカ州(南北アメリカ大陸とその周辺)に住んでいる先住民族の総称。エスキモー・アレウト人を除き、インディアンアメリカインディアンインディオなどとも呼ばれてきた。

概要

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「アメリカ先住民」には、「インディアンインディオ」と「エスキモー・アレウト人エスキモーアレウト)」がいる。

アメリカ合衆国チリが領有する、アメリカ州に属さない太平洋の島々には「アウストロネシア人ポリネシア人チャモロ人トンガ人ミクロネシア人など)」がいる[3]が、少なくともアメリカ合衆国国勢調査では、彼らはアメリカ先住民(Native Americans)に含まれない。ハワイ先住民はかなりの人口がアメリカ合衆国本土に居住するが、彼らも同様である。

なかでもエスキモーやアレウト族、太平洋諸島民を除くアメリカ州本土の民族を、インディアンまたはインディオと呼ぶ。日本語では、「インディアン」は北米本土の先住民、「インディオ」は中南米の先住民をさすことが多い。

ただし、現在では、「インディアン」、「インディオ」という呼称は用いられなくなってきており、特に前者は差別用語と一般に認識されている[要出典]。そのため、アメリカ合衆国では「ネイティブ・アメリカン[4]カナダでは「ファーストネーション」、中南米では「インディヘナ[5]などの呼称が一般的である。また、エスキモーも、近年はカナダで「イヌイット」、グリーンランドで「カラーリット」と呼ばれている。(後述)

現代では白人種や黒人種、アジア人種等との混血が進んでいる。

インディアンやエスキモー、アレウトの場合、アメリカ連邦政府が「インディアン部族」、「エスキモー部族」、「アレウト」として認める部族のみが、アメリカ内務省の指定保留(reserve)した保留地(Reservation)を領有している。内務省が条約関係を打ち切り「絶滅部族」として認定しない部族は、保留地を持てず、各州に散って暮らしている。カナダ連邦におけるインディアン、イヌイットも同様である。

分類

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エスキモー、アレウト

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エスキモー・アレウト語族を話す諸民族。インディアンとは起源(アメリカへの移住時期)が異なると考えられる。新モンゴロイドに属す。

インディアン、インディオ

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インディアン: Indian)は、アメリカ先住民のうち、エスキモー・アレウト人を除く諸民族の総称。スペイン語ポルトガル語ではインディオ西: indio)。日本語では、メキシコ以北の諸民族をインディアン、ラテンアメリカの諸民族をインディオと呼び分けることが多い。

「インディアン」(英語)と「インディオ」(スペイン語・ポルトガル語)ともに、本来はインド人を指す言葉である。「インディアン」、「インディオ」がこのように二義的な意味を持つのは、クリストファー・コロンブスアメリカ大陸に到着したときに、その地をインド(当時は東アジア全体を指した)と誤解したことに由来する。スペイン人が先住民をインディオス(インド人の意)と呼んだことから、そのまま英語のインディアンに引継がれ、以降アメリカ先住民(の大半)をインディアンと呼ぶようになった。

インディアン(北米)

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英語のインディアンは直訳するとインド人の意味であり、歴史的な文脈や広義では、旧イギリス領インド全域や東南アジアの住民を含むこともあることから、本来のインド人をイースト・インディアン[原 1] 、アメリカ先住民をアメリカン・インディアン[原 2] と区分して呼称する場合がある。

おもに平原部族が正装の際に顔や上半身を赤く塗装したことから、また、赤褐色の肌色を持つことからレッド・マン[原 3] という呼称もあり、彼ら自身も使用しているが、コロンブスがタイノ族を同じ理由でこう呼んだことによる。公民権運動ブラック・パワー運動の影響でインディアン達もレッド・パワー運動を展開した1960年代以降、侮蔑的な呼称として問題化されることがあり[注 1]、イギリスでもレッド・インディアン[原 4] と呼ぶことがあるが、この語は差別的とみなされることが多い[6]

また「インジャン」という呼び方[注 2] は現代アメリカにおいては「ニガー」などと同様の差別的な蔑称であり、ほか、「アンクル・トマホーク[原 5][注 3]」、「トント英語版[注 4]」などは、現在では同じく「白人におもねるインディアン」の代名詞となっている。

イギリスの作家アガサ・クリスティによる小説「Ten Little Niggers」はイギリス国内ではこのまま出版されたが、アメリカ版ではNiggerが不適切として「And Then There Were None」に修正され、作中に登場するNigger IslandもIndian Islandに変えられたが、こちらも差別的として変更された。

人類学言語学では、アメリンド[原 6] と呼ぶこともある。ただしこの語は厳密には、アメリカ先住民のうち、起源が異なるという説があるナ・デネナヴァホなど)やイヌイットを除いたグループに対する呼称である。

他に以下の呼称があるが、これらの中には定義が不明確なものも多い。

  • ファースト・ネーションズ[原 7]
  • ファースト・ピープルズ[原 8]
  • インディジェナス・ピープルズ・オブ・アメリカ[原 9]
  • アボリジナル・ピープルズ[原 10]
  • アボリジナル・アメリカンズ[原 11]
  • アメリンディアンズ[原 12]
  • ネイティブ・アメリカンズ[原 13]
  • ネイティブ・カナディアンズ[原 14]

なお、アメリカ合衆国のインディアンについてはネイティブ・アメリカンの記事に詳しく、またカナダのインディアンについてはファースト・ネーションの記事に詳しい。

インディオ(中南米)

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笛を吹くインディオ系民族の男性

スペイン語indioポルトガル語índioブラジルではインジオ、あるいはインヂオと発音する)は、アメリカ州の先住民族のうちエスキモーアレウト族などを除いた民族を総称する(英語のインディアンと同義である)ことが多いが、日本語では北米中南米の先住民族を区別して後者のみをインディオと呼ぶことが多い。

インド人と区別するためにスペイン語ではアメリンディオ(amerindio)と呼ぶこともあるが、逆にインド人をインドゥ (hindú)と呼ぶことで区別することが多い。

先住民と白人との混血をメスティーソ(mestizo)、ラディーノ(ladino)などという。ボリビアペルーなどでは、先住民として位置づけられる者を含めてチョロとも呼ばれる。先住民(インディオ)と黒人との混血をサンボと呼ぶ。なお、サンボという呼称と差別についての話題がちびくろサンボにあるので、そちらも参照されたい。

インディオ出身のメキシコ大統領ベニート・フアレス

人種的に純粋なインディオであっても、都市部の住民を中心にインディオ的な文化を喪失し、白人やメスティーソに文化的に同化した人はインディオと呼べないのではないかという議論がある。そのような人はインディオと称されることを忌避し、メスティーソなどと自己規定することが多い。しかし日常会話では、厳密にはメスティーソであるがインディオの人種的特徴を強く持つ人もまとめてインディオと呼ばれるのが一般的である。一方で、逆に人種的には混血であっても、先住民としてのアイデンティティを持ち、農村部を中心に先住民系の言語を日常的に用い、伝統的な文化を守る人々も決して少なくない(チョロ又はチョリータを参照)。  

近年の呼称

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イヌイット、カラーリット

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エスキモー」という言葉は、アラスカエスキモーと居住域が隣接していた亜極北のアルゴンキン系インディアンの言葉で「かんじきの網を編む」という意味である。これが、東カナダに住むクリー族の言葉で「生肉を食べる者」を意味する語と誤って解釈されたことから、「エスキモー」という呼称はある時期においてしばしば侮蔑的に使用された。これには、生肉を食べる行為[注 5]を野蛮であるとみなす人々の偏見が背景にある。

カナダでは1970年代ごろから「エスキモー」を差別用語と位置付け[注 6]、彼ら自身の言葉で「人々」を意味する「イヌイット[注 7]が代わりに使用されている。現在では「イヌイット」という呼称は、本来「人々」を意味する言葉ではなかったとされている。先住民運動の高まりの中で、これまで他者から「エスキモー」と呼ばれてきた集団が自らを指す呼称が必要となり、「イヌイット」という言葉を採用したためである[7]

なお、グリーンランドでは「カラーリット」と呼ばれる。

ファーストネーション

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カナダでは、イヌイットメティ(先住民とヨーロッパ人両方の血を引く人々とその子孫)を除く先住民の総称としてファースト・ネーションズという呼称が一般的である。ハイダ族クリー等個々の部族を指すときは部族名の後に「ファースト・ネーション」をつける(例:ハイダ・ファースト・ネーション)ことも多い。また、現在ではネイティブ・カナディアン[原 15] という呼称が使われることは少ない。

ネイティブ・アメリカン

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近年アメリカ合衆国では「インディアン」という呼称自体が差別的であるとして、また間違った命名の歴史を反映としているとして使わなくなってきている。アメリカ合衆国ではMLB球団のクリーブランド・インディアンスがこれを理由に、2022年からクリーブランド・ガーディアンズに改称した[8]

現在、アメリカ合衆国では、先住民は「ネイティブ・アメリカン[原 16]」と呼ばれることが多い。この単語は、アメリカ合衆国内務省インディアン管理局(BIA)の意向を受けて「インド人[原 17]」を祖先に持つ「インド系アメリカ人[原 18]」と区別するために、人類学者が作った造語である[注 8]。1960年代にBIAが、そのサービス対象グループに対して使用を始めた[9]

ネイティブ・アメリカンアメリカ合衆国内の先住民全般、つまり「インディアン」、「サモア人」、「ミクロネシア人」、「アレウト」、「ハワイ人」、「エスキモー」全てを含む場合がある。当初はインディアンとアラスカ先住民(アラスカ・インディアン、エスキモー、アレウト)を指しており、のちに連邦の枠組みに入るハワイ先住民と太平洋諸島民などを含むようになった。

一方、歴史的呼称としての「インディアン」に誇りをもつインディアン達の中には、これをあくまで自称とし、またその名称を替えること自体が差別的であるとするものもいる。インディアン運動家たちには『アメリカ・インディアン』を主張するものもある[9]。(→ネイティブアメリカンの呼称論争英語版

アメリカン・ヘリテージ英語辞典第4版」には、「『ネイティブ・アメリカン』の承認は、『インディアン』の消滅をもたらさなかった。一度『ブラック』が好まれるようになると、あっという間に『ニグロ』が嫌われたのとは異なり、『インディアン』はアメリカ人の大多数で、決して嫌われることはなかった。」との記述も見られる。

チェロキー族の作家であるクリスティーナ・ベリーは「アメリカ・インディアン」も「ネイティブ・アメリカン」も、両方とも、様々なインディアンの民族の違いをぼかすので使用を避け、各部族名を使うべきであると主張している[10]

インディヘナ、ナティーボ、プレイスパニコなど

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インディオの使徒』バルトロメ・デ・ラス・カサス

インディオという言葉に侮蔑的な響きがあることから、ラテンアメリカでは、現在は先住民のことをナティーボ (nativo,旧来の住人の意)やプレイスパニコ (prehispánico, スペイン以前の意)、インディヘナ(indígena,土着の人)などということが多くなってきている。また、カンペシーノ (campesino, 都市に住んでいない人)やアンテセデンテス (antecedentes, 先祖)という表現をすることもある(いずれもスペイン語。ポルトガル語では、例えばナティーヴなど)。

1920年代頃よりホセ・カルロス・マリアテギ等を中心にインディヘニスモ(先住民の復権)が唱えられるにつれ、先住民という意味の「インディヘナ (Indígena)」(ポルトガル語ではインディジェナ)という呼び方も普及していった。

既に述べたように、インディオという言葉には侮蔑的な響きがあり、差別用語であるともされる。ホセ・デ・サン=マルティン将軍がペルーを解放した時は、先住民をインディオと呼ぶことをやめるべきだと述べ、一世紀半後にフアン・ベラスコ・アルバラード将軍の革命政権はこの考えを実践して公的な文書の中でインディオと呼称することをやめ、カンペシーノ(農民)と呼称することを定めた。現在、多くの国では一般的には先住民を表す時にはインディヘナの名称が使われる。しかし、当のインディオの側から自分達の歴史をインディヘナという言葉によって消し去られるのは屈辱だという声も聞かれ、言い換えを拒否する動きもある。

初期アメリカ人

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学術の分野では、近年「初期アメリカ人[原 19]」という呼称が使われることがある[11][12]

人類学的特徴

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アメリカ先住民は人種的にはモンゴロイドに属すとされる[13]が、新モンゴロイドのエスキモーを除き、赤みがかった黄褐色の肌を持つなどユーラシアのモンゴロイドとは異なる点もあることから、「アメリンド人種」とされる場合もある。エスキモーを除くアラスカカナダアメリカ合衆国北部の部族は肌の色が赤黒く鼻筋が通り高く盛り上がっておりワシ鼻である人が多い。

アメリカ先住民はモンゴロイドの一亜型であるエスキモー(エスキモー人種)とモンゴロイド的特徴が希薄なインディアン(アメリンド人種)に大きく二つに分け、インディアンの分類はヴァロワにならい北・南アメリカの西半分に住む短頭型のニ群『北太平洋インディアン又はアリューシャン人種又はコロンビア人種(ナ・デネ系民族)』、『南太平洋インディアンはソノーラ人種プエブロ・アンデス人種地峡人種に細分される』と東側に住む中頭型のニ群『北大西洋インディアンインディアン又平原人種又はダコタ人種ともいい西部劇でおなじみの赤色インディアンはこの人種に属する。アレゲニー山脈より東に住む人々をアパラチア人種と呼ぶことがある。』、『南大西洋インディアン又はアマゾン人種(グアラニー族等)』とその他のニ群『古層インディアン又はラゴア・サンタ人種(ヤーガン族等)』、『パンパ・インディアン又はパタゴニア人種(テウェルチェ族等)』に分類出来る[14]

遺伝的には東ユーラシアの諸民族に最も近い。Y染色体ハプログループはほとんどをQ系統が占める[15][16][17]ミトコンドリアDNAハプログループABCDXが見られる。

起源と歴史

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一般に、アメリカ州への先住民族の移住は1.アメリンド、2.ナ・デネ、3.エスキモー・アレウトの3波が存在したと考えられている。

  1. インディアン/インディオの祖先は、約2万5000年前にシベリアに進出したモンゴロイドである。当時は最終氷期の最盛期で、現在のベーリング海は陸地のベーリンジアになっており、ユーラシア大陸からアラスカに歩いて移民できた。ベーリング海峡が海に戻った1万4000年前より前に、彼らはアラスカまで進出したはずだが、考古学的証拠は乏しく正確な時期は特定できない。約1万5000年前、古モンゴロイドはカナダを超えアメリカ合衆国本土へ渡り、クローヴィス文化の担い手のパレオインディアンとなった。彼らがインディアン/インディオの直接の祖先であり、1000年で南米南端まで広がった。近年では最初期のアメリカ先住民(アメリンド)はアメリカ西海岸を氷床を避けて南下していったとする見方が有力である。ただし論争はあるものの、クローヴィス以前の可能性がある遺跡がいくつか見つかっており、パレオインディアン以前の住民がいた可能性もある。インディアン/インディオの遺伝的多様性はクローヴィスより古い起源を示唆しており、彼らがインディアン/インディオの祖先の一部となった可能性もある。
  2. ナデネ語族を話すディネはアメリカ大陸における移住拡散の第2波と考えられる。ハプログループQに加え、ハプログループC2 (Y染色体)を中頻度に保有する[15][18][19]
  3. エスキモー・アレウトは、おそらく比較的最近にシベリアからアラスカに進出し、グリーンランドまで拡散した。寒冷な気候に適応して進化した新モンゴロイドである。
  4. また、紀元前にヨーロッパから北米に移住があったとする見方もあり[20]、遺伝子からも、欧州に多いY染色体-RmtDNA-Xが北米東部でかなりの頻度で観察される[15][18][21][22][23]ことから、有史以前のある時期にヨーロッパからの直接移住が存在した可能性がうかがえる。
  5. 加えて南米原産のサツマイモがコロンブス以前のポリネシアから発見されていることから、ポリネシア人が南アメリカ大陸から持ち込んだと考えられ、南アメリカ大陸と交流があったと思われるが、ポリネシア人がアメリカ先住民の遺伝子プールに与えた影響などは不明である。

なお、インディアンの神話伝説では「亀の島」(アメリカ大陸のこと)が水の中から隆起した時に、その中心から現れた人類の祖先こそインディアンであると伝えている[24]

大航海時代以降は、ヨーロッパ人との混血、アフリカ黒人との混血が進んだ部族も多い。純血の民族はメキシコグアテマラエクアドルペルーボリビアなどに多く存在する。しかしブラジルアルゼンチンウルグアイなどのスペイン人と激烈な戦いを繰り広げた地域では、純血な先住民はスペインによる侵略により、大幅に数を減らしている。アメリカ大陸にいた先住民はヨーロッパ人の持ち込んだ伝染病、奴隷制度、レイプ、戦争による殺戮によって、1491年に西半球には約1億4500万人の人々が住んでいたが、1691年には、アメリカ先住民の人口は90-95%、約1億3千万人も減少したとされる[25]

アメリカ合衆国においては白人入植者によってインディアン戦争に代表される北米植民地戦争がおこなわれた。この戦争は白人、主にキリスト教徒によって行われた大量虐殺民族浄化強制移住であった。これらの戦争の影響により、インディアンは今日でも貧困アルコール依存症などの問題に苦しみ続けている。また、インディアンはブラックヒルズなど白人に奪われた土地の返還を求めて闘い続けているが、アメリカ合衆国政府や政府を支持する人々は土地を返還するつもりはない[26][27][28][29][30][31][32][33][34][35]

一覧

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アメリカ合衆国とカナダ

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アメリカ合衆国およびカナダの在来の民族を、アメリカ合衆国の領有する太平洋諸島の民族を除いて、共有される文化的特性を備えた10の地理的な地方に分類するのが一般の民族史学者の見解であったが、現在は太平洋諸島民を含む11の地理的分類が通例となっている。

北極のエスキモー、イヌイット、アレウト

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亜北極のインディアン

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カリフォルニアのインディアン

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東部森林地帯のインディアン

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伝統衣装をまとったアベナキ族男性

グレートベースン(盆地)のインディアン

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北西高原地帯のインディアン

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北西太平洋岸のインディアン

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大平原地帯のインディアン

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伝統衣装をまとったスー族の戦士、ジトカラ・サ(19世紀の撮影)

南東部のインディアン

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南西部のインディアン

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中南米

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中南米の先住民は、言語、環境及び文化的類似性によって分類するのが一般的である。

カリブ・インディアン

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中米のインディアン・インディオ

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メキシコ・インディアン初の大統領、ベニート・フアレスサポテカ族
エクアドルのオタヴァレノ族の少女

アンデスのインディオ

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ケチュア族の女性

サブアンデスのインディオ

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アマゾン川流域のインディオ

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アマゾン川流域西部のインディオ
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ヤノマミ族の子供
アマゾン川流域中央部のインディオ
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アマゾン川流域東部及び南部のインディオ
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南米大陸南部(パンパ,パタゴニア,南端部)の先住民

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言語

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エスキモー・アレウトの言語は1つの語族エスキモー・アレウト語族を構成する。インディアン/インディオの言語は非常に多様であり、分類が進んでいない。

その他、孤立した言語も多数ある。

脚注

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原語表記

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  1. ^ : East Indian
  2. ^ : American Indian
  3. ^ : Red Man
  4. ^ : Red Indian
  5. ^ : Uncle Tomahawk
  6. ^ : Amerind
  7. ^ : First Nations
  8. ^ : First Peoples
  9. ^ : Indigenous Peoples of America
  10. ^ : Aboriginal Peoples
  11. ^ : Aboriginal Americans
  12. ^ : Amerindians
  13. ^ : Native Americans
  14. ^ : Native Canadians
  15. ^ : Native Canadian
  16. ^ : Native American
  17. ^ : Indian
  18. ^ : Indian American
  19. ^ : early Americans

注釈

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  1. ^ NFLチームの「ワシントン・レッドスキンズ」のレッドスキンズ: Redskins)は、「赤い肌の連中」という意味であり、インディアン権利団体はこの名称の変更を要求して抗議を繰り返していた。2022年より同チームは「ワシントン・コマンダース」に改称した。
  2. ^ トム・ソーヤーの冒険』にも出てくる。
  3. ^ 黒人達が「ブラック・パワー運動」のなかで、「白人にこびへつらう黒人」のことを「アンクル・トム」と呼んだのに引っ掛けて、インディアン達も「レッド・パワー運動」のなかで、「白人にこびへつらうインディアン」のことをこう呼んだ。
  4. ^ テレビ西部劇の『ローン・レンジャー』で、主人公の白人ガンマンの相棒を務めるインディアン青年の名前。
  5. ^ 植物の育たない極地において、肉と魚を生で食べることでビタミンとミネラルを摂取できる。
  6. ^ この主張自体は1920年代から既に存在していた。
  7. ^ 彼らの言語に促音は存在しないので「イヌイト」のほうがより正確である。
  8. ^ この「ネイティブ・アメリカン」とする場合の表記は、一般的には先頭に「大文字の「N」が使用される。

出典

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  1. ^ Página no encontrada”. 4 March 2016時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年12月12日閲覧。
  2. ^ アメリカ先住民
  3. ^ アメリカ内務省BIA公式規定より
  4. ^ アメリカインディアン
  5. ^ インディオ
  6. ^ 大修館書店刊『ジーニアス英和辞典 改訂版』(1994年)
  7. ^ スチュアート・ヘンリ「民族呼称とイメージ―「イヌイト」の創成とイメージ操作」『民族学研究』第63巻2号、1998年9月
  8. ^ Hoynes, Paul (Nov. 19, 2021). “Cleveland Indians will officially become Cleveland Guardians on Friday”. cleveland.com. https://www.cleveland.com/guardians/2021/11/cleveland-indians-will-officially-become-cleveland-guardians-on-friday.html 
  9. ^ a b インディアン管理局 (BIA) の公式な質疑応答テキストによる
  10. ^ クリスティーナ・ベリー『名前には何があるの?インディアンとポリティカル・コレクトネス
  11. ^ ニュース - 古代 - アラスカで氷河期の子どもを発見 - ナショナルジオグラフィック 公式日本語サイト 2011年2月25日
  12. ^ 今関恒夫, 「初期アメリカ人の社会的出自」『同志社アメリカ研究』 10号 p.20-41 1974年, ISSN 04200918, doi:10.14988/pa.2017.0000008725, 同志社大学アメリカ研究所
  13. ^ ただし北米東部に関して、古くからコーカソイドが混血しているとする見方がある(バリー・フェル(著)、喜多迅鷹・元子(訳)『紀元前のアメリカ』(1981)草思社)
  14. ^ 寺田和夫『人種とは何か』、岩波書店
  15. ^ a b c Zegura, Stephen L. et al 2004, High-Resolution SNPs and Microsatellite Haplotypes Point to a Single, Recent Entry of Native American Y Chromosomes into the Americas
  16. ^ Bortolini, Maria-Catira et al 2003, Y-Chromosome Evidence for Differing Ancient Demographic Histories in the Americas
  17. ^ Hammer, Michael F. et al 2005, Population structure of Y chromosome SNP haplogroups in the United States and forensic implications for constructing Y chromosome STR databases
  18. ^ a b Malhi, Ripan Singh et al 2008, Distribution of Y Chromosomes Among Native North Americans: A Study of Athapaskan Population History
  19. ^ Matthew C. Dulik et al 2012, Y-chromosome analysis reveals genetic divergence and new founding native lineages in Athapaskan- and Eskimoan-speaking populations PNAS May 29, 2012 vol. 109 no. 22
  20. ^ バリー・フェル(著)、喜多迅鷹・元子(訳)『紀元前のアメリカ』(1981)草思社
  21. ^ Bolnick, Deborah A. et al 2006, Asymmetric Male and Female Genetic Histories among Native Americans from Eastern North America
  22. ^ Learn about Y-DNA Haplogroup Q” (Verbal tutorial possible). Wendy Tymchuk – Senior Technical Editor. Genebase Systems (2008年). 2010年6月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。22 June 2010閲覧。
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  24. ^ 『太ったインディアンの警告』(エリコ・ロウ、NHK出版)
  25. ^ McKenna, Erin, and Scott L. Pratt. 2015. American Philosophy: From Wounded Knee to the Present. Bloomsbury. p. 375.
  26. ^ [1] Counting the Dead: Estimating the Loss of Life in the Indigenous Holocaust, 1492-Present David Michael Smith University of Houston-Downtown
  27. ^ 『American Holocaust』(David Stannard,Oxford University Press, 1992)
  28. ^ [2]
  29. ^ [3]
  30. ^ [4]
  31. ^ [5]
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  33. ^ Brown, Dee (1971). Bury My Heart at Wounded Knee. New York: Henry Holt 
  34. ^ Gilbert Quintero "Making the Indian: Colonial Knowledge, Alcohol, and Native Americans." American Indian Culture and Research Journal, 2001, Vol. 25, No. 4, pp. 57–71
  35. ^ Barbash, Fred; Elkind, Peter (1980年7月1日). “Sioux Win $105 Million” (英語). The Washington Post. ISSN 0190-8286. https://www.washingtonpost.com/archive/politics/1980/07/01/sioux-win-105-million/a595cc88-36c6-49b9-be4f-6ea3c2a8fa06/ 2021年12月22日閲覧。 

関連項目

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外部リンク

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